せめて日付けが変わるまで
かいたひと:てらだたかし
はぁ・・・なんかね・・・
・・・
う〜・・・
何よ何よ何よ何よ!!!あの転校生は!?
転校してくるなりシンジといちゃついてるんだから!
『アタシの』シンジに手を出さないでよね。
でも・・・悪いのはアタシだから・・・
いつもシンジに文句ばかり言っているのはアタシだから。
おこってばかりで、叩いてばかりなんだから・・・
シンジだから、こんなふうでしか自分を表現出来ないのに・・・
ほんとはもっと素直になりたいのに・・・
何度めか分からないため息をつくとふっとレースのカーテン越しに外が見える。
そっか・・・今日はフルムーンなんだ・・・
初めてそんな事に気がついた自分におかしかったのか、ちょっとだけ苦笑するとベランダにでた。
雰囲気的に月が見たくなって・・・
今日シンジが転校生と仲良く帰ってくるのを見てからずっと泣いてたからちょっと目が紅いかも。
風にスカートがめくれちゃいそうになって慌てて押さえるけど・・・考えてみたら誰も見てるひとなんかいないのよね。
こんな時間に、こんなところでさぁ・・・・・・
ちょっと自分がおかしくなってお隣のベランダを見る。
「アスカ?」
「シンジ・・・」
アタシはシンジの顔に何も言えなくなってしまう。
「そっち行っても良い?」
黙ってアタシはうなずいた。
やっぱりシンジも男の子なんだよね・・・
簡単に柵乗り越えちゃうし。
「ねぇ、どうして制服のままなの?」
「・・・ばか・・・シンジのバカ・・・」
アタシは悲しくなった。
ほかならぬシンジの事を想っていたのに当のシンジがこんなにも鈍いんだから。
「あんたなんか・・・転校生と仲良くしてれば良いのよ!」
本当はこんな事言いたくないのに。
「ごめん」
また・・・また謝る。
シンジが悪いんじゃないのに・・・
謝られちゃったら・・・アタシの立場ないじゃない・・・
「・・・綾波につきあってって・・・言われたのは・・・その・・・・・・断わったから・・・
・・・じゃ、帰るね。
おやすみ、アスカ」
え?
ちょ、ちょっと待ってよ!?
「シンジって・・・転校生の事好きじゃなかったの?」
「え・・・っと・・・その・・・僕は・・・アスカの方が・・・・・・好きだから」
アタシは何も考えずにシンジに抱きついた。
「アスカ?」
「・・・・せめて・・・日付けが変わるまで・・・こうしていてよ・・・
シンジ・・・
あたしもシンジの事・・・好きだから、大好きだから・・・
だめ?」
シンジはふっとアタシの手を取ると時計を見る。
シンジの手って・・・あったかい・・・・・・
「嫌だ」
え?
どうして・・・?
「今日は・・・もう20分で終わっちゃうから・・・
そんなの嫌だ」
そう言うとシンジは一旦自分の部屋に戻った。
手に持ってるのは・・・タオルケット?
「夏だから、これ一枚でも寒くないよね?」
結局アタシは制服のまま寝ちゃうのに抵抗を感じたから着替えたんだけどね。
いつものタンクトップとジョギングパンツなんだけど・・・寒くなんかないよ。
だってシンジと一緒なんだから。
ひとつのタオルケットに一緒にくるまってシンジの肩に頭を預けてみたりする。
アタシの肩を抱いていてくれているシンジの手が心強い。
「寒くない?」
「大丈夫、だってシンジがいるもん」
そう言ってアタシはシンジに抱きついた。
「あ・・・あの・・・アスカ?」
ふふっ・・・アタシはタンクトップ一枚だし、胸があたって恥ずかしいんでしょ。
「気持ち良い?」
「えっと・・・その・・・」
真っ赤になっているシンジ。
ホント、こんな可愛い顔見てるとシンジの事好きになって良かったって・・・思う。
まだ真っ赤になったままのシンジにキスするとアタシはシンジを抱きしめる手に力を入れた。
「シンジのえっち」
シンジの心臓がドキドキ言っているのが聞こえる。
「アタシだったら良いけど・・・浮気したら承知しないわよ」
シンジの耳もとでそっと囁く。
「うん・・・分かってるよ」
結局・・・朝までこんなことしてたもんだから寝ないで学校行くはめになっちゃったし。
何と言うか・・・アタシ達が今までとは違って手をつないで学校行く上に二人とも寝不足って・・・誤解招く・・・かな?
ま、良いか。
どうせそのうちある事だしね、ね、シンジ?
ママもママで「シンジ君がうちの息子になるのは嬉しいけどユイと親戚になるのは・・・」って本気で悩んでるし。
大切だったのは・・・ほんのちょっときっかけ、かな?
そんなことをアタシはすぐ横でアタシの事を見ていてくれるシンジの事を見つめながら考えた。
おしまい
感想、甘さが足りない、なんかは
てらだたかし までお寄せ下さい。テーマを下されば・・・LASなら書きます。