「綾波、抱擁」

Junchoon

はじめに



『某所』(笑)で、新たにSSを書こうと志す方が、なみいる名作・大作に圧倒されて
しまっていそうに感じて、「こんな代物でもアップする奴はいるんだ」という例のつも
りで、思いつきのネタをアップしてしまったシロモノです(^^;。 だから、自分の悪い
癖も、知っていて直していない部分が多々あります(^-^;。 例えば、視点や語り手が
ばんばん変わってわかりにくいところとか。 ハッキリ言って、パトスの暴走に任せて
書いたまま。 根本的に矛盾した部分以外、全く手を入れていません(^^;。


前置きばかり長くても仕方ないので、とりあえず、読んでみて下さい。 時期は、TV
シリーズ弐拾弐話の数日前くらい、弐拾話よりは後、というところでしょうか...。





ある朝。 壱中2年A組。 シンジは何をするでもなく、ただボゥッっとしていた。
結構好きだったりするのだ、こういうのが。



(...あ、綾波だ)



「綾波、おはよう」



いつもなら、チラリと見かえすだけのレイである。 だが、この日は様子が違った。
そのままスタスタとシンジの目の前まで来て...抱きしめた。
座ったままのシンジを。



「ムググ...ア、アヤナミ...ナンカ、マエ(注1)ヨリ、オオキク...(*_*)」



硬直するシンジ。 でも、なぜか、誰も気にしていないようだ(^^;。 さて、最初に
気付くのは...誰かな?(^-^;



ケンスケは、手近な男子を捕まえてミリタリーヲタクねたにつきあわせている。
トウジの事があるので、すこし堪えているようだが、表面的には変わりない。
少なくとも、そういう風を装っている。 相手も、適当に相槌を打っている。
アスカは...あれ? どこだ? ...と思ったら、ヒカリとおしゃべりしながら
教室に入ってきた。 チラリとシンジの方を見て、すぐに視線を戻しかけて...
何か引っ掛かる。 何? この不快感は?



男子のスケベな視線...はいつもの事だし、熱血バカはまだいないし...相田の
軍事オタクもいつもの事よね。 ばかシンジもファーストにだっこされてるし...
何も、おかしい事、ないわよね...でも、あんな幸せそうな顔するファーストって
珍しいわねー、とか思ったりして...ん?! ファーストが、ばかシンジを、
だっこしてる?!



「ちょ、ちょっとぉ! ふぁーすとっ! 何やってんのよ?!」



「何?」



「何って、あんたねぇっ!」



「何故怒るの?」



そう言って、レイはシンジをかばうように抱きしめた腕に少しだけ力を込める。



ア、アヤナミ...キモチイイケドクルシイ...(*+_+*)」



「あ、ごめんなさい」



レイは、シンジが抜け出せない程度に力を緩めると、シンジの髪を優しく愛撫する。



「.....あんたたち.....いいかげん、離れなさいよっ! 『男女7歳にして同衾せず』
 っていうでしょ?!」



「『席を同じゅうせず』」



「...そ、そうともいうわね...(^^;」



「そうとしか言わないわよ」



そんなやりとりをしながらも、レイの瞳は楽しげで...ついでに言うなら、とても優し
かった。 おまけにいうなら、シンジはなにやらぶつぶつ言っていた。 ...幸か不幸
か、レイを含めて、誰の耳にも届いていないようだが...



アヤナミノニオイ...アヤナミノヌクモリ...アヤナミノムネ...ブツブツブツ...ア、ボウチョウ シチャッタ...」



...なんだかなぁ...(^-^;。



「もうっ! ファーストっ! あんた、シンジの何のつもり?」



「何って、お...」



レイは、何か言いかけて、しまった、という表情をして口をつぐんだ。 もう一度、
強く、感触を、温もりを確かめるようにシンジを抱きしめると、名残惜しげに離れる。
真っ赤になってぼうっとしているシンジと目が合うと、とても優しい...とても暖かい
微笑みを見せた。



...綾波...きれいだなぁ...それに...何だか、すごくかわいい...あれ? でも、
あの顔、どこかで見た事あるような気がする...何故?



何かを思い出しそうになって、でも思い出せずに、もう1度まじまじとレイの顔を
見直すシンジ。 でも、そこにいたのは、いつもの、人形のように表情のないレイだった。
そして、レイは、何事もなかったかのように自分の席へ歩き去ってしまった。 その頬が
ごくわずかに朱く染まっていたのに、何人が気付いたかな? ...でも、みんな、突然の
レイの変化に唖然としていた。 当のレイを除いて、冷や汗たら〜り、の状態だった。
アスカも、毒気を抜かれてきょとんとしている。 ...惜しいな(^^;。 誰も、気付いて
ない。



一方レイはというと...。



...私、どうしてあんなことしたの? ...わからない...。 でも、幸せ...。
...幸せ? これが、幸せ...。 初めての感覚。 胸の奥が、熱い...いえ、暖かい...。
そう、これが、幸せなのね...。 でも、何かが違う...。 私じゃない誰かを感じた...。
あれは、私の幸せ...。 でも、それ以上に、他の誰かの幸せ...。 何かが違う。
私が求めてるのは、もっと他の事...。 そんな気がする。 もっと幸せになれる、何かが
あるはず...。 私、何を求めてるの?
あれは...誰の幸せ? ...でも、一つだけ、はっきり分かった。 私は、碇くん以外の
人とでは幸せになれない。 他の人じゃ駄目。 それがたとえ、碇司令だとしても...。
碇くん以外では、絶対に駄目...。



私、碇くんとどうしたいの? 碇くんに何を求めているの? 私、碇くんをどう思って
いるの? ...わからない...わからない...。 でも...碇くん...私の、全て...。
今信じられるのは、それだけ...。




同じ頃。 NERV本部はパニックだった。 突然、凍結中の初号機の神経パルスが変動
しはじめたから。 そして、唐突にノーマルに戻った事が、さらにパニックに拍車をかけた。
...原因不明。 外道は、全てを「問題ない。 今の記録は抹消。 委員会への報告も必要
無い」と片付けてしまった。
...思い当たる節が、あるらしい。



暫く後。 保安諜報部から壱中の朝の1件の報告を受けた外道は、一人、初号機のケージ
にいた。



「...ユイ...気持ちは分からんでもないが、目立った事はするな...」





(注1)TVシリーズ第伍話参照(^^;

あとがき



え〜と、いかがでしたか?(^^; 自信、つくでしょ?



私、こうして【SS】を書いたりもしてますが、読むのも大好きです。 自分のと
よく似た世界があります。 ぜんぜん違う世界もあります。 そして、その世界は、
どれも私を楽しませてくれます。 想像もしなかった、新しい認識があります。
共感できる、想いがあります。 そして、読むほどに、新しいものが読みたくなります。
新しい人が書きはじめれば、それだけ新しい見方が増えます。 楽しい事です。
その割に、感想をつけてませんが(--;;;;;。



今回の、原石のままの駄文を読んで、「こんなのでいいなら、自分はもっとうまく書ける
ぞ」と自信をつけてくれる人が一人でも現れてくれて、1本でも新しい【SS】が出て
きてくれれば、それだけでこの【SS】は、100%の大成功です。



この作品とも呼べない駄文をちょっとだけ補足すると、レイちゃんが、自分のホントの
気持ちに気付くための下地まで、ここで書いてみましたが、実際に気付くシーンは、
本編の弐拾参話の「あの」シーンですね。 でも...自分の真実の気持ちに気付いた
その時が...「この」レイちゃんの...(T^T)。



では、また!(^^)/ 次の作品で...



Junchoon





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