心の形、LASの形


 





「ほんとにもう・・・・あんたたちには、ほんとにあきれるわ。」


「はい・・・どうもすみません・・・」


すまなそうに首をうなだれるシンジ。


「もうあなた達・・14歳の子供じゃないのよ。

法律的にも夫婦と認めらている間柄なのに・・

あ、レイ、これお風呂場に持っていってあげて。」


「わかりました。」


リツコが差し出したタオルを受け取ると浴室のほうに消えていくレイ。

相変わらず落ち着いているというか、無表情というか独特のミステリアスな雰囲気をもつ少女、元ファーストチルドレン綾波レイ。

シンジやアスカと同じようにフリーとなった今はリツコのよき相談相手として、そして唯一の家族として、このマンションにすんでいる。


「20過ぎの夫婦が追いかけっこをして、その上その妻が池に落ちるだなんて・・・

ほんと、前代未聞よ。ちょっとはレイを見習ってちょうだいな。」


「はあ。」


・・・大人になれ・・・か・・・


たしかに、レイは容貌、雰囲気、話し方どれをとっても自分より5歳は年上に見える。

大学でも超ミステリアス美少女として人気が高いようだ。

しかしながらそれでいて、彼氏というものには全く縁がない彼女。

実はそれには理由があったらしい。

大学に入学したその日から彼女には当然のごとく、数えられないほどの男達からのアプローチがあったそうだ。

だが、次の日以降、綾波ファンを名乗る男どもは忽然とその姿を消してしまった。

なんでも、全員そろって、原因不明の腹痛や頭痛そして吐き気に悩まされ一週間ほど大学を休むことになってしまったとのこと。

まあ、転んでもただではおきないのが彼ら。

復学した当日から、綾波ファン活動に熱を入れようとしたそうだ、が、どういうわけか無残にも先と同じような症状になやまされ再度自宅療養となってしまったようだ。

不思議なことに、床に伏した学生すべてが、帰り道で金髪のグラマラスな女性に会っていたと証言していた。

この不思議な事件にあたることになった元葛城作戦部長はおもわず頭を抱えた。

まあそれ以来、大学では綾波レイに近づく男には何かが起こるという噂が定説となったようだ・・・・・赤木リツコ博士、彼女の思惑道理に・・・

そして、彼女は自宅のオフィスで一人ほくそえんでいた。

いつもの彼女のお気に入りの言葉と共に。


「・・・・・・無様ね・・・・・・」


















「・・・・・まあ・・・そういうこと。とにかく、少しは『わたし』やレイを見習ってほしいものね。」


・・・・綾波はともかく、リツコさんをねえ・・・

昔のリツコさんならともかく、今の親ばか状態のリツコさんを見習うなんて・・・

そんなこと言ったら、僕は街中でアスカによって来る男ども、全員を病院送りにしなきゃいけないくなっちゃうよ・・・


心の中でぶつぶつ文句を言うといつものようにため息を深くつくシンジ。


「シンジ君聞いているのかしら?わたしはあなた達のためをおもって・・・

まあいいわ・・・今日のところはお説教はこれくらいにしておきましょう。

こんな小さなお客様もいることだしね。」


「あ・・はい・・・よろしくおねがいします。」


ティッシュ箱に手を伸ばしそっと中の小さなお客様を手に乗せるリツコ。

ちいさなお客様、もといスズメは最初は少し暴れていたがリツコが手を添えるとおとなしくなった。

リツコはスズメの羽根を伸ばしたり、毛のあいだを掻き分けたりして丹念に観察している。

シンジはそんな彼女をボーっと眺めていた。


・・・たしかに、こうしてると・・・リツコさん・・・ほんとうにお母さんみたいだな・・・・

あんなキチガイ地味たことする人にはとても見えないよ・・・

前来たときレイがリツコさんのことを嬉しそうにお母さんって呼んでたのもうなずける気がする・・・・

・・・もうすこし、融通がきばもっといいんだけどなあ・・・・



それほど、リツコの表情には母性愛ともいうべき感情が満ち溢れていた。

おもわず、先ほどの自分とその妻アスカとの雑談を思い出し、ふっと微笑むシンジ。


・・・・・アスカも子供ができたらこんな風になるのかな・・・・・


だが・・・シンジのそんなロウマンチックな妄想も突然の金切り声によってかき消されてしまった。

もちろん、それも妻アスカのもの。


「だーかーらっ!!あたしとシンジは夫婦なわけ!!

だから、他人のアンタがシンジにむやみに触れちゃいけないの!」



「・・・そうなの・・・よくわからないわ。」


何の話をしているのかはわからないが、どうやらアスカがレイにシンジの所有権は誰にあるのかということを説明しているようだ。

まあ、説明というよりはアスカが一方的に絡んでいるだけのようにも見えるが・・・・・

実際、知らない人が見たら、できの悪いかんしゃくもちの妹が、落ち着いた優等生の姉に突っかかっているだけだとおもうに違いない。


「どうしたのアスカ?・・・そんなかっこで風邪ひくよ。」


アスカの衣類というべきものは体に巻きつけられたバスタオルのみである。


「あ、シンジ!だってえ、レイったら、アタシがシンジの背中、いつも流してあげてるんだって言ったら、私も碇君の背中流すってうるさくって!」


「・・・碇君・・・いつもアスカに背中・・・流してもらっているの?」


声はいつもと同じ調子だが、質問の内容が彼女が昔とは違うことを示している。

より人間的で、会話らしい質問。

それに対し嬉しそうに答えるシンジ。


「ん。いつもじゃあないよ。たまにね。」


「・・・碇君・・・気持ち良いの?2号機パイロ・・・・アスカなんかにそうしてもらって。」


多分綾波の言い方が気に入らなかったからであろう、アスカが後でギャーギャー言っている。

あえて無視してそのまま続けるシンジ。


「うん。そうだね・・・

誰か自分以外の人に背中を流してもらったり、体を触ってもらうのってすごく気持ち良いんだよ。」


「じゃあ・・・私が碇君の背中を流して上げたらアスカがやるのと同じくらい気持ちが良いの?」


「そんなわけ!ないでしょっ!アタシは・・「えーと、そうだね。たしかに、綾波に背中を流してもらえたらすごく嬉しいし、気持ち良いと思うよ。

・・・でも・・・」



「やっぱり、アスカが一番なの?」


「・・・・うん。そうなるかな。」


シンジがそういうと満足げに胸をそらしながらうんうんと頷くアスカ。

・・・大人気ない人間がここにもいたことをどうやら僕は、忘れていたようだ・・・・


「・・・碇君・・・私のことが嫌いなの?」


「そうよ!そのとうりよ!だから、これ以上アタシのシンジに「いや!嫌いなんて事はないんだ!だからその、ほら・・・

・・・よく言うじゃないか、好きにはLIKEとLOVEの二通りがあって・・・痛って!」



不意に後からにゅっと伸びた手がシンジのほっぺたをつかんだ。

驚いたシンジがその手の先をたどると予想道理、そこには妻アスカの勝ち誇った顔があった。

自分の話の腰を折られて腹を立るシンジ。


「アスカ!なにすんだよ!僕は・・・「SHUT UP!英語2は黙ってなさい。」


・・・がーん・・・そんな・・・せっかく考えたのに・・・

LIKEは、愛するということで、LOVEは普通に好きっていう意味なんだってかっこよく綾波に・・・


(碇シンジ・・完全に沈黙・・・)


「・・・さて、シンジはお取り込み中みたいだから、アタシが代わりに言うわ。

・・・コホン・・・え〜と・・・シンジが言いたかったのはね・・・・・その・・・」


さて!シンジも黙ったし・・なんとか、この娘を説得しないと・・・

バカシンジはごまかすの下手だし、妙に優しいからこのままいったら、きっとレイに負けちゃうわ。

シンジの背中をレイが流すなんて考えたくも無いわ!

シンジのお父さんがシンジの背中流すのと同じくらい許せない・・・

シンジの背中、いいえ!シンジの体はぜーんぶアタシだけのものなんだから!!


「何悩んでいるの?」


ブツブツ言いながら考え事をするアスカを不思議そうに見つめるレイ。


「う、うっさいわね!今何から話そうか考えていたところよ。

じゃあ、行くわよ、覚悟してお聞きなさい。 とりあえず、あなたのお母さんと、ミサトそれに加持さんを例にしてみるわね。

ミサトと加持さんは結婚しちゃったけど、相変わらず仲良くやってるわよね。」


「ええ。・・・いまだに翌朝まで3人でお酒飲んで騒いでることもあるし・・・」


「でしょ?3人とも信頼しあってお互いに好意を寄せているわよね。

でも、ミサトが夫である加持さんに抱く感情と、アンタのお母さんに抱く感情は違うっていうのはわかるでしょ?」


レイが無言でこくりと頷く。


「それが、シンジがさっき言ってたLIKEとLOVE、つまり好き、と愛するの違いなのよ。

当然、好きな人と愛している人とじゃあ、接し方も少し変わってくるわよね。

まあ、その例の一つが、アタシとシンジの混浴という事になるかしら?」


そう言い終え、レイが再度頷いたのを確信すると思わずガッツポーズを取るアスカ。

その瞬間背後で何かがぬっとたちあがった。

まるで、あの紫色の巨人のように・・・

アスカがふりかえるとそこには満面の笑みを浮かべたシンジがたっていた。

ちっと、舌打ちをするとすばやく彼の背後に回りこむアスカ。

再起動の咆哮、さながらにべらべらと喋り出すシンジ、だが・・・


「いや〜、さすがアスカ! そうなんだよ!僕が言いたかったのひょひょひょよ・・・・って何ふんだひょアヒュヒャ!!」


突然元気よく再起動したシンジの口の両端に指をつっこむアスカ。


「うっさいわね!せっかくここまでこじつけた・・・・じゃなくて・・・・

とにかく、ここまでもってきたんだから、締めもあたしに言わせなさいよ!」


声を張り上げシンジを制するアスカだが、なんせ、暴走してエネルギーも無限大、シンジも負けてはいない。


アスカの指をはずし、顎部のジョイントを開放。

「なにってるの!今までいっぱい話したろ、そろそろ僕にも喋らせてよ! あ、それにほら、アスカ、そんなかっこじゃ風邪ひいちゃうから、ね!

後のことは僕に任せて!」


「アンタバカァ?たとえ風邪ひいたって、アンタには任せらんないわよ!

なんせ、今日こそアタシがいかにシンジの妻として、レイより優れているかわからせなきゃいけないんだから!

後一歩なのよ!ここで退けるわけ無いじゃない!」


え・・・・?


アスカのその言葉、もとい本音を聞いて一瞬固まるシンジ。


「・・ちょ、ちょっと、アスカ・・」


「・・・な・・なによ。」


ボーっと天上を見つめながら考え込んでいるレイを尻目に、彼女に背を向けアスカにひそひそと話し掛けるシンジ。


「アスカ・・・今まで好きと愛の違いを教えてあげてたんじゃないの?」


「はぁ?どうしてアタシが、そんなめんどくさいことしなきゃいけないのよ。」


「じゃあ・・・今までもっともらしく話してたのは?」


「ん?ああ、あれね、ああでも言わないとあの娘絶対納得しないじゃない。

えーと、日本語でちょうど良いことわざがあったわよね・・・」


「嘘も方便ってやつ?」


「そうそう!それそれ!とにかく、これであのこの興味は少なくともアンタと風呂に入ることからはずれたんじゃない?」


それを聞くとシンジは思わずため息をつく。


「そんな・・・・ほら綾波ってば・・あんなに真剣に考え込んでるよ、どうするの?」


「・・・うーん・・・あ、じゃ、今度こそシンジの出番じゃない?

アンタ慰めんの得意じゃない。」


「な、何で僕が!・・・だいたいアスカが変なたとえ出すから・・」


「へ、変なとはなによ!

アンタこそいつもみたく、一人でブツブツ行って役に立ったなかったくせに!」


「アスカが、僕の・・・
「・・・・じゃあ・・・・」


そこへ突然口を開くレイ。


もはや口げんかどころではない。

ゆっくりとレイのほうを向くシンジ、アスカ両人。

いまにも、首がギギギ・・・となりそうだ。

二人が振り向くとレイがゆっくりと口を開く。


「・・・・・・じゃあ、私のことを愛してくれる人はいないの?」


レイはそう言うとふっと寂しげな表情を浮かべた。

シンジはこんなにも悲しげな表情が似合う人間はまずいないと思わず感じてしまった。


だが、今は頭を振って考え直さなければならななかった。

・・・・綾波・・・・

ごめん綾波・・・アスカのことなんて責められないよな・・・

僕がちゃんとした答えを返せないから、綾波にこんな辛い思いさせてさ・・・・

そう考えながら視線をずらすシンジ。

見ると、アスカも先ほどとは全く違う辛そうな表情をしていた。

だが、突然何かを思い立ったように、いつもの生き生きとした表情をよみがえらせた。

そして、昔シンジ自身に向けたのと同じように、人差し指を綾波にぴっと向けた。


「愛してくれる人がいないぃ??

あんたバカァ??よーく考えて御覧なさいよ!

一番あんたの近くにいて、一番あんたを思ってくれてる、愛してくれてる人がいるでしょ!」


「・・・私を・・・思って・・・愛してくれる人・・・?」


「そうよ!あっち見てみなさい!」


そういうとアスカはレイに向けていた人差し指をリビングのほうに向けた。

その瞬間レイははっとして顔を上げる。

「・・・あ・・・」


そこには自分に数え切れないほどの愛情を注いでくれた人物がいた。


・・・・・お母さん・・・・・・


もう一度アスカの方に向き直る。

微笑みながらゆっくりと頷くアスカ。


「ね。背中流してあげるべき人は誰よりも先に、まずリツコでしょ?」


見る見るうちに輝きを取り戻していくレイの表情。

そして、ゆっくりと頷く。

「・・・あの、アスカ・・・・ありがとう・・・」


「いいのよ!(ま、これで万事OKよね!)」


・・・ありがとう・・・

感謝の言葉・・・

あの人にも・・・いいえ、碇君にしか言った事なかったのに・・・

でも・・・なぜか嬉しい・・・

はっ・・・涙・・・これが、嬉し涙??


「あ・・・綾波?どうしたの?・・・泣いてるの?」


レイの涙の理由がわからずおどおどするシンジ。


「あ・・アタシのせいじゃないわよ・・・・ね?」


例のごとく責任転嫁に勤めるアスカ。

だが、二人の期待を裏切るレイの表情。

あの時の何倍も美しくやさしげな表情。


「・・・ありがとう・・・アスカ、碇君。」


「綾波(レイ)・・・・」


レイの笑顔に答えるべく、笑って見せる二人。

3人で同じことをしたのはあの時が最後かもしれない。

EVAのパイロットだったあのとき、みんなで星を眺めながら話した夜・・・

だが、あのときよりもお互い寄りそっている今日のこの瞬間。

3人はもう一度顔を見合わせ、声を立てて笑った。





ちょうどそこへリビングから声がした。


「シンジくーん。ちょっと来てくれない?」


どうやら、無事手当てが終わったようだ。

「はーい。今行きます。終わったみたいだね。」


「ホント?じゃ、アタシも・・・ヘッ・・・・・クシュッ・・・」


「あははは。アスカ、ホントに風邪ひいちゃうよ!着替えてからおいで。」


アスカも今日ばかりは了承したようだ。

冬も終わりを告げているがまだまだ、バスタオル一枚でいられるほど暖かくはなっていない。


「たしかに、このカッコじゃまずいわよね。

リツコがやきもち焼いちゃうものね!」


いたずらっぽく舌をだすと勢いよくカーテンをしめるアスカ。

シンジは適当に返事をすると、肩をすくめながらレイを連れてリビングのほうに移動した。

リビングでは手当ても終わってマグカップを片手にくつろいでいるリツコと、怪我をしていたほうの羽根に包帯を巻かれたスズメが出迎えてくれた。


「ありがとうございました、リツコさん。」


シンジは丁寧に頭を下げる。

照れ隠しだろうか、コーヒーをすすりながら手を振るリツコ

「いいのよ、シンジ君、頭を上げてちょうだい。

なんだか、調子狂っちゃうわ。」


確かに、リツコの周りにいた人達はほとんど礼をいわなかった。

同僚のミサトは礼の代わりに平手打ち、さらなる無理難題を押し付けようとする、碇ゲンドウ

礼ととっていいものか考えさせられることしか言わない加持リョウジ、とまあこんな具合だ。

リツコ自身礼を言われるという事になれていなかったのかもしれない。

うまいこと話をすりかえる。


「・・・ま、それはそうと、どうして家に?

親子なんだし、ユイさんのところでもよかったのではなくって?」


「面倒なのよ、あそこは!いろいろとね。」


バスルームから出てきたアスカがリツコの質問に答えた。

シンジもアスカに同意し頷いている。


ふっと微笑を浮かべながらコーヒーをもうひとすすりするリツコ。

「・・・面倒・・・ね。ま・・・獣医だけじゃなく、産婦人科も受け付けてるから、相談したいことがあったらきなさい。」


「「は、はははは・・・」」


乾いた笑いを浮かべる二人。

・・・恐ろしいほどに冴え渡るリツコの第6感・・・


「まあねえ、ああいうのは・・・運もあるしね。でも、二人とも若いんだし努力すればなんとか・・・「あ、あの・・リツコそろそろ、アタシ達帰らなきゃ・・・・ね、シンジ。」


「そ、そうだね・・・はやくしないと、EVAえもんがおわっちゃうよ・・・・・」


おもいっきり不自然な会話。

幸いリツコはあまり気にしていないようだった。


「あら・・・残念ね・・・レイ、玄関まで送ってあげなさい。

・・・そうだ、ほら、このお客様にもお帰りいただかなくちゃね。」


そういうと、リツコは小さなティッシュ箱をシンジに手渡す。


「・・・・あ、リツコさん、ホントにありがとうございました。」


「ほら、シンジ!!」


雰囲気を感じ取ってのことだろうか、シンジをけしかけるアスカ。

シンジはもう一度リツコに礼を言うと、アスカと共にドアの外に飛びたした。

綾波もそれに続きサンダルの音を鳴らしている。


「綾波、ここまででいいからさ。・・・・どしたの?」


レイは地べたのコンクリートを見つめながら何か考えている様子。


「・・・碇君・・・さっきのお母さんが言ってた『努力』ってなに?」


思わずひょえっなどと不思議な声を出すシンジ。

アスカは背中を向けていたことが幸いし表情までは見られずにすんだが・・・


「何を一生懸命するの?・・・二人いなきゃだめなの?」


あさってを向いているシンジをひたすら質問攻めにするレイ。


仕方なく、無理に顔を整え降りかえるアスカ。


「だー!!いいのよ!あんたはそんなこと知らなくて!

それより、さっきあたしが言ったこと覚えてるわね!」


「え?・・・ええ・・」


「あんたが努力することはそっちのことよ!わかったら今すぐにでも話してみなさい!

・・・ほら、シンジ!ぼやぼやしてるとリツコが!」


「そ、そうだね。じゃ、綾波、リツコさんによろしく!」


そういうと、レイに背を向け走り出す二人。

レイも嬉しそうに彼らの後姿に手を振る。

そこへ、リツコが愛用の健康サンダルをはいて、カラカラと出てきた。


「あら?もう二人ともいっちゃったの?家で漬けたおしんこもたせようと思ったのに。

あら?レイ何か良いことでもあったの?」


夕日に照らされ、美しく映えるレイの微笑。


「・・・お母さん・・・」


「なに?レイ。」





「・・・・あの・・・今日、お風呂一緒に入ってくれる?」


「ええ?・・・それはいいけど・・・どうしたの、急に?

あ・・・・あの二人ね?まったく、もう・・・ま、いいわ。たまには、レイに背中でも流してもらおうかしら?」


「・・・うん・・・」


「じゃ、ほら、寒いから中に入りましょう・・・・」


レイを促すリツコ。


「・・・ううん。もう少し・・・」


「レイ?」


「・・・・・・だって・・・・・夕日がすごく綺麗だから・・・」


レイの言葉におもわず微笑を浮かべるリツコ。


・・・・・・ありがとう、アスカ、シンジ君・・・・


「そうね。じゃ、私ももう少し付き合うわ・・・・」


「・・・ありがとう、お母さん・・・・」















「さーて、スプーン小匙一杯を・・・・はいはい、わかったよ、今できるよ。」


リツコに教えてもらったレシピを眺めながら台所に向かうシンジ。

机の上ではすっかり元気になった子スズメがピーピーと催促している。


「えーと、これで、3分煮ればいいんだな。

あれ、アスカまだシャワー浴びてなかったの?」


不意に近寄ってきたアスカにの気配を感じ、後を向いたまま話し掛けるシンジ。


「ん?ちょっと、レイのこと考えててね。」


「ああ、そうかあ、レイ、リツコさんにうまく話せたかな?」


「大丈夫よ・・・きっと、それより・・・」


・・・・・ドンッ


「わっ!アスカ危ないよ!」


突然、後向きのシンジの首っ玉に絡み付くアスカ。

ここまでされてはシンジも後ろを向かざるを得ない。


「ちょっとアスカ、その子にエサあげなきゃいけないんだから。」


「エサなんか、いつでもいいじゃない・・・・だ・か・ら・・・」


アスカは甘い声でそういうと、シンジの耳元に口を寄せた。









「あたし達も・・・・久しぶりに一緒にはいっろっか?」















・・・・・・・・(沈黙)
























その後、子スズメの食事が伸びたのはいうまでもない・・・












(コメント):何じゃコリャあ!!(作者、談・・・)

・・・・・いや、あの・・・・引っ張りまくったうえに、さらに意味不明でごめんなさい・・・

ちょっと、風呂に入ってたら思いついたもので・・・その・・・・



 八色の姓さんの「心の形、LASの形 (後編)」でした〜〜!(^^)

 おっ!今回はリツコの家からのスタートですか。しかも!なんとリツコとレイが仲良し家族に!ううぅ、素晴らしい設定ですね。TV版では全く考えられないこの意表をついた設定。いやはや、心が癒やされます。しかし、やはりリツコのマッドぶりは健在ですね(笑)。大事なレイに近寄る悪い虫を払う為に、一体どんな「お薬」を処方してあげたのでしょう!?(^^;。ま、なんにせよ、愛情があるから、結果オーライですね<おいおい。
 そしてそして、肝心のLASも抜かりナシ!というより、今回のシンジは変にいじいじせず、急成長したようで良かったです(^^;。そして、レイに愛を語るシンジとアスカの爆笑コンビ。笑いのある会話の中、キラリと光る鋭い一言がとても冴えていて、心地良い展開になっていました(^^)。いやしかし、ラストの混浴はメチャメチャ萌えな展開!愛し合う二人の間には、スズメの存在など、まさに「スズメの涙」程度なんですね(^^;。この子スズメ、これからもきっと、二人のラブラブを見せつけられる日々を送る事でしょう(笑)。

 八色の姓さん、この度は本当に素晴らしい作品をご投稿して下さり、ありがとうございました!
 ご覧になった皆様も、是非とも是非とも、八色の姓さんにご感想を送りましょう!たった一言の感想が、このような素晴らしい名作を生み出す大きな力になるのです。皆様、なにとぞ、ご感想をよろしくお願いします!w(_ _)w

 私達に名作を提供して下さった、八色の姓さんへのご感想はこちらか、掲示板へ!
是非ともお願いします!m(_ _)m

inserted by FC2 system