ざーーーーーーーーーーー

ざーーーーーーーーーーー

 

 

 

その日大雨だった

碇シンジは放課後の玄関で途方にくれていた

”まいったなあ・・・このまま行っちゃおうかなあ”

そう考えると1歩外に出てみた。

 

ざーーーーーーーーーーーー

 

思った以上雨の勢いは強い。

ちょっと出ただけで制服のワイシャツに雨が浸透してきた。

 

”はぁーー、なんで傘持ってこなかったんだろう・・・

失敗したなー”

 

そんなことを考えてると、

ねえ、傘ないの?

意外な人物から声がかかってきた。

”アスカ?”

同居人で同じエヴァのパイロットである惣流アスカ・ラングレーの声だった。

「あ、うん、今日忘れちゃってさ・・・ちょっと困ってるんだ・・・」

彼は素直に言った。

じゃあ・・・いっしょに入っていく?

「・・・・・へ?」

彼は一瞬自分の耳を疑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          HERE'S THAT RAINY DAY

                               ーそれはこんな雨の日からー

                            PRESENTED BY じぇりー

 

              

                       

 

 

 

 

というわけで一緒に帰る2人

同じ傘に入っている。

つまり相合傘

でも、アスカが持って、シンジが入れてもらっているところがこの2人らしい。

はたからみれば仲のいいカップルだった。

 

・・・なんかいいな、こういうのって

 

ちょっと、シンジ!濡れちゃうじゃない!もっとこっちに入りなさいよっ

「あ・・・うん」

まったく、このアタシが入れてあげなかったらずぶぬれで帰るところだったんだから

感謝しなさい!

「はいはい、ありがと」

・・・ほんとうれしいな

むぅー!誠意がこもってない!!もう、入れてあげないもんね

と言って傘の上をシンジの方から自分の方へと持ってきた。

「あっ、ちょっと、アスカぁー、濡れちゃうよぉー」

と言って慌ててアスカのほうに入ろうとした。

 

 

ずるっ

 

がばっ

 

こけてアスカを抱きしめてしまった。

 

・・・やばっ

 

ぽん

 

アスカは顔を真っ赤にして震えていた。

 

「あ、あの・・・アスカさん?」

 

誰が・・・」

 

「へ?」

 

誰が抱きしめちゃっていいって言ったの

このバカスケベちんっ!!ていやぁーーーー

 

と言って馬場ちょっぷを食らわそうとした。

するとシンジはそれを白刃取りで受け止めてしまった。

 

「ぬっ!」  ばしっ!

むぅ!

 

雨の中の攻防

アスカは振り切ろうとした。

シンジはアスカの手を離さない。

 

膠着状態

 

「ねえ、アスカ・・・」

・・・何よ・・・

「このままじゃあ、2人とも濡れちゃうからさ・・・もうやめにしない?」

・・・いいわ・・・まあ。さっきのもアクシデントみたいだったからチャラにしてあげる

「アスカー・・・・ありがとう」

いいから、さっ、傘持って

と言ってシンジに傘を持たせた。

その時

ていっ

ばきっ

 

シンジの尻に蹴りが入った。

「痛っーー,ずるいよ、アスカ・・・」

何よぉー、これで許してあげるんだから感謝しなさい!

「何だよ、それ・・・」

 

その後は何事もなく2人で帰った。

それを電柱の影から見ていた一筋の光

 

きら〜〜〜ん

 

「ふふふ・・・大スクープだ・・・」

 

相田ケンスケ

パパラッチ候補(14歳)

 

その日のうちに写真を現像した。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

学校

 

昨日とは打って変わって今日は快晴だった。

シンジとアスカはいつものようにミサトのマンションから2人できた。

 

そして、いつものように教室の扉を開けた。

 

「お、来たよ」

「夫婦そろって御登校かぁー」

「やっぱねぇー、あの2人・・・」

 

いつもと違う空気。

2人は違和感を感じた。

 

「何か・・・みんなこっち見てるね・・」とシンジ

そうね・・・何かしら・・・・って

何よあれ???

 

どーーーんっ!!

黒板に大きくシンジ、アスカと相合傘のマークが書かれていた。

 

だれよっ、こんなの書いたの?

 

シーーーーン

 

ちょっと!!いるはずでしょ!!出てきなさいっ!!

アスカはムキになって怒鳴った。

 

「「ふっふっふっふっふ」」  

↑打ち合わせ済み

 

む・・・そのいやらしい笑い・・・やっぱりアンタ達ね・・・2バカ!!

 

「だれが2バカやぁー」と鈴原トウジ

「そうだよ、失礼だな」もう1人はケンスケだった。

 

そんなのどうだっていいのよっ、なんであんなこと書いたのっ?

ヒス気味に聞くアスカ。

 

「そりゃあ、惣流、昨日、帰りに2人が何やってたか知ってるんだぜ」

とケンスケ

え・・・・ただいっしょに帰ってただけじゃない

「ふーーん、一緒に帰ってただけねえ」

意味ありげにいうケンスケ。

めがねの奥がキラリ

「じゃあ、これはどう説明すんやぁー」ばんっ!!

ガマンできなくなってトウジが写真を出す。

それはシンジがアスカが抱きついてきた時の写真だった。

「「あーーーーーー」」

と2人

「トウジ!それはおれの言うセリフだろ」とケンスケ

「まあ、ええやないか、んで、どや、どやっ」

せまるトウジ

シンジとアスカは顔が真っ赤になっていた。

「なにそれ、こっちにも見せてよ」

とクラスメートが寄ってきた。

「はいはい、人数分のコピーあるよあるよっ」

じゃんじゃん配るケンスケ。

あんた、何でこんな時だけ気が効いてるのよー

叫ぶアスカ

シンジは恥ずかしくて動けないでいた。

 

「なにこれぇーー!」

「きゃー、碇君って大胆!!」

「碇ぃーー、どういうことだぁー」

「碇君、うそって言ってぇ」

などなど

大パニックとなった。

 

ち、違うのよ!事故なのっ、事故っ!!

 

「アスカもまんざらじゃあなさそうだしね」と女の子のひとり

何言ってるのよっ、なんで、アタシがこんなやつと・・・

 

・・・こんなやつ?

 

ズキっ!

胸が苦しい

なんで・・・なんでそんなこと言うんだよ。。。アスカ

 

「だって、いつもいっしょにいるじゃないっ!」

それはエヴァのパイロットだから仕方なくいるのよっ

 じゃなきゃ、あんなさえないやつとアタシとが釣り合うわけないじゃない!

 

アスカにとっては照れ隠しだった。

現に顔は真っ赤だ。

だが、その言葉は少年を傷つけるには十分だった。

 

・・・仕方なく

・・・アスカ・・・僕のことやっぱりそういう風に思っているんだ

・・・なんで・・・・僕は・・・

 

だいたいアイツはいつもアタシの足を引っ張ったり・・・

「アスカーーーーッ!!」

突然シンジは叫んだ。

めったにお目にかかれない光景に全員シンジの次の言葉に聞き入った。

 

「なんで・・・なんで、そんなこと言うんだよっ」

・・・シンジ・・・

「僕はそんなこと思ってないのに・・・」

・・シンジ・・違うのよっ

 

彼は聞く耳持たなかった。

 

「僕はこんなアスカのこと好きなのに・・・」

 

””””・・・・・・はっ?・・・・・”””””とみんな

 

「・・・え?」

 

ざわっ

ざわめくクラス

 

突然のシンジの告白をやっとアスカも理解した。

 

ぽんっ!!

 

 

そしてさらに顔が赤くなった。

 

・・・あれ・・・何言っちゃってんだ・・・僕は・・・

・・・アスカ?

 

アスカはぷるぷると震えていた。

 

そして

 

あんたねぇー

一呼吸おいて・・・

ばかぁーーー、なんでそんな大事なこと、こんなところで言うのよぉーー!!

 

バシッ!バシッ!バシッ!!

 

往復びんた

「ぶぅーー」シンジは倒れてしまった。

あんたなんか、あんたなんか・・・知らないっ!!

と言って教室から出て行ってしまった。

「ア、アスカー、ちょっと待ってよっ!」

とシンジも後を追って出て行った。

 

 

 

「なあ・・ちょっとやりすぎやないか・・・?」とトウジ

「・・・・そうだな・・・」とケンスケ

 

 

何を今さら・・・

 

 

 

「ねえ、何?今の騒ぎ?」

職員室に呼ばれ帰ってきたヒカリがクラスメートの女の子のひとりに尋ねる。

「うん、あのね・・・・」

 

 

 

 

 

 

「すーずーはーるぁあーーーーーーーっ!!」

 

バシコンっ!バシコンっ!バシコーーーンッ!!

 

 

 

 

3発

今日もキレは良好のヒカリちゃんズはりせん!!

 

「はぷしーーー」・・・・・・・ばたっ

トウジはぶっ倒れた。

 

「まったく、あんたってヒトはー、ろくなことしないんだから!」

「痛いわぁー、いいんちょぉー、3発はきついでぇー」

「いいのっ、ほら立って、行くわよっ」といって手を差し出した。

「行くってどこへや?」

きょとんとするトウジ

「何ってアスカ達を追いかけによっ」

「・・・いいんか・・それ・・・」

「いいのっ!!私には委員長として2人を見届ける義務があるわ」

と言って”ぐぐぐ”と右手のコブシを握り締めた。

 

”いいんちょって意外とミーハーなんやな・・・”

と感心するトウジだった。

 

 

 

屋上

 

アスカは手すりから遠くの山を見ていた。

・・・ばかばかばかっ!!シンジのばかっ!!

なんで、あんなトコで告白なんかすんのよぉーー”

 

ぷくぅー

ほっぺがふくらむ。

 

・・・もっとかっこよく・・・ムードがいいところで言って欲しかったのに・・・

 

うれしい、くやしい、はずかしい

3つの感情が同時にわいてアスカは混乱していた。

だから、逃げてきた。

こんなこと、いままでなかった感情だった

 

「・・・アスカ・・」

追ってきたシンジがアスカの後ろに立った。

「あの・・・ごめん・・・」

・・・なんで、あやまんのよっ!

「・・・だって、アスカ・・・怒っているから・・・それに突然あんなこと言っちゃって・・・」

・・・そりゃあ、あんなところで言うなんてアンタ非常識よっ

あんな所で・・・言って欲しくなかった・・・

「・・・ごめん・・・」

また謝るシンジ

ふぅーとアスカはため息をついた。

・・・でも・・・うそじゃないんでしょ・・・アレ

告白の事

「・・うん」

・・・言っちゃおう、そうすればきっと・・・

・・・アスカのこと・・・前からずっと好きだったんだ・・・

自分でも驚くくらい自然に言えた。

・・・・・・

アスカは黙ってしまった。

「・・・何も言ってくれないの?」

シンジは不安になった。

・・・・・・・見せなさいよっ

「え・・・何を?」

証拠見せなさいよっ!口だけじゃなく行動で示して

シンジははじめ何言っているのかわからなかった。

「証拠って?」と尋ねた。

キスして・・・・

「・・・・はい?」

キスしてっていってるのっ!!

 こんな恥ずかしいこと何度も言わせないでよっ!!

「えええええーーーー」

絶叫

 

 

 

 

 

 

「キスだってぇーー、アスカもだいたーーーんっ」

とヒカリ。

ここは階段から続く屋上への出口前。

こっそり覗いてる2人

「なあ、もう少し静かに話さないとバレルで」とトウジ

「・・・そうね、私ったら興奮しちゃった」

「・・・あのなあ」

顔を真っ赤にしているヒカリとトウジ

「どうでもいいけど・・・なんでこいつらいるんやっ」

「えっ・・・?」

 

ずらぁーーーーーー

クラスのみんながズラリ後ろに続いていた。

 

「あはは、みんな来ちゃったのね・・・」とヒカリ

そんな2人に

「「「「「シィーーーーーーー」」」」

と口に人差し指をあてて静かにするよう促す2−A生徒だった。

 

 

「・・・こりゃ、後が大変やでぇ」

 

 

 

 

見られてる2人

 

「・・・・あの・・・」

なに?

「・・・・いいの?」

と言ったシンジだがアスカは答えず目を閉じ待ちの体制に入った。

・・・なんで・・・アスカ・・・僕のこと・・・

シンジは躊躇した

・・・でもここでキスしなかったら女の子に恥をかかせちゃう

・・・下手すれば一生口をきいてもらえなくなるかもしれない・・・

決意した。

 

ちゅっ!

 

軽いフレンチキッス

アスカは眼を開けてうれしそうに微笑みながらシンジに抱きついた。

そして耳元で

アタシも好きよ、バカシンジ・・・

とつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「うをぉーーっ!」」」」

 

大歓声!!

 

な・・なに?

 

見ると今まで覗いていたクラスメートが2人を囲んだ。

 

「すげぇーー、あんな映画みたいなの、はじめてみた!」

「いいぞぉー、アツアツカップル誕生の瞬間かぁー」

「おれのおかげだろっ」

「アスカー、よかったねぇ」

「おめでとー」

 

あ・・・・あんた達・・・もしかして今までの・・・見てた?

 

こくん

 

みんなうなづく

 

ちょっとーー、犯罪よぉー、覗きなんてぇ

「まあ、ええやないか。結果オーライやろ」

「トウジぃ、ひどいよ」嘆くシンジ

「いいじゃん、この幸せモノ」こっちはケンスケ

ヒカリィーー、アンタまでそうなのぉー

「えへっ、ごめんね、アスカ」

 

なんかふに落ちないアスカだったがここでよからぬ考えが浮かんだ。

そうだ・・・ここでシンジに悪い虫がつかないように・・・・・

シンジッ!!

とおもむろにシンジにこっちを向かせた。

わけのわからないままのシンジだが

アスカに両手でほっぺを押さえられて

 

 

「「「「「あぁぁーーっ!!!」」」」

 

 

今度はさっきよりちょこっと長いキス

シンジは目を開けたままだったけど

 

 

そんな呆然としてるアスカは周囲を見渡して

ね、シンジはアタシだけのモノよっ!!

と甘い宣言をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後

 

 

男の子はざめざめ泣くし、女の子はいやいやするし

この日の午前中、授業にならなかった

 

やばくなった2人はネルフから呼び出しと言って抜け出して

そのままデートに出かけちゃったらしい

 

 

 

 

シンジはアタシのモノぉーーっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ言うんか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おちまい(^◇^)♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

はじめまして。じぇりーと申しますM(__)mぺこり

今回はじめて投稿させて頂きました。

うーーん、はずかしい

自分で読んでてれちゃあ、世話ないですけど暴走してますねぇ

ラブラブなLASははじめて書きました

というような素人まがいのじぇりーですが、

こんなこっぱずかし話を読んでくれてありがとうございます。

べたすぎかな・・・・←冷静になると(^◇^;)

 

シンクロウさん、これからもどうかよろしくお願いします。

ではっ


じぇりーさんからの初投稿作品、「HERE'S THAT RAINY DAY」でした〜〜!

ほのぼの喜劇とでも言いましょうか。作品中に漂うホンワカとした空気の中にさり気なく散りばめられているギャグが、絶妙にマッチしていますよね。しかもそのギャグセンスが、とっても私好み。「パパラッチ候補(14歳)」、「↑打ち合わせ済み」、「みんなうなづく」などなど。どれも、思わずクスっと笑ってしまうような柔らかさがあって、とても心地良いテンポで読み進められました(^^)。

で、その中でも今回一番笑ってしまったのが、伝家の宝刀「ヒカリちゃんズはりせん」(笑)。
>「すーずーはーるぁあーーーーーーーっ!!」
>バシコンっ!バシコンっ!バシコーーーンッ!!
こんな強烈なビンタを喰らって「はぷしーーー」っと突っ伏した後にも、「痛いわぁー、いいんちょぉー、3発はきついでぇー」とか言って速攻で回復してるトウジ。毎日の日課のビンタとあって、ベテランを感じさせますね(笑)。

>うれしい、くやしい、はずかしい
>だから、逃げてきた。
今回の一番のお気に入りです。うれしい、くやしい、はずかしい。なんともアスカらしい3要素ですね。そりゃいくら大学出の天才でも、恋のHowToは教科書からじゃ学べませんから、戸惑ってしまうのも無理ないというもの(^^)。

そしてそして後半のメインディッシュ、告白ターーーイム。2−Aの全生徒に見守られる中(笑)、晴れて恋人成立となった2人。しかもシンジの防虫措置まで施して、万事において抜かり無し(笑)。せやせや、シンジはあんただけのモノやでアスカはん〜〜!<興奮すると大阪弁。

ご覧になった皆様も、是非ともJerryさんに感想を送りましょう!

たった一言の感想が、このような素晴らしい名作を生み出す大きな力になるのです。


 私達に名作を提供して下さった、Jerryさんへのご感想はこちらか、掲示板へ!
是非ともお願いします!m(_ _)m

《じぇりーさんのホームページ:「陽の当たる大通りで・・・」


inserted by FC2 system