ミサトが第2東京大学に入学してから2週間が過ぎようとしていた。

 その間に新入生を対象にしたオリエンテーションやコンパなど色々なイベントがあった

 そこでもミサトは持ち前の酒飲みの素質を遺憾なく披露していた。

 しかしたまには、そんな無茶をしているつけが回ってくる日もあるわけで・・・

 
「ううっ、ちょっち昨日は飲み過ぎたかも・・・」

 大学に入ってから連日のコンパ、コンパ、コンパでさすがのミサトも顔色が悪い。

 誘われたコンパには必ず出席している彼女が悪いという話もあるのだが・・・

 「でもこういうときでもお腹は空くのよね・・なんでかしら?」

 それは飲んだくれた後何も食べてないから。

 朝方に食べる気力もなくかろうじて学校にたどり着いて、

 午前の授業中はたーっぷりと寝ていたのだからお腹が空いていても当然である。

 「さーて、今日は何にしようかな・・っと」

 安い、うまい、早いの3拍子そろった食堂だと評判で

 昼時にはいつも学生で一杯のこの学食はやはり今日も学生で埋め尽くされていた。

 ミサトはレジの前でしばらく悩んだ後、結局いつものA定食を頼んでお盆を受け取った。

 「あらっ、席が空いてないんだ・・・」

 とりあえず自分の座る席くらいはあると考えていたミサトだったが、今日に限ってはどこの席も一杯のようだ。

 そのまま食器の載ったお盆を持って席を探し回るミサト。

 しばらく辺りをうろうろしていると、目の前にやっと空いている席が見つかった。

 「ここの席いいかなぁ?」

 そうミサトが声をかけたのは金髪の女性、少し気の強そうな感じだった。

 美人ではあるのだが、どこか人を近づけないようなそんな雰囲気が体からでている。

 「ええ、別にかまわないけど・・・」

 片手に持っていたコーヒーをテーブルに置き、読んでいた本から視線を少し上に上げて彼女はそう答えた。

 「あなたも新入生?」

 唐突にミサトが目の前の彼女に問いかけた。

 「どうして分かったの? 一応そうだけど」

 ちょっとばかり驚いた顔で彼女も答える。

 ミサトが自分の心でも読んだのかとでもいいたげな表情だ。

 「なーんとなくね、まだ場馴れしてない感じっていうか・・そんなとこかな」

 ミサトはふと何かをひらめいたかのように、ある提案をした。

 相手のいかにも人を寄せ付けなさそうな雰囲気を見て、これは何とかしなくちゃとでも考えたらしい。

 「そうだ、今日さ新歓コンパあるんだけどあなたも来ない?」

 「そんな、突然言われても・・・」

 相手はちょっと困ったような顔をしている。

 初対面の相手にいきなり誘われたのだからそうする名という方が無理であろう。

 「でもさ、知り合いとか作るいいチャンスだし・・・こうやって知り合ったのも何かの縁だよ、ね」

 ミサトの強引さに押されたのか、相手もどうやら決心を固めたようである。

 「まあ、そこまで言うんだったら行っても良いけど」

 なんだか不承不承といった様子ではあるが一応相手からOKサインが出された。

 「それじゃ、今日の6時から学校の近くの店でやるから、一緒に行こうよ」

 かるーい口調で、相手が気楽に参加できるようにする。

 これもミサトの口説きのテクニック(ちょっと違うけど(^^;)なのだろう。

 「私もそのほうがいいわ、一人で行くのもなんだかって感じですしね」

 「・・・あっ、そうだまだ名前聞いてなかったよね」

 その質問に金髪の女はゆっくりと答えた。

 「私は・・赤城リツコよ」

 間髪を入れずにミサトも自己紹介をする。

 「葛城ミサトよ」

 「葛城・・さん?」

 どこかで聞いたことのあるような名前だったので、思わず聞き返す。

 「そう葛城ミサト、よろしくね」

 自分の声が聞き取れなかったとでも思ったのか、ミサトはさっきより若干大きな声で自分の名前をリツコに告げた。

 そして笑顔のままゆっくりと握手を求める手をリツコに突き出す。

 リツコもそれに応じて自分の手を出してミサトの手を握る。

 
これが葛城ミサトと赤城リツコ。

 後々まで腐れ縁としてつきあっていく二人の最初の出会いだった。

 


COMING HOME
 CHAPTER:2 My friends
 
 

「うわっ・・・」

 コンパの会場として予約されていた飲み屋はすでに修羅場だった。

 「イッキイッキイッキイッキ」のかけ声が飛び交い、どんどん追加オーダーが入る。

 リツコはこの雰囲気に何か馴染めないものを感じていた。

 そんな感情を打ち消そうと、酒は飲むのだが一向に酔いが廻らない。

 仕方なくタバコに火を付け、それを楽しむことで自分を保っていた。

 そんな彼女の隣の席でミサトはいつものように明るくはしゃいでいた。

 「ほらほら、もっと飲まなくちゃ!」

 「も、もう勘弁して・・・」

 「だっらしないわねー、あんたそれでも男なの!?」

 「そんなこと言われても・・・これで何杯目だと思ってるんだよ・・もう限界・・」

 ミサトの相手をさせられていた上級生が、ついに崩れ落ちた。

 彼も相当酒の強さには自信があったらしいのだが、ミサトにかかっては横綱に挑むわんぱく相撲の横綱・・・といった感じであった。

 「なによ、だらしがないわねー・・・あっお銚子もう一本追加ね(^^)」

 万事につけこの調子であるから「うわばみ」と、あだ名を付けられるほどのミサトではあったのだが、最後には立派に酔いつぶれていた。

 「ほら・・・もうお店が看板の時間よ・・・ちゃんと立てる?」

 リツコが最後まで席を立とうとしないミサトをせかした。

 「たてまふよぉ〜、ほら〜」

 ふらふらとミサトが立ち上がった。が、歩き出す足がどうも安定していない。

 ここからアパートまでは歩いていける距離なので、別に電車を気にする必要はない。

 でもこの千鳥足ではアパートまでたどり着けるかどうも危なっかしい。

 見るに見かねたリツコは自分の肩を貸して、ミサトを歩かせることにした。

 「もう、しょうがないんだから・・・」

 「まったくともだちらったら、それくらいゆるしてよ〜」

 「ともだち・・・?」

 「そうよ、だってこうやってのんでぇ、いっしょにおはなししたんだしぃ〜」

 「だから、ゆるして・・ね、おねがい」

 ちょっと自分に都合のいい理屈。酔っぱらいの常套手段である。

 だがそれにリツコは笑顔で答えた。

 「ふふふ、まあいいわ」

 彼女にとっては母親のことを考えないで自分とつき合ってくる人間を見るのは初めてだった。

 気軽に自分のことを友達だと言ってくるような人間も・・・

 それだけ赤城ナオコの名前は日本中に響きわたっていたからで。

 ミサトの良い意味のお気楽さは彼女に今まで無かった安らいだ気分にさせた。

 

それからというもの・・・

 「何よ・・・一体どうしたの?」

 「へへー今日飲み会あるんだけど・・どう一緒に来ない?」

 「ええっ、今日もなの・・・」

 「なんだか一人で行くのも寂しくてさ・・ね、お願い」

 「もうしょうがないわね・・・」

 すっかりミサトのペースに載せられているような気もしないわけではないが、

 なんだかんだで二人の関係は急速に親しげな物へとなっていった。

 

5月のある日、午前中の授業をすべて終えたリツコが、昼御飯を買い出しに学校の近くへ向かっていた時だった。

 (あれ・・・あそこ歩いてるのミサトじゃないの)

 大学の並木道を連れ添うようにして歩いていく二人連れ、

 片方はリツコの知らない男、もう片方はリツコの良く知っている存在だった。

 (男連れか・・意外とやるじゃない)

 

そしてその様子を見ていたのはリツコだけではなかったのだ。

 ミサトが男を連れているのがよほど意外だったのか、彼はしばらく足を止めた。

 「ふーん、葛城がねぇ・・・」

 少し悔しげにそう呟くと歩いてきた方向へと引き返していくのだった。

 

To be continued

 


NEXT CHAPTER
 
ミサトと一緒だった男は誰か。
 次第に彼女の存在を意識し始める加持。
 一つの別れが一つの関係を生み出す・・・
 
CHAPTER:3 Start!!
 
 
 
 
 

緊急企画 どうなる今後の COMING HOME

 
ミサト「なんかこの話、随分エヴァ本編とは違うみたいだけど」

 リツコ「作者が適当に設定いじったらしいわよ・・・こっちの方が書きやすいからって

 あきれたものね・・読者がそんな物期待しているとでも思ってるのかしら」

 ミサト「いいのよ、どーせいきあたりばったりで書いるんだから

 でも私たちの大学生活ってTVではほんの少ししか流れてなかったようだけど?」

 リツコ「だからこの小説の構想が浮かんでビデオで見返したとき作者は泣きそうになったらしいわ、

 私たちの学生時代の場面が少なすぎる、これじゃ分からないって」

 ミサト「ふーん、そーなんだ・・で、肝心の話だけど全然進んでないじゃない!!」

 リツコ「それについては第3話であなたと加持君のちょっとした話をやるらしいわよ・・・」

 ミサト「私と加持君の・・・どうするつもりよ、一体」

 リツコ「それは第3話のお楽しみというわけ、次の話も読ませようとする作者の手段ね」

 ミサト「まあ第3話の公開も遅れに遅れるんでしょうね・・はぁぁ」

 リツコ「この話・・・DARUさんに続きを送るってメールを出してから筆が止まったらしいわ・・・

 本当にダメ人間ね、あの男(作者)は」

 ミサト「うーん、ちょっち不安だけど・・とりあえずまた続きを待っててねー」

 


 
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