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西遊記物語 
Episode 05 -シーン4-
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<大阪>

2人の叫びなど何処へやら、レイは不吉な笑いを残して何処へともなくその姿を消して
しまった。

「鈴原ぁ、どうしよー。」

「委員長っ! こうなったらしゃーないでっ!」

「どうするの?」

「こななったら、<−−ここに入るトウジのセリフをアンケートから選択して下さい。−−>」

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アンケート結果
1位:726票 ワイらはあくまで純愛路線ストーリーを貫くんやっ!
2位:337票 渚牛魔王に助けて貰うんやっ!
3位:170票 シンジと全面対決すんでぇっ!
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さてその頃、シンジ一行はというと。

大阪と言えば食い倒れ。ここまで来たからには、美味しいものを食べなければ生きてる
意味がない。

「たこ、たこ、たこ、たこ焼き、もっと持ってくるのよーーっ!!!」

美味しいたこ焼き屋に入った一行は、これでもかと言わんばかりに次から次へたこ焼き
を食べている。

「えび、えび、えび、えびちゅ、もっと持ってきなさいっ!!!」

美味しいたこ焼き屋に入った一行は、これでもかと言わんばかりに次から次へえびちゅ
を・・・ここはたこ専門なので、えびを頼むのは宜しくない。

「もーらいっ!」

「あーーーーっ!」

シンジのたこ焼き、あっさりアスカのお口へ直行。先程から出てくるたこ焼きを全て奪
われ続け、シンジはもう涙目。

「あーーーっ! アスカっ! それ、わたしのーっ!」

「マ、マナ・・・違うだろ? ぼくのじゃないか。」

「マナちゃんにもぉっ! シンジのは、みんなのものじゃない。」

「だから、アタシが食べてあげたのよーっ!}

「アスカばっかり、ずるーーーいっ!」

「アンタのものはアンタのもの。みんなのものは、アタシのものなのよっ!!」

「アスカのなんかじゃないっ! シンジのものは、みんなのものっ!!」

「・・・・・・みんなのじゃなくて、ぼくの。」

馬のリツコですらたこ焼きを食べているというのに、この身の不幸をシンジは呪い続け
る。

「ふぅ。おなかいーーーっぱいっ!」

「わたしもぉ。」

「えびちゅは、もうないのぉっ?」

「ヒヒーーーーン。」

「ぼく・・・全然食べてないんだけど。」

みんなお腹いっぱい美味しいたこ焼きを食べて満足気な表情。人間、満腹になると幸せ
になるものだ。

「さっ、さっ、シンジ。急いでリツコに跨ってっ。」

「え? え? わーーーっ!!!」

なんだか不満そうにしていたシンジを、アスカが無理矢理リツコに跨らせ、それと同時
に金斗雲を呼びつける。

「きんとうーーーーーーんっ。」

「いそがなくっちゃ。赤木博士、シンジのこと宜しく。」

「ヒヒーーーーン!」

慌しく動き出したアスカ達を前に、いったい何が起こっているのかわからず、シンジが
あたふたしているうちに、一行は店から飛び出して行く。

「なんだ? なんだ?」

リツコに跨っていたシンジは、あっという間にその背中の上で疾走していた。その上を
金斗雲に乗って飛ぶアスカに、両脇をマナとミサトが猛スピードで走っている。

早い話・・・食い逃げだ。遅く言っても食い逃げと言う。

「お金払ってないよっ! 店の人怒ってるってばっ!」

「旅の恥は掻き捨てってもんよっ! だから、旅の食べ物も食い逃げなのよっ!」

「そ、そうなの? かなぁ。」

だが、こんな悪いことをする一行を、神様が黙って見過ごすはずもなく、彼女達の前に
赤い壁がバヒーンと現れた。

ドッカーーーーーーン!!!

金斗雲に乗り猛スピードでぶっとんでいたアスカは、顔面から激突し頭から地面に墜落。
マナやミサトも、その壁に鼻を打ちつけもがき苦しんでいる。

「いったいなんなのよーーーっ!!!」

両手で顔を押さえて立ち上がったアスカが見上げると、そこにはATフィールドを展開
して行く手を遮っている大きくなったレイの姿があった。

「ファーストっ! なにしてんのよっ! 危ないじゃないのっ!」

「食い逃げ・・・したのね。」

「え? あ、や、やーねぇ。そんなことしてないわよ。」

「私、見たもの。大神様に報告して、また富士山の下敷きね。」

「い、いやーーーーーーーーーっ! それだけはいやーーーーーーーーーーっ!!」

「もう駄目。あなたは、富士山の下敷き。決定。打診じゃないわ。けってーー。」

「ま、まってよ。ア、アンタと、アタシの仲じゃない。」

いつどんな仲になったというのだろうか。いや、そんなことを言っている場合ではない。
もう富士山の下敷きだけは勘弁願いたいアスカは、必死でレイに懇願する。

「じゃ、1度だけチャンスをあげるわ。」

なんだか、偉そうにしているレイ。体をでかくすると、態度もでかくなるのだろうか。

「なになに?」

「この先に、金角と銀角っていう悪い鬼がいるの。その鬼を退治するの。」

「やっつけりゃいいのねっ! まっかせなさいっ!」

「そう。やってくれるのね。」

「やっつけたら、富士山の下敷きにならなくて済むんでしょーねっ。」

「ええ。問題無いわ。」

ニヤリと笑みを返すレイ。うまくアスカ達を丸め込むのに成功した。脅迫とも言う。と
もかく、これでラーメン生活は安泰だ。なんだか、レイが1番の悪役じゃないだろうか
・・・と最近思う。

こうして一行は、トウジとヒカリが転生した、金角と銀角を倒しに大阪の街を進んで行
くこととなった。




一方、トウジとヒカリはというと、なにが起ころうと純愛路線を貫こうと硬く互いの心
に近い、大阪の街にその姿を現していた。

「もし、シンジと戦わなならんようなっても、ワイは委員長を必ず守るさかいな。」

「鈴原・・・。わたしなら大丈夫。だから、無理はしないで。」

「何言うとんのや。水臭いこといいっこなしやで。」

「鈴原・・・好きよ。」

互いに手に手を取り、金剛山を下り大阪の街の中心に向かう。すると、前方からこちら
へ強い妖力が向かってくる気配がした。

「シンジやな・・・。ワイにはわかる。」

「やっぱり、碇くんと戦わなくちゃいけないの?」

「綾波のあの様子やったら・・・もう逃げれへんやろ。大丈夫や、ワイらにはこの瓢箪
  がある。」

腰にぶら下げて持って来た瓢箪を手に取り、ヒカリの目の前に出す。名前を呼んだ相手
がこの瓢箪の前で返事をすると、吸い込んでしまうという強力な妖力を持つものだ。

「この瓢箪に吸い込んで、ワイらはただ仲良く暮らしていきたいだけやって説明したら
  シンジならわかってくれよるわ。」

「そうね・・・。わたし達の愛をわかって貰えたら、きっと・・・。」

だが、次の瞬間。トウジもヒカリも自分達の思惑が、なんと甘い考えだったのかを思い
知らされることとなる。

「な、なんやぁっ!?」

「ちょ、ちょっと。鈴原っ!? あれってっ!!!」

「シ、シンジだけちゃうやんけーーーーーーーーーーーっ!!!」

レイの話っぷりからして、相手はシンジだけだと思っていたトウジとヒカリだったのだ
が、現れたのはシンジに加えてアスカ、マナ、ミサトと、なんかわけのわからない馬。

赤木リツコよっ!
名前もわかって貰えないのっ!?
無様ね・・・私。

よりにもよって、アスカやマナなんぞが敵となっては、お人よしのシンジとはわけが違
う。相手が悪すぎる。大ピンチだ。

「ちょいまちーなっ! ほんなん聞いてへんでっ! 惣流がまた、あほみたいに雲に乗っ
  て高いとこにおるがな。」

驚きのあまり、つい余計なことを口走るバカトウジ。

「ぬわんですってーーーーーーーっ!!」

ブチブチっ! 切れるアスカ。

「ズンドウ霧島と、ミサトのおばさんまでおるがなぁぁっ! こないなメンバーやて聞
  いてへんがなぁぁっ!」

カッチーンっ! 切れるマナとミサト。トウジは自ら墓穴を大きく掘ったようだ。

喩えレイの策謀がなくとも、今の一言だけでトウジはアスカとレイを敵に回すに十分だ
ったことだろう。

「あの鬼っ! ブッコロスっ!!」

目を吊り上げ金斗雲をぶっ飛ばしてくるアスカと、地上を突進してくるマナとミサト。
このままではやられる。やばすぎる。

「鈴原っ! 名前っ! 名前を呼ぶのよっ!」

「ほ、ほやっ! 瓢箪があったんやっ!」

瓢箪をアスカに向けて、トウジが大声を放つ。

「惣流ぅっ!!」

「ぬわに呼び捨てにしてんのよっ!!!」

ドッカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンっ!!!

如意棒でおもいっきりぶったたかれ、トウジ地面に減り込む。

「いやーーーーーーーーーーっ! 鈴原ぁぁぁぁぁっ!!!」

「あ、あかんっ! 先に、こっちやっ!」

トウジ矛先をマナに変える。

「ズンドウっ・・・まちごた。霧島っ!」

「誰がずんどーーーーですってーーーーーーーっ!!」

目が▼こんなになったマナの両手に炎が燃え上がった。

ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!

「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

間髪入れず地獄の業火にトウジが焼かれる・・・ある意味これは自業自得というべきか
もしれないが。

「委員長っ! 誰も返事せーへんがなぁっ!」

「鈴原ぁぁっ! 喩えここで死んでも、わたしはずっと鈴原と一緒よぉぉっ。」

「死んでも委員長をワイは守ってみせるでぇぇっ!」

「鈴原好きぃぃっ!」

「ワイも委員長が好きやぁぁぁっ!」

ボロボロにやられながらも、しっかと抱き合うトウジとヒカリ。その姿を目の当たりに
したアスカは、攻撃の手を緩めた。

「ラブラブで対抗しようなんて、100年早いってのよっ!」

そして、アスカは呪文を唱えた。

「<−−ここに入るアスカの呪文をアンケートから選択して下さい。−−>」

以下は、アンケート結果により、物語の進行方向が変わります。

To Be Continued.
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