------------------------------------------------------------------------------
Destroyed by ・・・
Episode 03A -国王? 人間? 生物?- 〜プララバージョン〜
------------------------------------------------------------------------------

------------------------------------------------------------------------------
作者注:プララの記憶が薄い為、誤りがあるかもしれません。確か、赤ん坊で登場し、
        途中で少女に成長した様な気がします(頭にPの文字があった様な・・・)
        ので、少女バージョンで書きます。
------------------------------------------------------------------------------

<ネルフ本部>

「ど、どうして・・・また、あの2人なんだ・・・。」

ここ、ネルフ本部にMAGIの選抜を怨む少年が1人、胃薬を飲んでいた。

カシュー。

自動ドアが開き、アスカとレイそしてペンペンが入ってくる。

「もう、休暇だってのに呼び出さないでよね!」

「呼び出したくて呼び出したんじゃないよ・・・。」

ボソボソと愚痴をこぼすシンジ。

「碇くん。仕事の内容は?」

「うん・・・。その前に、くれぐれも言っておくけど、今回は穏便に片付けてくれない
  かな?」

「アスカがおとなしくしてれば、大丈夫よ。」

「なんですって! アンタがむやみやたらとATフィールドを炸裂させるから、いつも
  問題が起きるんでしょーが!」

「わたしは、冷静に対処しているわ。それより、アスカのサポートをするペンペンの方
  が危険だわ。」

アスカの提案でペンペンがメンバーに加わった。ペンペンのリュックサックには小型の
ファンネルが大量に装備されており、アスカの頭のインタフェースから自由に操作でき
る仕組みだ。

カシュー。

アスカとレイの後ろで、再びドアが開く。そこに現れた人物が目に入った途端、シンジ
の表情が明るくなる。

「やぁ、シンジ君。任務完了したよ。」

「あ、カヲルくん。さすがはカヲルくんだね。
  物・も・壊・さ・ず、
  人・も・傷・つ・け・ず
  犯人逮捕なんてすごいよ。」

「当然だよ。シンジ君に迷惑はかけられないからね。」

・・・ムッカー、あてつけのつもり?

・・・どうしてそういうこと言うの?

アスカとレイは、じと目でカヲルを睨み付ける。

「じゃぁ、僕はこれで失礼するよ。シンジ君も大変だろうけど、がんばるんだよ。」

「ありがとうカヲルくん。」

・・・さっさと出て行け!! このホモ!

・・・あなた用済み。

アスカとレイの刺す様な視線など、全く気にせずカヲルは退室して行った。その後を、
名残惜しそうに見守るシンジ。

「で、任務は何なのよ!」

カヲルの態度と、カヲルを見送るシンジの様子が気に入らないアスカは、吐き捨てる様
に言い放つ。

「え?」

「アタシ達を呼び出したんだから、任務があるんでしょ? 何ぼけぼけっとしてるのよ!」

「あ、そ、そうだったね。はぁ〜〜。」

「碇くん・・・どうして、溜息をつくの?」

「なんでもないんだけどね・・・はぁ〜。・・・で、任務だったね。」

シンジは胃薬片手に、今回の任務を告げる。その途中、言葉の端々に「おんびんに仕事
をしてほしい」という言葉を交えながら。

「なーんだ、簡単じゃない。その、国際的に認められていない国王を捕まえればいいの
  ね。」

「早速行きましょ、アスカ。」

「ぱっぱーーーーっと片付けて、休暇の続きを楽しみましょ。今度は、シンジも一緒に
  遊園地に行きましょうよ。」

「・・・・・・アスカ達の後始末をしなくて済んだらね・・・はぁ〜。」

アスカとレイが退室した後、既に空になった胃薬のビンをシンジは握り締めて、頭をか
かえていた。

最近、胃薬が無くなるのが早いよ・・・。アスカ達が帰ってくる前に、新しいのを買っ
ておかないといけないなぁ・・・はぁ〜。

<王国の繁華街>

アスカとレイそしてペンペンは、宮殿の近くの賑やかな繁華街を歩いていた。この国は
ダイヤモンドの輸出が盛んなことから経済が発展している。
ただ、どことなく一般的な繁華街の賑わいとは違い、お祭りの様な雰囲気がある。

「今日、お祭りでもあるのかしら?」

「しらないわ。それより、早く宮殿に行きましょ。」

「そうね、相手は子供なんだから、今回は楽勝ね。」

てくてくと、宮殿に向かい歩く2人と1匹。途中、地球外生命体らしき物体に何度とな
く出くわすが、お祭りの為の仮装か何かだろうと、あまり気にとめなかった。

<宮殿>

「何? この警備のずさんさ・・・。」

「何か変・・・。」

アスカとレイは、特に何の抵抗も受けずに宮殿へ進入できてしまった。そのこと自体が
疑問ではあるが、それ以上に宮殿の中の雰囲気がおかしい。
警備兵らしき人物達の顔が全て同じなのだ。しかも、警備員が掃除,洗濯,料理までし
ている。

「ど、どうして、みんな同じ顔なの? しかも口がひし形だし・・・。」

アスカが、その異様な雰囲気に物怖じしながら、じりじりと宮殿の奥深くへと進んでい
ると、突然後ろから・・・。

「パパンがパン! だーれが、こーろした、クックロービン!!」

                        :
                        :
                        :

何が起ったのかわからないまま、頭の中が真っ白になる2人。

「は!」

レイが我に返ると、後ろに立つ10歳前後の少年と一緒にクックロビン音頭を踊ってい
た。

私・・・何してるの?

ふと横を見ると、レイと同じ様に片足の爪先で立ち、まるで飛び込むかの様な体勢で冷
や汗をかいているアスカが見える。2人とも、あまりにも不細工な格好で固まっている。

「アスカ?」

「・・・・・・。」

我を取り戻して体勢を整えたレイは、固まっているアスカに声を掛けてみるが、全く反
応が無い。ただ、冷や汗をかいているだけである。

「アスカ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「アスカ?」

「ア、アタシのイメージが・・・。」

ようやく硬直が解けたのか、アスカはバっと体勢を元に戻すと、片手を腰に当てもう一
方の手でビシっとその少年を指差し、怒声を浴びせ掛ける。

「ア、ア、アンタ! いったい何物な・・・・・ウゲぇぇぇぇぇ。」

勢いよく、指差したのはいいが、そのつぶれあんまんの様な姿が突然目に入り、鳥肌を
立てるアスカ。

「失礼な! ぼくこそは、このマリネラ王国の国王、パタリロ・ド・マリネール8世だ!」

げ〜〜・・こいつが国王!? 人間の言葉喋ってること自体、不思議なのに・・・。
シンジの奴が、写真をアタシ達に見せなかったわけがわかったわ。

べろ〜〜〜〜〜〜〜〜ん。

こんな任務を押し付けたシンジに怒りを覚えるアスカの指先に、何やら生暖かい物が触る。

ん?

ふと前を見ると、指差した指の先を5mくらいに伸びたパタリロの舌が舐めていた。

「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

10m以上、ズサーーーーっと音を立てて後づさり、一気にファンネルを放出させるア
スカ。ペンペンのリュックサックから小型のファンネルが幾つも飛び出し、パタリロを
襲う。

ズドドドドドド。

ファンネルから放出される光線がパタリロの全身を襲う。

「死んでしまうわ。命令違反よ。」

レイが、あわててアスカを止めに入ったが、時既に遅くパタリロの体はずたずたに切り
裂かれていた。

「はぁはぁはぁ・・・。」

「どうするの? 命令違反はダメ。」

「つい我を失ってしまったわ。」

ファンネルから放出されたビームが、パタリロとそのまわりの建造物を破壊する音を聞
きつけ、幾人かの警備兵らしき人物が集まってくる。

「レイ・・・まずいわ。一時撤退よ!」

「その方がいいわね。」

しかし、集まってきた玉ねぎ頭の警備兵は、アスカとレイには目もくれずパタリロに近
づいて行く。

「殿下、何してるんです?」

玉ねぎ頭の警備兵が、声をかけるとずたずたに切り裂かれたパタリロの肉片が、どろど
ろと一個所に集まり、元の少年の体をぐにょぐよと再形成し始めた。

「うーーーん。いい運動だった」

元の形に再形成されたパタリロが、肩をコキコキ言わせながら伸びをする。

・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。

目の前で、起った現象が理解できずに、口をパクパクさせて唖然と見つめるアスカとレ
イ。

「おい! お前達! いきなりぼくを襲うとは何ごとだ!」

「え・・・。」

口をぽかんと開けてパタリロの様子を唖然と見ていたアスカだが、警備兵に囲まれてい
ることに気付く。

「殿下を襲ったんですか?」

「そうだ! タマネギ部隊! ひっとらえろ!」

アスカとレイに襲い掛かるタマネギ部隊。逃げそこなったアスカとレイは、ファンネル
とATフィールドで応戦する。

バンバンバン。

拳銃を乱射するタマネギ部隊。しかし、ATフィールドを張られ、近寄ることも銃撃す
ることも叶わず、ファンネルに全ての武器をあっという間に粉砕されてしまった。

「で、殿下! 歯がたちません!」

「フン! アタシ達に歯向かおうってのが間違いなのよ!」

対抗する手段の無くなった、タマネギ部隊が後づさりしている時、宮殿の奥から黒服の
男と金髪の女性らしき人物が歩いてきた。

「何を騒いでいるんだ。」

細い葉巻をくわえ、黒服に身を包んだ長身の男が、冷静に問い掛ける。

「をを! バンコランにマライヒ! こいつらが、ぼくを殺そうとしたんだ、やっつけて
  くれ!」

「おまえなど、殺された方が世の為だが、殺人を見逃すわけにはいかんな。そこの2人
  の娘達、死にたくなかったらおとなしくするんだ。」

美少年なら卒倒しそうな流し目で、アスカとレイを見つめるバンコラン。

「なに? アンタ。こいつをかばうっていうんなら、アンタも同罪よ! 独房に叩き込ん
  でやるわ!」

「君、何も知らないんだね。やめといた方がいいよ。この人は、MI6のバンコラン少
  佐だよ?」

横に付いていマライヒと呼ばれた女性らしき人物が、アスカに忠告している様だ。

「は? バンコラン だか 肩こらん だか知らないけど、痛い目を見るのはアンタの方よ!」

アスカはファンネルに、バンコランの周りを囲ませる。しかし、それと同時に、人間業
とは思えない速さで拳銃を撃つバンコラン。

「な!」

アスカも必死でファンネルを操り対抗するが、バンコランの動きが速く、ファンネルが
徐々と打ち落とされてしまう。

「何してるの?」

そんな様子を傍観していたレイが、苦戦しているアスカに問い掛けた。

「アンタもなんとかしなさいよ! アイツかなりの凄腕よ!」

「そう・・・わかったわ。」

レイは、ATフィールドを展開すると、一気にバンコランとマライヒを壁に押し付ける。
ATフィールドと壁に挟まれ、ガラスに押し付けた様なぺちゃんこの顔で抗議するバン
コランとマライヒ。

「こんなことをして、ただで済むと思っているのか! MI6全員を敵に回す気か!?」

体を動かす隙間も無いくらい、ぴったりと押し付けられたバンコランがひしゃげた顔で
必死でもがく。

「MI6? ハッ! 笑わせるんじゃないわよ! こっちはネルフのエージェントよ!」

ネルフのカードを見せ付けるアスカ。

「ネ・・・ネルフ・・・。わかった、我々は引き下がるから、開放してくれ。」

その言葉を聞いたレイがATフィールドを開放したので、ようやく自由になる2人。

「バン! どうしたのさ!」

「相手が悪い。彼女達はネルフのエージェントだ。MI6ごときが対抗できる相手じゃ
  ない。下手をするとMI6自体の存亡に関わる。」

「そ、そんなにすごいの?」

バンコランは、マライヒの肩に手を回すと、すごすごと宮殿から去っていく。

「おい! バンコラン! ぼくを見捨てるのか!」

「おまえなど知らん!」

「おーーーーーい! と、友達じゃ無かったのかーーーー!」

パタリロのむなしい叫びが、既にバンコランの姿が見えなくなった宮殿に響いた。

「いいかげん諦めなさい! アンタなんかのことより、彼女と平穏な日々を過ごしたい
  に決まってるじゃない!」

「彼女?」

アスカの言葉に疑問符を浮かべるパタリロ。

「マライヒのことか? わははははははは、彼はああ見えても男だ。」

「ゲ・・・ホ・ホモ・・・。」

宮殿の外には、肩を寄り添う様に歩くバンコランとマライヒの姿が見える。それを見た
アスカの全身に鳥肌がたち、脳裏にはカヲルの姿をちらつく。

「嫌ぁぁぁぁ!!」

アスカは、ペンペンのリュックサックに格納されているファンネルを全て開放すると、
バンコランの去っていった方へ全て放出してしまった。

チュドン、チュドン、チュドン。

宮殿の外では、戦闘が始まっている様だ。ファンネルの動作モードをオートに切り替え
たアスカは、再びパタリロと向かい合う。

うげぇ・・・何度見ても、気持ち悪いわね・・・。

嫌悪感を覚えながらも、手錠を持って近寄るアスカ。

「フフフフフ、ぼくの衛兵はタマネギ部隊だけじゃないぞ! プラズマX! アフロ80!」

その呼び声に反応するかの様に、アスカとパタリロの間に立ちふさがる2体のロボット。
1体は金色のロボットで、もう一体は女性型のロボットだ。

「ビビッ!」

プラズマXが、音を立てアスカに襲い掛かる。

「ちっ、ファンネルを全て放出してしまったわ・・・これで対抗するしかないわね。」

アスカは、1枚のカードを取り出し、空中に投げ放つ。そのカードは、生き物の様に空
中を舞いプラズマXとアフロ80に襲い掛かった。

ピキーン。ピキーン。

「この小娘!」

アフロ80も対抗する。プラズマXと違いこちらは言葉を喋れる様だ。

「ビビッ!」

2体のロボットは、自分達の周りを舞う1枚のカードと交戦するが、カードの動きが速
すぎる。プラズマXの光線も、宮殿を破壊するだけで効果が無い。

「どう? ネルフ特性のブラッディーカードは?」

「パパ! ママ!」

もう少しで、プラズマもアフロ80も殺られるという所へ、少女型のロボットが駆け寄
ってきた。

「プララ! 来ちゃダメ!」

戦闘中に、我が娘が近寄って来たので、慌てるアフロ80。プラズマも、ブラッディー
カードに我が身を切られながら、プララを守ろうとする。

「パパを苛めちゃ嫌ーーーー!!!」

「あ、危ない!!」

制御はOFFにしたものの、惰性で空を舞うブラッディーカードが、必死に訴えかける
プララに迫る。

アスカは床を蹴って、プララを突き飛ばした。

ズシャ。

ブラッディーカードは、アスカの肩をかすめて飛び去り床に落ちる。

カラン。

「ぐっ・・・。」

アスカは、血がにじみ出る肩を押さえながら立ち上がると、突き飛ばされたプララの側
へゆっくりと近寄った。

「アンタ!! 何考えてるのよ! 危ないじゃないの!」

「お願い! パパとママを苛めないで!」

アスカの叱咤にも負けず、プラズマXとアフロ80を庇う様にして訴えかけるプララ。

「アンタ・・・。」

プララの瞳から目を逸らし、プラズマXとアフロ80の方に向き直るアスカ。

「さぁ、どうするの!? この、つぶれアンパンみたいな国王を守るのか、この娘の言
  うように、戦闘を中止するのか。」

「ビビッ! ビビビッ! ビビッ!」

「・・・・・・・・。アンタじゃわからないわ。」

「わかりました。私たちは、退却します。」

プラズマXの代りに、アフロ80が答える。

「そうね・・・こんなの見たら、アタシもこれ以上、アンタ達とは戦いたくないし。」

3人のロボットの家族が立ち去ったことを確認したアスカは、パタリロに詰め寄る。

「さぁ、もう後が無いわよ。観念することね!」

レイは後ろで傍観している。

ガッチャーン。

アスカは、まるで汚い物に触るかのように嫌な顔をしながらも、パタリロの腕に手錠を
かけた。

「フフフウフ、甘い! 甘い!」

しかし、アスカがパタリロに手錠を掛けた瞬間・・・。

「ターーーイムワーーープ!」

フッとパタリロの体が、アスカの目の前から消えた。

「な、何なの? どこへ消えたの?」

「ワハハハハハハハ、ぼくは時間と空間を瞬間移動できるんだ。ぼくを捕まえようだな
  んて100年早い!」

「瞬間移動!? そんなのどうしようもないじゃない・・・。」

「諦めるんだな。そうだ! 任務に失敗しては、おめおめとは帰れないだろう。なんな
  らぼくの妃にしてやってもいいぞ!」

そのセリフを聞いたアスカは、なんだか頭の中を無数の巨大なナメクジが、這い回って
いる様な気がした。

「気持ち悪い。」

吐き気を、もよおすアスカ。

「あなた、それくらいじゃ逃げれないわ。」

様子の一部始終を見ていたレイが、パタリロの周りにATフィールドを球状に張り巡ら
す。ATフィールド内に捕らえることができれば、全ての物を遮断する為、パタリロと
いえど移動はできないはずだ。

「ターイムワープ!」

しかし、ATフィールドが形成される瞬間に、パタリロは瞬間移動で脱出してしまった。

「お前達、今度ぼくにちょっかいを出したら、過去へ戻って赤ん坊のお前達を攻撃する
  ぞ!」

「反則よ。」

「勝負に反則は付き物だ!」

こうなっては、レイもうかつに攻撃できなくなってしまった。

ゴソゴソ。

ようやくナメクジの這いずり回る嫌悪感から立ち直ったアスカが、スカートのポケット
を探っている。

「何をしている!?」

アスカの不可解な行動を、ふと疑問に思うパタリロ。

「アンタにプレゼントよ。ほれほれ、ほ〜〜れ。」

ポケットから取り出したのは、小銭の山だった。『小銭に異常な執着心を持つ国王』と
いう報告書の内容を思い出したアスカは、その小銭を床に向って撒き散らす。

チャリン、チャリン、チャリン。

「$$$$$」

その瞬間、パタリロの目が$に変り、小銭を拾いはじめた。

「レイ! 今よ!」

パタリロの周りに展開されるATフィールド。しかし、パタリロは小銭を拾い集めるこ
とに集中しており、全く気にしていない。

「フフフフフ。これはみんなぼくの物だ。ん? あ! しまったぁ!」

小銭を拾い終わり、ふと我に返ったパタリロは、ATフィールドに囚われていることに
気付く。

「観念しなさい。言いたいことがあれば、ネルフで聞くわ。」

パタリロは、ATフィールドの中で何やら叫んでいる様だが、音声も遮断されており、
何を言っているのかわからない。ただ、必死で何かを訴えかけている様である。

「何か言いたそうよ。」

「そうねぇ。有線の通信機でもATフィールドの中に入れてあげれば?」

「わかったわ。」

レイは、アスカの提案を受けてATフィールドを中和しながら、パタリロが囚われてい
る球形のATフィールドの中へ小型の通信機を入れてやる。

その瞬間。

「こーろした!」

スピーカーから、パタリロの叫び声が聞こえてきた。まずい! と思ったアスカは、慌
ててスピーカーの電源を切ろうとしたが・・・。

「クックロービン!!!」

間に合わず、アスカとレイはパタリロの声にあわせて、クックロビン音頭を踊ってしま
った。

「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」

「アスカ? 何してるの?」
「もう嫌・・・。」

片足で立ち、飛び込む様な体勢のまま、アスカとレイは苦笑いをしながら冷や汗をかく
だけだった。

<ネルフ本部>

「今回は、宮殿をちょっと傷つけただけだから、問題無いわね!!」

任務を無事完了しアスカは、レイと一緒にシンジのいる司令室へ意気揚々と入って行っ
た。

カシャー。

アスカとレイが司令室に入った途端、新しい胃薬のビンを握り締めるシンジに睨み付け
られる。

「アスカ・・・レイ・・・あれだけ、穏便に任務を遂行してほしいって言ったじゃない
  か・・・。それなのに・・・それなのに・・・ひどいよ。」

「何がよ。今回は何も壊してないわよ。」

「わたしも。」

シンジが何を言っているのかわからない2人はきょとんとしている。

「ファンネルはどうしたのさ。」

「え? あ! マリネラに忘れてきたわ。それくらいいいじゃない。後で誰かに取りに行
  かせればいいんでしょ?」

「MI6のバンコラン少佐を狙ったそうじゃないか。」

「あっ・・・。あれは・・・その、ホモだ・・った・か・ら・・。つい・・。」

「少佐は、大量のファンネルから逃れたくて、鉱山に逃げ込んだんだよ。」

「え?」

「鉱山に入ったファンネルは、アスカからの電波が届かなくなって、暴走したんだ。」

「え? え?」

「世界有数のマリネラのダイヤモンド鉱山が、壊滅してしまったんだ・・・。」

「私は関係無いみたいだから、先に帰るわ。」

そこまで聞いたレイは、とばっちりを食らう前にそそくさと退室してしまった。

「ちょ、ちょっと・・・待ちなさいよ!」

「アスカぁ・・・この被害報告書どうするんだよーーー!!」

机上に山積みされた書類の山を指差して、泣き出すシンジ。被害総額は、計り知れない。

「あ、あの・・・だって・・・。あ、アタシ休暇いらないから・・・じゃ、仕事がある
  から・・・さよならぁぁぁ。」

「アスカぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!」

アスカが逃げ出した部屋で、既に空になっていた新しい胃薬のビンを握り締めながら、
泣き出すシンジだった。

To Be Continued.
作者"ターム"へのメール/小説の感想はこちら。
tarm@mail1.big.or.jp
inserted by FC2 system