「アスカの長い一日」
by オズ





太陽が傾き始め、日中の暑さもようやく峠をこえようとしていた。

暑さを避けて家の中に留まっていた人達も、ようやく表に出て来る気になったのであろう、

通りにはちらほらと人影が多くなってきていた。

ちょうどこれから夕食の準備にとりかかる時間である。

ショッピングモールでは、香しい匂いを漂わせた数々のおかずが店頭に並び始めていた。

そろそろ活気が出始めるモールの中を、碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーが

手をつないで歩いていた。



「アスカ、夕食のおかず何にしよう?」

「えーっと、パスタがいいなぁ」

「了解。ミートソースでいい?」

「うん。あ、でも既製品はだーめ。シンジがソース作ってよね」

「わかってるって。サラダはどうする?」

「ポテトサラダかな」

楽しそうに夕食のおかずを物色する二人。

制服を着ていなければ、新婚夫婦に見えたであろう。

二人は高校3年の春を迎えていた。

あちこち品定めをしながら買い物を続けるシンジとアスカであったが、ケーキショップの

前にさしかかった時、アスカが立ち止まった。

「ねえねえシンジ、ケーキ買っていこうよ」

「え?いいけど、ミサトさんに怒られない?」

「今日は特別。それに本来、ミサトのダイエットにアタシ達が付き合う必要なんて

ないんだからさ」

「くすくす、まあね」

「ね、シンジぃ」

「ん?」

「えへへぇ、今日はなんの日でしょう?」

「さ〜って、なんの日だったかな〜。あ、ひょっとして僕の誕生日?」

「も〜う。そんなわけないじゃない!!」

「はははは・・憶えてるって。ちょうど1年前だったね。僕がアスカに告白したのは」







1年前。

コンフォートマンション、葛城ミサト邸。

学校から帰ってきたアタシは思いっきり不機嫌だった。

理由は決まっている。

シンジのせいだ。

家に帰っていつもの様に封筒受けを覗いたアタシは、妙に可愛らしいハガキが

届いているのに気がついた。

いかにも少女趣味って感じの絵ハガキ。

イヤ〜な予感がして思わず手にとってしげしげと見ちゃった。



碇シンジ様。



受取人の名前が丸っこい可愛らしい字で書いてある。

やっぱり。

ちっきしょ〜、どこの何奴だ、こんなハガキを送ってくる奴は!

差出人の名前を見てやった。

えっ、この娘・・・1年生の中でも、かわいくって目立っている娘じゃない。

なんでこんな娘が・・・・。

そのハガキを手にして唖然としているアタシの横からシンジがひょいと顔を出した。

「あれ、アスカどうしたの?」

「・・・・ハガキ、アンタ宛よ!!」

アタシはそのハガキをシンジに突きつけてやったわ。

「ど、どうも・・・ありがとう・・」

ふん、まぬけな返事ね!!

「シンジ!!夕御飯はやくしてね!アタシお腹がすいているんだから!」

あったまに来たアタシは、そう言い放つとさっさと部屋に閉じこもってやったわ。





着替え終わった後、アタシはベッドに横になった。

頭の中では、さっきのハガキの事がぐるぐる回っている。

何が書いてあったのかな・・・・・。

シンジに何の用なんだろう・・・・。

ラブレター・・かな。

でもハガキだったし・・・普通、手紙にするよね・・・。

でもラブレターだったら・・どうしよう・・

・・・・あの娘・・可愛い娘よね・・

シンジ、どうする気かな・・・

べ、別にどうでもいいけど・・さ・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

あ〜もう!何をウジウジ考えているのよ。

こんなの全然アタシらしくない!

全部バカシンジが悪いんだからね!!!!

そんな事考えていたら、リビングからアタシを呼ぶ声が聞こえた。

「アスカ〜、ご飯できたよ〜」





夕御飯はクリームソースを掛けたサーモンのムニエル、手羽と大根の煮物、アスパラとベーコンの炒め物、

ほうれん草のおひたし、お豆腐のおみそ汁、ご飯といったメニューだったわ。

どれもすっごく美味しい。

ミサトなんかビールが進むっていってクイクイ飲んでるもんね。

まあ分かるけど。

「アスカ、今日のおかずどうかな?アスカの口にあうかな?」

きっとムスッとして食べていたのね。

シンジが心配そうに聞いてきたわ。

料理に不満なんてまったく無いけど、さっきのハガキはすっごく不満。

だからアタシつい憎まれ口をたたいてしまう。

「アタシ魚料理は苦手なの」

思いっきり不機嫌そうに言ってやったら、シンジの奴困った様な顔してた。

「そっか・・もう少し工夫が必要って事か・・・」

寂しそうに苦笑するシンジの顔を見てたら、ちょっと胸の奥がチクリとしたけど・・・・・・・。

もう、シンジが悪いんだからね!!





食事の後、アタシはお風呂に入ることにした。

熱いお風呂で、このもやもやした気分を洗い流したかったのよね。

さっさと髪を洗って浴槽につかろうっと。

あれ?

あ〜〜〜、お気に入りのシャンプーが切れている!

アタシは浴室のドア越しにシンジを怒鳴りつけてやったわ。

「シンジ!!アタシのシャンプーどうしたのよ!」

「え?あ、しまった。ゴメン新しいの買っておくのすっかり忘れていた」

「え〜〜、買い置きくらい無いの?」

「う、うん。ゴ、ゴメン」

「もういい!バカシンジ!」

う〜、バカシンジめ。

なんでアタシがあのシャンプーにしてると思ってんのよ。

アンタが前にいい匂いだって誉めてくれたからじゃない。

もう最低!!





よいしょっと・・・ふ〜、やっぱりお湯につかるのは気持ちいいなぁ〜。

疲れが抜けて行くもんね。

ふ〜〜〜・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。

・・・何だったんだろうな、あのハガキ。

はあ〜、どうしても気になっちゃう。

後でシンジに聞いてみようかな、何が書いてあったのって。

・・・やっぱやめ。

そんなのアタシがシンジのこと気にしているって思われたら癪じゃない。

そうよ、シンジの事なんかどうでも良いんだ。

アタシには全く無関係。

別にシンジと付き合っているって訳じゃ無いし・・・

第一あのバカ、告白だってまだしてくれて無いし・・・。

・・・・・・・・・・・・。

はあ〜、無理してるなアタシ。





お風呂であんな事考えるもんじゃないわね。

アタシはすっかりのぼせてフラフラしながらお風呂から上がったわ。

冷蔵庫から牛乳を取り出してっと。

ラッパ飲みでいいよね?いつもの事だし。

牛乳を飲みながらリビングに行ったら、珍しくシンジがテレビに見入っていた。

何だろ?

なになに、第三新東京市の名所特集?

カップルお勧めの公園ですって?

へ〜、こんなのシンジも見るんだ。

ちょっと以外かな?

「何見てるのよ」

「え、アスカ、お風呂から上がったんだ」

「とっくにね。で、何見てるのよ?」

「ほら、第三新東京市の名所特集だって。・・・アスカ、中央公園の天使の像って知ってる?」

「ぜーんぜん。何それ?」

「その像の前で告白したら必ず想いが叶って、一生幸せなカップルになれるってジンクスがある像なんだってさ」

「へーー。そんな像があったんだ・・・・アタシもそんな所で告白されてみたいなぁ」

「アスカでもそうなの?」

「あったり前じゃない」

「ふーん」

「・・・・・・」

「何?」

「・・・・・アンタ、分かってる?」

「何が?」

「はあ〜・・・・・その像、アンタ見たいなお子様には当分関係ないわよ」

「ははは、そうかもね」

・・・・・・・・・・・・。

ちぇっ、ちょっと期待したのにな。

やっぱりまだこいつはお子様なのかなぁ。

もう、はやく成長しなさいよバカシンジ。





う〜眠い。

昨日の夜は遅くまで眠れなかったからな〜。

もう、シンジが変なハガキ受け取るからよ!

痛っ!

いけない、ボーっとしながらブラッシングしてたら枝毛が引っかかっちゃった。

しゃんとしなくちゃね。

「アスカ〜、朝御飯できてるよ。はやく食べないと遅刻だよ」

シンジがダイニングでアタシを呼んでいる。

ブラッシング、途中までなんだけど・・・ま、いいか。





「ごちそうさま」

うん、やっぱり朝御飯食べると目も冴えてくるわね。

一日の始まりは美味しい朝食にありね。

さて、今日も学校へ行きますか!

「シンジ、出るわよ」

キッチンで何やらやっているシンジをさそった時、ミサトがアタシに声を掛けてきたわ。

「あら、アスカ。シンちゃんは今日学校お休みよ」

「え〜、なにミサト。そんなの聞いてないわよ」

「そりゃそうね、今、言ったんだもん」

「ぐっ・・・・理由を言ってよ」

「シンちゃんは今日ネルフでテストなの。まあ夕方までには絶対終わるから、安心してアスカ」

「な、なんでアタシが安心するのよ!」

「あら、今日一日、学校でシンちゃんの顔見れないのよ?アスカが寂しがるんじゃないかな〜と思ってね」

「バ、バカ言ってるんじゃないわよ!!」

くっそー、ミサトの奴けらけら笑ってんじゃないわよ!!

もう、シンジもそうならそうと言っておきなさいよ。

一言文句言ってやらなきゃ気が済まないわ!

「バカシンジ!!アンタそんな大事なことなんでアタシに黙っていたのよ」

「僕だってさっき聞いたんだよ」

シンジが苦笑しながらキッチンから戻ってきた。

その手には、アタシのお弁当。

「はい、アスカ。今日は僕が持っていけないから渡しておくね」

・・・そっか、シンジ、アタシのためだけにお弁当造ってくれたんだ・・・

やっぱりシンジは優しいな。

ハガキの事、まだちょっと気になるけど、きっと大した事じゃないよね?

もしラブレターならシンジ、アタシに言ってくれるよね?

うん、信じてる。

・・・怒鳴ってゴメンね、シンジ。





「今日が提出期限の英語のプリント、僕の分アスカの鞄に入れて置いたから出しておいてくれるかな?」

玄関を出ようとしたアタシにシンジが声を掛けてきた。

「アンタまだ提出してなかったの?」

「ま、まあ・・その・・ね」

ふ〜ん、几帳面なシンジにしちゃ珍しいわね。

「ん、いいわよそれくらい。アタシに感謝しなさいよシンジ」

「はははは、分かってますって」

「じゃあ行って来るわ」

「気をつけてね・・・・・あの・・アスカ・・」

あれ、まだ何かあるのかしら?

「何?」

「・・いや、何でもないよ。いってらっしゃい」

「?」

シンジの奴、ちょっとにやけた顔しながら人差し指で頬をぽりぽり掻いている。

なんだろ?

変なの。





あ〜あ、通学路が長く感じるな。

学校に行くって、こんなに味気ない物だっけ?

だいたいアタシは既に大学出てるんだもんね。

高校なんて通う必要無いんだから。

それでも学校に通っているのは、学校生活を楽しみたいからなんだけどさ。



はあ、ようやく学校か。

なんか今日はかったるいな。

気合いが入らないもんね。

ブラッシング、今朝は手を抜いたからかなぁ?

それとも・・・やっぱりシンジがいないせい・・なのかなぁ。

ふ〜〜〜〜。

あれ、下駄箱の所にいるのはヒカリじゃない。

「おっはよー、ヒカリ」

「おはよう、アスカ。あれ、碇君は一緒じゃないの?」

「シンジはネルフでテスト。今日は休みだってさ」

「ふ〜ん・・・寂しいわねアスカ?」

「もう、ミサトと同じ事言わないでよ!」

「あはは、ごめんね〜。アスカ」

む〜、近頃ずっとシンジの事でミサトやヒカリのツマミにされているなあ。

くそ〜、見てなさいよ。

いつかべったべったな所を見せつけてやるんだからね!

その時になって勘弁してって言っても遅いんだから!!





「相変わらず凄い数のラブレターね」

「ほんと毎朝かんべんしてほしいわ」

アタシの下駄箱には今日も大量のラブレターが届いていた。

そりゃ有り難いとは思うけど、こう大量じゃ処置に困るじゃない。

それにしても、こいつらアタシの何処を気にいっているんだろ?

自分で言うのもなんだけど、普段のアタシを見たら百年の恋も一気に覚めるんじゃないかしら?

素直じゃないし、性格だって可愛らしいとは思えないもんね。

外見かしら?

それならテレビでも見てろっちゅーの。

ま、勝手にアイドル化してるんだからどうでもいいけどね。





アタシはとりあえずラブレターを鞄に入れて歩き始めた。

その場で捨ててもいいんだけど、誰かに拾われて悪用されても可哀相じゃない?

だからアタシは未開封のまま、全部自分で焼却炉に放り込む事にしている。

ヒカリは読むくらいしてあげたら、なんて言ってるけど変に期待持たせるより親切なんじゃないかな?

毎日こんな事を続けているもんで、今じゃすっかり用務員のおじさんと顔なじみよ。

いつも大変だね〜、なんて同情されてるわ、まったく。

鞄の中のラブレターを焼却炉に捨てた後、アタシ達は教室に向かった。

教室に入ったアタシとヒカリはそれぞれの席に着いたわ。

はあ〜〜。

やっぱりかったるい。

まだ一時間目も始まってないのに・・・こんなんで今日一日持つのかしら?

長い一日になりそう・・・。





「起立。礼。着席」

「それじゃあ、教科書の32ページを開いて・・・・」

・・・つまんない授業。

そんな年号なんて憶えてどうするのかしら?

歴史を学ぶ意義って、より良い未来を構築する材料を過去から得る事にあると思うけど・・・・。

・・・そうだ、どうせならシンジのプリントでも添削してやろうっと。

へっへっへ、アイツ、英語苦手だもんね。

赤点にならない程度に直しておいてあげるからね。

ふふふ、感謝しなさいよ〜シンジ。

あ、なんかウキウキしてきたな。

アタシも現金よね。

え〜っと、シンジのプリントは・・・あれ、何この封筒?

さっきのラブレターの捨て損なった奴ね、きっと。

迷い込んでいたのかな?

めんどうだけど、後でまた捨てに行かなくっちゃ。

・・・・・・それにしてもこの封筒、結構良い趣味してるじゃない?

アタシのツボを押さえているわね。

でもドジな奴ね。

宛名が書いて無いじゃない。

まあアタシの鞄に入っていたんだからアタシ宛なんだろうけど。

そう思って何の気なしに送り主の名前を見たアタシは死ぬ程ビックリした!

なんと送り主の名前には



碇シンジ



と書かれていたのよ!







「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」

「ど、どうした惣流」

歴史教師のビックリした声。

アタシは驚きのあまり授業中にも関わらず立ち上がって大声をあげてしまったのよ。

うっ、先生とクラスのみんなの視線が集中してるわ。

「え、あ、な、なんでもありません。すいませんでした」

アタシは慌てて席に座り直した。

うう、頬が熱い。

きっと赤くなっているんだろうけど、そんな事にかまっちゃいられないわ。

今はこの手紙が最優先事項よ。

ドキ ドキ ドキ ドキ ドキ ドキ。

落ち着け!落ち着くのよアスカ。

アタシはもう一度送り主の名前を確認したわ。



碇シンジ。



確かにそう書いてある。

や、やっぱりシンジからの手紙だわ。

な、なんだろう?

ひょ、ひょっとして・・・・ラブレター?

そう思った途端、今度こそアタシの全身がカーッと熱くなった。

もう何処もかしこも真っ赤になっているに違いない。

ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ。

うう、心臓が踊りだしそうで苦しい。

もう、お願いだから落ち着いてよ、アタシの心臓。

と、とにかく今は中身を確認するのよ、アスカ。

ごく。

緊張のあまり唾を飲み込んだアタシが手紙を開封しようとしたその時・・・



キンコーン、カンコーン



え?授業終了のチャイム?

もうそんなに時間が経っちゃったの?

しまった、これじゃあシンジからの手紙が読めないじゃない!

誰よ、長い一日になりそうなんて言ったのは。





休み時間。

「アスカ、どうしたの?大丈夫?」

顔どころか全身を真っ赤に染めてせっぱ詰まった様子のアタシを見て、ヒカリがアタシの所にやってきた。

うう、ヒカリぃ。その友情には感謝するけど今はちょっと恨めしいわ。

「な、な、なんでも無いわ。うん大丈夫大丈夫、ほほほほほ」

「・・どうしたの?アスカ。なんかうろたえていない?」

「え、え、え?べ、別にそんなこと無いわよ」

「そう?・・・あら、その手紙、さっきのラブレター?」

「ら、ら、らぶれたあ〜?どどどどうしてアタシがそんなもんもらわなきゃならないのよ!!」

「? 何言ってるのアスカ?毎日もらってるじゃん」

「え、あ、そ、そうだったっけ?あはははは」

「・・・ほんとに大丈夫?アスカ?」

「大丈夫大丈夫、ほほほ。あ〜、アタシちょっとお手洗い行って来るね。じゃね、ヒカリ」

「ちょっと、アスカ〜〜?」



きょとんとするヒカリを残して、アタシは教室から飛び出したわ。

う〜、ヒカリったらどうしてあんなに目聡いのよ。

もう、思いっきりうろたえちゃったじゃない。

でもどこで読もう?

トイレ?

バカ言ってんじゃ無いわよ。

大事なシンジからの手紙をそんな所で読めるわけ無いじゃない!

どこか人気の無い所は・・・・。





アタシは学校の屋上に来ていた。

次の授業が始まっているけど無視無視。

今はそれどころじゃ無いわ。

シンジからの手紙を読む事が何より大事よ。

うう、またドキドキしてきた。

大きく深呼吸をして気持ちを落ち着けなくっちゃ。

・・・いくわよアスカ!



封筒の中には一枚の便せんが入っていた。

そしてその便せんには・・・





大事な話があります。

今日午後6時、中央公園の天使の像の前で待っています。

碇 シンジ





こ、これって・・・天使の像って・・・昨日のテレビの事よね・・

と言うことは・・・大事な話って・・・こ・く・は・く?

じゃあ、やっぱりこの手紙は・・・



!!!!!

やったぁー!やったぁー!

シンジからのラブレターだぁ!ラブレターもらっちゃったよぅ!

嬉しい!嬉しい!嬉しい!

あ〜ん、嬉しいよぅ!

・・・読み間違えじゃないわよね?

うん、うん、ちゃんと天使の像って書いてあるわ。

やっぱりラブレターだぁ!

シンジからのラブレターだよぅ!

あ、なんか涙でてきちゃいそう。

えへへ、変なの。

この文、すっごくシンプルだけど、なんかシンジらしい。

あ〜〜ん、シンジぃ、嬉しいよぅ!





「こら、惣流!何やってたんだ!!」

教室へ戻ったアタシに先生の注意が飛んできたわ。

でもぜ〜んぜん平気。

気分は最高ってなもんよ。

「えへへ〜〜、どうもすいません。うふ、うふふふふ」

「そ、惣流?どうした、頭でも打ったのか?」

「いやだ〜、先生。冗談ばっかし。もうお茶目なんだからぁ〜」

とかなんとか言ってアタシは席に着いちゃった。

あ〜、顔が緩みっぱなし。

にやけて来るのを止められないって感じ?

先生は引きつっているみたいだけど、まあどうでもいいわ。

あら、教室がざわついているわね?

何かあったのかしら?

あ〜やめやめ。つまんない事は考えない。

い・ま・は、シンジの事だけ考えよーっと。





えへへ〜〜。ついに告白かぁ。

嬉しいよぅシンジぃ。アタシずっと待ってたんだからね。

もう、ずっとずっとずっ〜〜と前から待ってたんだからぁ。

なんて言って告白してくれるかなあ。

やっぱりシンジらしく、シンプルに決めてくるのかな?

”好きです、僕と付き合って下さい”・・な〜んちゃって。

ふふふ、なんて答えようかなあ・・。

ちょっと意地悪しちゃおうかしら?

”アンタがどうしても、って言うなら付き合ってあげても良いわ”なんて言っちゃったりして。

あ、でももっと情熱的な告白だったらどうしよう。

いきなり抱きしめられて、”アスカ、愛してる!”なんて言われちゃったら。

それでもってその後、キ、キ、キスされそうになっちゃったら!!!

きゃ〜〜〜〜!!イヤンイヤン。

で、でもいいわ。シンジならいつでもオッケーよ。

遠慮しなくていいからね。

うふ、うふふふふ。

キスが済んだら、2人は正真正銘の恋人同士よ。

そうなったら、なんだってやっちゃうんだから。

覚悟しなさいよ〜シンジ!

た〜っぷり甘えちゃうんだからね。

もう絶対、離れないんだからね。

「・・・・・カ?」

歩くときは必ずシンジに手をつないでもらおうっと。

「・・・・スカ?」

シンジ恥ずかしがるかな?でもいいよね、2人は恋人同士なんだし。

「・・・アスカ?」

・・もう、うるさいなあ。アタシは今大事な所なのよ!って・・・あれ?

「アスカ!」

「あれ、ヒカリ?どうしたの?授業は?」

「あのねえ・・そんなもんとっくに終わったわよ!アスカこそどうしたのよ?

一人でニヤニヤ笑って、身悶えちゃって・・・不気味よ?」

えっ、もう終わったの?全然気が付かなかったわ。

ふと周りを見渡すと・・・あちゃ〜、みんな変な目でアタシを見てるわ。

ううっ、しまったわね。



「ほら、次は体育よ。もたもたしないで着替えに行きましょ、アスカ」

「体育?・・体育・・・え〜〜〜〜、た・い・い・く!?」

「!! ・・いきなり大声あげないでよアスカ。体育がどうしたの?」

「どうしたもこうしたも無いわ。体育なんてやったら、汗かいちゃうじゃない」

「それはそうだけど?」

「て言うことは、汗くさくなっちゃうって事じゃない」

「まあ、そうかもね」

「冗談じゃないわ!!ヒカリ、アタシ見学!!」

「えっ?い、いきなりどうしたのよ?」

「あの日よ、あの日!」

「ア、アスカ、そんなおっきな声で言わなくても・・それにアスカ、先週終わったばっかりじゃあ・・・」

「うっ・・ボ、ボーナスよ!今月は特別に2度あるの」

「そんな、いいかげんな・・・・・」





体育館。

ふう、やっと終わった。

バレーの試合が終わったアタシは、コートの横に腰掛けて一息ついていた。

「はい、アスカ。ごくろうさま」

「サンキュー、ヒカリ」

先に試合を終わらせていたヒカリがアタシにタオルを取ってくれた。

顔の汗、拭かなきゃね。

・・・・・・・・・・・・・・・・。

はあ〜〜。結局さぼれなかったなあ。

ちっきしょ〜、あのバカ教師!

おかげで汗かいちゃったじゃない。

・・・汗くさくないかなぁ?

もう、せっかくシンジが告白してくれるって言うのに・・・・。

シンジ、汗くさいの嫌だよね?

あ〜ん、シンジぃ・・ごめんね。

せめて昨日の夜、いつものシャンプー使ってたらなぁ・・・

そうしたら少しはシンジの好きな匂いが残っていたかもしれないのに・・・

一回家に帰ってシャワー浴びようかな?

でも6時って書いてあったし、学校が終わってからじゃそんな時間ないもんね。

困ったなぁ・・・。

・・・・・・・・・・・・・・。

あ、ようやく終わったようね。

こんな汗くさい運動着、さっさと着替えようっと。

「ヒカリ、着替えに行こう?」

「オッケー。じゃ更衣室に行きますか」

「・・・ねえ、ヒカリ・・・アタシ、汗くさくないかな?」

「え?別にくさくなんかないわよ。どうしたの急に?」

「な、なんでもない、なんでもない」

「変なアスカ」





あ〜、やっぱり体育なんて無理してでも休めばよかったなあ・・・。

もう、下着まで濡れちゃっているじゃないの。

まあ、換えの下着は持って来てるんだけどさ。

え?そんなの乙女の常識よ。

でもさ・・・・。

その・・・・・。

どうせなら・・・・もっと良い奴、持ってくればよかったなぁ・・・。

この間とっておきの奴、買っておいたのになぁ・・・。

もうバリバリのセクシーな奴だったんだけどな・・・。

やっぱりシンジからの告白を受けるんだもの。

下着だっておしゃれしておきたいじゃない?

もう、シンジぃ・・・こんな重要な事、せめて前の日に言っておいてよ。

こっちだって準備ってものがあるんだからね。





「ねえ、アスカ。リップ貸してくれない?」

「いいよ、ヒカリ。ほい」

アタシとヒカリは、更衣室の鏡の前で身だしなみのチェックをしていた。

体育を終わったそのままの姿で教室に帰る訳にはいかないでしょ?

男子とは違うんだから。

 



今日のアタシ綺麗かな?

シンジに会って恥ずかしくないアタシかな?

シンジは外見で判断する人じゃないって分かっているけど・・・

やっぱりシンジの前では、少しでも綺麗でいたいもんね。

アタシは鏡に写った自分をしげしげと眺めてみたわ。

・・・む〜、いつものアタシは、もうちょっと良い顔していた気がするなぁ。

錯覚かなあ?

そっか・・・そういえば、今朝のブラッシング、途中だったんだっけ。

もっと、ちゃんとやっとけばよかったなぁ・・・。

ああ!目もちょっと赤くない?

昨日は遅くまで眠れなかったもんね。

こんな事ならもっと早く寝ておくんだったなぁ・・・。

お肌もなんか荒れてるような気がしてきた・・・。

もう、一つ気になったら全部気になっちゃうじゃない!

シンジぃ、この乙女心を察してよね。





制服に着替え終わって、更衣室をでようって時にヒカリが声をかけてきたわ。

「あれ?アスカ。ブラウスにシミ」

「え〜〜〜!!どこどこ??」

「ほら、ここ。ちっちゃいけど」

ヒカリはブラウスの襟元を指さしたわ。

ホントだ、ちっちゃいけど確かにしみが付いている。

・・・・・もう、最低。

最低よ・・・・。

汗くさくなっちゃったし・・・。

シャンプー使えなかったし・・・。

ブラッシングだって中途半端だし・・・。

寝不足だし・・・。

肌も荒れてるし・・・。

下着だってとっておきのじゃないし・・・。

ブラウスにシミついてるし・・・。

・・・・・・・・どうして?

どうして今日に限ってこうなのよ?

せっかく・・・せっかくシンジが・・・・。

・・・シ、シンジがぁ・・・・・。

・・・・・・シンジぃ・・・・ぐすっ・・・・。

・・・アタシ達・・・祝福されていないのかなぁ・・・・・・・

・・・そんなの嫌だよ・・・シンジぃ・・・・ぐすっ・・

・・・シンジぃ・・ぐすっ・・ぐすっ・・・シンジぃ。





「あ、アスカ!!!」

アタシが急に泣き出してしまったもんだから、ヒカリが驚いているわ。

ヒカリ、ビックリさせてゴメン。

でも・・・でも・・・涙が出てきちゃう。

だって、シンジの前では綺麗でいたかったのに・・・

シンジには、何時もとびっきりのアタシを見せたかったのに・・・・。

それなのに、よりにもよってこんな大事な時に・・・・・。

・・・やっぱり、祝福されてないんだ・・・。

アタシなんかシンジに釣り合う訳がないんだ・・・。

だってアタシは我が儘で、意地っ張りで、いっつもシンジに迷惑ばっかり掛けている・・・・。

プライドばっかり高くて、シンジに有り難うの一言も満足に言えない女だもん・・・。

そうよ・・・シンジには勿体ない。

神様がアタシに”諦めなさい”って言ってるんだわ・・・。

”シンジがアタシを好きになるはずがない”って言ってるんだ・・・。

・・・そっか、だから宛名が無かったのか、あの手紙・・・。

アタシ宛じゃ無かったんだ・・・。

そう、あのハガキの娘。あの娘宛だったのよ、きっと。

それが間違って、アタシの鞄に入っちゃったんだ・・・・。

あの娘・・・性格だって良かったもの・・・。

シンジには、あんな娘が似合ってる・・・・・。

・・・そうよ・・・アタシよりきっと・・・・。

・・・でも・・・でも・・・

「大好きだよう・・・シンジぃ・・」





べそをかきながらアタシがそう呟いたとき、肩を抱かれた感触があった。

「アスカ・・・」

顔を上げたらヒカリが優しそうな笑顔をアタシに向けてくれていた。

「どうしたの?アスカらしくないわよ」

「ヒカリぃ・・」

「ほら、涙を拭いて・・アスカが泣いてたら、みんなビックリしちゃうわよ?

とりあえずここを出ましょう?そうだな、屋上に行こうか?

そこでお弁当でも食べながら気持ちを落ち着けよう?

そして、ちゃんと話してごらんなさい。ね?」

すごく優しい声で、ヒカリがアタシの事を気遣ってくれた。

アタシはそんなヒカリに感謝しながら、更衣室を出る事にしたの。





「アスカの考え過ぎよ」

屋上に上がってアタシの話を聞いた後、ぐずるアタシに向かってヒカリが断言したわ。

「で、でも・・・」

「碇君とアスカはお似合いだって。その手紙だって、絶対アスカ宛に決まっている」

「・・・・・」

「髪がどうしたって?目が赤いって?汗がなんだって?もう!そんな事なんの障害にもなってないわよ。

大丈夫。みんな祝福してくれるから!!」

「でも・・宛名が・・・」

「宛名がなんだって言うの!碇君がアスカ以外の誰にラブレター送るって言うの?

もっと碇君を信じてあげなきゃ。ね、アスカ?」

「・・・うん・・信じてる。アタシはいつもシンジの事・・信じてる・・けど・・・」

「信じてるけど、何?」

「怖いの」

「怖い?」

「・・・もし本当に、あの手紙がアタシ宛じゃなかったら・・・・・・

アタシどうしたらいいの?アタシどうなっちゃうの?

単にアタシの鞄に紛れ込んだだけだとしたら・・・・

怖い。怖いよ、ヒカリ。こんなんでシンジに会えないよ・・・」

「アスカ・・・」

「ゴメン、ヒカリ。アタシ変なこと言ってるって自覚してる。でも・・でも・・

自分でもどうしようもないの・・もう頭の中、ごちゃごちゃになっちゃって・・・」

「ふう、困った娘ね。わかったわ。わたしが付いていってあげる」

「え?」

「大丈夫よ。どうせハッピーエンドなんだから」

ヒカリがアタシに向かってニッコリと笑い掛けてきた。

グスッ、やっぱり貴女は親友よ。

ありがとう、ヒカリ。





「ヒカリ・・・やっぱり怖いよ・・・」

「何言ってるの、アスカ。絶対大丈夫なんだから」

アタシはヒカリに連れられて中央公園の入り口まで来ていた。

ここからだと天使の像はすぐそこだ。

今は午後5時30分。

アタシの胸は今にも弾けだしてしまいそうにドキドキしている。

緊張で口の中もからからよ。

手のひらにだって汗いっぱい。

もう、こんなに緊張するのは初めてなんだからね。

エヴァに初めて乗った時だってここまでじゃ無かったもの。

やっぱりアタシはシンジの事、大好きなんだなって実感しちゃう。

でもそれだけに・・・怖いよぉ・・シンジぃ。

大丈夫だよね?

間違いじゃないよね?

アタシにくれたんだよね?

シンジぃ・・お願いだから、アタシを待っていて。

別の人を待ってなんかいないで。

シンジぃ・・・





「ここからじゃ木が邪魔して見えないだろうけど、ほら、あそこの角を曲がれば天使の像が見えてくるわ。

さあアスカ、ここからは一人で行きなさい」

「え?ヒ、ヒカリぃ・・・・」

「大丈夫、自信を持って。頑張るのよ、アスカ」

ヒカリはニコッと笑うと、アタシの背中をトンと押したわ。

「・・・うん。ヒカリ、ここまで連れてきてくれて有り難う」

「くす。何、言ってるの。後で結果報告しなさいよ」

そう言ってヒカリはアタシに向けて親指を立てて見せたわ。

うん、ヒカリ、アタシ頑張るからね。

アタシは曲がり角に向かって歩き出したわ。

あそこを曲がれば、天使の像が見えてくる。

その下にはきっとシンジが待っていてくれる。

シンジ・・・・・アタシの大好きなシンジ・・・

アタシ宛だよね?シンジ・・。

シンジぃ・・・。

怖い・・・・怖いよぉ。

だけど・・・怖いけど・・・

シンジを信じてるから・・・・・。

アタシ、シンジを信じてるんだからね。

大丈夫。

大丈夫。

シンジはきっと・・・アタシを待っていてくれる・・・。





角を曲がると、天使の像が目に入って来たわ。

そしてその下には・・・。

いた!

シンジだ!

シンジがいる!!

いつもなら駆け寄って行くところだけど、今日は駄目。

アタシの足、震え出して来ちゃった。

シンジ、誰を待ってるの?

アタシだよね?

他の人じゃないよね?

お願いだから・・・・・シンジぃ





「シンジぃ・・・」

アタシが本当に小さく呟いたとき、シンジがアタシの方を振り向いたの。

「アスカ!」

アタシに気が付いたシンジが、ニコッと微笑んだ。

ああ、シンジ、シンジ。

今、アタシに笑ってくれたんだよね?

アタシを見つけて微笑んでくれたんだよね?

・・・・・良かった。

良かったよ、シンジ。

やっぱりアタシを待っていてくれたんだ!

信じてた、信じてたけど・・・不安で・・怖くって・・・。

・・・もう、アタシにこんな想いをさせたんだから、ちゃんと責任とりなさいよね!

アタシの足はいつの間にかシンジの方に向かって走り出していたの。

「シンジ!!」

「アスカ」

もう大急ぎでシンジの側に行っちゃった。

「あの・・アスカ・・今日は、来てくれてどうも有り難う・・・」

「うん」

「それで、あの、その、もう来てもらった理由は・・・察しがついていると思うけど・・・その・・・」

「・・・言ってくれなくちゃ・・分かんないよ」

「う、うん。そうだね。ゴ、ゴメン」

そう言ってから、シンジは一つ大きく深呼吸をしたわ。

い、いよいよね。

アタシはこれからのシンジの言葉を一っ言も逃さない様に、全神経を耳に集中したわ。

「惣流・アスカ・ラングレーさん。僕は、碇シンジは、貴女の事を愛しています。

よろしかったら僕とお付き合いして下さい」











「くすっ。あの時のシンジ、真っ赤になっちゃってかわいかったんだからぁ」

「まあ必死だったからね、あの時は。アスカが僕の事、好きでいてくれているなんて思いも寄らなかったし」

「ホント?アタシ随分シグナル送っていたと思うけどなぁ」

「どうせ、にぶちんですよ。僕は」

「くすくすくす。」

買い物を終えたシンジとアスカは、家路についていた。

アスカはご機嫌であった。

なぜなら彼女の右手には、今買ったばかりのケーキ箱があり、左手にはシンジの右手があったからである。

買い物袋と2人分の鞄はシンジの左手が担当していた。

「ちぇっ。でも告白した後、アスカが泣き出したのには驚いたっけなぁ」

「ば、ばか!何恥ずかしいこと思い出してんのよ!!」

「だってホントの事じゃない」

「い、色々あったのよ、あの日は。長〜い一日だったんだから」

「その色々って所を詳しく聞きたいな」

「そんな事、言える訳ないじゃない!!」

「くすくす、絵ハガキくれた下級生の娘宛じゃないかって悩んでくれてたんだろ?」

「な、なんで知ってるのよ!!」

「洞木さんがね、こっそり教えてくれたんだ」

「ヒ、ヒカリの奴〜〜〜〜」

「はははっ、アスカがあんまり惚気るもんだから仕返しだって。笑ってたよ?」

「む〜〜〜」

アスカの顔は真っ赤になっていたが、もちろん怒りの為では無い。

そんなアスカを見てシンジは楽しそうに微笑んでいた。

しばらくしてアスカが不意に口を開いた。

「ねえ、シンジ・・・」

「絵ハガキの娘は単なる後輩。内容も事務連絡だよ。僕が好きなのはアスカだけだよ」

何も言わない内にシンジが即答する。

ビックリしたようにアスカは隣を歩くシンジを見つめたが、やがて小さな声で呟いた。

「うん。アタシが好きなのも・・・シンジだけだよ・・」

小さな呟きであったが、その声はシンジの耳にしっかりと届いていた。

シンジは自分の右手に少し力を込める。

その力に答える様に、アスカの左手にもほんのちょっと力が入った。





「さあ、早く帰ろう?ミサトさんが帰って来る前に夕食準備しなきゃね」

「うん。その後で一緒にお祝いしようね、シンジ」

ニッコリと微笑み合う2人。

家路に向かう2人を夕日が染め上げ、その影を落とす。

アスファルトには、仲良く手をつないだ2人の影が長く長く伸びていた。



                                 おしまい

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あとがき

オズと申します。

ここまで読んで下さった皆さん、感想メールを送って下さった皆さん、

本当に有り難うございました。

前回、感想メールを送って下さった方の一人から、シンジとアスカだけの甘〜い

LASが読みたいと言うリクエストを頂きました。

リクエストを頂いて舞い上がった私は早速ネタを考え始めたのですが(笑)・・・



意中の人からラブレターをもらった時って、きっと感情がジェットコースターに

乗ってる見たいに激しく上下するんじゃ無いかしら?

ましてや乙女心は複雑よ!のアスカ嬢なら・・・

そんな想いをネタにして書き始めた、私風の甘〜いLASのつもりです(笑)。

ちょっとリクエストの味付けとは変わってしまいましたが、いかがでしょう?

ご満足頂けたでしょうか?

この作品がみなさんのお口に合えば幸いです。

                        2000.4.1 流氷の海を見ながら


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 全LASにん待望の、オズさんの第2弾!今回はLASにんのツボを熟知した純情LAS、「アスカの長い一日」!オズさんのLASへの熱い思い入れ、そしてなによりキャラへの愛情の感じられた素敵な作品でしたね!(^^)

 そしてそして今回の内容も素晴らしい!アスカ一人称で進行していく甘酸っぱい恋の物語。とても読みやすい文章に加え、所々でなにげなく一人突っ込みするアスカがなんとも良いアクセントになっていました。そして、なんといっても今回の見所は「恋心のリアルさ」にあると思います。突然シンジ宛てに届いた手紙に、あれこれと推測を巡らせてしまう所や、シンジの誉めてくれたシャンプーを使う所、体育後のアスカが自分の体の臭いを気にしてしまう所などなど。読んでいる側としては、思わず「うんうん、分かる分かる」と頷いてしまいますよね(^^)。中でも公園に行く前、アスカが自分の身なりの酷さに「最低よ」と自己嫌悪してしまう所なんか、なんとも微笑ましい光景じゃないですか。そう、普段はなんとも思わないコトなのに、すごく敏感になってしまう、この気持ち。くぅぅぅ!たまりません!それもこれも、全てはシンジへの何よりも大きな想いがあってこそなのですよね!そんなアスカの背中をヒカリがそっと後押ししてあげる場面なんかも、思わずジーンと胸に響くモノがありました。親友とは、まさにこの二人のコトを言うのでしょう♪
 今回、全てが私のツボにハマったこのお話。特にお気に入りだったのが、シンジから手紙をもらって舞い上がる場面と、自分の身なりを必要以上に気にしてしまう場面ですね。前者は先生に注意されても顔が緩んでしまってしょうがないアスカのへっぽこぶりが大笑い!後者はいつも気丈なアスカの見せるへっぽこな慌てぶりが何ともおかしくってゴロゴロ。どちらもギャグものでは味わうコトの出来ない、とても心地良い読感ですよね。
 そしてラストも抜かりなくバッチリと締めくくられていて文句なしっす!「アスファルトには、仲良く手をつないだ2人の影が長く長く伸びていた。」なんてくだりは、二人の想いの丈を見事巧く表現されていて、とっても暖かい気持ちになりました(^^)。このシンクロウ、こういった純情LASという分野には滅法弱い体質ですので、今回のお話は読んだ後、すっかりメロメロになってしまいましたよ(笑)。

 オズさん、この度は本当に素晴らしい作品をご投稿して下さり、本当にありがとうございました!オズさんのマイペースでの次回作を超期待でお待ちしております!(^^)
 さあさあ!ご覧になった皆様も、是非とも是非とも、オズさんに「次回作もお願いします!」と付け加えた感想を送りましょう!たった一言の感想が、このような素晴らしい名作を生み出す大きな力になるのです。皆様、なにとぞ、ご感想をよろしくお願いします!m(_ _)m

 私達に名作を提供して下さった、オズさんへのご感想はこちらか、掲示板へ!
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