掛け違えたボタン
byオズ



1.再生された世界

ドイツ、ベルリン郊外の高級住宅街にアスカの自宅はあった。
辺りはすでに薄暗くなっており、夕食の時間が迫っていた。
「アスカ、シャワー終わった?早くテーブルに付きなさい。パパはもう、お腹ペコペコだそうよ」
キッチンから母、惣流・キョウコの声が聞こえた。
「はーい、今上がりましたよーっだ」
ちょうどシャワーを浴び終わったアスカが浴室から出てきた。
(そんなに長い間シャワーかぶってるわけじゃないんだから、一寸くらい待ってくれたってバチあたらないじゃない)
両親にぶつぶつ文句をたれながら、体を拭いてショーツに足を通す。
その上にバスタオルを一枚巻いただけの姿で、アスカはキッチンに現れた。
夕食のテーブルに付いていた、父、サミュエル・ラングレーは我が子のあられもない姿を見て天を仰いだ
「こら、アスカ。なんだそのはしたない格好は」
「んー、堅いこと言いっこ無しよ、パパ」
「何をいっておるんだ。お前ももう16才なんだから、少しは慎みって言う物をだなあ・・」
「はいはい、分かってます、分かってます。そんなことよりママ、何か冷たい飲み物ないのー?」
「冷蔵庫に牛乳が入っているでしょ?ちゃんとコップで飲みなさいよ」
「んー、堅いこと言いっこ無しよ、ママ」
アスカは冷蔵庫から牛乳のパックを取り出して、グイッとラッパ飲みを始めた。
「まったく、誰に似たんだか・・・」
「ホント、誰に似たんでしょうねー」
ため息を付く両親であった。

パジャマに着替えたアスカは改めてキッチンにおもむき、両親と夕食をとりはじめた。
テーブルにはキョウコが用意したレトルト食品が並べられていた。
「えー、レトルトなの??」
「ごめんね。今朝からパパもママも実験が立て込んで忙しいのよ。」
「むーっ。しっかたないわねー。じゃ明日からアタシが夕食造っといてあげるわ。」
「ホント?助かるわ-。アスカの造った料理おいしいもんね。
よかったわねパパ」
「バイト料はしっかりもらうからね!!」
「やれやれ、こりゃ早めに実験を終わらせんとな・・・」

アスカの両親は共働きであり、2人とも特務機関ネルフの研究者としてかなりの業績を上げているエリートであった。
夫婦別姓を名乗る事にしていた2人は、1人娘に2つの名字と1つの名前を与えた。
「惣流・アスカ・ラングレー」
多忙な2人であったが、愛娘アスカのために夕食だけは必ず一緒にとる様にしていた。
そんな両親が、アスカは大好きだった。

アスカが食事を終えてリビングでくつろいでいると、父が話題を振ってきた。
「最近、学校の方はどうなんだ?」
「んー、まあこんなもんかってトコね。知的好奇心は満足させてくれないけど、友達との学校生活は楽しいわ」
アスカはパジャマの中に手をつっこみ、ボリボリとお腹を掻きながら答えた。
ついでにソファーの上で胡座座りを始める。
色気が無い事この上ない。
アスカはすでに大学卒業の資格を持っている。
しかし両親はアスカに年齢相応の学生生活を送って欲しいと願い、ハイスクールに通わせているのであった。
「こら、またそんな格好を。そんな事じゃ、ボーイフレンドの一人もできないぞ!!」
「べーっだ。大きな、お・世・話」
「アスカは私に似て元が美人なんだから、一寸おしゃれしたら、世の男どもが放って置かないのにね」
「はーっ、自分で言う?普通?」

実際、アスカは全くと言って良いほどファッションに興味を示さなかった。
いつも洗い晒しのTシャツにジーンズ。
化粧っ気もないし、長い栗色の髪も十分手入れが行き届いているとは言えなかった。
そんなアスカも、年に数回、自分から装う時がある。
そしてキョウコの言う通り、ほんの一寸装っただけでアスカは他の誰よりも美しくなり、周囲の人々を驚かせるのであった。
アスカのおしゃれは、ほとんどは両親とのイベントのためにする物だが、6月6日だけはその例外であった。
胸が苦しくて、切なくてどうしようもなくなる日。
それでいて、その日だけは最高の自分でいたい、と感じさせる日。
なぜその日だけが特別なのか、アスカ自身にも良く分かっていなかった。

「学校とネルフで、アタシは忙しいの。バカな男共とつきあっている暇はないのよ」
「うん、そう言えば支部長がアスカを誉めていたぞ。アスカはヨーロッパ支部で最も優秀かつ勇敢なパイロットだってな」
「とーぜん!何たってパパとママが造ったエヴァに、天才パイロットのアタシが乗ってるんだもの。使徒の十体や二十体、なんて事ないわ」
「ややっ、それは頼もしいな。」
「パパ、アスカを焚き付けないでね。ママはどっちかって言うとアスカに女らしくなって欲しいんだから。」
「へへーんだ。体は十分、お・ん・な、らしいですよーだ」
「「アスカ!!!」」

人類は天使と名乗る異次元の生命体と交戦状態にあった。
天使達は実体を持たないエネルギー体で、その戦闘力は強大な物であった。
最初は人類に勝ち目が無いかに思われた戦いであったが、彼らが地上には一定時間以上実体化していられない事、実体化するには使徒とよばれる生物とも機械とも判別つかない何物かに、祭壇とよばれる特殊なフィールドを作り出させる必要があると言う事が分かってから戦況は変わった。
人類は天使との直接戦闘を避け、もっぱら使徒及びその祭壇であるフィールドの破壊に全力を費やした。そして反撃の時を待ったのである。
その努力は報われた。対使徒殲滅用に組織された特務機関ネルフによって、ついに使徒のみならず天使にすら対抗可能な兵器、エヴァンゲリオンが開発されたのである。
エヴァの登場により、使徒による祭壇の作成がほぼ完全に阻止され、天使の姿は地上から姿を消した。
アスカは、ネルフ・ヨーロッパ支部におけるエヴァのエースパイロットであった。

夕食後の団欒を過ごした後、両親は再びネルフの研究室に戻っていった。
アスカは洗い物を済ませた後、寝室のベッドに横になる。
その胸には、お気に入りのサルのぬいぐるみをギュッと抱きしめていた。
(・・・・アタシ、今、幸せなんだよね?・・・・・)
一人になった時、フッとわき上がる疑問。
優しい両親、恵まれた家庭、楽しい学園生活、エースパイロットとしての誇り。
自分は十分に満たされているはずであった。
(でも・・・どうしてこんなに不安なの?どうしてこんなに胸が痛むの?)
いつも繰り返す自問自答。
(分からない・・・分からないよ・・・・)
答えを知りたい。でも知るのが怖い。
(でも・・ホントに分からないのかな、アタシ・・・・・・)
たまらない不安がのしかかってきた。
改めて、ぬいぐるみを抱きしめたとき、携帯電話のエマージェンシーコールが鳴った。
「ラングレーくんか?スクランブルだ。使徒が現れた!!」

アスカは自分の愛機に搭乗してヘラトー海岸を一望できる小高い丘で待機していた。
その左右には、一定間隔を置いてそれぞれ2体の白いエヴァが配置されている。
使徒迎撃のために、合計5機のエヴァンゲリオンによる防衛線が形成されてた。
カラーリングが許されているのは、アスカが乗る深紅のエヴァのみ。
エースパイロットの証明であった。
モニターには、洋上に浮かぶ使徒の姿が映し出されていた。
直径約100mの巨大な銀色の毛玉。
その長い毛が時折、潮風になびく姿は、アスカの生理的嫌悪感を刺激する。
「各機、陽電子ライフルのセーフティー解除。狙撃体制に入って。ただしアタシの命令があるまで発砲しない事」
リーダーであるアスカから各機に命令が下る。
4体の白いエヴァが、それぞれ腹這いになって陽電子ライフルを目標に合わせた。
アスカ自身もモニターに注意しながら狙撃体制に入った。
(使徒がATフィールドを張る前に叩く。その為には祭壇造りに集中し始めた時がチャンス。それまでは我慢よアスカ!)
アスカは自分に言い聞かせた。

-祭壇-
それは使徒が、その周囲に作り出した5本の光の柱の中心につくられる暗黒の空間。
天使とよばれる、使徒の上位存在を降臨させるためのフィールド。
この世に開いた異次元への通路と言っても良いかもしれない。
祭壇を造る場所からは、Schizo(シゾ)とよばれる特殊な電磁波が放出されていた。
このため人類は、あらかじめ祭壇が造られる場所を正確に把握できるのであった。

海岸線から、およそ500mの洋上で使徒はその進行を止めた。
(Schizo汚染値は83hpfか。あそこに祭壇を造るつもりね。)
アスカは改めて、使徒に狙いを定めるためモニターを凝視した。
その時、使徒の表面を覆っていた銀色の長い毛が、ちょうど中央から半分に別れた。
「!!!!!」
そこから現れたのは、とてつもなく大きな人の顔。
銀色の髪の毛、閉じられた目、まっすぐな鼻筋、真っ赤な唇、真っ白な肌。
巨大な女の生首が洋上に浮いていた。
「うわー!!!!」
アスカの通信機から悲鳴が聞こえたと同時に、最も右翼に位置していたエヴァ5号機が陽電子ライフルを発砲した。
陽電子ビームがその額に突き刺さる直前で、使徒の周りにATフィールドが展開された。
(あのバカ!早すぎるわ!!)
そう思うや否や、アスカは全機に指示を出していた。
「各機、なるべくお互いに距離をとって散開。使徒からの攻撃に備えて!!」
その指令を受けて、散り散りに走り出す白いエヴァ達。
5号機のみが、使徒に向けて陽電子ライフルの引き金を引き続けていた。
しかしその砲口からは、充電不足のため陽電子ビームは発射されない。
この武器の破壊力は申し分なかったが、一度発射すると再充電に2分必要であった。
そんな中ゆっくりと使徒の瞳が開かれ、その赤い瞳が5号機を捉えた。
「あひやあああああああああああああああああ・・・・・・・」
5号機からの絶叫。
アスカの元に司令部より緊急通信が入る。
「5号機パイロットの精神汚染始まっています!!シンクロ率、急速低下。至急対応願います」
ちいっ!!
軽い舌打ちの後、アスカは直ぐに行動に移っていた。
電子加速コイル設定を最低値にし、陽電子集光レンズのフォーカスを目一杯に広げる。
立ち上がりざまに、使徒に向けて陽電子ライフルを発射。
陽電子ビームの初速と収束率が最低なため、破壊力は皆無だがその分、まばゆく幅広いビームが長時間発射される。
その間、約5秒。
予想どおりATフィールドを展開してビームをはじく使徒。
アスカはライフル発射するや否や、使徒に向かって全力で走り出した。
「2号機、加速最低、フォーカス最大で使徒を撃って!5秒後に3号機も同様に発砲!めくらましを掛けるわ!!その間にアタシが使徒に取り付くから、4号機はフィールドが消えた瞬間を狙って、使徒をぶち抜いて!!」

アスカが放った初弾の光が薄らぐ頃、2号機から陽電子ビームの帯が発射された。
再び、まばゆい光に包まれる使徒。
その間にもアスカは使徒に向かって全力で接近する。
その手にはプログナイフが握られていた。
続いて3号機からのビーム。
(あと1000m。もらった!!)
足にグッと力を入れてジャンプ。
アスカの乗る深紅のエヴァが高々と宙に舞った。
その足下には、いまだ3号機からのビームの残光をほのかに纏った使徒の姿があった。
アスカのもつプログナイフが、使徒のATフィールドに突き刺さったその瞬間。
使徒の赤い瞳が、深紅のエヴァを捉えた。
アスカの意識が沸騰した・・・・・。

アタシは、暗い空と赤い海と白い砂浜しか無い世界にいた。
そこに居るのたった3人だけ。
少年と2人の少女。
アタシが大好きな少年と、青い髪と赤い瞳の少女。
そしてアタシの大嫌いな少女。栗色の長い髪の少女。
アタシがいつも見る光景だ。
そしていつもの通りアタシの大嫌いな髪の長い少女が、少年を口汚くののしり始めた。
少年はただ黙って少女の弾劾に耳を傾けている。
泣きそうな表情を浮かべ、その手をきつく握りしめながら。
アタシは大声で少年をかばうのだが、その声はどこにも届かない。

「アンタのせいよ、アンタが世界をこんな風にしてしまったのよ」
それは違う!彼は一生懸命戦ったわ
「自分の都合ばかりで事を運んで、他人の事なんて考えもしない!」
それも違う!彼は、アイツはいつだって貴女の事を考えてくれていた
「今更アタシの望む世界を造るですって?偽善者ぶるのもいい加減にしてよ」
アイツの気持ちが分からないの?
アイツは自分の力不足を本当に後悔してるのよ!
だからせめてアタシの願いだけでも叶えたいと思ってくれているのに・・・

いつのまにか、アタシはアタシの大嫌いな少女と一体化していた。
だけれども、アタシの口は容赦なく少年を傷つける言葉を吐き出し続けていた。
耳を塞ぎたくなるような言葉の数々。
何とか止めようとするけれど、どうすることもできない。
アタシの目の前で、少年はうつむきながらアタシの言葉にジッと耐えていた。
その姿を見ていると、申し訳なさで涙が出そうになる。

「卑怯者!卑劣漢!!人殺し!!!」
違う!!!違う!違う!違う!
いつまでアイツに甘えているのよ!
やり切れない思いをアイツに八つ当たりして何になるっていうのよ!!!
「おまけにこんな女の力を借りるなんて・・・最低のクズよ!!」
嘘よ!!そんな事、思っていない。
アタシは、ただあの子に嫉妬しているだけ。
アイツの望みを叶えてやれるあの子に・・アタシと同じ想いを持っているあの子に。
こんなのアタシの本当の気持ちじゃない。
「気持ち悪い!アンタ見てると反吐がでそうになる!二度と顔も見たくないわ!!」
・・・ゴメン、ゴメンね。
苦しかったよね、辛かったよね。
せっかく頑張ってくれたのに・・・心が痛かったよね。
こんな事しか言えなかったアタシを許して・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・。
「・・・・アタシが望む世界を造るって言ったわよね」
!!・・ダメ!それ以上言ったら駄目!!!
「アタシの望む世界はね・・・・・」
駄目、駄目、駄目!!お願いそれ以上言わないで!!!
「アンタがいない世界よ!二度とアンタに合わなくても良い世界!アンタの記憶からアタシを消し去った世界よ!!」
違う!!そんな事アタシは望んでいない。
そんな世界望んでいない!
そんな世界は嫌!!
そんな世界なんて欲しくない!!!

「・・・わかったよ・・・よく、わかった」
アタシの耳に、少年の力無いつぶやきが聞こえた。
少年のうつむいた顔が上げられ、赤い瞳の少女を見つめた。
「綾波・・・聞いた通りだよ・・・僕のいない世界を・・造ってよ」
その言葉を聞いた時、アタシの心が悲鳴を上げた。

嫌だ、嫌だ、いやだ、いやだ、やだ、やだ、ヤダ、ヤダ・・・・
離ればなれはいやだよお。
離れたくないよお!
ずっと一緒にいてよお!
一人にしないでよお!

「・・・本当にそれでいいの?・・・」
赤い瞳の少女が少年に尋ねた。
「ああ、それで・・・・いいんだ」
絞り出すような少年の声。
赤い瞳がアタシにもに向けられる。
「貴女も、本当にそれでいいのね?」
「いいに決まっているでしょ!さあ、さっさと造りなさいよ!!」
いやあ!!!!!
絶対にいやあ!!
バカ!!何意地張ってんのよ!!
このままじゃ取り返しの付かない事になっちゃうのよ!!
アイツと・・・アイツと会えなくなっちゃうのよ!!!

少年がアタシを見つめている。
その目に一杯涙を溜めて、それでも懸命に笑顔を造って。
「・・・今度こそ、幸せになってね・・僕のいない世界で・・・大好きだったよ・・・・アスカ・・」
その瞬間、世界は真っ白な光に包まれた。

シンジ、シンジいー!!
ヤダよ、離ればなれなんて嫌だよ!
何処にいるの?まぶしくてシンジの姿が見えないよ!
アタシ一人じゃ頑張れないよ。アタシを一人にしないでよ!!
約束してくれたじゃない。ずっと一緒にいるって約束してくれたじゃない!!
お願い、アタシを抱きしめてよ!
シンジ!シンジ!!シンジいーーーーー!!!!

使徒のATフィールドを切り裂きながら、深紅のエヴァが海上に落下した。
4号機から発射された陽電子ビームが、ATフィールドの隙間をぬって使徒の眉間に直撃。
打ち抜かれた眉間からひび割れが始まり、それが顔面全体に広がると、使徒はガラガラと崩れ落ちていった。

アスカはエントリープラグの中で呆然としていた。
先ほどからアスカの安否を問いかける声が、通信機から聞こえていた。
しかし、その一切がアスカの耳には届かない。
アスカの心には、先ほどの光景が浮かんでいた。
・・・・全て・・・思い出した・・・あれは、アタシだったんだ・・・・
思わずその手を握り絞める。
・・・・そして、ここはアタシが最後に望んだ世界・・・・・
アスカの脳裏に、少年の悲しげな笑顔が浮かんだ。
目頭が熱くなった。
胸の奥が痛くなり、ギュッと奥歯を噛み締める。
・・・シンジ・・・
ぼろぼろと涙が溢れてきた。
「ごめん、ごめんね、シンジ・・・シンジ・・シンジい・・・」
アスカはいつの間にか大声で泣いていた。



つづく

*******************************************

オズです。
かなりオリジナルな設定を出しちゃいました。う〜ん、皆さんのイメージのエヴァの世界とそれ程離れていなければいいんですが・・・・。
こんなの嫌だ〜って見捨てないで下さいね(ペコペコ)
ではよろしければ次回もお付き合いください。

                        2000.5.14 さすがに次は1月後(笑)


オズさんの待望の新連載!「掛け違えたボタン」、第0話、第1話でした!!!
ををを、今回の作品はシリアスな展開を盛り込まれるようですね。サードインパクト後の世界を、オズさんなりのタッチで書かれるこの物語。いやぁー、皆さんもう目が離せませんよ!

第0話:「プロローグ」。
どうやらアスカはサードインパクト後には、以前の記憶が失われているようですね。
そして第0話で語られる、アスカの一番の嫌悪の対象は、自分だということ。
確かに、人形のようなレイを嫌っていたアスカだったけど、やはり原作でも語られるように、一番嫌いなのは自分自身だったのですね・・・。そんな表面上の自分と、内なる自分が反発しあった間の歪みから、アスカはインパクト後に精神が分裂してしまったのかもしれません。

第1話:「再生された世界」。
プロローグから一転、冒頭からはアスカの生活の一面を描いた、ほんわかとした雰囲気が伝わってきますね。
インパクト後には、キョウコや父親までもが還って来てくれたようで、なんとも平穏で温かい描写です(^^)。
でも、プロローグのようにシリアスな場面から、この幸せいっぱいの場面へと移り変わる所に出来る「ギャップ」が、読者を素直に安堵させない、ほどよい緊張感を与えてくれて、とても巧いと思いました。

>アスカのおしゃれは、ほとんどは両親とのイベントのためにする物だが、6月6日だけはその例外であった。
やはり、忘却の彼方には、シンジの存在がちゃんと残っているのでしょうね。
はっきりとではないけれど、直感的にそれを覚えているアスカが、なんとも健気です・・・(しみじみ)。

>(・・・・アタシ、今、幸せなんだよね?・・・・・)
うおおお、切ないぃぃーーー!
確かに、今は充実している。でも、それは、表面だけの充実。カラッポな、充実感。
そう、何かが、足りない。心の片隅に、はめ込まれていないピースがある。
その、大切な何か(シンジ)の欠如感が、今のアスカを空しくさせてしまうのでしょう・・・。

そして後半。この使徒戦では、かなりのオリジナル要素が加えられている模様。
使徒からの精神攻撃で、アスカがついに過去の記憶を取り戻したのですが、そこには辛い光景と事実が。

>「・・・・アタシが望む世界を造るって言ったわよね」
>!!・・ダメ!それ以上言ったら駄目!!!
相反する、アスカとアスカの気持ち。
その時は精神の激昂によって吐き出されてしまった言葉。でも、内なるアスカ、つまり、今の分裂した片割れのアスカの視点から見ると、だいぶ異なった感情で出された言葉であることが分かります。この表と裏のギャップこそが、アスカがアスカである証拠ですね。

>「ああ、それで・・・・いいんだ」
絞り出すような少年の声。
>「いいに決まっているでしょ!さあ、さっさと造りなさいよ!!」
ここは今回の中でも一番重要なシーンですね。
シンジを記憶から、世界から消すことを望んだアスカと、それを受け入れたシンジ。
でも、二人とも、言葉では「良い」とは言っているものの、それは心から望んだことではないのですよね。
なぜなら、二人が本当に望んだことであれば、アスカの記憶からシンジは完全に消え去るはずなのに、アスカは、夢でも見ているし、こうしてフラッシュバックして思い出すことが出来たのだから。

自分の姿に打ちのめされて、何より、シンジの居なくなってしまったこの世界で、この先、アスカはどう生きて行くのでしょう!?記憶が戻り、元通りになったアスカは、本当にシンジのいないこの世界を受け入れられるのか!?第2話を、乞うご期待!!!

ご覧になった皆様も、是非とも、オズさんに感想を送りましょう!
たった一言の感想が、このような素晴らしい名作を生み出す大きな力になるのです。
皆様、なにとぞ、ご感想をよろしくお願いします!m(_ _)m

 私達に名作を提供して下さった、オズさんへのご感想はこちらか、掲示板へ!
是非ともお願いします!m(_ _)m

inserted by FC2 system