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ΔLoveForce
Episode 03 -温泉旅行-
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<デパート>

「シンジと買い物に来れるなんて、うれしいなぁ。」

シンジとアスカは、修学旅行に持って行く水着を探しにデパートに来ていた。せっかく
の修学旅行にスクール水着というわけにもいかないので、シンジも水着を買わなくては
いけない。

「アスカぁ、早く水着買いに行こうよ。」

「あわてなくっても、時間はまだいっぱいあるわよ。」

水着と、その他の修学旅行に必要な物を買いに来たはずなのだが、さっきから洋服とか
アクセサリーコーナーばかりをうろついている。しかも、気に入った洋服があると、か
たっぱしから試着して行くのだ。

「あ、あの服かわいくない? ちょっと着てみるから待ってて。」

マネキンが来ている服をわざわざ脱がして、試着室に持っていく。この店に入ってから
5回目の試着だった。

もう、どうせ買わないんだから、やめてよ。

シンジは、店員が睨んでいるような気がして仕方ない。しかし、アスカにも考えがあっ
た。これを機会に、シンジの潜在意識に自分の好みを叩き込もうとしているのだ。

カシャー。

試着室のカーテンが開くと、緑色のワンピースを着たアスカがポーズを決めていた。

「どう? シンジ。」

確かに、かわいいんだけど、店の人が睨んでるよ・・・。そろそろ水着買って、帰りた
いなぁ。

「どうなの? 似合わないの? シンジ。」

沈黙するシンジに、再び声をかける。

「似合わないわけないじゃないか。」

「どうして?」

ぶっきらぼうに答えられたので、ちょっとムッっとする。

「アスカが着て、似合わない服なんてあるわけないだろ。」

「えーー! それって、どういうこと!?」

次のセリフを期待して、わざと聞いてみる。

「もう、いいから、早く水着買いに行こうよ。」

「よくないわよ。ちゃんと答えてくれなきゃ、この服返さないわよ!」

「はぁ・・・。」

余計なことを言ってしまったと、後悔するシンジ。

「ほら、早く答えなさいよ。」

シンジは、ツカツカとアスカの側に行き、服を見る。さほど高い服ではない。

「返さなくてもいいよ。これ、プレゼントしてあげるからさ。その代わり、早く水着買
  いに行こう。」

「えーーーー!!! ほ、ほ、本当!!!」

自分の小遣いでも十分買える値段の服であるが、アスカは飛び上がって喜ぶ。

「水着買いに行くって約束する?」

「うん。するする!」

アスカが脱いだ服を手に取ると、シンジがレジに持っていく。何度も試着を繰り返した
後、何も買わずに店を出ることができるほど、シンジの神経は太くない。
しかし、アスカは、初めてのシンジからのプレゼントに、心底喜んでいた。

シンジは、ようやく水着コーナーに行くことができた。横には、緑色のワンピースの入
った紙袋を、抱きかかえるアスカがくっついてきている。
水着コーナーでも、アスカは長かった。その場で手に取ってすぐに決めたシンジとは対
照的に、何十着も手に取って見ている。

「ねぇ、シンジ! これどう?」

赤白ストライプのビキニを、うれしそうに手に取ってシンジに見せに来る。

「うん、それでいいと思うよ。」

どれでもいいから、早く決めてよ。疲れたよ。

「じゃ、これにするわね。」

はぁ、綾波と来たかったなぁ。綾波はやっぱり白が似合いそうだな。

長かった買い物もようやく終わり、2人は屋上でジュースを飲んでいた。
明日からの修学旅行の話題で、話の花が咲く。

綾波と旅行か・・・。

適当にアスカの対応をしながら、レイのことを考えるシンジだった。

<ミサトのマンション>

「えーーーーーーーーー!!!! 修学旅行に行っちゃだめーーー!!!???」

「そっ。」

ミサトはビールを飲みながら、修学旅行の欠席届けは既に提出済みであると告げる。
玄関に置かれていたアスカとシンジの旅行用荷物は、この時をもって目的を失った。

「誰が決めたのよ!」

「作戦担当のわたしが決めたの。」

「嫌よ! そんなの横暴だわ! 絶対そんな命令には、従わないから!」

あれだけ楽しみにしていた修学旅行だ。しかも用意まで全て終わった前日の告知である。
断固拒否の態度を取って、机ごしにくってかかるアスカ。額には青筋が出ている。

「かわいそうだけど、あなた達がいない間に使徒が攻めてきたら困るでしょ。」

「ほら、シンジも何とか言いなさいよ! 男でしょ!」

横でのんびりとお茶をすするシンジに、助けを求めるアスカ。

「仕事だから、仕方ないよ。」

その言葉を聞き、信じられないという表情でシンジを見つめるアスカ。時間が停止した
かのような数秒流れる。

「そう・・・。わかったわ。」

不満はあるものの、シンジの言うことに逆らうつもりは無いようだ。残念そうな顔をし
て、椅子に座る。

「あら、やけに素直ねぇ。」

「シンジが言うんだから、仕方無いわよ。」

驚いた顔で、シンジを見つめるミサト。

「シンちゃんも、やけに見込まれたものねぇ。」

アスカがシンジに好意を持っていることは、既にわかっていたが、あのアスカにここま
で言わすことができるシンジが、信じられなかった。

「そんなことないですよ・・・。」

ガタ。

アスカが、席を立つ。

「おやすみ。」

よほど楽しみにしていたのだろう。納得はしたものの、がっかりして自室に引きこもっ
てしまった。

ガタ。

シンジも立ち上がり、しょうがないなぁという感じで後を追う。

「シンちゃん。アスカを頼むわよ。」

そんな2人の姿を見ていたミサトは、ビールを飲みながら小声でつぶやいた。

「アスカ? 入っていいかな?」

アスカの部屋の襖の前に立ち、シンジが声をかける。

「だめなわけないでしょ。」

部屋の中には、がっかりしたアスカが、ベットに寝そべっていた。

「ねぇ、せっかく水着も買ったんだしさ、修学旅行には行けなかったけど、明日プール
  に行こうか。」

「シンジ。やさしいね。」

寝転んだまま、アスカは嬉しそうに答える。

「いいんだね?」

「もちろんよ。」

「じゃ、綾波にも電話してくるよ。」

「え! ちょっと! まって!」

アスカは咄嗟にベッドから飛び起きると、シンジを呼び止めたが、既に襖は閉まってお
り、シンジは出ていった後だった。

なんで、レイなんか呼ぶのよ・・・。

プルルルルルルルルル。

シンジがレイの携帯に電話をかける。

『はい。』

数回のコールの後、レイが出る。

「もしもし? シンジだけど。」

『何か用?』

「修学旅行に行けないってことは知ってる?」

『行くつもり、無いから。』

「じゃーさー、明日からみんな修学旅行に行っちゃうから、プールに行かない?」

『行かない。』

「どうしてさ、3人で行こうよ。」

『アスカも来るの?』

「うん、来るけど。」

『わかったわ。』

「じゃ、明日。」

『ちょっと、まって。』

電話を切ろうとするシンジに、声をかけるレイ。受話器を置こうとしたシンジは、あわ
てて耳に当て直す。

「なに?」

『アスカと代わってくれない?』

「いいけど・・・。」

電話を待機状態にしてアスカを呼ぶ。

「アスカーーーー。」

「何よ。」

不機嫌そうなアスカが、自分の部屋から出てくる。レイを呼ぶことが納得できないよう
だ。

「綾波が代わってほしいって。」

「ゲッ。・・・・ア、アタシ、もう寝たって言ってよ。」

足が勝手に、アスカの部屋に向く。

「もう、代わるって言っちゃったよ。」

「もうっ!」

それから、アスカは長い会話をすることになった。

<プール>

プールは、ネルフの施設を使った為、3人の貸し切り状態だった。
アスカとレイは、さっきからずっと一緒に泳いでいる。というより、レイがアスカから
離れない。

「シンジ! ちょっとアンタも来なさいよ!」

耐え兼ねたアスカは、プールサイドに座っているシンジに救いを求める。

「うん。」

シンジはプールに浸かると、プールの中央に立っているアスカとレイの所まで、泳いで
行った。

「じゃ、アタシちょっと疲れたから、休憩するわ。あとは2人で泳いでなさい。」

シンジが来たことを確認すると、そそくさとプールサイドに逃げて行くアスカ。

「2人になったね。」

嬉しそうに、レイに声をかけるが、レイはアスカの方を見ている。

「私も休憩するから、碇くんは1人よ。」

「・・・・・・。」

レイもアスカに続いて、プールサイドへ泳いで行った。
アスカが、プールサイドに手をついて上がろうとすると、横にレイもいるので、ぎょっ
とする。

「ちょっと、なんでアンタまで上がって来るのよ!」

「私も休憩。」

振り返えると、シンジが1人でプールの真ん中に立っていた。

「ちょっと! 何考えてるのよ! もう一回、アタシ泳いでくるわ。」

反転してプールに入り、潜水して行くアスカ。そのまま、シンジの後ろに回り込む。潜
っているアスカの目の前に、シンジの足がある。
アスカは浮上すると、ぼーーーっとしているシンジの後ろから、飛び掛かった。

「とりゃーー!」

「うわーーーーーーー。」

後ろから抱き着かれて、プールに倒れ込むシンジ。

「ぷはーーー、何するんだよ! ひどいよ。」

「アハハハハハ。1人でぼーーーーーっとしてるからよ。」

そういって、アスカは再びプールに潜ると、シンジの足を引っ張った。

バッサー。

水中に引きずり込まれたシンジは、あわてて起き上がる。

「アハハハハハハハ。」

アスカは、シンジから逃げる。シンジは怒りながらも、楽しそうにアスカを追いかける。
そんな、戯れるシンジとアスカを、レイはプールサイドから見ていた。

アスカ、楽しそう・・・。私とは、あんなに遊んでくれないのに・・・。

レイは赤い目で、シンジを睨み付けていた。

<浅間山>

ミサトと日向が、マグマの中に発見された黒い影を調査した結果、使徒と判明した。A
17の発令により、初号機,弐号機が浅間山に向かう。
プールにつかりすぎたシンジが、風邪をひいて寝込んでしまった為、D型装備の初号機
にはレイが搭乗していた。

「進路クリア。」

レーザーを打ち込み、進路に妨害が無いことを確認すると、冷却用循環パイプに繋がれ
た初号機が、マグマの中に降ろされていく。
視界が、ほぼ0の状態で目標予測地点まで沈降していくレイ。

「レイ、何か見える?」

目標予測地点に到着したが、センサーには反応が現れない。念の為、レイに確認するミ
サト。

「いえ。」

エヴァから送られてくるデータを元に、日向が再計算した結果、対流が予想以上に激し
く、使徒は更に奥深くに沈んでいることがわかった。ミサトが、再度沈降指示を促す。

「限界震度オーバー。」

マヤの報告と同時に、第二循環パイプに亀裂が入る。プログナイフを止めているベルト
も、圧力に耐えきれず破損し、プログナイフを喪失する。

「もう、限界です。人が乗っているんですよ!」

日向が、レイを案じて抗議する。

「本作戦の責任者はわたしです。続けて。」

限界震度は遥かに超えていたが、周りの反対を押し切って、再度沈降指示を出すミサト。
緊張が司令室を包む。

「いたわ。」

修正された目標予測地点に到達すると、レイはサンダルフォンを発見した。捕獲作業に
移るレイ。

「お互い、対流で流されているから、接触のチャンスは1度しかないわよ。」

リツコが、注意を促す。

「了解。」

レイが慎重に捕獲作業を行う。軸線上に乗った使徒は、難無くキャッチャーに捕獲された。

「捕獲作業完了。」

レイの声が司令室に伝わる。使徒をキャッチャーに捕らえたまま、浮上して行く初号機。
使徒の捕獲が完了し、司令室の緊張も和らぐ。

「あなたも、今度の作戦恐かったんでしょ。」

緊張が解けた為か、リツコがミサトに話し掛ける。

「まーねー。」

失敗すると、サードインパクトという危険な作戦だった為、責任者であるミサトにかか
る圧力は、外部,内部共に相当なものであった。

しかし、あと少しで地上というところで、使徒に動きが見られた。

「おかしいわ。」

レイから司令室に通信が入る。圧力の変化に反応した使徒が、羽化を始めたのだ。

「捕獲中止! 使徒殲滅を最優先!」

再び、司令室を緊張が包み込む。ミサトが即座に指示を出す。

「了解。」

レイは、キャッチャーは破棄。戦闘態勢に入るが、武器が無かった。

「アスカのプログナイフを、落とすから受け取って!」

「了解。」

その通信を聞いたアスカは、直接自分に命令が下るよりも早く、プログナイフを渾身の
力を込めてマグマの中に叩き込む。

「うりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

沈んでいくプログナイフ、しかし、到達するより一瞬早く、初号機と使徒が接触する。

「くっ!」

口を開いて、初号機を襲う使徒。

「この状況下で口を開くなんて。」

「信じられない構造ですね。」

リツコとマヤは、分析を急ぎ対応策を考える。

レイは、プログナイフで応戦するが、この状況下で口を開くことが可能な程、耐圧能力
の高い使徒には、全く効き目が無い。
絡み合いながら接近戦を行っていた為、3番の冷却用循環パイプを誤って切断してしま
う。マグマの中に冷却液が飛び散る。それを見たレイに、作戦が思い浮かんだ。

「全冷却液の圧力を3番に。」

レイは、熱膨張の原理で使徒の殲滅を図ろうとした。即座にマヤが、冷却液の圧力を3
番に集中させる。
パイプを使徒の中に差し込み、プログナイフをコアに叩き付ける。

ギャーーーーーーーー。

使徒は、圧力差に耐え兼ねて崩壊していく。しかし、その時初号機を支えている循環パ
イプが全て引き千切られた。

ガクン。

ショックがレイに伝わる。

「終わりなのね。」

沈んで行くレイ。レイは覚悟を決め目を閉じる。

最後に、アスカの顔がみたかったわ。

ゆっくりと沈んでいく初号機に、再び衝撃が伝わる。

ガクン。

目を開けると、そこには、初号機を引っ張り上げる弐号機の姿が映し出された。

「アスカ・・・。」

<温泉>

「あなた達、今日はご苦労様。温泉に入ってきたら? 気持ち良いわよ。」

部屋でくつろいでいた、アスカとレイにミサトが声をかける。

「そうね。行きましょうかレイ。」

「ええ。」

タオル、石鹸、シャンプーなど、入浴の準備をして、温泉に向かうアスカ。
レイは、アスカの後に付いて行った。

カコーーーーン。

夕日と海の見える温泉。雰囲気も良く、アスカは腰まで湯に浸かり、極楽気分を味わっ
ていた。

「アスカ、今日は助けてくれてありがとう。」

アスカの横で、肩まで湯に浸けていたレイが、頬をほんのりと桜色に染めて、感謝の言
葉を呟く。

「いいって、目の前で死なれちゃ後味悪いもんね。」

「アスカ、私のこと嫌ってるのかと思ってたから・・・。」

「嫌ってなんか、いないわよ。」

「でも、碇くんといる時のほうが楽しそうだから。」

「そりゃー、好きな人と一緒にいたら楽しいわよ。」

「わかる気がする。」

アスカを見つめるレイ。

「でもね、アタシもアンタには冷たくしてないでしょ。」

妹を見つめるような目で、レイを見下ろすアスカ。

「そうね。」

「じゃぁ、アンタもシンジに、あんな冷たい態度取らないでほしいの。」

「どうして?」

「残念だけど、シンジはアンタのことが、まだ好きなのよ。ま、いずれはアタシと相思
  相愛の仲になるんだけどさ。」

マイクを持つよう格好で両手を胸の前で組み、目を閉じてその時の様子を想像するアス
カ。

「私が、碇くんと仲良くしたら、アスカが嫌がるわ。」

「そりゃ、そうだけど、もしかしてアンタ、そんなこと考えて冷たくしてたの?」

「それも少しはあるわ。」

「じゃー、もうやめて。その代わり、アタシもアンタと、友達としてだけど、もうちょ
  っと仲良くしてあげるから。」

「本当?」

レイが、ジリジリと寄ってきて、湯の中でアスカの手を握った。思わず、手を引くアス
カ。

「仲良くしてくれるんじゃないの?」

「だから、友達としてって言ってるでしょ!」

「友達は、握手もしないの?」

「そ、そんなことはないけど・・・。」

「じゃぁ、手くらい握ってもいいと思うんだけど。」

「・・・・・・。」

しかたなく、しぶしぶレイの手を握る。

「友達としてだからね。」

釘をさすが、レイは真っ赤になって何も耳に入らない状態だった。
夕日が、赤くなったレイと、なんだか恥ずかしそうにしているアスカを照り付けている。

「ねぇ、アスカ、体洗ってあげる。」

立ち上がって、アスカの手を引くレイ。

「いいわよ! そんなの!」

「洗いたいの。」

「・・・・・。わかったわ。背中だけ頼むわ。」

「ええ。」

2人は洗い場まで、手を繋いで歩いていく。レイはこの上なく嬉しそうだ。

ゴシゴシ。

無言で一生懸命背中を洗うレイ。

ゴシゴシ。

その真剣さが、アスカに伝わる。

「レイ? アタシのことが好きって本当?」

「ええ。」

「女同士よ。」

「私には、性別なんて関係無いから。」

「そう。」

ゴシゴシ。

背中を洗い続けるレイ。

「・・・・・・・ねぇ、アタシのことが、どうして好きなの?」

「昔・・・ずっと前、アスカが日本に来たとき、あなたのことを見かけたの。人の命令
  を聞くことしかできない私。でも、あなたは違ったわ。そんなあなたに憧れてたの。」

「それと好きとは、違うんじゃないの?」

「最初は、あこがれだったと思うけど、もう一度会いたいと思い続けていた時、あなた
  が現れたの。その時、気がついたわ。いつのまにか、恋をしていたのね。」

「そう。」

レイは、アスカを洗っていた手を止める。

「洗い終わったわ。」

「じゃ、今度は私が洗ってあげる。」

アスカは、レイからタオルを受け取ると場所を入れ替わり、レイの白い背中をこする。

「きれいな背中ね。」

「私、人間じゃないから・・・。」

「へ?」

「私は、エヴァに乗る為に作られた物。クローンよ。」

「う、嘘でしょ。」

「本当よ。」

「・・・・・・。」

自分も悲しい過去を持っている。しかし、レイは自分以上に悲しい過去を持っているよ
うな気がした。しばらく、白い背中を見つめていたアスカだが、また、背中を洗い出す。

ゴシゴシ。

「人間よ。アンタは。」

「違うわ。」

「出生がどうであれ、アンタは人間よ。」

「どうして?」

「アンタが惚れたアタシの言うことが、信じられないっての!?」

アスカは、レイの正面に立つと、真剣な目でレイを見つめる。
そんなアスカを見てレイは驚くが、すぐに笑顔になった。

「ありがとう、アスカ。」

「親友だもんね。」

「違うわ。恋人よ。」

「ま、今日のところは、許してあげるけど、明日からは、こんなに甘くないからね。」

「ええ。わかってるわ。」

体と頭を洗い終わった2人は、温泉の湯に足を浸けると、夕日を見つめる。お互いの感
情は、違うものではあったが、心は通じ合うようになっていた。

<ミサトのマンション>

同時刻、ミサトのマンションのベランダには、ペンペンが立っていた。

クェェェェェェェ。

世話をするシンジが残った為、温泉に行けなかったペンペンは、悲しい声を上げて夕日
を見つめ続けるのだった。

To Be Continued.
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