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TwoPair
Episode 06 -次こそは2人だけで-
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<アスカの家>

いよいよ、デート当日。

通常アスカ「ちょっと! この服はアタシが着るんだから、取らないでよね!!」

幼馴染アスカ「今日のメインはアタシなんだから、アタシに優先権があるのよ!」

通常アスカ「ふざけんじゃないわよ! この服はアタシが買ったのよ!」

幼馴染アスカ「アタシもこれと同じ服を買ったわよ!」

アスカコンビ「「ムキーーーーーーーーーッ!!」」

ドライヤーを使う順番に始まり、服の優先権,靴の優先権など、早速朝っぱらから睨み
合って大騒動である。

幼馴染アスカ「ちょっと! 同じルージュを使わないでよ!」

通常アスカ「アタシもこれが気に入ってるの!」

幼馴染アスカ「ただでさえ同じ顔をしてるんだから、ちょっとは変えなさいよ!」

通常アスカ「じゃ、アンタが変えれば?」

幼馴染アスカ「ぬぅあんですって!! 今日の主役はアタシなんだからね!」

通常アスカ「午前中は、アタシも主役の1人って約束よ。」

アスカコンビ「「ムキーーーーーーーーーッ!!」」

相変わらず、足並みが揃わないスタートを切るアスカコンビだった。

<レイの家>

ゆさゆさ。

転校生レイ「ほら、そろそろ起きてよ。」

通常レイ「日曜日。国民の休日。ゆっくり寝れる日。ぐぅ・・・むにゃ。」

ゆさゆさ。

転校生レイ「ねぇ、今日はそうもいかないのよ。起きてよ。」

通常レイ「学校はお休み。ネルフもお休み。ぐぅ・・・むにゃ。」

ゆさゆさ。

転校生レイ「確かに休みだけど、大事な用事があるのよ。シンちゃんがどうなってもい
            いの?」

通常レイ「むにゃ・・・ん? 碇くん?」

転校生レイ「そうよ。シンちゃんの為に、今日はお出かけしなくちゃいけないのよ。」

通常レイ「そう・・・。わかったわ。」

ようやく通常レイは、ぼーっとしたまなこをゴシゴシとこすりながら、もそもそとベッ
ドから這い出した。

転校生レイ「それじゃ、朝ご飯の支度をしてるから、顔を洗って着替えてきてね。」

通常レイ「ええ。」

転校生レイ「はぁ・・・いくら寝起きだからって、あなたも、もうちょっとエレガント
            に振る舞わないとシンちゃんに嫌われるわよ。」

通常レイ「そう?」

転校生レイは、シンジが出かけてしまわないか外の音に気を配りながら、朝食の準備を
するのだった。

<ミサトの家>

シンジ「ミサトさん! そろそろ起きないと遅刻しますよ!」

ミサト「ぐぅ・・・・。」

こちらでも、あわただしい朝の光景が見られる様だ。毎度のことながら、寝起きの悪い
ミサトをシンジはがんばって起こす。

シンジ「ミサトさん! 起きて下さいって!!」

ミサト「わーーーってるって。」

シンジ「目が開いてないじゃないですか! 起きて下さいよ!」

ミサト「あーーーーもぅ・・・・はいはい。起きればいいんでしょ、起きれば。」

ミサトは、布団から起き上がるとパジャマを脱いで着替え始めた。

シンジ「ミサトさん! ぼくの前で着替えないでって、いつも言ってるじゃないですか!!」

シンジは慌ててミサトの部屋を出て行こうとする。

ミサト「あっらぁ、照れちゃって。かっわいいんだから。」

シンジ「からかわないで下さいよ! 朝食作りませんよ!」

ミサト「ごめんごめん・・・。」

シンジ「じゃ、早く起きてきて下さいね!」

シンジが食卓でパンにバターを塗りながら、ミサトを待っているとチャイムが鳴り響い
た。

こんな朝から、誰だろう?

パンを皿の上に置き、玄関を開けてみるとそこには妙におめかししたアスカコンビの姿
があった。

シンジ「どうしたの? 2人でお出かけ?」

幼馴染アスカ「アンタバカぁ? アンタも来るのよ!」

シンジは、今の今までデートの話など知らなかったのだが、突然現れてアンタバカ扱い
である。

シンジ「どこに?」

通常アスカ「いいから出かける準備をさっさとしてくる!」

シンジ「え・・・う、うん・・・わかったよ。ちょっと待ってて。」

シンジの都合などお構いなしに、強引に押し切ったアスカコンビだったが、シンジをう
まく誘えたので、2人ともそれなりに笑みをこぼしていた。

<レイの家>

その頃、レイちゃんズは朝食を食べていた。

ズズズズズズ。

お味噌汁・・・おいしい・・・。

ズズズズズズ。

通常レイが味噌汁をすする音の他に、玄関から騒がしいアスカコンビの声が聞こえてく
る。

転校生レイ「は・・・早いわ! レイ、朝ご飯はここまでよ! 出かけるわ!」

通常レイ「お味噌汁を飲むまで待って。」

ズズズズズズ。

転校生レイ「なに呑気なこと言ってんのよ! そんなのいいからさっさと行くわよ!」

味噌汁に後ろ髪引かれる通常レイを引っ張って、転校生レイは外の様子を伺いに玄関ま
で出て行く。

転校生レイ「ほらぁ、靴を履いて。」

下駄箱から靴を取り出し通常レイに渡しながら、玄関の扉に耳を当てて外の様子を伺う。

ガチャ。

通常レイ「行きましょ。」

転校生レイ「わっ!」

靴を履き終わった通常レイが、玄関の扉を開けようとしたので、慌てて取り押さえる。

転校生レイ「何してんのよぉ。びっくりさせないでよ。」

通常レイ「行かないの?」

転校生レイ「まだよ! もうちょっと、待って。」

それから数分の間、狭い玄関でレイちゃんズが身を寄せ合いながら外の様子を伺ってい
ると、シンジの声が聞こえてきた。

シンジ「じゃあ、準備できたけど、どこへ行くの?」

通常アスカ「まずはねぇぇ・・・」

通常アスカが何か言いかけた時、幼馴染アスカがずいと前に出て通常アスカを後ろに追
いやる。

幼馴染アスカ「アンタは脇役なんだから、勝手に決めないでよね!」

通常アスカ「ぶぅぅ・・・わかったわよ!」

幼馴染アスカ「アタシは、動物園に行きたいな。」

シンジ「動物園? どうしてそんな所にわざわざ行くの?」

幼馴染アスカ「どうしても、行くのよ!」

シンジ「べつに、ぼくは行かなくても・・・」

幼馴染アスカ「アンタも! 来るのよ!」

シンジ「・・・・・・・はい・・・・。」

動物園ね・・・。

その時、隣の家の扉の向こうでは、行き先を突き止めた転校生レイがニヤリとほくそえ
んでいた。

<動物園>

第3新東京市外にある動物園に、アスカコンビとシンジはほぼ開園と同時に入場した。

幼馴染アスカ「やっぱり、最初はシマリスよね。」

通常アスカ「何言ってるのよ、動物園に来たらラクダからよ。」

幼馴染アスカ「わかってないわね。動物園ではシマリスから見るのがいいんじゃない。」

通常アスカ「アンタこそわかってないわねぇ。動物園では、ラクダから見るって昔から
            決まってるんだから。」

入園早々早速もめ始めるアスカコンビを、シンジは呆れながら見守っていたが、決着が
なかなかつかなくなったアスカコンビの矛先がシンジに向う。

通常アスカ「アンタは、どっちが見たいの!?」

シンジ「え?」

幼馴染アスカ「シマリスよねぇ。」

通常アスカ「シンジは、ラクダから見るに決まってるわよね!」

2人に詰め寄られ、困り果てたシンジは天を仰ぎ見る。

シンジ「ど、どっちかな・・・ハハハ。」

通常アスカ「もぅ・・・。」

幼馴染アスカ「じゃ、アタシ達はシンジに付いていくから、シンジが案内してよね。」

シンジ「えーーーー。ぼくがぁ?」

幼馴染アスカ「そうよ! それじゃ、最初はどこに案内してくれるの?」

シンジ「それじゃ・・・そうだなぁ・・・。」

シンジはアスカコンビを両脇に従えると、順路を示す矢印に従って地図を見ながらぼち
ぼちと歩き出した。

シンジ「最初は象からみたいだね。ハハハ・・・。」

アスカコンビがシマリスやらラクダやら言ってたので、象では気に入らないかなと心配
しながら2人の顔を交互に見る。

幼馴染アスカ「あ! 象さんだ!」

通常アスカ「ほんと! 象さんなんて久々に見たわねぇ。」

先程までつまらないことで言い合っていたアスカコンビだったが、のそのそと歩く象の
姿が目に入ると、子供の様に喜んで象の檻の前まで走っていった。

幼馴染アスカ「鼻とか耳が大きいから、アフリカ象ね。」

通常アスカ「インド象より、やっぱりアフリカ象が大きくていいわねぇ。」

幼馴染アスカ「あ! ほらほら、鼻を水につけてるわよ!」

通常アスカ「本当だ! 体でも洗うのかしら?」

目を輝かせて象を見る通常アスカを見ていると、シンジは平和な世の中になったことを
痛感していた。

パオーーーーン。

ビシャッ!

象が鼻から水を吹き出した時に、その水が通常アスカの服にかかってしまった。

通常アスカ「キャーーーーー!! な、なによこれぇぇぇぇ!! シンジ! アンタが象
            の所なんかに連れてくるから、ひどい目に会ったじゃないの!!! どう
            してくれんのよ! この服!!」

びしょびしょの服を指で摘んで、自分を責め立てる通常アスカを見たシンジは、世の中
とは理不尽であることを痛感した。

転校生レイ「ププププププ。」

びしょびしょになった通常アスカの情けない姿を木の影から見ていたレイが、思わず笑
ってしまう。

転校生レイ「あーーおっかし・・・ねぇ、レイ・・・・って・・・・何してるの!?」

お腹をかかえながら転校生レイが後ろを振り返ると、腰を曲げ鼻の前に右手を垂らして
ぶらぶらさせている通常レイがいた。

通常レイ「象さん・・・。」

転校生レイ「・・・遊んでないで、シンちゃん達の後をつけるわよ!」

通常レイ「そうね。」

びしょびしょのアスカを連れてトイレへと向うシンジ達を尾行すべく、行動を起こす転
校生レイと通常レイ。象の檻の側を通り過ぎる時、通常レイはその赤い瞳を凝らして象
をじーーーーっと見つめながら通り過ぎて行った。

                        ●

通常アスカ「トイレで服を拭いてくるから、ハンドバック持ってて。」

シンジ「うん。」

通常アスカ「ハンドバックの中、あさるんじゃないわよ!」

シンジ「そんなことするわけないだろ。」

トコトコと、濡れた服を指で摘んで口にタオル地のハンカチを咥えたアスカは、トイレ
の中へと入って行った。

幼馴染アスカ「待っている間、ジュースでも飲みましょうか。」

シンジ「そうだね。何か買ってこようか?」

幼馴染アスカ「買ってきてくれる? じゃぁ、オレンジジュース。」

シンジ「わかった。」

近くにある自動販売機で、シンジはアスカコンビ用にオレンジジュースを2本と、自分
のコーラを買ってくる。

幼馴染アスカ「ありがとう。」

シンジと幼馴染アスカは、2人でベンチに座ってジュースを飲む。

幼馴染アスカ「そーだ! アタシね、使い捨てカメラ持ってきたの。待ってる間に写真
              を撮ってもらおうよ。」

シンジ「うん、いいけど・・・。」

やった! ツーショットよ! 今がチャーーンス!!

幼馴染アスカは、通りすがりの親子連れの父親にカメラを渡して、写真を撮ってほしい
とお願いした。

男性「撮りますよ?」

幼馴染アスカ「はーーーーい。」

思いがけずに訪れたことだが、このチャンスを最大限に利用しない手はない。幼馴染ア
スカは最高の笑顔で、カメラに向って微笑んだ。

そうはさせるもんですかぁぁぁぁぁぁ!

シンジも幼馴染アスカも気付かぬうちに、水色の丸いものが疾風のごとく2人の後ろに
現れ両手でピースをしながらニマッと笑ったかと思うと、シャッターを切った直後には
再び疾風のごとく去っていった。

やった! シンジとのツーショットだわ!

使い捨てカメラを返してもらった幼馴染アスカは、そのカメラを大事そうにハンドバッ
クに仕舞い込む。

通常アスカ「シンジぃぃぃぃ!! ハンドバック持ってきてぇぇ!」

トイレの方から通常アスカのシンジを呼ぶ声が聞こえる。

シンジ「ちょっと待っててぇ!」

シンジは、通常アスカのハンドバックを片手に女子トイレの前まで走って行った。

通常アスカ「うーーーん。こっちのトイレって、あんまりよくないのよね。向こうにも
            トイレがあるから、あっちへ行きましょ。」

通常アスカは、シンジの手を引くと少し離れた所にあるトイレに向って歩き出した。

シンジ「で、でも、勝手に場所かえたらまずいんじゃないかな?」

通常アスカ「少しの間だから心配ないわよ。」

シンジ「そうかなぁ。」

通常アスカに引っ張られながらシンジは、幼馴染アスカのことが心配になり、ふと振り
向くとそこには目が座った幼馴染アスカが立っていた。

シンジ「ア、アスカ!」

通常アスカ「何よ・・・・って・・・ウゲッ!」

幼馴染アスカを見つけた通常アスカは、冷や汗をかいて苦笑いを浮かべる。

幼馴染アスカ「アンタ、何をしようとしてたの?」

通常アスカ「え・・・ちょっと、トイレを変えようと思っただけよ。人聞き悪いこと言
            わないでくれない?」

幼馴染アスカ「フーーーン。アタシも一緒に行くわ。」

通常アスカ「そ、そうね。わざわざ、戻る必要も無いしその方がいいわね。アハハハハ。」

油断も隙も無いと睨み付ける幼馴染アスカと、計画が失敗してブスーっとする通常アス
カは、シンジを伴って別のトイレへと移動した。

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そうこうしているうちにお昼時。シンジ達一行は、動物園の中にあるうどん屋で昼食を
食べていた。

幼馴染アスカ「約束だからね! お昼ご飯が終わったら、アンタは帰るのよ!」

小声で通常アスカに釘をさす。

通常アスカ「せっかくここまで来たんだから、もうちょっとだけ・・・ね。」

幼馴染アスカ「約束は約束でしょ。ダーメ!」

通常アスカ「ブーーーーーー。わかったわよ。帰ればいいんでしょ、帰れば!」

幼馴染アスカ「そうよ。帰りはお1人だから気をつけてねぇーーー。」

ちくしょーーーー!! そのまま帰ってやるもんですか! 絶対に邪魔してやるんだから!

通常アスカ「じゃ、アタシはそろそろ帰るわね。」

うどんを食べ終わったアスカは、しぶしぶシンジに帰ることを告げる。

シンジ「え? どうして?」

通常アスカ「うん・・・ちょっとね。」

シンジ「みんなで動物園に来たんだから、もうちょっと一緒に遊んで行こうよ。」

通常アスカ「そうもいかないのよねぇ。用事があるし・・・。」

いいわよシンジ! もっとアタシを引き止めるのよ!

幼馴染アスカ「残念ねぇ。用事があるんじゃ仕方無いわね。」

シンジ「じゃぁ、もうみんなで帰ろうか。1人だけ帰るなんて、なんだか寂しいよ。」

幼馴染アスカ「えっ!? アタシ達は別にいいじゃない・・・ね。」

シンジ「そういうわけにはいかないだろ。さぁ、帰ろうよ。」

その調子よ! シンジもなかなかやるじゃない。今度たっぷりかわいがってあげるわね!

立場が逆転しニコニコ顔の通常アスカに対して、思うようにいかなかった幼馴染アスカ
は、しぶしぶ通常アスカを帰すことを諦めた。

その頃、うどん屋の隣にあるラーメン屋からシンジ達の様子を伺っていた転校生レイは、
通常レイと一緒にニンニクラーメンを食べていた。

転校生レイ「ちょっと、わたしトイレに行ってくるから、しっかりシンちゃん達が、あ
            の場所から離れない様に見張っててね。」

通常レイ「もぐもぐ・・・わかったわ・・・つるつる。」

転校生レイがトイレに走って行った後、通常レイは言われた通りシンジ達をじっと見つ
めていた。

通常レイ「あ!」

うどんを食べ終わったシンジ達一行は、動物園の続きを見回ろうと立ち上がる。通常レ
イは、慌てて転校生レイを呼びに行った。

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通常アスカ「あぁ! コアラだぁ。」

今は、コアラ館。ユーカリの葉を食べながら、木に抱っこしてしがみ付いているその愛
らしい姿に目を奪われるアスカコンビ。

幼馴染アスカ「かわいいわねぇ。」

通常アスカ「でも・・・コアラって全然動かないのね。」

しばらく、コアラと睨めっこしていたが、全然動かないコアラをじっと見ているのも飽
きてきたので、バイバイと手を振ると次の動物の所へと移動した。

幼馴染アスカ「ほらほら、あの子かわいいわね!」

コアラ館を出た所にいるレッサーパンダを見つけた幼馴染アスカは、そのかわいらしい
動きに目を奪われ、通常アスカと一緒に走っていく。なんだかんだいいながら、仲良く
動物を見ている様だ。

通常アスカ「ほんとだぁ、かーわいい。」

幼馴染アスカ「ほらぁ、シンジも見てみなさいよ。」

ぐいとシンジの手を引っ張って自分の横に引き寄せる。

通常アスカ「あーーーーー!!」

通常アスカもまけじと反対側の腕に自分の腕をからめて、シンジの横にべたーっとくっ
ついた。

幼馴染アスカ「ほらほら、かわいいでしょ。」

幼馴染アスカもここぞとばかりに、これでもかというくらいシンジにくっつきながら、
レッサーパンダをもう片方の手で指差す。

ちょっと・・・みんな見てるよ・・・。

同じ顔の絶世の美少女2人に両手をつかまれたシンジは、レッサーパンダなど目に入ら
ず周囲の視線ばかりが気になっていた。

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転校生レイ「しまったわねぇ・・・何処に行ったのかさっぱりわからないわ。」

転校生レイは、通常レイと一緒にカバのゾーンを歩いていた。すぐにシンジ達を追いか
けたのだが、シンジ達がコアラ館に入っている間にレイちゃんズが追い抜いてしまった
のだ。

通常レイ「そろそろ、帰りましょ。」

転校生レイ「そうねぇ・・・シンちゃん達も、もう帰ったかもしれないし・・・。」

もうすぐ夕方である。レイちゃんズは、シンジ探索を諦めて帰ることにした。

通常レイ「もう一回、象さんが見たいわ。」

転校生レイ「あなた、象さんが好きねぇ。いいわよ、最後に見て帰りましょうか。」

象の所へ行くと、通常レイはまじまじと興味深そうに象を見つめる。

転校生レイ「そろそろ行きましょうか?」

通常レイ「もうちょっと、待って。」

転校生レイ「そんなに象さん見てて面白い?」

その時、聞き覚えのある声がレイちゃんズの耳に聞こえた。

シンジ「あ! 綾波にレイじゃないか!!」

通常アスカ「なんで、アンタ達がここにいるのよ!!!」

幼馴染アスカ「さては、何かたくらんでたわね!!」

あ・・・・み、みつかっちゃったわ・・・。

シンジにだけならともかく、アスカコンビにまで見つかったので転校生レイは言い訳を
探して辺りをきょろきょろした。ふと、象をまじまじと見つめる通常レイの姿が目に入
る。

転校生レイ「あらーー、偶然ね。レイが象さんを見たいって言うから、来たのよ。あな
            た達もここに来てたの?」

確かに通常レイは象の方をまじまじと見つめている。

幼馴染アスカ「フーーーン。まぁいいわ。今回は信じてあげることにするわ。」

通常レイ「あ! 碇くん。」

シンジを見つけた通常レイは、トテトテとシンジの前へ歩み寄ると、右手を鼻の前に垂
らして象の真似をしだした。

通常アスカ「アンタ、何やってんの?」

通常レイ「レイが、象さんになりなさいって。」

幼馴染アスカ「なにそれ? ねぇ、そんなこと言ったの?」

転校生レイ「え? 言ってない言ってない。」

唖然と通常レイを見ていた転校生レイもブンブンと首を横に振って否定する。

通常レイ「今朝、寝起きでも象さんみたいにしないと碇くんに嫌われるって・・・。」

転校生レイ「へ?」

今朝のことを思い浮かべる転校生レイ。

転校生レイ「あ! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

大きな冷や汗が、転校生レイの額にツツツツと流れ落ちる。

転校生レイ「マジ? ギャグ?」

通常レイ「何が?」

手をぶらぶらさせながら、きょとんと答える通常レイ。

転校生レイ「わたしが言ったのは、エレガント。あなたがやってるのはエレファントで
            しょうが!」

通常レイ「ハッ! ・・・・・・・・・・ち・・・違うのね・・・・。」

白い顔を真っ赤にさせて、恥ずかしそうにうつむく通常レイと、次こそは2人だけでデ
ートがしたいなと思う3人の上を、一羽のカラスがカーカーと飛び去って行った。

To Be Continued.
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