∞∞∞ Mother ∞∞∞




「ただいま〜」

「こんにちは〜!」



「おかえりなさい」



子供達を迎える飛び切りの美女。 碇ユイ、27歳。 Evaだった11年は計算に入らないのがヲ約束だ。



「あの..........今夜は....................(^^;;;;;;;;;;」



不安げに問う、赤毛美少女。 やっぱりアレは苦手らしい。



「あぁ、うちの人なら今日は帰れないって」



ほぅっと安心する蒼い瞳の少女。 一転して、不安げな少年。



「あの.....父さん、また何か.....(--;;;;;」

「心配しないでも大丈夫よ。 もう外道はさせないから」



可愛すぎる母親の笑顔にようやく安心する。 そんなシンジを愛しげに見つめる、紅い瞳。



「さぁ! 早く着替えてきなさい。 すぐごはんにするから。 もちろん、
 アスカちゃんも食べていくわよね?」



思いっきり頷くアスカ。 そう、今日の夕食当番はミサト。 アスカとて、命は惜しいのだ。



一方。



「ほら、レイ! 行こ」

「私...このままでいい...」

「レ・イ・ちゃん! あなた女の子なんだから、ちょっとくらいおしゃれを
 覚えたっていいと思うんだけど? それに、こないだ新しいの買ってきた
 のに、まだ一度も着てないじゃない」

「...いい。 お風呂上がりにパジャマに替えるから」



はぁ...と溜め息をつく女性陣二人。 ふと、何か思いついたのか、ユイの瞳が輝く。 ちょっといたずらっぽい微笑み。 何を思いついたんだ? ユイちゃん。



「シンちゃん! あなた、タンクトップと半袖、どっちが好き?」

「...え?! なんだよ、突然?」

「ほら、あなたが着るんじゃなくって、女の子が着てるの見るの、どっちが
 いい?」

「えと.....その.....」

「やっぱり素肌の奇麗な女の子にはタンクトップが似合うと思うわよね?」

「あの.....その...............うん..........」




おいおい、それは誘導尋問じゃないか? ユイちゃん(^^;



「い・い・の! あなたはちょっと黙ってて」

「母さん...誰に話してるの?」



「あ、いえ、何でもないのよ(^^;;;;;。 そうそう、それより続き続き!
 スカートとパンツ、どっちが好き? あくまで見るなら、よ」

「う〜ん.....やっぱり...見るならスカート、かな」



しっかり聞き耳を立てているクォーター美少女。 話の流れが見えていないプラチナの髪の美少女。 同じく何も分かっていない美少年。



「じゃぁ、あとひとつ。 スカートは、長いのと短いの、どっちが好き?」

「え? あの.....」

「あ、顔に『短いのが好き』って書いてあるわね(^^)。 .....違う?」




「その...........違わ、ない..........けど..........」



シンジだって、健康な男子中学生である。



「だって。 聞いてた? レイちゃん(^^)」

「..........はい..........」

「確か、あの赤いのが一番短かったわよね...。 もちろんシンちゃんも、
 レイちゃんがタンクトップとミニスカート着たところ、見たいでしょ?」



ユイママの瞳は、はっきりきっぱり、「『うん』と言いなさい」と言っていた。 ついでに言うなら、ユイちゃん自身、クリーム色のタンクトップにスカイブルーのミニスカート(膝上25cm)がよく似合っていた(激萌爆)。 すらりと伸びたつややかな素足が美しい。 子持ちでこれはほとんど反則。

そんな母親の姿に視線を走らせて。

「..........うん......(^^;」

「シンジくん.....本当.....?」



.....ユイちゃんの姿からレイの姿を想像するのはとっても簡単である.....。



「...うん...(*^^;*)」

「.....私.....着替えてくる.....」



身を翻しかけたアルビノ美少女を呼び止める、色違いの美女。 耳元で、何か囁く。



「.....わかりました.....」



着替えに行った二人を見送って。



「...ねぇ、おばさま...さっき、何いってたの?」

「あぁ、タンクトップ着る時の一般的注意をちょっと、ね。」



ぽんぽん、と肩口を叩きながら悪戯っぽくウィンクするユイちゃんは、しっかりノーブラである(妄想爆)。



「ところで...ファ...レイって、ストラップレス、持ってるの?」

「それはまだ買ってあげてないわよ。 シンジにも少しは刺激を与えてあげ
 ないといけないしね。 あの歳であれだけ晩生っていうのも、母親として
 は心配だし」



意味ありげに微笑むユイ。 はっと顔を上げて、制服のリボンに手をかけるアスカ。



「...その制服だと、あんまり関係ないと思うけど?」



ちょっと笑いをふくんだ声。 思わずばっと胸を押さえるアスカ。



「なんなら、ウチにクローゼット、置く? どうせ部屋は余ってるし」

「..........そこまではいいです(^^;」



やはり、ヲヤヂのいる家に服を置いておくのに抵抗があるらしい。 ユイ以外の女性には利用する以外の興味がないヲヤヂがどうこうする訳はないのだが。 乙女心は微妙なようだ。



「ねぇ...。 ところで、あれだけ大きくなっても、子供って可愛いものな
 の?」

「もちろん! 子供はみんな可愛いけど、やっぱり自分の子供はダントツに
 可愛いわね。 それにね、いくつになっても...母親にとって子供はいつ
 までも子供なのよ。 可愛くないはずがないわ。 できればずぅっとこの
 手で抱きしめていたいくらい。 だいいち、自分の子供が可愛くないなん
 て、母親じゃありません!」



きっぱりと言い切るユイちゃん。 いや、あのゲンドウを「かわいい人」と言ってしまえるユイちゃんのことだから、話半分どころか、話1%くらいで聞いておいた方がいいのかも(^^;。



「じゃぁ.....あたしには.....」



少し淋しげに、アスカ。



「ママが...弐号機の中で、いつもあたしのこと見ててくれた事も、いつだ
 って護ってくれてた事も分かってる。 でも...あたし...そんなことより、
 ママに側にいて欲しかった...。 ただ、抱きしめて欲しかったのに...。
 ママは...あたしの側じゃなくて、Evaの中に居る事を選んで...。
 今のママだって、パパのことが好きで結婚したに決まってる。 立場上、
 あたしのこと気にかけて見せても...ホントは『前妻の娘』なんて、邪魔
 じゃないはずないわ」

「あら。 そんなことないわよ。 今のお母さんだって、何度か電話で話し
 たけど、アスカちゃんのこと、自分の産んだ子供みたいに愛してるのよ。
 私も一応母親だから分かるわ。 それに...キョウコだって、あなたのこ
 と、とても愛していたわ。 キョウコがアスカちゃんのこと愛していなけ
 れば、弐号機が動いたはずがないもの。 私は...生きたまま初号機に取
 り込まれたから動かせて当たり前だったけど...キョウコは死んだ後で...
 しかも、接触実験でココロが壊れてしまっていたのに...それでも弐号機
 を動かしたのよ。 アスカちゃん、あなたを護るためにね」

「...そうなのかな? ママは、ホントに、あたしのこと...」

「もちろんよ! 私は生きたまま取り込まれたから...こうして還ってきて
 シンジを抱きしめる事ができたわ。 その可能性がない訳じゃない事も分
 かってた。 でも、キョウコは...もし体がこっちに還ってこれたとして
 も...生きては戻れなかったのよ。 Evaから戻る時は...取り込まれた
 その時のままで還ってくるだけだから。 それでも、二度とあなたを抱き
 しめることはできないのに、Evaにあなたまで取り込んでしまいさえす
 ればずっと一緒にいる事だけはできたのに。 キョウコは、あなたを護っ
 て。 あなたの望むままに、あなたをこっち側に戻したのよ。

 ...並み大抵の愛し方じゃ、そんなことできないわ。 私も...Evaだっ
 たからわかるの」



「...母親って、そういうものなの?」

「そういうものよ(^^)。 アスカちゃんも、母親になれば分かるわ」

「だ...だれがシンジの子供なんて...っ!」



「.....え?!」



ドンピシャのタイミングで戻ってきたシンジ。 呆然。



「...誰も『シンジの子供の』とは言ってないわよ。 あ、もしかしてアスカ
 ちゃん、シンジのこと...」



くすくすと笑いながら、ユイ。 当人たち以外には分かりきった事を、わざと。 悪戯っぽい表情がかわいい。 レイもこれくらい表情豊かになればもっと可愛いと思うのだが...。



「え...?! あっ、べ、別にあたし、シンジとキスしたいとかシンジに裸
 見て欲しいとかシンジにバージン捧げたいとかシンジとアツアツラブラブ
 の家庭を築きた〜い、とか子供はたくさん欲しいなぁ、とかなんてこと、
 ぜんっぜん思ってないんだからね! いい?! そんなこと、みんなに
 言ったりしたらコロスわよっ!」



真っ赤になって慌てながら、いいわけ。 一気にまくしたてる。 思いっきり墓穴を掘りまくっている事に気づいていないな、アスカ。



「わ、わかってるよぉ、そんなこと...」



全然分かっていない碇シンジ、14歳。 晩生も鈍さもここまでいったらもう芸術の域だろう。



「あなたは産まなくていいわ...。 シンジくんの子供は、私が産むもの...」



いつのまにか戻っていたレイ。 うっすらと頬を染めて、爆弾発言。 タンクトップとミニスカートからこぼれる素肌がまぶしい。 はっきり言って、よく似合っている。 強烈なダブルパンチ。 シンジ、全身真っ赤に茹であがり完全に沈黙。 立ったまま硬直。



「..........え?!」



アスカまでも、一瞬息を飲む。 はっと気を取り直して。



「ダメダメダメ〜〜〜〜〜っ!!! ずぇっっったいダメぇ〜〜〜っ!!!
 まさかあんたたち...もうデキちゃってるんじゃないでしょうね?!」

「レイちゃんなら、残念ながらまだ処女よ。 シンジったら、レイちゃんを
 幸せにしてあげられるのは自分だけだって分かってるのかしら...」

「そう.....。 まだ何もしてもらってないわ。 でも...近いうちに、きっ
 と.....。 私は...そのために還ってきたんだもの」

「そんなこと.....このあたしがさせないわよっ!」



火花を散らす美少女二人。 ちゃっかりシンジを抱きしめているユイ、漁夫の利。 普段だと恥ずかしがって逃げるのだ。



結局、碇家の日常は、平穏ではいられないのかもしれない.....。




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