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西遊記物語 
Episode 04 -シーン3-
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「えびちゅぅぅぅぅぅぅっ!!!」

だがリツコに文句を言っている暇もなく、泥酔ミサトがシンジに覆い被さっているアス
カに襲い掛かって来る。

「こんちくしょーーーっ!」

後ろは川。前からは酒徒が襲い掛かって来る。もう逃げ場はない。最後の手段だ。アス
カは、<−−この後に続くアスカの行動をアンケートから選択して下さい。−−>

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アンケート結果
1位:2719票 間髪入れずシンジと抱き合って、川の中へ飛び込み2人で逃げた。
2位:2613票 シンジを楯として突き出し、ミサトの攻撃から我が身を守った。
3位: 969票 シンジを守るべく覆い被さり、自分の背中でミサトの攻撃を受けた。
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目を血走らせて迫り来るミサトのあまりの勢いに、恐怖に顔を強張らせたアスカは思わ
ずシンジに覆い被さり、川の中へと飛び込んだ。

「いやぁぁぁぁぁぁっ! 来ないでぇぇぇっ!」

「ゴボゴボゴボ。ぐるじいぃぃ。」

胸の中に泳げないシンジを必死で抱き締めながら、アスカは濁流の中で両足をむやみに
ばたつかせて泳ごうとするが、川の流れが速過ぎて思う方向へ進むことができない。

ザバーンっ!

背中で何か大きな物音がした。

「はっ! 水中衝撃波っ!」

びっくりして振り返ると、川へ飛び込んで来たミサトが目をギョロリと見開いて、物凄
いスピードで迫って来ている。さすがはカッパ。

「えびぢゅぅぅぅーーーっ!!」

「ぎゃぁぁぁぁぁーーーっ!!」

血相を変え必死に足をばたばたさせ泳ぐが、あらぬ方向に流されるだけ。その間にも、
ミサトはまさに水を得た魚という感じで急接近して来る。

「たすけてぇぇっ! ミサトこわすぎぃぃっ!」

「ゴボゴボゴボ。ぐるじぃぃぃぃ。い、いきがぁぁぁ。」

シンジが死にかけているが、とにかくミサトから逃げなければならない。

「そ、そうだっ! 分身の術っ!」

さすがは14にして大学を卒業した聡明な頭脳である。この窮地に至っても慌てず騒が
ず仙人から聞き出した分身の術を思い出す。髪を目の前に舞わせて息を吹き掛けると、
自分の分身が生まれるのだ。

「いっくわよーーーーっ!!!」

自慢の長い髪を何本か引き抜く。

「ふぅぅ〜。」

早速、息を吹き掛け分身を作ろうと・・・したのだが。

ザーーーーーーーーーっ!

あっという間に、髪は川に流され何処かへ消えてしまった。

ポコポコポコ。

吹いた息が泡になって、のぼっていく。

「川の中じゃ使えないじゃないのよぉぉぉっ!!!!」

そんなことをしている間に、目の前まで迫り来るミサト。もう目がイッてしまっている。

「えびぢゅーーーーっ!!」

「いやぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーっ! 」

絶体絶命。最大のピンチ。

目前に迫るカッパミサトに成す術もなく、もう駄目かと思ったその時だった。さすがは
天蓮元帥を名乗る水軍の長マナ、手近にあった板を舟代わりに使い、水面まで助けにや
って来てくれた。

「アスカっ! 掴まってっ!」

水の中でもがくアスカに、マナが手を差し伸べる。まさに救いの女神とはこのことだ。

マナっ!
いいとこに来たわっ!

やってきたマナを見つけたアスカは、ここぞとばかりに呪文を唱えた。

「マナよっ! えびちゅになれっ!!」

一瞬にして、マナの姿がずんどうのビール缶に変わり、バランスを崩して川の中へゴロ
リと転がり落ちる。

「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

悲鳴をあげるマナ。

「えびぢゅっ! えびぢゅーーーーーっ!!!」

わが望みここに有りっ!とばかりに、目の色を変えてマナえびちゅに飛びついたカッパ
ミサトは、がっぷりとその缶にかぶりつく。

「いっ、いやーーーーーーーーーーーっ!!!!」

「えびぢゅーーーーーっ!」

「たすけてーーーーーーっ!!!!」

ひーひーと悲鳴を上げながらマナはなんとか逃げようとするが、やっと見付けたえびち
ゅをミサトがやすやすと離すはずもなく、よだれを垂らしてしがみ付く。その隙を突い
て、アスカはシンジを引っ張り岸へと泳ぎ着いた。

「ふぅぅぅ、助かったわ・・・・って、シンジーーーーーっ!!!?」

「ゴボゴボゴボ。」

「いやぁぁぁぁっ! シンジがぁぁぁぁっ!!!」

はたと気付くと、いつの間にかシンジが白目を剥いて溺れているではないか。

シンジぃぃぃっ!
しっかりしてぇぇぇっ!

後ろの方からひっきりなしにマナの悲鳴が聞こえているが、今はそれどころではない。
なんとかして、シンジを助けなければ。

「しっかりっ! シンジっ! シンジっ!」

肩をガタガタと揺するが、そう簡単に意識が戻りそうにはない。命にかかわる一大事で
ある。

これはっ!
人口呼吸しかないわっ!

顔を赤らめながらニヘラと笑みを浮かべたアスカは、その唇を尖らせ顔を近づけて行く。

「シンジぃぃぃっ。」

「う、うーーーーん。」

その時だった。それまで白目を向いていたシンジが、幸運にも目をしょぼしょぼさせ意
識を取り戻そうとする。

「なっ! アンタバカーーーっ!!!?」

咄嗟にアスカの右手が大きくスエードバック。ほっぺを叩いて、気をしっかり持たせな
ければいけない。

「シンジっ! 大丈夫っ!? シンジっ! しっかりっ!」

ゲシゲシゲシッ! ドカドカドカッ!

「ぐはっ! げほっ! ぐふっ!」

ガスガスガスッ! バッチーーーーーーーーーンッ!

「ほげーーーーーっ!」

シンジの意識は、再び迷宮を迷い始める。

「ん? また、意識を失ったのね。人口呼吸しかないわっ!」

シンジが意識を回復しそうだったので軽く頬を叩いてみたが、また意識を失ってしまっ
たようだ。やはり、人口呼吸するしかシンジを助ける道はない。

「シンジぃぃぃっ。」

また恥ずかしそうに頬を赤らめ、唇を尖らせ顔を近付けて行く。そして、2人の唇が今
まさに1つになろうとした時。

「もういやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ミサトのよだれを振り払いながら、ずんどうなえびちゅ缶に変えられたマナが2人の前
をぴょんこぴょんこと走って行く。その後ろからズドドドドドと追い掛けて来るミサト。

「たすけてぇぇぇぇぇぇっ!」

「えびぢゅーーーーーーっ!」

「いやぁぁぁぁぁぁーーっ!」

「えびぢゅーーーーーーっ!」

ドッカーーーーーン。

人口呼吸まであと5ミリというところで、えびちゅ缶を追って突っ込んで来たミサトが
アスカにぶち当たりぶっ飛ばした。

「うーん・・・。」

くらくらと頭を振りながら、シンジがその衝撃の音で目を覚ます。

「はっ! シンジっ!!!」

ぶっとばされたアスカの目の前で、なんとシンジが立ち上がっているではないか。もち
ろん、意識のある相手に人口呼吸はもう不要である。

「ん・・・あれ、アスカ? ぼく、どうしてたんだろう?」

「そ、そんな・・・もうちょっとだったのにぃっ!!!」

ギロっとえびちゅ、えびちゅと口走りながら、走り回るカッパミサトを憎悪の篭った目
でアスカが睨み付けた。

「アンタだけは許さないわっ!!!!!!!」

ゴォォーーーーオとアスカの青い瞳の中で、まるで地獄の業火のような炎が音を立てて
燃え上がる。

「きんとうーーーーーーーんっ!!」

ご主人様の世にも恐ろしい怒鳴り声に、大慌てで駆け参じた金斗雲に飛び乗ったアスカ
は、全力飛行マッハ10で如意棒を握り締めミサトに特攻。

「ぶっころすっ!!! 」

ドッカーーーンというソニックブームの爆音と共に突進したアスカは、その勢いのまま
ミサトの頭のお皿に如意棒を叩き込む。

「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

パッカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンっ!

「ぎやぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!」

最大の弱点のお皿を殴り飛ばされ、この世の物とは思えない大きな声でミサトが悲鳴を
上げる。それでも、アスカの攻撃は容赦なく続く。

「よくもよくもっ! もうちょっとで、キスキスキスだったのにぃぃぃぃっ!!!!」

両目を逆三角に吊り上げ、蜂が獲物を狙うようにしつこくしつこくミサトを猛攻撃。キ
スの恨みは恐ろしい・・・キス? そういえば、人口呼吸じゃなかったのだろうか?

「だ、だ、だずげでぇぇぇぇぇっっ!!!」

「まてーーーっ! どりゃーーーーーーっ!!!!」

頭のお皿に走るあまりの激痛に、さすがの酔いどれミサトも涙を流して逃げ回る。その
先に、またしても間の悪いことに、シンジがぼーーーっと立っていた。

「だずげでぇぇぇぇぇっ!!!」

「ん? なんだろう・・・わっ!」

なにか声がしたのでシンジが振り向くと、涙と鼻水を飛び散らせながらミサトが迫って
来ているではないか。

「ミサトさんっ! 来ちゃ駄目だっ! わーーーーーーーーーーーーっ!」

ドッカーーーーーーーーンっ!!!

時、既に遅かった。ミサトの重戦車アタックをモロにくらい、脆くもシンジは弾き飛ば
される。

ズシャッ!

「う、うーーーーーーん。」

地面に頭から落ちたシンジは、またしても意識を失いその場にバタリと倒れ込む。

「ミサトーーーっ! まてぇぇぇ・・・・ん? シンジ?」

積年の恨みを晴らすかのような勢いで、執拗にミサトを追い掛け回していたアスカの目
に、ぶっ倒れているシンジの姿が飛び込んでくる。

「じ、人口呼吸よぉぉぉぉっ!!!!!」

こうなれば、もうミサトなどどうでもいい。このチャンスを逃しては、次いつ人口呼吸
できるチャンスが訪れるかわかったものではない。

「シンジぃぃぃっ! 今、助けてあげるわねっ!!」

金斗雲からシンジの横に降り立ったアスカは、邪魔な如意棒を小さくして耳の上にしま
うと、またまた顔を赤らめて唇を尖らせ顔を近づける。

シンジぃぃぃぃぃ。

シンジの顔が目の前に近づいて来る。

人口呼吸よぉぉぉ。

そして、2人の唇が1つになった。

チューーーーーーーーーっ!

「シンジぃぃぃ。大しゅきよぉぉぉっ!」

チューーーーーーーーーっ!

「シンジぃぃぃ。」

チューーーーーーーーーっ!

それからアスカの人口呼吸は、シンジが意識を回復する夜遅くまで、熱意をもって休む
間もなく続けられた。

<大阪>

一行はしらふになったミサトを加え、町の人から大量の食料を受け取り、紀伊山脈を越
えて大阪の町迄やって来ていた。

「ごめんねぇ。アスカ。つい酔っ払っちゃって。」

「アンタのせいで酷い目に合ったわよっ。」

「ごみんちょ。」

「ま、おかげで食料もいっぱい手に入ったけどね。とにかく、迷惑掛けたんだから、ち
  ゃーんと初号機探すの手伝うのよっ!」

「わーってるって。」

あれだけミサトに酷い目に合わされたアスカだったが、心行くまで人口呼吸ができた為
か、お肌もつやつやしとても上機嫌。

「うーん。ぼく、どうしたんだろう? あんまり記憶がないんだけど。」

「溺れたんだもん、よく覚えてないのよ。」

「気が付いたら、なんか口の周りべたべたしてたんだけど・・・なんでだろう?」

「川の水のせいよ。」

「そうかなぁぁぁ。」

まぁ、アスカが言うんだからそうなんだろうと、シンジも納得しリツコに跨り大阪の町
を進んで行く。だが1人納得できない少女の姿があった。

「助けに行ったのに、なんで缶にされるわけぇぇっ!?」

「似たようなもんじゃん。缶も、アンタも。」

「わたしの何処が缶に似てるのよぉぉっ!!」

「この辺・・・。」

ツツツと胸から腰に掛けてのラインを指で示す。だがそれは冗談では済まされず、マナ
の頭の上あたりでカチン☆という音が聞こえた。

「アスカより細いわよっ! くびれてないのは、アスカじゃないっ!」

「ぬわんですってーーーーっ! この幼児体系っ!」

「今はスレンダーな女の子が流行なのよっ!」

「はんっ! 胸の無い女の僻みねっ!」

あからさまに胸を強調して体のラインを作り、マナに見せつけたりしている。だが、上
には上がいるものだ。

「あーら、セクシーな女ってのはこういうのを言うのよん。」

年甲斐も無く対抗意識を燃やしたのか、今度はミサトがバヒーンバヒーンと体のでこぼ
こを強調してポーズをとり始めた。

「むむむ・・・! フン! 垂れるのも時間の問題ねっ!」

「アスカっ! もう1ぺん言ってみないさいっ!」

「そんなにでかくなっちゃ、可愛気もなにもあったもんじゃないわっ!!!」

「フッ。なーに? 僻み?」

「僻んでなんかないわよっ! ハリはアタシの方があるもんねっ!」

などと女性陣が不毛な争いをしている間、どう頑張っても話題に入っていけないシンジ
は、リツコの上でぼーーーっと空を眺めていた。

うーん。
やっぱり、目が覚めた時さ。

空を見上げながら、自分の唇を指でなぞってみる。

目が覚めた時、アスカのにおいがしたような・・・。




さて、同じ頃。

大阪の別の場所では平和に暮らしているカップルの姿があった。

「さすが委員長やで。今日の料理は1番美味いわっ!」

「そう? 昨日もそう言ってなかった?」

「昨日のも1番美味うて、今日のも1番っちゅーこっちゃっ。」

「ううふふ。鈴原ったら、おかしい。」

黄泉の道を帰る時、ミサトがカッパになってしまったように、鬼の姿に変えられてしま
った2人だったが、姿形など関係なくまるで長年連れ添った仲睦まじいい夫婦のように、
楽しい夕食のひと時を過ごしていた。

「ねぇ。鈴原? いつまでもわたし達一緒よね?」

「当たり前や。こうやって畑耕しながら、暮らすっちゅうのもええもんや。」

「ありがと。・・・・あの、鈴原・・・あのね。」

「なんや?」

「わたし、いつから鈴原のこと好きだったか知ってる?」

「ど、どないしたんや。いきなり。」

いきなりそんなことを言い出すヒカリに、トウジはなんだか照れてしまい、しどろもど
ろになりながらなんとか返事を返す。

「ねぇ。いつからだと思う?」

「ほんなん、知るかいな。」

「わからない?」

「わかるわけないがな。いつなんや。」

「ふふふ。ないしょ。」

「・・・なんやそれ。」

嬉しそうにするヒカリを、わけがわからないといった顔で眺めながらも、トウジはいと
おしそうに彼女の肩を右手で抱き寄せるのだった。

<天界>

同じ頃、天界でラーメンを食べていた釈迦牟尼尊者の称号を持つレイの元に、大神様が
訪れて来ていた。

「釈迦牟尼尊者はおるか。」

「あっ。は、はいっ! 大神様っ!」

突然現れた大神様にびっくりしてラーメンを背中に隠し、口からピロピロンと出ていた
麺を慌ててツルツルツルとするる。

「地上で魔物が暴れているようだ。お前は何をしておるのだ。」

はっ!
ラーメンばかり食べてたもの・・・。
最近、地上を見てなかったわ。

このままでは、毎日のんびりとラーメンを食べてばかりいる嬉しくて美味しい生活が、
脅かされるのではないかという危険信号が、レイの頭にピコンピコンと灯り出す。

「大丈夫ですっ! 碇君一行が鬼退治をしています。」

「うーむ。本当に鬼退治をしておるのじゃろうな。」

「は、はい・・・。」

咄嗟に適当なことを言ってしまったが、もちろん嘘八百。疑われているかもしれない。
なんとかして大神様を誤魔化せるネタはないかと、大慌てで人間界MAPを広げたりし
てみる。

「え、え、えっと・・・ここに碇君一行がいます。」

「ほぉ。大阪じゃな。」

「はい。大阪です。」

「じゃが、鬼退治しているようには見えぬが?」

「そんなことありません。鬼退治に向かっているところです。」

「何処に鬼がおるのじゃ。」

誰でもいいから、とにかく近くに鬼を見付けなければ、ラーメンが食べられなくなって
しまう。レイは目を皿のようにして、シンジ達の近くにいる適当な鬼を探す。

「そ、そして・・・えっと。鬼は、鬼は・・・あのあの、あっ! ここに鬼がいますっ!」

「ふむ。」

「金角,銀角という鬼です。とっても悪い鬼です。今、この悪い鬼を退治しに向かって
  いるとこですっ!」

「なるほど、そういうことじゃったのか。さすがは釈迦牟尼尊者じゃ。」

「は、はい。」

「引き続き。人間界のことは頼むぞ。」

「はい。」

レイの仕事振りを聞いた大神様は、満足した顔でその場を去って行った。さて、焦った
のはレイである。

碇君に急いでこの鬼を退治して貰うの。
大神様に嘘がばれる前に言いにいかないと・・・ん?

ラーメン生活を安泰のものにしようと、シンジの元へレイが新たな指令を出しに行こう
とした時、先程の人間界マップにいた鬼の名前がなんだか見覚えのある気がした。

うーん・・・・・・この鬼って。
鈴原くんと、洞木さんだったのね。

思わず嘘を隠そうと悪い鬼と言ってしまったが、なんとそれはかつてのクラスメートの
2人ではないか。

うーん。

レイは指を口元に当てて、どうしたものかと少し考える。

もう駄目なのね。
大神様に悪い鬼だと報告してしまったもの・・・。

どうやらラーメン生活への魅力の方が、かつてのクラスメートへの絆を上回ってしまっ
たようである。レイはヒカリとトウジを悪い鬼として突き通すべく、まずはその2人の
元へ向かうことにした。

<大阪>

相変わらず仲睦まじく夕食を食べているヒカリとトウジ。かたい愛情を誓い合った2人
の前には、幸せな未来が開かれているかのように思える光景。

「明日は2人で、きのこでも取りに行こかいな。」

「うんっ。美味しい料理作るわね。」

「おっ! ほんなら、頑張っていっぱいとらなあかんなっ!」

お腹も膨れ、明日の予定を楽しそうに立てていた幸せな2人。だが、その空間を切り裂
くかのように、突然天から何者かが舞い降りて来た。

ズドドーーーーン。
ガンガラガッシャーン。

「こんばんは・・・夜の挨拶の言葉。」

屋根を突き破り、意味不明な挨拶で姿を現す巨大化してちょっとでも威厳を出そうとし
ているレイ。

「わーーーーーっ!」
「きゃーーーーっ!」

いきなり何事かと、腰を抜かさんばかりにトウジもヒカリも尻餅をついて驚いている。

「な、な、な、なんやっ?」
「あ、あやなみ・・・さん?」

「そう。私は綾波レイ・・・そしてあなた達は悪い鬼さん。」

「はっ? なに言ってるのよ。綾波さん。」

「悪い鬼さんは、退治しなければいけないもの。」

「なんで、ワイらが悪い鬼やっ。」
「そうよ。誰にも迷惑なんて掛けてないわよ?」

「もう決まったもの。」

「なに、無茶言うとんのやっ!」

「そう・・・もう駄目なのね。碇君に退治して貰うもの。」

「なんでやっ! なんで、そーなんねやっ!」
「綾波さんっ! そんなの酷いっ!」

「大丈夫。酷いことにはならないわ。」」

「なんでやっ! 酷いやないかっ!」

「悪役は、やられたら飛んで行って、キランってお星様になるだけ。酷いことにはなら
  ないもの。」

「そんなの、いやぁぁぁぁっっ!」
「ほれって、ギャグキャラやないんかぁぁぁっ!?」
「純愛路線でストーリーを盛り上げてたのにぃぃっ!」

「さようなら、クスクスクス。」

2人の叫びなど何処へやら、レイは不吉な笑いを残して何処へともなくその姿を消して
しまった。

「鈴原ぁ、どうしよー。」

「委員長っ! こうなったらしゃーないでっ!」

「どうするの?」

「こななったら、<−−ここに入るトウジのセリフをアンケートから選択して下さい。−−>」

以下は、アンケート結果により、物語の進行方向が変わります。

To Be Continued.
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