Agua De Beber
裏話ここでは本作品の設定などを簡単に触れていきます。
1.
名前etc.主人公である西村左京、悪役の音羽正文、小杉重吾。この三人の名前は全て、池波正太郎原作「仕掛人 藤枝梅安」から次のように取っている。
西村左京←仕掛人である浪人、西村左内
音羽正文←仕掛人の元締、音羽屋総右衛門
小杉重吾←左内同様、仕掛人である浪人、小杉十五郎
ちなみに音羽の名前、「正文」は筆者の所属する大学の研究室の指導教授から頂戴した。
ゲイバーの三人組、ツキミ、ユキエ、ハナエ。これ全て、宝塚歌劇団の「月組」、「雪組」、「花組」から取った。津田雅美原作「彼氏彼女の事情」でも同様である。ちなみに彼女達のイメージは、六本木に実在するゲイバー「ピンクソーダ」の名物店員、日出郎さんとクミさんである。どのような人物なのか興味のある方は米沢りか「アクション大魔王」(白泉社ジェッツ・コミックス)の第一巻をご覧になって頂きたい。
NATO
介入等で混乱の激しいセルビアの捩り。マフィアの台頭等はロシア共和国がベース。実際に存在するのは「麻布署」。
言わずと知れた神奈川県警。
南青山六丁目に実在。
名前はヴォーカルの井上真紀をリーダーとする
JAZZコンボより。1999年の冬から短期間に、彼女達の歌と演奏が聴ける同名の10分間番組がテレビ東京系で放映されていた。そして、店は六本木に実在する「六本木PIT INN」がモデル。外観は外苑東通り沿いに実在するライヴハウス「
宮崎駿監督のアニメ映画「となりのトトロ」では主人公の母親が埼玉県所沢市松郷のサナトリウムに入院しており、そこから採用。筆者の所属する大学の研究室には所沢在住者が何人か居る。
2.
楽曲グランドピアノの世界では超一流のメーカー。「
ジョージ・ガーシュインのフォークオペラ「ポーギー
本作品のタイトルにもなった「
ルイス・アントニオ作詞、ディジャルマ・フェレイラ作曲のボサノヴァ。「ザ・ギフト」という別名でも知られる。
3.
銃器、車オーストリアのグロック社のオートマティック式拳銃。最近でも、トミー・リー・ジョーンズ主演「追跡者」やシャロン・ストーン主演「グロリア(リメイク版)」等、最近の映画でもよく見られるようになった。
日本警察の制式拳銃。スミス&ウェッソン社のリボルバー式拳銃
M36”チーフズ・スペシャル”を元に新中央工業が国産化。ベレッタ社製造のオートマティック式拳銃。
1982年からアメリカ軍の制式拳銃に採用されてから、メル・ギブソン&ダニー・グローバー共演「リーサル・ウェポン」シリーズでも有名になった。スイス陸軍の制式拳銃。我が国の自衛隊でも
1983年に制式拳銃に採用している。ショットガンでも有名なレミントン社製のライフル。
SWATでも採用されている。ドイツ、アウディ社が
イタリアを代表するスポーツカーメーカー、フェラーリ社の四人乗り高級スポーツカー。
5.5リッターもの排気量を有するエンジンと共に、同社では珍しいフル・オートマティックのギアボックスを備えている。アメリカを代表する高級車メーカー、キャディラックの大型ショーファードリブン。日本でも最近輸入が開始された。
キャディラックと並ぶアメリカの高級車メーカー、リンカーンのパーソナルセダン。しかし日本では至ってマイナーな存在。
日本でもお馴染み、
BMW社の大型高級セダン。ダイムラー・クライスラー社製
4.
ストーリー設定この作品を書こうと思ったきっかけは、以前筆者が某ページに投稿した作品「
しかしこのような「どちらかが死ななければならない男女関係」をストーリーの根本に据えた作品というのは、後述したもの以外に数多く存在する。
特にこの作品を執筆中に大ヒットした韓国映画「シュリ」がまさにそれで、同作品を観た筆者が少なからず動揺したのは言うまでもない。設定の大変更も考えたが、本サイトに自作小説を投稿している某氏の勧めもあり、そこまでには至らなかった。この場を借りて同氏に感謝の意を表したいと思う。
馳星周原作「不夜城」や映画「
007ワールド・イズ・ノット・イナフ」等が最近の例。レイモンド・チャンドラー原作「さらば愛しき女よ」、アニメ「ルパン三世」テレビ第一シリーズ第九話「殺し屋はブルースを歌う」等。どちらの場合にせよ、行き場のなくなった男女関係の果てを描いた一つの形なのであろう。両者で手をかけてメロドラマ風にアレンジしたら、渡辺淳一「失楽園」になる事は言うまでもない。
今回の作品で最初に問題になったのは、舞台設定である。
外国を舞台にする事も考えたが、ストーリーの中心となる繁華街の描写や各国での警察機構の差異もあり、それらを綿密にリサーチする時間等の制約で敢え無く日本を舞台する事にした。
筆者の現在の生活ベースは新宿近辺なので新宿を舞台にしようと思ったが、先述の「不夜城」を始め、大沢在昌「新宿鮫」、桐野夏生「村野ミロ」シリーズ等、新宿を舞台にした作品も多く、後発ものの悲しさかここでも変更する事となった。銀座も考えたが、ライヴスポットや飲み屋だけでなく大使館が多く構えている等、新宿とは違うイメージのある六本木に決定した。
執筆当初は防衛庁(本部が外苑東通り沿いの赤坂九丁目にある)の不正を作品中に絡ませる事も考えていたが、ストーリーが余分に拡大する嫌いがあり、お蔵入りとなった。
以前某サイトである女性が精神を壊す作品を拝読した際、「彼女がその後自分の夫と共とどう夫婦のやり取りを交わしたか見てみたい」という感想を持ったのがきっかけで、本作品に導入した。北野武監督「
本作品では当初、銃規制がアメリカよりも厳しい日本という舞台柄、アクションシーンを控えめにする予定で、公開前のヴァージョンでは教会爆破や路地裏のカーチェイスといったシーンは存在しなかった。しかし書き終えた後、読み返すとと余り面白くなかった。しかも完成直前に「MI-2」(監督ジョン・ウー)を観たために、「やはりアクションを入れよう」と考えを改め、書き直す事になった。ハリウッド映画系のアクションになれ過ぎたのと筆者の文章力の物足りなさが引き起こした事と言える。
スティーブ・マックイーン主演「ブリット」(監督ピーター・イエーツ)やロバート・デニーロ、アル・パチーノ共演「ヒート」(監督マイケル・マン)等では夜の空港がクライマックスの舞台となっている。
これも「シュリ」と類似しているが、筆者はアメリカの医療ドラマ「シカゴ・ホープ」のある一話で、登場人物の一人が精神病院に居る妻に歌を歌って聴かせるラストが印象に残り、採用に踏み切った。
5.
キャラクター考当初は定石通りハンフリー・ボガードのイメージを狙って、トレンチコートを羽織るという設定だったが、余りに定番過ぎるので、クリント・イーストウッドやマックイーン、渡哲也といった候補を探した結果、「
ピアノを弾くという設定は当初考えていなかったが、歌手の母親と共に裏世界で育って来たのと彼女の歌が本作品の「小道具」として重要な位置を占めるので、彼女にも音楽面の素養を与えようとしピアノと相成った。長い髪にくりっとした眼、黒い服を好んで着用という辺りは筆者のかつて知り合いだった女性をモデルにしており、それプラスアウディとグロック
大元のモデルである音羽屋総右衛門をテレビで演じた故山村聡(テレビ朝日系「必殺仕掛人」)が容姿面でのイメージだったが、書いている内に山村程の威厳が影を潜め、ジーン・八ッグマンのような粗野な感じになった。だから声も小池朝雄の後を継いで、ハッグマン(当然「刑事コロンボ」も)の吹き替えを担当した石田太郎。
禿頭で切れる。普段の存在感は薄いけど獲物をしとめるために常に鋭い視線を放っている。そのため小杉には必要以上にアクを付けないように注意した。もっとも本作品では左京と瑞恵が主役なので、彼と音羽は完全に脇に引いている感もある。腕っ節はいいので、スティーブン・セガールの声を担当する大塚明夫か。
元は男性だが、今はパッと見の容姿
最後に「Agua De Beber(おいしい水)」の歌詞をここに記す。
Eu quis amar mas tive medo
E quis salvar men coracao
Mas o amar sabe o segredo
O medo pode matar O seu coracao
Agua De Beber
Agua De beber,Camara
愛していたけど、恐かった
心を開く事ができなくて
愛には秘密がある
貴方の心を殺してしまえる秘密が
おいしい水
これはおいしい水