新・機動戦機 NERV 〜Etemal War〜

REPORT 2


一章:『決戦、阻止限界点』 〜In the earth〜


− 時に、西暦2015年...
宇宙の最果てで起きた両軍の確執は激化し、太陽系の全てを巻き込むまでになった。
巨大な物量で盛り返す帝国に、一時有利に戦局を推し進めていた惑星同盟は苦戦を強いられていた。
戦争が激化し、半年が過ぎた..西暦2016年 2月 帝国は同盟軍に対して、「V作戦」を発令する。
機動兵器による技術差で均衡を保っていた同盟は、帝国の機動兵器JAの脅威の前に...
運命の灯火が消されようとしていた。



パチン パチン パチン...
Evaの操縦席に据わったシンジは、コントロ−ル・パネルの上に並ぶスイッチを、親指で弾いていった。
一つ弾く度に、そのスイッチに対応する計器類に電気が走り、光が灯っていく。
「へぇ〜驚いたな..360°モニタ−なのか。」
全てのスイッチを入れ、ソフトを起動させた瞬間に、シンジは驚愕の声を上げた。
彼の視線の先には、360°全方位の映像が映し出されている。
MSを固定している背後のリフトや上部のMSデッキの天井...
そして、操縦席の真下...先程の少女が、こちらを見上げている姿までが、くっきりと映っていた。
「出撃準備は整いましたか?」
少女の声が、操縦席の、パイロットシ−トの両脇に埋め込まれているスピ−カ−ポッドから、響いてくる。
望遠機能を起動させて見ると、少女はインカムを装備して語り掛けてきていた。
シンジは頷き・・まぁ 少女に、それが見える訳ではないのだが...「いつでもどうぞ。」っと呟き、レバ−を握る。
「シンジ 碇少尉...出る。」
少女が開いたMSデッキの扉から、カタパルトデッキへと向かう。
Evaがカタパルトデッキに入ると、MSデッキの扉が閉まり...
カタパルトデッキ内部の気圧が下がると虚空(ソラ)への道が現れた。
それは真空の地獄へと続く、獄門に他ならなかった...



AREA2−地球圏

コロニ−を挟んで、両軍が対峙するそこは、乱戦の模様を呈していた。
一瞬の油断で友軍に落とされかねない状況..ともすれば、友軍を落としかねなかった。


シンジの視界に...とは言っても、モニタ−越しでは在るのだが、敵機影が映った。
同盟側の主戦力、サキ・Lである。

完全な人型の機動兵器である...JAやEvaと比べると、多少違和感を感じる形だった。
何故なら、頭部が無かったからだ..しかし、それにはもっともな理由も在った。
国力の差であった。
資材や人材の不足..中でも特に、資金の少なさは、致命的でJA級の形を量産する資金が得られず...
結果、最も無駄な部分である頭部が削られたのだ。

黒塗りのサキ・Lは、Evaの機体には気づかずに...無防備な姿勢で止まっていた。
瞬間...シンジは、Evaの背中から、ポジトロンライフルを抜くと狙いをさだめる。
「遅いよ..それでも、士官なの?」
シンジの呟きとロックオンを知らせる電子音が重なり、銃口が火を噴く。
サキ・LがEvaを発見し、臨戦態勢へと入ろうとした刹那の出来事だった...

赤い矢のような閃光が、虚空を走ったかっと思うと、サキ・Lを貫き、そのまま果て無き空へと消えていった。


ドォォォン...途端、爆発し炎上するサキ・L。
それは恰も人の死のように、血液の代わりに機械油を、肉片の代わりに屑鉄をばら撒き、散っていった。
「敵に当たっても、ビ−ムが消えないの?」
シンジが、三度...驚嘆の声を上げる。
それは着弾した後も、威力が削がれずに直進する閃光を、賞賛しての事だった。
シンジ専用に、カスタマイズされたJA・Fでさえ・・・もちろん、これほどの威力は無い...
嫌、JAU・Fのライフルでさえ、ここまでの威力はなかっただろう...

因みに捕捉すると、JAの後に続く、Fは指揮官機を表している。
階級にすると、両軍ともに大尉〜少佐以上の大隊長クラスから、用意された。
後は、特に武勲の優れた者が報奨として譲られる事が多かった。
では?..シンジやアスカが、何故F型なのかっと言うと、まぁ 親の七光りだった。



同時刻のコロニ−制御室前の宙域

一機のMSに翻弄される続ける帝国のMS11小隊。
当の昔に、味方機を落とされた同盟のMS...
漆黒に塗装されたMS04(シャムシ・L・F)の操縦者はたった一機で、三機のJAと互角以上に渡り合っていた。
「うわぁぁぁぁぁ...」恐怖の感情に取り付かれたカイン機が、ライフルを連射し続ける...
しかし、閃光がMS04に掠る事はなかった..冷静に照準を定めても、技量は明らかに相手の方が上なのだ。
感情に身を任せた状態の新兵の攻撃など、敵操縦者にとっては物の数ではなかった...


「ぬるいな..資材が余ると、こんな素人にまで機体が行き渡るのか..」
無目的に引き金を、引き続ける敵機の弾薬が尽きるのを待ちつつ、コントロ−ルレバ−を握り締め、男は呟いた。
こちらに向け、閃き続ける銃口の火線が形になる前に、虚空へと霧散する..敵の弾薬が尽きた合図だった。
「ライフルを連射などするから、そうなるのさっ..」
相手に照準を合わせ、引き金をたった一度だけ引く、MS04の操縦者。
しかし、それだけで十分だった..カイン機は、閃光の直撃を食らい、暗黒の宇宙へと散っていく...
反応炉に直撃でもしたのか、通常以上の爆炎を上げるJA..それは戦争と言う時代の、簡易式火葬っとも言えた。


目の前で..カインを落とされたアスカは、落胆の表情を隠せない..彼女にとって二人は、初めての部下だった。
「カイン...」ぽっつりと呟き、涙を流すアスカ...
レバ−を握る彼女の手は、涙で濡れていた。
それでも..彼女は、帝国の機士で、憂国の徒だった...果敢にもMS04を攻め上げる。
そして、相手を落とす事...それこそが何よりもの弔いとなる事を、彼女は知っていた。
MS04に近接し、背中のバックパックから、ソニックグレイブを取り出すと振りかざすJAU。
取り出した時点では...柄だけだった槍は、抜かれた事に反応し、赤く輝く刃を発生させた。
光刃輝く..それはビ−ム粒子の刃だ。
超高温に熱された粒子は、分厚い鉄板でさえ、易々と焼き切る事が出来た。
ビ−ムサ−ベルは、機動兵器の主兵装とも言えた...

「こんのぉぉぉぉぉぉぉ!!」
赤い輝きを放つ槍を握り締め、MS04へと躍り掛かるJAU。
気迫を込めた渾身の一撃だった....
が、敵操縦者は、ビ−ムサ−ベルを用いると難なく、それを受け止めた。
「嘘でしょ..」渾身の一撃を受け止められたアスカの呟きが、コクピットに吸い込まれていった...


男は刃を受け止めると、表情に余裕を見せ..
「ほ〜う 良い腕だな。」そう呟き、レバ−を握り締める指に少し力を加える..獲物を見つけた時の、彼の癖だった。
対峙する漆黒と真紅の機体...宇宙は昏迷の時代を迎えようとしていた。






REPORT 3


新型機を駆るシンジは、コロニ−の落下を阻止できるのか?
コロニー機関部の目前で、シンジは黒い死神と出会うのだった。
彼の卓越した操縦技術は、シンジを地獄へと誘うのか?
死神と対峙するアスカの運命は?
そして、コロニ−落しに秘められた秘密とは?

次回...『決戦、阻止限界点』 〜In the earth〜 Part2

この次も、サヴィ〜ス サヴィ〜ス!

ここまでの、MS紹介

RGM−2015−JA..カインやアベル等が駆る、一般兵用の機動兵器。
RGM−2015−JA・F..シンジが、Evaに乗り換えるまで、使用していた機体。
RGM−2016−JAU..この戦争の最中、開発を終えたばかりの最新鋭MS...
極秘裏のEvaを抜きにして、帝国最強の機動兵器の一つで、試作段階の為、生産数は10機以下である。
Eva、一切のデ−タ不明、抹消済み。


MS03−サキ・L...頭部が無く、胸部にモノアイが在る...
モノアイとは、「一つ目」の可動式カメラ、目に相当する。
MS04−シャムシ・L...通常のビ−ムサ−ベルの他に、両腕には光の帯っとも言うべき武器...
ライトロッドが装備されている。

登場予定..宇宙戦仕様、MS15−アラ・L などです..って、まんまですね!!(爆笑)




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