― 始まりと終りは同じ所にある ―

 

老い狂った狂信者達の長の最後の言葉

 

詭弁であった

 

戯言の筈だった

 

だが、一人の少年の下

 

その言葉は

 

 

真実となる

 


Days

by JUN


End Of Day & Endless Days 

 

 

― ジオフロント跡 ―

 

『黒き月』・『リリスの卵』と呼ばれていた所

 

少年にとって

全ての始まりであり

全ての終りであり

全てを失った場所

 

全ての者を信じ

全ての者を裏切り

全てのモノに絶望し

全ての者を殺した

 

己にとって最も業深き地

 

彼は再び其処に立っていた

 

 

サードインパクトの際

ジオフロントは『黒き月』として浮上

リリスと融合し

地球上に存在した全ての生命を飲み込み

そして弾けた

 

今ここにあるのは巨大な円形の断崖絶壁

その奥は奈落へと通じているかのような

底の見えぬ穴

地獄の門

 

「何だか懐かしいな・・・あれからまだ五日しか経ってないのに」

 

呟く少年

だが彼の瞳は何も映さない

光も

闇も

何も映さない

 

「くくくっ、この穴の底には本当に『 コキュートス 』があるんだろうね」

 

『敵は第二コキュートスを通過』

 

最後の使徒を追う時に聞いた言葉

自らの友を追う時に聞いた言葉

 

忘れる筈も無い

 

しかしそこに『 ジュデッカ (最終地獄) 』は無く

 

あったのは

 

『 ヘブンズ・ドア (天国への扉) 』

 

その扉の向こうで

 

少年は友を殺した

 

「あのときに、僕は『ここ』に来る事が決まっていたのかもしれない」

 

この『地獄』へ

 

 

「でもね・・・足りないんだ」

 

己への『罰』が

 

「トウジの妹を傷つけたんだ。トウジの足を奪ったんだ。

潰された人たちを見殺しにしたんだ。

綾波も見殺しにしたんだ。アスカを傷つけたんだ。

ミサトさんが泣いてたのに何もしなかったんだ。

カヲル君を殺したんだ。アスカを汚したんだ。

逃げて、そのせいでミサトさんが死んだんだ。アスカも見殺したんだ。

父さんを殺したんだ。みんな殺したんだ。

僕が殺したんだ・・・みんな」

 

 

だから

 

 

「僕はこの程度の地獄では『僕』を許さない」

 

 

その為には

 

 

「出て来い・・・リリス、ダブリス」

 

 

 

 

 

 

目の前の空間から光が漏れ出す

 

その光より現れるは二人の天使

 

少年の『希望』を司る者達

 

悲しげな顔をした少女と少年

 

 

 

「・・・・・・・・碇君」

「・・・・・シンジ君」

 

 

「やっぱりここに居たね。リリス。そしてダブリス」

 

少年は白き少女を『綾波』と呼ばない

『綾波』はあの時に死んだのだから

自分を守るために使徒と共に消えたのだから

 

少年は白き少年を『カヲル君』と呼ばない

『カヲル君』はあの時に殺したのだから

自分が生きるために、彼の望むままに

 

少年にとって目の前にいる二人は

『あの二人』ではない

 

 

「君達は僕の『希望』だと言った

             そして僕の望むままに世界を作る事ができるとも」

 

頷く二人

 

「なら『僕の望む世界』を作ってもらおう。それが僕の『希望』だ」

 

白き少女は悲しげに問う

 

「それが本当にあなたの望む事なの」

 

「ああ」

これ以上の地獄を

 

白き少年は悲しげに問う

 

「それが本当に君の希望となるのかい」

僕にこの罪にふさわしい罰を与える事が

 

「ああ」

 

「「後悔は」」

 

「しない」

『今は』・・・・・ね

 

 

沈黙

 

 

そして

 

 

「・・・・・解ったわ」

「それが君の望みなら・・・ね」

 

「『アリガトウ』・・・そして『サヨナラ』」

 

 

 

 

パシャァン

 

 

 

少年もLCLとなり

この星から全ての生命が消えた

 

 

 

後に残るは二人の天使

 

静かに涙する二人の天使

 

 

 

「もう何度目かしら。・・・・・結局またこうなったのね」

 

「そうだね」

 

「いつまで続くの」

 

「解らない」

 

「それでも」

 

「僕達は彼の希望なのだから」

 

 

 

「「何度でも」」

 

 

 

その言葉と共に

 

世界が輝き

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミィ〜ンミンミンミンミン

 

 

うるさいほどのセミの鳴き声

 

 

真夏の駅に立ち尽くす少年

 

 

かかる放送

 

 

「本日12時30分、東海地方を中心とした関東中部全域に、

 特別非常事態宣言が発令されました。

 住民の方々は、速やかに指定のシェルターへ避難してください。

 繰り返しお伝えいたします。……本日、12時30分、東海地方を中心とした……」

 

 

陽炎に浮かび

 

少年を見つめる少女

 

いきなり飛び立つ数多の鳥に驚き

 

落ち着き、再び振り返れば

 

彼女はいない

 

 

そして

 

 

現れる異形の巨人

 

 

繰り返される物語

 

 

 

陽炎に消える間際の少女の呟き

 

 

碇君

 

 

あなたは・・・いつまで

 

 

この一年を繰り返すの

 

 

 

 〜Days〜

 

 

 


 

後書き

 

皆様初めまして。JUNです

このような駄作を最終話まで読んでいただき、大感謝です!!!

 

実はこのSS、「あのTV第1話に出てきたレイって何だったんだ?」という

僕の疑問を僕なりに解釈した結果生まれた物

JUNはこのように解釈しましたが皆さんはどう思われるんでしょうか?

 

 

「Days」はここで終りですが物語はまだ終わらず

 

永遠に続くあの一年

 

正に『EndlessDays(終り無き日々)』

 

いつか終わる日は来るのでしょうか?

 

 

最後にこのような駄作を快く載せて頂けたDARUさんと

最後まで読んで下さった方々に

多大なる感謝を

 

それでは





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