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西遊記物語 
Episode 06 -最終回-
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<大阪>

「鈴原ぁぁっ! 喩えここで死んでも、わたしはずっと鈴原と一緒よぉぉっ。」

「死んでも委員長をワイは守ってみせるでぇぇっ!」

「鈴原好きぃぃっ!」

「ワイも委員長が好きやぁぁぁっ!」

ボロボロにやられながらも、しっかと抱き合うトウジとヒカリ。その姿を目の当たりに
したアスカは、攻撃の手を緩めた。

「ラブラブで対抗しようなんて、100年早いってのよっ!」

そして、アスカは呪文を唱えた。

「<−−ここに入るアスカの呪文をアンケートから選択して下さい。−−>」

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アンケート結果
1位:802票 あまえんぼうアスカちゃんの術!
2位:218票 バカップル アスカちゃん マナちゃんの術! あっ、いい間違えた(激汗)
3位:209票 バカップル アスカちゃん シンちゃんの術!
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「あまえんぼうアスカちゃんの術!」

トウジとヒカリの純愛攻撃に対抗すべく、とうとうアスカは禁断の術を称えてしまった。

突然アスカの周りに発する妖しい妖気に、シンジは何が起こったのかわからず、きょろ
きょろするばかり。

「なんだ? なんだ?」

「シンちゃん・・・なんかおかしいわよ? アスカ、いったいどうしちゃったの?」

「み、見てっ! シンジっ!」

おろおろするシンジとミサトに、マナが大きく目を見開いて指差す。その先に見えるの
は、ピンク色のオーラに包まれたアスカの姿。

ぴゅく、ぴゅく、ぴゅく、ぴゅくっ。

「きたわ。きたわ。きたのよーーーっ!」

ぴゅく、ぴゅく、ぴゅく、ぴゅくっ。

いっぱいに広げたおてて。胸いっぱいに広がるピュアーなラブ。お空に浮かぶは、やわ
らかそうな、真っ白綿菓子な雲さんぽわんぽわん。

「見てぇーーっ! シンジぃぃ、ぷかぷかしてるのよぉっ!」

お空と同じ透き通る青い瞳に、いっぱい綿菓子映ってる。嬉しいアスカが笑顔もいっぱ
い振り向くと、そこにはシンジのお顔がルックルック。

「わたがしさんは、見えないのよぉぉっ!」

お空を見てたアスカのおめめも、きょろんきょろん。その青い瞳は、もうシンジのお顔
しか映っていない。

「だって、だってぇ。アタシのおめめは、シンジでいっぱいになっちゃうのぉっ。」

両手を大きく広げて、ピンク色のオーラをパッパッ。あそこに見える王子様。シンジに
向かってゴーゴーゴー。

「シンジぃぃ、しゅきしゅきしゅきーーーーーっ!!」

「うっ、うわーーーーーーーーっ!!!」

突然のアスカの豹変に恐怖したシンジは、おもわず叫び声を出して逃げ出してしまう。

「お、お、おい。委員長・・・なんや、あれ・・・。」
「わ、わたし、怖い・・・。」

目を丸くするトウジとヒカリなど、もう目には入らない。アスカは大きくホップ、ステ
ップ、ジャンプ。シンジ目掛けて、ぴょんぴょんぴょん。

「アタシのハートを、受け止めてぇぇぇ。」

シンジ仰天。

「わぁぁぁ、ミサトさんっ! マナっ! アスカが変だーーっ!! 助けてぇぇっ!!」

救いをミサトとマナに求めるが、いざとなっては薄情なもの。泣きついてきたシンジを、
2人はガシっと掴み、アスカの前に叩き出す。

「シンちゃんっ。こっちに来ないでっ。」
「ほらほら、アスカが呼んでるわよ。」

「ぼ、ぼ、ぼくの気持ちを裏切ったなぁぁっ!!」

「シンジぃぃ、だっこ、だっこーーーぉっ。」

「な、な、なんだよ、だっこってーーーっ!!」

ぴょんぴょこ、ぴょんぴょこ、迫ってくるアスカに恐怖したシンジは、もう戦いなど何
処吹く風。藁をも縋る思いで、トウジとヒカリの元へ逃げ込んだ。

「ぼくを助けてよぉぉっ!」

「なんで、こっち来るんじゃーーっ!!」

「助けて欲しいんだよぉぉっ!」

「来んなっちゅーとるやろがっ! あんなんワイかて、かなんがなっ!!!」

トウジとヒカリにまで蹴り戻されたシンジの目の前には、ぴょこぴょこぴょーーんと、
大きくジャンプして抱きついてくるアスカの姿。

お空にぴょーんと飛び上がる、うさぎさんだってびっくりなアスカの前には、シンジの
ラブなハートがドキドキだ。

「シンジのハートに、だーいびーんぐっ!」

「うわーーーーーっ!」

ほっぺを赤くしてアスカが飛び込んで来る。シンジは顔を引き攣らせ、とにかくこの状
況から逃れようと、アスカをぶら下げたままトウジとヒカリの元へ救いを求め走る。

「く、くんなやっ! なんでこっち来るんやっ! おんどれっ!」

「鈴原っ! 瓢箪よっ! 瓢箪で吸い込むのよっ!」

「ほ、ほや。これがあったんやっ!」

呼ばれた名前に返事をした者を吸い込むという瓢箪を、巻き添えはご免とばかりにトウ
ジはアスカに向け名前を叫ぶ。

「惣流っ!!」

「あっあ〜ん。シンジのアスカちゃんよぉぉぉっ!!」

思わずトウジの呼び声に返事をしてしまった。その途端、気流が音を立てて瓢箪に向か
い流れ出し、アスカの体が吸い込まれ始める。

「いやーーーーーーっ!!」

瓢箪に吸い付けられ、シンジからめりめり引き剥がされていく、アスカの体。

「やのっ! やのっ! やのーーっ! だっこなのぉぉっ!!!」

やっとシンジのお胸に飛び込んだのに、おててを離してはとっても大変。だっこが大事。
アスカは両手でシンジに抱き付き、一心不乱にぎゅっぎゅっぎゅっ。

「あっ! あの瓢箪はっ! アスカ、あれに吸われたら溶けちゃうよっ!」

「いや〜〜んっ! シンジぃぃ、もっとだっこぉぉっ!」

「いや・・・だっこじゃなくて。」

「だっこなのよぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

アスカの豹変振りにびっくりしていたシンジだったが、このまま吸い込まれてアスカが
溶けてしまっては大変だ。アスカを離してなるものかと、必死で抱きしめる。

「アスカっ! 離しちゃ駄目だっ!」

「だっこ。だっこぉぉぉ〜っ!!! もっと、もっとぉぉ〜。」

「わーーーっ! 暴れちゃだめっ!!」

ぎゅっとだっこで嬉しいアスカは、腕の中でぴょんぴょこぴょんと大はしゃぎ。とって
も幸せ、ハッピーお天気、お顔も満点。

いや、シンジはそれどころではない。地面に足を踏ん張り頑張ってたのだが、とうとう
バランスを崩してしまい、アスカと一緒に吸い込まれて行く。

「わーーーーーーーーっ!!!」

「シンジぃぃ。しゅきしゅきぃぃぃ。」

「『しゅきしゅき』じゃないだろぉぉっ。吸い込まれるーーっ!!」

バスっ!っと音を立てて、瓢箪に突入。

だが・・・瓢箪の吸い込み口は1人用。2人一緒に吸い込まれたシンジとアスカは、腰
から下だけ吸い込まれ、瓢箪の口の辺りで抱き合ったまま糞詰まり。

「た・・・助かった。でも、どうしよう。なんとかして、ここから抜けなくちゃ。」

「シンジったらぁぁん。そんなにくっついちゃ、やのやのよぉぉ。」

「ちょ、ちょっと、動いちゃ駄目だって。」

「もっと、いーっぱいくっちゅくのよぉぉぉっ!!!」

「わーーっ! 暴れないでっ!」

カミソリの入る隙間もない程ぴったりくっついたアスカは、シンジの腕の中でモゾモゾ
動き、お顔をシンジのお胸にぴったんこ。

「シンジったらぁ。ドキドキしてるのよぉぉっ!」

「死にそうだから、ビクビクしてるんじゃないかっ!」

「アスカちゃんも。ドッキドキなのぉぉっ!」

自分もドキドキしているってわかって欲しい。今度はシンジの耳を自分の胸を押し当て
て、ドキドキ感を ぷれぜんと ふぉー ゆー。

「動いちゃ駄目だって言ってるだろ。吸い込まれたら溶けちゃうんだってばっ。」

「ううーん。溶けちゃうのよぉぉっ!
  アスカちゃんったら、シンジにくっちゅいて、とろとろろ〜ぉ。 とロろろロ〜。」

「そうじゃなくて・・・。」

瓢箪に吸い込まれかけているシンジとアスカのピンチを目の当たりにするミサト、マナ、
リツコは、それぞれ顔をつき合わせ。

「マナちゃん、2人を助けなくちゃ・・・。」
「葛城さんこそ・・・どうぞ。」
「そうだわ。こういうことは、リツコに・・・。」
「ヒヒーーーン。」

必死で否定する、馬リツコ。

「やっぱり、マナちゃん。お友達でしょ。」
「家族の葛城さんの方がいいかなーなんて。」
「い、いやよ。近寄りたくないわ。」
「わたしも・・・。」
「ヒヒーーーン。」

必死で同意する、馬リツコ。

どうやら味方同士で、互いに誰が助けに行くかなすりつけ合っているようだが、誰も行
く気は無いらしい。

「い、委員長ぉー。えらいことしてもたぁ。こ、こんなん、どないしたらええんやっ。」

手にしていた瓢箪の先に詰まってしまい、ぺったりくっついている2人をどうしたもの
かと、トウジはあたふたするばかり。

瓢箪の先では、トウジとヒカリなど蚊帳の外。脱出作戦刊行中。

「ちょっとづつ這い出るから、じっとしてるんだよ?」

「あっあーん。シンジのお口、ぷりんぷりんなのよぉぉっ!」

「あの・・・それどころじゃないんだけど・・・。」

「ちゅんちゅんしちゃうのよぉぉっ。」

「唇、突付かないでって。」

「ちゅんっ! ちゅんっ! ちゅんっ! とってもやわらかいのよぉぉっ!」

「いや・・・だからね。脱出・・・。」

「アスカちゃんのお口も、ちゅんちゅーんって、して欲しいのよぉぉっ!!!」

「お願いだから、言うこと聞いてよ。先に、ここから出ないといけないだろ?」

なんとかしてアスカにじっとしていて貰おうと、シンジは一生懸命説得を始める。なに
より、脱出が先決だ。

「じゃーねぇ。ちゅんちゅん、してくれたら、じっとするのよ。」

「ほんとだね。」

「じっとするのよ。」

「・・・わかったよ。」

「ちゅーーんってするのよぉぉっ!! ちゅーーーんなのよぉぉぉぉっ!!!」

「はいはい。」

アスカの唇をツンと突付く。

「だめーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

「なにがだよ。」

「だめだめよ。そんなの、ぜんぜんだめなのよ。もっと、ぷくぅってなるように、
  ちゅーんってしなくちゃ。やのやのよ?」

「こう?」

またアスカの唇を人差し指でつーん。

「ちゃんと、『ちゅーーーん』って言いながらじゃないと、やのなのよっ!!」

「こうかな。ツン。」

「違うのよぉぉっ!
  『ちゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!』 なのよーーーーーーーっ!!」

「えーーーーーーっ!!!」

「『ちゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!』なのーーーーっ!!!
  『ちゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!』じゃなきゃ、やのーーーっ!!」

「わかったよ・・・。」

恥ずかしそうにモジモジしながらも・・・シンジは意を決し。

「『ちゅーーーーーーーーん!』」

シンジが『ちゅーん』と言いながらつんつんつん。アスカのやわらかい、かわいいピン
クの唇は、ぷっくり指を跳ね返す。

「そうなのよぉぉっ!! ちゅーーーんなのよぉぉぉっ!!!」

「ちゅーーーんしたから、もうじっとしててよ。」

「ちゅーーーんなのよぉぉぉっ!!!」

アスカ大喜び。うれしはずかし、ちゅんちゅんちゅーーん。

そんな様子を見ていたトウジは、とうとう頭にキてしまい、なりふりかまわず瓢箪を思
いっきり振り翳すと、近くに生えていた大きな木に投げつけてしまう。

「やっとれんわーーーーーっ!!!!」

ドッカーーーン。

粉々に砕けた瓢箪から弾き出されたシンジとアスカは、ぴったり抱き合ったままほおり
出され、むくむくむくと大きくなっていく。

「わーーーーーっ! アスカーーーっ! 落ちちゃうよーーっ!」

「見てっ! 雲さんに乗るのよぉぉっ!!」

助けに来た金斗雲に、バフっと飛びの乗りお空の散歩。だが、仙人の修行をしたアスカ
は上手く乗れるが、シンジはそういうわけにもいかず雲から突き抜けてしまうので、必
死でアスカにしがみつく。落ちたら命などあったものじゃない。

「わーーーーー、助けてぇぇぇっ!」

「シンジぃぃ、もっと、ぎゅーーってするのよぉぉっ! ぎゅーーーなのよぉっ!」

「ア、アスカ。も、もう、降りようよ。落ちちゃうって。ぼく。」

「お空のお散歩ぽっかぽかなのぉっ! シンジのほっぺも、ぽっかぽかぁぁっ!!」

どんどん、どんどん、高く、高く、金斗雲は上ってく。もうシンジは怖くて、全身でア
スカにしがみつくだけ。

「あーん。そんなにぎゅーーってしたら、ピュアなハートがビリビリしゅるのぉぉっ!!」

大好きなシンジに抱き締められて、体に電気がピリピリリ。それと同時に金斗雲も、雷
雲に変わってしまい、地上にイナズマをドッカドカ。

「あっあーーーん。アスカちゃんったら、ピリピリリンなのよぉぉぉ!!!」

ドカンッ! ドカンっ! ドカドッカンっ!
ドカンッ! ドカンっ! ドカドッカンっ!

容赦なく地上に降り注ぐ雷に、ミサトもマナもリツコも、もちろんトウジもヒカリも頭
を抱えて逃げ惑う。

「うわーーーっ! やめんかーーーーーっ! 殺す気かーーーっ!」

ドカンッ! ドカンっ! ドカドッカンっ!
ドカンッ! ドカンっ! ドカドッカンっ!

「いやーーーっ! シンちゃん、やめてーーーーっ!]
「シンジぃぃぃ、アスカに抱きついちゃ駄目ーーーーっ!!!」
「ヒヒーーーーーン!!」

ドッカンドカドカドッカンカンと雷の降り注ぐ雲の上では、落ちたくない一心のシンジ
にぎゅーーっとされたアスカが、いやんいやんと体をくねらせている。

「うっうーーーん。アスカちゃんたら、くねんくねんしちゃうのよぉぉっ!!」

くねん、くねん。

くねん、くねん。

「お願いだから、もう降りようってばぁぁっ!」

「見て、見てぇぇぇっ! ふかふか雲さん、いっぱいよぉぉっ!!!」

シンジにしっかり抱きついたまま、おっきな雲さんにぴょこーんとジャンプ。

「駄目だって。ぼく、雲い乗れないん・・・あれ?」

だがその雲はシンジにでも立つことができた。どうやら、天界まで来てしまったようだ。

「ぽわんぽわんの、ふわんふわんなのぉぉっ!」

「わぁぁっ!」

がばーっとシンジをに飛びついて、雲の上をコロコロロ。2人は抱き合ったまま、やわ
らかい雲の上をコロコロロ。

「あーーーん、シンジぃぃ、しゅきしゅきしゅきーーーーっ!」

「ほんと?」

「だーーーーーいしゅきよーーーーーーっ!」

「ほんとに、ぼくのことが好きなの?」

「シンジのぉ、お口もぉ、お鼻もぉ、おめめもぉ、だいしゅきよーーーーっ!」

「そうかっ! ぼくはアスカと一緒にいてもいいんだねっ!」

「だって、だって、だーーーいしゅきなんだもーーーーんっ!」

「アスカぁぁぁ、好きだぁぁぁ。」

「しゅきしゅきしゅきーーーっ! こーーーんなにだーーーいしゅきよーーーっ!」

おもむろに如意棒を取り出したアスカは、長く長くそれを伸ばすと、地面の雲を切り抜
いて、ハートマークの雲さん作ってお空にぽわん。

「見てみて、シンジぃぃ。アタシのハートはこーんなに、おっきいのよぉぉぉっ!!!」

ぽわぽわぽわと、大きなハートの雲が飛んで行く。

「わぁぁぁ、アスカのハートっておっきいんだぁっ!」

「だめだめよ。あれは、シンジのお鼻がしゅきって大きさなのよ。お口はもっとおっき
  いのよぉぉっ!」

また、長く伸ばした如意棒で、雲を大きく切り抜いて、おっきなハートの雲を作り、次
から次へぽわぽわわん。




丁度その頃天上界では、大地震が発生! 大騒ぎ! パニック! 大騒動!

「釈迦牟尼尊者っ! 釈迦牟尼尊者はおるかっ!!!」

地震の中、スープを零さないように細心の注意をラーメンに注ぎながら食べていたレイ
は、突然やってきた大神様のあまりの剣幕にびっくりして、赤い瞳を丸くする。

「お主が鬼退治に向かわせておる一行が、暴れておるではないかっ!」

「そ、そんなはずありませんっ。」

「愚か者っ! 天上界が崩壊し掛けておるのじゃ! あの惣流という娘をなんとかせよ!」

「げっ・・・アスカ。はいぃぃぃっ!」

このままではラーメン生活の危機である。レイはびっくりして跳ね起きると、大慌てで
アスカが天上界に上陸した地点へ飛んで行く。

そうだわ・・・めいいっぱい巨大化して、威厳を見せましょう。
そうすれば、アスカも言うことを聞いてくれるはず。
今の生活を潰されては駄目。

血相を変えて天上界の家を飛び出たレイは、可能な限り大きく巨大化してアスカ上陸地
点に直行・・・だが、その目に映ったものは。

「あーーん、シンジのハートをちゅんちゅんちゅん。いやーーん。シンジったらぁぁ。」

「やめてよぉ。こそばいよぉぉ。」

アスカが胸をちゅんちゅんすると、シンジはくねくねこそばゆそう。

「アタシのハートもちゅんちゅんして欲しいのよぉぉっ!」

「駄目だよぉ。そんなの恥ずかしくてできないよぉぉぉ。」

「やのよ。やのよーーっ! アタシもちゅんちゅんして欲しいのよぉぉっ!」

「じゃぁ、アスカのほっぺをちゅんちゅんしちゃうぞーーーっ!」

「あーーん、いやーーん。ぷくぷくしちゃったのよぉぉっ!」

ぷくんと、シンジの指を跳ね返し、ほっぺは揺れて、ぷりんぷりん。

「もっと、ちゅんちゅんするぞーーーっ。ちゅーんちゅーんちゅーーんだ。」

「あーーーん、ほっぺがぷにぷにしちゃって、困っちゃうううぅっ!!」

ふわふわいっぱいお空に浮かぶ、ハートの雲の真中で、ほっぺをちゅんちゅんし合うラ
ブリーアスカと、チャーミーシンちゃん。

あまりの幸せいっぱいに、アスカはとっても嬉しくて・・・。

「いやーーん。アスカちゃんったら、おしりふりふりしちゃうのよぉぉ。」

「ぼくだって、お尻フリフリするもんねぇぇ。」

クイクイ。
クイクイ。

おててはぐーで胸の前、お尻を突き出し、中腰で、お尻を左に右に、クイクイクイ。

ぽよ〜ん。

「お尻とお尻が、くっちゅいたのよーーーーーーっ!!!!」

「もっと、くっつけちゃうぞーーー。」

ぽよ〜ん。

「あーーーん。シンジのおしり、ぷにぷにぃぃぃぃっ!」

「アスカのお尻もぽよんぽよんだぁぁ。」

右へ。クイ。左へ。クイ。また右へ。

ぽよ〜ん。

「またくっちゅいたのよーーーーーっ!!!」

アスカに対抗すべく、めいいっぱい巨大化して出てきたレイは、その光景を見た途端、
くらくらくらと意識を失い、そのまま天上界のお城にドッカーーーーーンと倒れ込む。

天国崩壊。

「大変だアスカっ! 天国が崩れてるよぉっ!!!」

「でもでも、シンジへの愛はずーーーっと不滅なのよーーっ!」

「ぼくも、好きだよ。」

「シンジぃぃぃ、しゅきしゅきしゅきーーーーっ!」

シンジとアスカはしっかと抱き合い、壊れた天国にさようなら。迎えに来た金斗雲に乗
って、またまた地上へ かむ ばっく。

「そんなにぎゅーーってしちゃ、いやんいやんっ。マシュマロハートがぺったんこにな
  っちゃうのぉぉ。」

「ごめんごめん、痛かった?」

「いいのよぉぉ。もっと、もっと、ぎゅーーってして欲しいのぉぉ。」

「よーーし、ぎゅーーってしちゃうぞーーぉぉ。」

「あっあーーーん。アスカちゃんったら、またまたハートがピリピリリンなのよぉぉっ!」

ドガガガガガガガガっ!!!!
ドカンドカン、ドッカーーーーンっ!

雷雲になった金斗雲が、再びトウジやマナ達の元に急降下。

「わーーーーーーっ! 戻って来よったがなぁぁぁぁぁぁ!!!」

ドガガガガガガガガっ!!!!
ドガガガガガガガガっ!!!!

「シンジぃぃぃ、こっちに来ないでーーーーっ!!」
「ヒヒーーーーン。」

ドカドカ、ドッカンっ!
ドカドカ、ドッカーーーーンっ!

トウジもマナもリツコも、右へ左へ逃げ回るが、ところ構わず落ちてくる雷に、もう逃
げられる場所など何処にもない。

地上の浮き世はいざしらず、金斗雲の上のアスカは、シンジにぎゅっぎゅっぎゅっでド
ッキドキ。

「シンジのことが、こーーんなにいっぱい大しゅきなのよぉぉぉっ!!」

両手をいっぱいに広げて、いーーーっぱい好きなことをわかって貰おう。

「ぼくだって、こーーんなにっ・・・わーーーーーーっ!!!」

続いて、シンジまで両手をいっぱいに広げてしまった。アスカに抱きついてなければ、
金斗雲に乗れないシンジは、あっと言う間にまっさかさま。

「あっ! シンジが落ちてきたわっ!」
「拉致するわよっ! これ以上アスカにくっつけたら、身が持たないわ。」

マナがシンジの落下を見付けた瞬間、ミサトはリツコに跨って落下地点に猛ダッシュ。
シンジをガッチリ抱き止めて、全速力でアスカから逃げる。

「いやーーーーーーーーーっ! シンジぃぃぃぃぃっ!!!!」

シンジ拉致、誘拐。突然の出来事に半狂乱になったアスカが、シンジ目掛けて金斗雲を
全速運転。

「こっちやっ! こっちに、あの世への黄泉があんでっ! そこに避難やっ!」

いつの間にか、連帯意識を持ったトウジとヒカリが、ミサト達をあの世への入り口に誘
う。

「アスカーーーーーっ! たすけてーーーーっ!!!」

「シンジぃぃぃぃぃっ!!!!」

一生懸命助けを求め、手を伸ばすシンジに、アスカが猛突進。だが、あと少しというと
ころで、シンジはミサト達に連れ去られあの世の入り口に吸い込まれてしまう。

「むむむむむぅぅぅ! シンジはアタシの王子様なのよーーーーーっ!!!」

天界の雲である金斗雲は、地獄の世界では飛ぶことができない。アスカは金斗雲から下
りると、2本の脚で黄泉に飛び込んだ。

その頃、トウジ達は。

「ふぅ、ここまでくれば一安心や。」

「まずは、シンちゃんを閻魔大王に保護して貰いましょ。」

これ以上シンジをアスカとくっつけたら身が持たない。ここはミサトの発案通り、シン
ジを閻魔大王にかくまって貰うことにし、一行は黄泉の道を進んで行く。

だが、その時だった・・・。闇の遥か向こうから、アスカの声が響き渡った。

「シンジを取り返すのよーーーーーーーっ!!!!」

ザッ! ザッ! ザッ! ザッ!

物凄い大勢の足音が、闇の向こうから聞こえてくる。

「な、なんやぁぁっぁ?」

顔を青くしながら、暗闇にトウジが目を凝らす。

ザッ! ザッ! ザッ! ザッ!

全神経を目に集中しよくよく見てみると、無数の青い瞳がキラキララン。たくさん、た
くさん、キンキラリン。

「「「「「シンジっ、しゅきしゅき。シンジっ、しゅきしゅき。しゅきしゅき。  」」」」」

ザッ! ザッ! ザッ! ザッ!

「「「「「だいしゅきっ、シンちゃんっ! ラブラブっ、シンちゃんっ!」」」」」

ザッ! ザッ! ザッ! ザッ!

それは紛れも無く、アスカが身外身の術で無数に分身して作ったあまえんぼう軍団。
しゅきしゅき掛け声掛けながら、大行進。

「ほ、ほなむちゃなーーーーっ!」
「いやーーーーーーーーっ!!!」

腰が抜けんばかりにびっくりしたトウジにヒカリ、その他の一向は、顔面を引き攣らせ
閻魔大王の宮殿へと猛ダッシュで逃げ始める。

「「「「「プリティーシンちゃん、探すのよぉぉ!!!」」」」」

「あっ!!! シンジがいたわっ!!!」

その時、本物のアスカがシンジを抱きかかえて逃げるリツコに乗ったミサトを発見。

ザッ!!!!

一糸乱れぬ動きで、全軍団がシンジをロックオン!!!

みんなのほっぺが赤くなる。

「「「「「シンジ−−−−−−ッ!! しゅきーーーーーーーーーッ!!!」」」」」

ズドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!

ミサト達を追い掛け、あまえんぼう軍団、全員猛ダッシュ。

「いやや。いやや〜。助けてくれーーっ。シンジ返すさかい助けてくれーーーっ!」

トウジ、もう涙目。

「駄目よっ! 今シンちゃんを帰したら、何が起こるかわからないわっ!」

「ほななこと言ったかて、もう既に、ごっつ怖いがなぁぁぁっっ!」

なんとしてもシンジを隔離しようとするミサトに対し、トウジは怖くて涙と鼻水で顔が
ぐしゃぐしゃ。

「「「「「アスカちゃんの100億ハートを受け止めてぇぇーーっ!!」」」」」

元祖アスカが作った10人のあまえんぼう軍団のそれぞれが、また10人のあまえんぼ
う軍団を分身させ、さらにまたその10人が・・・累乗計算・・・。

あれよあれよという間に、何百億人ものあまえんぼう軍団が、地獄の中を突き抜けて・・・
地獄中があまえんぼう軍団大渋滞。しゅきしゅき、しゅきしゅき、大合唱。

「「「「「しゅきしゅき、シンちゃん。だいしゅき、シンちゃんっ!!!」」」」」

おったまげたのは、なんのかかわりもなく平和に地獄で暮らしていた閻魔大王達。

「な、なにごとじゃっ!」

「大王様っ! 無数の少女が、『しゅきしゅき』言いながら、攻め込んで来ましたぁっ!!!」

「な、なんじゃ!? 『しゅきしゅき』とはっ!?」

「口を揃えて、そう叫んでるんですぅ・・・。」

「応戦せよっ!」

「応戦できる数じゃありませんっ!!!」

「なんだとっ! なぜそんなことになったのじゃっ!!!」

あまりの突然のことに、閻魔大王が驚愕の表情をしているところへ、あのミサトとリツ
コが1人の少年を担いで逃げ込んで来た。

「あっ! 大王さまぁぁっ! この子が狙われてますっ! 匿って下さいっ!!!」

「ま、ま、またお前らかぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

しかも、前回ミサトとリツコがやらかしたことと、今回は深刻さが桁違いだ。地獄の崩
壊が迫っている。こんな少年に関わっていては身がもたないと、閻魔大王も一目散に逃
げ出した。

「大王様ーーーっ! 逃げるなんて、酷いじゃないですかぁぁっっ!」

「酷いのは、お主らの方じゃろがっ!!」

「そんなぁぁぁ。」

そうこうしているうちに、怒涛のごとく攻め寄せる100億あまえんぼう軍団。

「「「「「しゅき、しゅき、だいしゅき、シンちゃん、だいしゅきよーーーっ!」」」」」

あっという間に、閻魔大王の巨城も人海戦術で突き崩し、お尻ふりふり、体をくねくね
させて、あまえんぼう軍団が雪崩れ込んで来る。

ズドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!

「シンジがいたのよぉぉっ! 突撃なのよーーーーーっ!!!!!」

元祖アスカの掛け声一発。

「「「「「シンジぃぃぃ。しゅきしゅきーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」」」」」

城の中央であたふたするミサト達目掛け、100億あまえんぼうがぐしゃーーっと突撃。

「ぎゃーーーーーーーーーっ!!!!」

悲鳴をあげるミサト。

「いやーーーーーっ!」

白目を剥くマナ

「ヒヒーーーーーーン。」

ぶっとばされるリツコ。

「ほな、あほなぁぁぁぁぁぁ。」

最後までいいところがないトウジ。

「わたしたちの純愛はどーなったのぉぉぉっ!!!」

押し流されるヒカリ。

閻魔大王・・・消息不明。

地獄崩壊。

「「「「「シンちゃんがいたのよぉぉぉっ!!!!」」」」」
「「「「「シンちゃん送りなのよぉぉっ!!!」」」」

ガッチリ、バッチリ、シンジをゲットしたあまえんぼう軍団は、大玉送りのようにシン
ジを担ぎ、次々と手に手へ渡して、元祖アスカの元へ運んで行く。

「アスカーーーーっ! 会いたかったよぉぉっ!」

「シンジぃぃ、大しゅきよぉぉぉっ!!!」

あまえんぼう軍団がみっちり密集したあまえんぼう絨毯の上で、しっかと抱き締め合う
シンジとアスカ。

「ぼくだって、大好きだぁぁぁ。」

2人が互いに互いをしっかりと抱き締め合った時だった。無数のあまえんぼう軍団から
ワーーーという歓声と、拍手が沸き起こり、誰からともなくこんな声が聞こえ出す。

「けっこんしゅるのよぉぉぉっ!」
「ラブラブ ウェディングなのよーーーっ!!!」
「「「「「けっこんっ! けーーっこんっ! けーーっこんっ! けーーっこんっ!」

「そうだっ! アスカ、大好きだっ! 結婚しようっ!」

「むっ!? 結婚しゅるのよーーーーっ!!!!」

ぴったりと抱きしめ合うシンジとアスカの耳に、分身アスカの1人が弾く、賛美歌の音
色が聞こえてくる。

結婚・・・そう、今日2人は目出度く結ばれる。賛美歌の音色に合わせて。

♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪

「いたっ! いたたたたたたたたたたっ!!!!」

だがどうしたことか、突然アスカが苦しみ出した。

「ど、どうしたのっ?」

「指が、指が痛いのーーーーっ! いたたたた。」

何ごとかと、ふと見ると、レイに貰いアスカの指に嵌めた緊箍が、ぎゅーーーっとアス
カの指を締め付けてるではないか。

「いたたたたたたっ! いたーーーーーいっ!!!」

「あっ! 賛美歌だっ!」

そう言えば、困ったことがあれば賛美歌を奏でるとこの指輪はきつく締まると、レイが
言っていたのを思い出した。

「賛美歌をやめてくれーーっ! 指輪が締まっちゃうよっ!」

シンジの声にピタリと止まる賛美歌。それまで苦痛に顔を歪めて指を押さえていたアス
カが、ようやく指の痛みも治まりゆっくりと顔をあげた。

「痛いじゃないのよ。もうっ!」

「あれ? なんだか、いつものアスカみたいだ。」

「あまりの痛さに、術が溶けちゃったわ。」

「え? そ、そっか・・・そうだね。今迄のは、術を使っていたアスカだったんだね・・・。」

なんだか寂しそうな顔をしながら、アスカのことをちらりとシンジが見る。

「あったりまえでしょ。あーんなこと、アタシが言うわけないじゃん。」

「そ、そうだね。ははは・・・。じゃ、そろそろ帰ろうか・・・。」

寂しそうな顔で、ポツポツと元来た道を帰って行こうとするシンジのその背中を、ポン
とアスカが叩いてくる。

「『しゅきしゅき』は言わなくても、『スキっ!』なら言ってあげるんだけどなっ!」

「えっ!? アスカっ!」

ぱーーーっと顔が明るくしたシンジが振り返ると、アスカは両手を広げてシンジの胸に
飛び込み抱きついてきた。

「あれ? シンジ?」

「ん?」

「しっぽがなくなってるわ。」

「ほんとだっ! そっか、地獄も天国もなくなったからだよ。きっと。」

「じゃ、みんな元に戻ってるわっ! きっとっ!」

「帰ろうっ! ぼく達の世界にっ。」

「うんっ!!」

シンジとアスカは、黄泉路を逆行し元の世界へ戻って行った。そこは、2人が予想した
通り、サードインパクトの前の世界に戻っていたのだった。めでたし、めでたし。




ほんの・・・一部の例外を除いて。

<天国>

「しくしく・・・私も人間界へ行きたい・・・。」

「愚か者っ! 壊した天界を元に戻さぬかっ!」

「あの・・・ラーメンは・・・。」

「働けっ!!!」

「しくしく・・・もう駄目なのね。」




<地獄>

閻魔大王がいなくなった地獄がどうなったかというと・・・。

やはり悪いことをした死者は地獄にやってきて、制裁を受けることになるのだが。それ
はかつての、針の山でも、煮え滾る釜の湯でもなく。

「しゅきしゅきしながら、お山を登るのよぉぉっ!!!」

「な、なんだとーーっ!」

「しゅきしゅきなのよぉぉっ!!」

札付き極道を地獄で待っていたのは、アスカが作り出し地獄に居座ったあまえんぼう軍
団。

「しゅきしゅきしなくちゃ、進めないのよぉぉ。」

「・・・しゅきしゅき。」

「違うのよぉぉぉっ! おててを、ぐーってしてフリフリするのよぉぉっ!」

「そ、そんなぁぁぁ。」

おててをぐーにして、胸の前でフリフリ見本を見せてあげる。刺青極道も、真っ青だ。

「こ、これでいいのか・・・。」

フリフリ。

「違うのよぉぉっ! おしりを、もっとプリンプリンってしゅるのよぉぉっ!!!」

「しくしくしく・・・。」

「さぁ、みんなでせーのぉ。」

極道達の先頭を切り、おててをフリフリ、お尻をプリンプリン。掛け声はもちろん。

「「「「しゅき、しゅき、しゅき、しゅき。」」」」

さぁ、みんなご一緒に。

「「「「しゅき、しゅき、しゅき、しゅき。」」」」

しゅきしゅき言いながら、お尻フリフリ、体くねくね、極道さん達は、みんな涙目。

その後、悪いことをして、地獄に来る人が激減したとか、しないとか。






こうして、世界は平和になって西遊記物語の幕は下りたのだった。

おしまい・・・。


















<舞台裏>

「ちょっと待ってくれないかい?」

誰かが何か言っている。

「僕は牛魔王で出る予定だろ? ほら、芭蕉扇も用意したのさ。」

カヲルのようだ。




「シンジぃぃ、帰るわよぉ。」

「そうだね。いい話だったね。」

「でしょぉ。この指輪、記念にずっとしてよっかなぁ。」

「ふーーん。」

「なによ? その目。」

「アスカが悪いことしたら、『賛美歌』歌っちゃおっかなってさ。ははは。」

「そんなこと言っていいのっ?」

「うそうそ・・・ごめん。」

「すぐに悪いことしちゃうかもよ? えへへへへぇ。」




「あの・・・シンジ君・・・。」

誰も彼の言葉など、聞いてくれていないようだ。




「みんな、待ってよ。牛魔王が最終回じゃないのかいっ? ほら、台本にも、そう。」

アンケートで、あまえんぼうになった為、大幅に予定が変わったのだ。

「それは、酷いんじゃないかい? 僕の出る場所がないじゃないか。」




「そう・・・そんなに役が欲しいのね。」

そんなカヲルを哀れんだのか、優しいレイちゃんが声を掛けてくれた。

「だって、ほら、用意して来たんだよ?」

「役をあげるわ。予定より、早く終わったから食べる暇が無かったの。
  これ、持って帰って。それが、あなたの役目。」

レイはみんなで休憩時間に食べようと、用意しておいたみかん箱をカヲルの背中にドッ
カと2箱乗せた。

「さよなら。」

「・・・・・・。」




「しくしくしく・・・。」

最後に残された、出番をカットされたカヲルは、誰もいなくなり暗くなったスタジオで、
1人みかん箱を2つも背負い、いつまでもいつまでも佇んでいるのだった。




「しくしくしく・・・。」




fin.
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