カツーン、カツーン、カツーン・・・
二つの大柄な影がゆっくりと薄暗い廊下を進んでいる。
彼らの行く先をチチチと音を立てて何かが動く。
「おいおい、ジャック。ねずみさんが逃げちまうじゃないか、そのサングラスのせいじゃないのか?」
口にくわえていた煙草を指に挟みサングラスを指す加持。
「冗談だろ、そんなことはお前の不精ひげを剃ってから言ってくれよ。
ざらざらしててかなわんからな。」
「ははは、違いない。」
からからと笑う男達。
低く深みのある声が廊下に響いた。
「・・・それはそうと、リョウジ・加持、何故シンジ・イカリを一人に?
あんただって気づいただろう、外ではってた黒塗りの車。
あれは100%「奴ら」だぞ。」
「・・・ああ・・・だろうな。」
「だったらなぜ!・・・・・・ダンッ!
・・・・・銃声!!・・・・・
はっとして加持の方を向くジャック。
加持は天井を仰いだまま煙草を吹かしている。
聞こえなかったはずはない、だが現にこの男は顔色一つ変えずにそうしている。
そして、ジャックが口を開こうとしたその瞬間、加持の首が微妙に動いた。
・・・・??!・・・・
思わず顔をしかめ歯軋りをするジャック。
加持のそれはジャックのみが知る合図だった。
「・・・行くぞ・・・」
加持はそう言い放つとくるりと背を向けるとまた黙々と歩き始めた。
ジャックはそこに立ち尽くすしかなかった・・・
澄み渡った空には
第3話
動きはじめる時
・・・・・・!!!!!!
シンジの目の前で跳ね上がる銃口。
その中からシンジに向かってくる弾丸。
すべてがスローモーションであるかのように展開されていく。
シンジは自分でも驚くほど落ち着いていた。
そしてゆっくりと閉じられるシンジのまぶた。
アスカ・・・
・
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キィィィィンッ!!
「なんだこりゃーーーーっ!!」
突然辺りに男の声が響き渡った。
おもわず男の叫び声に反応し、目を開くシンジ。
シンジの周りにはオレンジ色に輝くシールドのようなものが輝いていた。
・・・・こ、これは!・・・ATフィールド!!??
男が何度銃を撃ちこもうとナイフで切りつけようと、ATフィールドはびくともしない。
シンジは文字道理、壁の向こう側からボーっとそれを見ていた。
・・・やっぱり、これはATフィールドなんだ・・・
ということは?
「畜生!どうなってんだ!??・・ガー、俺です、作戦は・・・ダーン!!
その時、背後で銃声が鳴った。
振り返るシンジそして、グアッと言う悲鳴とともに崩れ落ちる兵士。
「ふう、間一髪ってとこだったかしらね!」
そういって近づいてくる人影。
シンジの頭にはいろいろな思いが交錯していた。
・・・誰なんだ?一体、僕を助けてくれた?・・・女の子??
「あなたが、元サードチルドレン、碇シンジくんね?」
「ど、どうして僕の名前を・・・それに君は一体?」
「わたし?わたしは・・・・
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・
・
「霧島マナ?」
「そうだ・・・まあ、その前にその手を放してくれないか、ジャック。」
「・・・!!・・・すまない、ついかっとなっちまって・・・」
加持の襟元から手を離すジャック。
襟元をさっさとなおすと加持はタバコを一本くわえ話し始めた。
「どこまで話したっけな・・・そうだ、霧島マナ。
前に話したことがあったろ、日本にもう一人俺の仲間がいるって。
・・・・彼女がそうさ・・・
まだまだ荒削りだが、負けん気だけはお前にも引けを取らないはずだ。」
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・
『霧島マナ』
「そ、それがわたしの名前。マナって呼んでくれていいわ。」
「う、うん・・」
昔からの中途半端な返事を返すシンジ。
マナはそれ見てうれしそうに微笑んでいる。
「どうしたの?」
怪訝そうに問うシンジ。
「だって、ミサトさんやリツコさん、それに教官が言ってとおりなんだもの!」
「ミサトさんやリツコさんを知っているの?」
「知ってるもなにも私の上司ですもの。教官も含めてね!」
「教官?」
「そうよ。言わなかったっけ?諜報部及び特殊監査部のチーフ加持リョウジ。
シンジ君も知ってるでしょ?彼があたしの教官。」
シンジはただただ、頷いていた。
驚きとともに懐かしさがこみ上げてきた。
「まあ、そんな話はいいとして、よく一人で耐えられたわね。
あの男の銃の音であなたを見つけられたんだけど・・・みたところ撃たれてもいなさそうだし・・・
もしかして、あなたもチーフに訓練受けてたの?」
「いや・・・その。」
途中まで言ってシンジは口をつぐんだ。
現にATフィールドは消えてしまっている、何より確信が持てなかった。
自分は本当にATフィールドを見たのだろうか。
沈黙するシンジ。
「ふうん、まあ、いいわ。あっちに車用意してあるから。
とりあえず、ここから離れましょう。」
マナの提案にシンジも同意した。
バタン・・・・・・ブロロロロ・・・・
「さて、これからネルフに向かうわ。
ちょっと急ぐから、しっかりつかまっててよ!」
「え?・・・ってわああああああああああ!!!」
マナは1度激しくエンジンを鳴らすとアクセルを一気に踏みこんだ。
「ほらほら!!しっかり口閉じてないと下噛むからね!!」
「ちょ、ちょっと!!止め・・あぁぁぁぁぁああああああああああああ!!」
シンジの叫び声とともに去って行く黒い車。
辺りには激しい砂煙が舞い上がっていた。
・・・その光景を悠々と壊れかかったビルの上から楽しそうに眺めている人影がいた。
屋上のぎりぎりのところに座って足をぶらぶらとさせている。
いつのまにか姿を見せた太陽の光に彼の銀色の髪がきらきらと反射している。
彼の傍によりそっている一匹の小鳥。
「・・・おいで・・・」
彼が手をかざすと、その小さな小鳥は翼を広げた。
「・・・君も雨宿りかい?でも、どうやら日も出てきたようだよ。」
「・・・さて・・・僕はお迎えのようだ・・・さぁ、お行き・・君にはその翼があるんだ・・」
彼が促すと小さな小鳥は空えと舞っていった。
ガタッ!!
「・・・ふう、やっぱり君達かい・・・」
「タブリス、我々が何故ここに居るかはわかっているな。」
ジャックや加持のように黒いサングラスをかけた大柄な男がゆっくりと口を開く。
「・・・やれやれ、前にも言ったと思うけど僕はタブリスじゃない、渚カヲルだ。
ま、君達にそんなことを言っても無駄か・・・、言いたいことはわかるよ、今から本部にいってお説教ってとこかい?」
カヲルが問うと男達は無言で頷き、そのままくるりと背を向けた。
カヲルも仕方なくそれに従う。
そして、ドアのすぐ前にきた時、ふいに後ろを向いた。
彼の瞳には先ほど見ていた景色が映っていた。
「・・・シンジ君・・・また会えるかな。」
・
・
・
・
to be continued
≪TLFの部屋≫
シンジ:・・・・・・・・・・・・・・・・・
アスカ:シンジ、なに見てんの?
シンジ:(クイ、クイ)←首で
アスカ:は〜?なにこれ?
シンジ:作者の八色がDARUさんのHPのKさんに影響されて作ったらしいよ。
アスカ:ったく、暇よねえ奴も・・・大体なにこのTLFってのは。
シンジ:一応作者のスローガン、THE LAS FOREVER」の略らしいよ。
アスカ:思いっきり安易な発想ね。
シンジ:・・・一応彼、英語関係の勉強をしているはずなんだけどなあ・・・
アスカ:そんなもん、ふかしよ。このあたしがいってんのよ!そうに決まってるじゃない!
シンジ:ははは・・・
マナ :フフーンだ。そんなこと言ってるから、連載はじまってから名前しか出てこないのよ♪
アスカ:あぁ!あんた、加持さんの弟子とか言ってでてきた謎の女!
マナ :はあ、野蛮な言いかたねえ!シンジ君こんな女ほっといて私と物語を・・・ね。
アスカ:な、な、なにいってんのTLFなんだからそんなわけないでしょ!
マナ :さあ、どうだか?なんて言ったって「安易な発想」ですからね。
アスカ:むむむむむ・・・・この女!!って逃げんじゃないわよ!こら〜!!
マナ :じゃーねー。「私の」シンジ!・・・・ブロロロロ・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・シーン・・・・・・・・・・・・・
シンジ:あ、えーと・・・こんな感じでこれから予告みたいなことをやっていこうと思ってます。もちろん、シンクロウさんの許可をいただければですけどね。・・・まあ、とりあえず、今回はこれで!
八色の姓さんの「澄み渡った空には」の第3話でした!(^^)
毎回の展開が、なんとも気になる気になるこの連載ですが、今回もまた新たに大きな謎が発覚して、読んでいる内から否応無しにあれこれと詮索してしまいますよね。あああ、気になる気になる・・・。
そして、今回の内容は・・・、うお!シンジATフィールド能力覚醒!?と、思いきや、アスカ登場に先駆けて、なんと強力な助っ人マナ壌が登場!ATフィールド、マナ登場と、この展開を見る限り、さらに物語の深みと伏線が増して、一層に練り込まれたように思えます。
窮地を危機一髪、マナに助けられたシンジ。しかし、その後のマナ壌のミサトを彷彿とさせるドライビングテクニックに、シンジは立て続けに生きた心地がしなかったことでしょう(笑)。流石はマナ壌、加持の部下に置かれるだけありますね。
そして後半。マナ登場で休む間も無く、なんと今度はタブリスことカヲル少年が登場!この怒濤の展開に、度肝を3連発で抜かれちゃいました。しかも「お説教」とは、カヲル少年、一体なにをしでかしたのでしょう!?あああ、気になる気になる・・・。これらのキャラが複雑に絡み合ってくること間違いなし。もう次回が楽しみで楽しみで仕方ありません!
追記:後書きで、許可を頂ければとのことですが、もちろんオッケーっすよ(笑)。
TFLの部屋、私達LASにんに取っては、なんと響きの良い部屋なんだろう・・・(しみじみ)。
ご覧になった皆様も、是非とも是非とも、八色の姓さんにご感想を送りましょう!
たった一言の感想が、このような素晴らしい名作を生み出す大きな力になるのです。
皆様、なにとぞ、ご感想をよろしくお願いします!m(_
_)m
私達に名作を提供して下さった、八色の姓さんへのご感想はこちらか、掲示板へ!
是非ともお願いします!m(_ _)m