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TwoPair
Episode 08 -古着-
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<ミサトの家>

通常アスカ「ケチケチしないでよこしなさいよ! ウエストがきつくなった服がいっぱ
            いあるんでしょーーがーー!!」

いずれ着れるだろうと思って大事に置いてる服が実際にあるだけに、ムッとするミサト。

ミサト「し、失礼ねぇーー! こう見えてもスタイルはアスカよりずーーっといいわよ
        ん。」

通常アスカ「まぁ、バストはあるかもしれないけど、ウエストだってボリュームたっぷ
            りなんじゃないかしらぁ?」

ミサト「まぁ、お子様のアスカには、大人の魅力はわからないでしょうねぇ。」

通常アスカ「ただの言い分けにしか聞こえないわね。」

フリーマーケット出展用のいらなくなった古着をミサトに貰いに来たのだが、なぜか言
い争いになってしまった2人の間に、あきれながらも転校生レイは仲裁に入ろうとする。

転校生レイ「もぅ、アスカもつまんないことで喧嘩してないで、早く準備しましょうよ。」

通常アスカ「ツルペタはひっこんでなさい!」

転校生レイ「あぁぁーーーーー!! ひっどーーい!!」

ミサト「アスカ、レイちゃんにそういうことを言ったらかわいそうでしょ。」

転校生レイ「ミサトさーん、フォローになってないんだけど・・・。」

ミサトが古着を出し渋ったことが、そもそもの原因なのだ。アスカは、再びミサトに古
着の催促をする。

通常アスカ「ミサトもケチケチしてないで、洋服の10着くらい出しなさいよ!」

ミサト「わたしの服は、アスカの着るようなお子様服と違って高いのよ。」

通常アスカ「ダレがお子様服着てるってのよ! お子様服ってのは、こういうメリハリ
            の無い服を言うのよ!」

転校生レイの胸元にビシッと人差し指を立てて、なぜか誇らしげ気に言ってのける通常
アスカ。

転校生レイ「いちいちわたしを引き合いに出さないでよ!」

通常アスカ「あーーごめんごめん。ついその胸を見てるとね。」

話題の軌道修正をしようとしても、なぜかすぐに本題を外れていってしまう様だ。

転校生レイ「ひっどーーーい。また言うーーー。ウエストはわたしが一番スリムなんだ
            からねーーだ!」

通常アスカ「プロポーションは、アタシくらいの方がバランスがいいのよ!」

ミサト「アスカだって、わたしと同じこと言ってるじゃない。」

通常アスカ「むぅぅーーーーっ。ミサトと一緒にしないでよ!」

実りの無い口論は、まだしばらく続く様だった。

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                        :
                        :

その頃リビングで行われている言い争いを聞いていたシンジは、服の数が少ないと何を
言われるかわからないので、明日出展する服をできるだけ多く選んでいた。

困ったなぁ、あんまり服無いよ・・・。

あまり服など持っていないシンジが、少ない中から出展する服を選ぶとなると至難の技
なのだ。

うーーん、これは気に入ってるしなぁ。これくらいなら、出展してもいいかなぁ。

通常アスカに怒られないよう、ある程度見栄えのする服・・・とはいっても所詮はTシ
ャツだが・・・を厳選していく。

5着くらいあればいいかな・・・足り無いかな・・・うーん、あと1着追加しとこう。

4着のTシャツと2着のポロシャツを手にしたシンジは、意を決して立ちあがり自分の
タンスの中を覗き見る。

服が足りなくなっちゃったな、また買わないといけないなぁ。

シンジが服を持ってリビングへ出て行くと、言い争いはなんとか和解したらしく、ミサ
トがしぶしぶ2着のワンピースを部屋から持って出て来るところだった。

ミサト「もう、これくらいで文句無いでしょ。これ以上は駄目よ。」

通常アスカ「はいはい。これで勘弁してあげるわ。」

シンジ「あの・・・ぼくも、これくらいでいいかな。」

おずおずと通常アスカの顔色を伺いながら、自分の出展する服を差し出してみる。

通常アスカ「アンタの服なんてどーせ誰も買わないだろうから、なんでもいいわよ。そ
            の辺に積んどいて。」

シンジ「・・・・・・・・。」

なんだかむなしい気持ちと、怒られなくて良かったという思いが心の中で渦巻きながら、
シンジは自分の選んだ服を玄関に置きに行くのだった。

<アスカの家>

シンジとミサトの服を持って帰った通常アスカと転校生レイは、フリーマーケットの準
備をしている幼馴染アスカと通常レイの待つリビングへと入って行った。

通常アスカ「ミサトの服貰って来たわよ。」

幼馴染アスカ「アタシ達の服は、これくらいでいいかしら?」

そこには最近着てない20着の服が並べられており、通常レイが楽しそうに値札の貼り
付けをしていた。

通常アスカ「まぁ、そんなところね。洋服ダンスに入りきらなくなって困ってたのよね
            ぇ。丁度整理するのにいい機会だわ。」

アスカが2人も住む家である。ぎっちり服がつまっている洋服ダンスの様子を想像する
ことは誰もが容易い。

幼馴染アスカ「結構集まったじゃない。」

集まった服を見下ろしながら、フリーマーケット参加を最初に提案した幼馴染アスカは、
満足気につぶやく。

通常アスカ「でも、ミサトったら出し渋って2着しかよこさないのよ! 信じらんない!」

そのセリフを聞いた通常レイが、申し訳無さそうに自分の持って来た服の方へ目をやった。

通常レイ「私、あまり服がないから・・・。」

通常レイの持って来たのはブラウス1着だけなのだ。以前に比べると転校生レイのおか
げで遥かに服の数も増えたが、まだまだ必要最小限の服を揃えた程度なので余裕が無い。

通常アスカ「あー、いいのいいの。どっちかっつーと、アンタは明日儲けたお金でなん
            か服を買わないとね。」

幼馴染アスカ「アタシの服をあげてもいいけど、やっぱり同じ体型のこっちのレイから
              貰った方がいいわよね。」

転校生レイ「どうしてあなたたちは、口裏を合わせた様に同じことが言えるわけぇ?」

通常アスカ「真実だからなんじゃない?」

転校生レイ「むぅぅぅぅぅぅ!! 女はウエストラインで勝負なんだよーーーだ! べーー。」

通常アスカ「それより、アンタの服は?」

転校生レイ「わたしの服はこれだけね。」

転校生レイがもってきたのは、6着ほどのカジュアルな服やスカートだった。

通常アスカ「一応男物も無いと格好がつかないから、シンジの服を5着つけて全部で3
            4着ね。」

幼馴染アスカ「よーーーし、明日は完売させるわよーー。」

4人娘は、キャイキャイ言いながら値札作りやハンガーの準備などで、その日残された
時間を楽しく過ごしたのだった。

<フリーマッケット会場>

いよいよフリーマッケット開催の日。

朝早くから4人娘+シンジは、フリーマーケット会場に確保した販売スペースで、ハン
ガーに服を掛けたりと販売の準備を始めている。

シンジ「ねぇ、他のスペースってぼく達よりもっとたくさん服出してるよ。」

通常アスカ「いいのいいの。うちは質で勝負だから。」

質とは言ってもミサトやアスカコンビの服でもせいぜい3000円程度で売る予定であ
る。早い話、儲けよりもこういったイベントが好きなだけなのだろう。

転校生レイ「どうせ売るなら、同じ歳くらいの娘が買ってくれないかなぁ。」

幼馴染アスカ「気持ちはわかるけど、やっぱり完売が最優先よ!」

転校生レイ「アスカって意外と商売人なのね。」

幼馴染アスカ「だって、売れ残ったら悔しいじゃない。」

そうこうしているうちにフリーマーケットが開催され、ゲートから一般の客が入場して
来た。

通常アスカ「・・・・・・・・・・・・・・・。」
幼馴染アスカ「・・・・・・・・・・・・・・・。」
通常レイ「?」
転校生レイ「・・・・・・・・・・・・・・・。」
シンジ「なんだぁ??」

フリーマーケット開催と同時に、販売スペースの前にはアスカとレイのファンらしき男
の子が大量に行列を作っていたのだ。

転校生レイ「なにこれ・・・。」

通常アスカ「まったく、何考えてるのかしら・・・。」

使徒との戦いが終わりネルフの戦歴が公開された為、今やアイドル以上の存在となって
しまったアスカとレイなのだ。

幼馴染アスカ「こんな連中に、アタシ達の服は売りたくないわね。」

通常レイ「?」

通常アスカ「シンジ! アタシ達の服を全部持って帰って、代わりにアンタのTシャツ
            とズボンを全部持ってきなさい!」

幼馴染アスカ「あっ、今アンタが着てる服も脱いで置いていきなさいよ!」

シンジ「はぁ? 今着ている服を脱いじゃったら帰れないじゃないか。」

通常アスカ「持って帰る誰かの服を着て帰ればいいでしょ!」

シンジ「えーーーっ!!」

通常アスカ「つべこべ言わずにさっさと行く!」

シンジ「もう・・・わかったよ。」

シンジは言われるがまま、販売スペースの陰でズボンとTシャツを着替えると、4人娘
の服を抱かえながら走って家に帰って行った。

通常アスカ「昨日、シンジの服はアタシ達が全部貰ったの。だから、アタシ達の服なの
            よ。 いいわね!」

幼馴染アスカ「うんうん。」

自分達の服を売るのが嫌なので、シンジの服を自分達の服として売りさばく気でいるよ
うだ。

転校生レイ「アスカ・・・それは詐欺よ。」

通常アスカ「あら? じゃ、売るのやめる?」

転校生レイ「やめるなんていってないじゃない。やーねー。」

アスカコンビと転校生レイが悪巧みをしている頃、客達はまだ販売が始まらないのかと
ざわつき始めた。

幼馴染アスカ「とにかく、販売を開始しましょ。」

通常アスカ「そうね。このままじゃまずいわね。」

残っているのは、ミサトとシンジの服ばかりなので、ミサトの服から売りさばくことに
する。

幼馴染アスカ「それじゃー、販売を開始しまーーす! 葛城ミサトのワンピースがほし
              い方、いますかーー!?」

幼馴染アスカがそう言うやいなや、どーーーっと押し寄せてくる男性客。

客「それください!」

客「俺に売ってくれ!」

客「俺が先に並んでたんだ!!」

通常アスカ「じゃーー、一番高い値段で買ってくれる人に売りまーーす。」

客「1万!!」

客「3万!!」

アスカやレイに負けず劣らず美人作戦部長として人気のあるミサトだけあって、値段が
ぐんぐんと跳ね上がっていく。

幼馴染アスカ「じゃ、5万5000円以上は無いんですね!」

こうして、出展している服はフリーマーケットというよりオークションの様な雰囲気の
中、1着づつセリ落とされていった。

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                        :
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アスカやレイの服ということで売りさばいていたシンジのTシャツもあと1着となり、
シンジが戻るまでの時間稼ぎもそろそろ限界だ。

もう、シンジ! さっさと帰ってきなさいよ!

幼馴染アスカは、シンジが来るはずの方向をイライラしながら眺めていると、後ろから
待ち人の名前が耳に入った。

客「あの・・・碇シンジさんの服は無いんですか?」

いつのまにかスペースの前に中学生くらいの女の子3人が立っている。どうやらシンジ
のファンらしい。

通常アスカ「シンジの服? 今日は置いてないのよ。ごめんね。」

シンジの服を、こんな女に渡してたまるもんですか!

女の子「そうですか・・・。」

シンジ「ただいまぁ、服を持ってきたよ。」

がっかりした様子で女の子達が帰ろうとした時、タイミングが良いのか悪いのか、服を
抱かえたシンジが駆け戻って来た。

女の子1「あ! シンジ様よ! シンジ様だわーー!」

女の子2「きゃーーーーー!!」

女の子3「シンジ様ぁぁぁっっーーーー!」

アスカコンビやレイちゃんズをスリ抜けた3人の女の子達は、ドぉーーーっと販売スペ
ースの中に入りシンジの元へ掛け寄って行く。

シンジ「な、なんだぁ?」

女の子達に取り囲まれたシンジは、服を抱えながら自分の身に何が起っているのかわか
らず、おろおろするばかり。

通常アスカ「勝手に入って来るんじゃないわよ! 出て行きなさいよ!」

転校生レイ「あなた達、何してるのよ!」

幼馴染アスカ「離れなさいよね!」

女の子1「キャーーー、本物のシンジ様だわぁぁ!!」

女の子2「あのぉ・・・握手して貰えますぅ?」」

女の子3「よかったら一緒に写真映してくれませんかぁ?」

アスカコンビや転校生レイの怒声など、憧れのシンジの前では聞こえないのかベタベタ
ぁっとくっつき始める女の子達。

シンジ「握手? べつにいいけど・・・。」

女の子が手を差し出してきたのでシンジがなにげなく握手をすると、他の2人も手を差
し出しシンジの手を握りながら大喜びしている。

女の子1「きゃーーー、握手して貰っちゃったーーー。」

女の子2「この手、ずっと洗いませんからぁ!」

女の子3「キャーー、もぅずっと握ってて下さーーい。」

転校生レイ「ちょっとーー!! 何やってるのよ!!」

幼馴染アスカ「いい加減にしないさいよね!! 気安く触るんじゃないわよ!!」

通常アスカ「こンのーーー!! 調子に乗るんじゃないわよ!!」

アスカコンビと転校生レイが、髪の毛を逆立ててうれしそうに握手する3人の女の子と
シンジの間に飛び込んで行く。

通常アスカ「さっさと出てけぇぇぇぇっっっーーーーー!!」

シンジと女の子達を引き離すと、鬼の様な形相で彼女達を睨み付けながら叱り飛ばす通
常アスカ。

女の子2「もう! 痛いじゃ・・・・・・・・・」

はじき飛ばされた女の子達の内、1人が文句を言いつつ顔をあげたが一瞬のうちに顔が
真っ青になる。

女の子2「ひぃぃぃぃぃーーーー!!!」

修羅と化した転校生レイがギロッと見下ろしていたのだ。あまりの恐ろしさに女の子達
があわてて視線を逸らした先には、虎でも腰を抜かさんばかりの殺気のオーラに包まれ
たアスカコンビが睨みつけている。

女の子2「いや・・・あの・・・その・・・。」

女の子1「あははははは・・・。」

トンッ。

冷汗をダラダラ垂らしながら恐怖におののき、じりじりと後ずさりしていく女の子達の
背中に何かがぶつかる。

女の子2「ん?」

振り返ると、そこには凍りつく様な強烈な視線で睨み付ける通常レイがいた。

女の子2「ひぃっ!」

女の子1「あわわわわわわわわ・・・・。」

女の子3「た、たすけて・・・。」

3人の女の子達は、蛇に睨まれたカエル・・・いやコブラに睨まれた雨蛙の様にあわて
ふためきながら販売スペースからドタドタと逃げ去って行った。

幼馴染アスカ「まったく、身の程知らずもいいとこね。」

転校生レイ「あんな娘達まで来てるんじゃ、ほおっておけないわね。シンちゃんは、も
            う帰っておいて。」

シンジ「この服どうするの?」

通常アスカ「そこに置いといて。」

シンジ「でも、これ全部売ったらぼくの服が全部無くなるんだけど?」

幼馴染アスカ「大丈夫大丈夫。明日新しい服を買ってあげるから。」

シンジ「それならいいけど・・・。」

その後、シンジの服はアスカやレイの服として、1着平均3万円という高値で売り払わ
れ、フリーマーケットの販売会は無事完売となった。

<ミサトの家>

その夜、ミサトの家ではさすがにアルコールは無いものの、豪華料理の大宴会が繰り広
げられていた。それもそのはず100万円近い収入を得たのだ。

通常アスカ「まさか、こんなに儲かるとは思ってなかったわぁ。」

そうはいっても通常アスカも通常レイもネルフの職員なのだから、お金には全く苦労な
どしてないのだが、やっぱりこういうお金は嬉しさが違うのかもしれない。

転校生レイ「明日は、シンちゃんの服とレイの服を買いに行きましょ。」

通常レイ「ありがとう。」

転校生レイ「どんな服がいい?」

通常レイ「なんでもいいわ。」

転校生レイ「なんでもってことないんじゃない? 好みの服とかってあるでしょ?」

通常レイ「よくわからないから。」

転校生レイ「じゃ、赤と黒のシマシマのTシャツでもいいの?」

通常レイ「それは・・・。」

転校生レイ「でしょ。ちゃんと、好みがあるじゃない。明日までにどんな服がほしいか
            考えておくといいわ。」

通常レイ「うん。わかった。」

転校生レイのおかげで、少しづつではあるが女の子らしくなってきている通常レイであ
った。

シンジ「ぼくは、最近流行の・・・」

転校生レイ「シンちゃんは、わたし達が選んであげることになってるから考えなくてい
            いの。」

シンジ「えっ?」

通常アスカ「そうそう。ちゃんとコーディネイトしてあげるから、楽しみにしておきな
            さいよね。」

シンジ「う・・・うん・・・。」

幼馴染アスカ「しっかし、ミサトの服が一番高く売れたってのが気に入らないわね。」

通常アスカ「元が高い服だからよ。そうに違いないわ。」

こうして4人娘とシンジは夜遅くまで楽しく過ごしていたが、明日の買い物もある為、
夜の11時頃にはそれぞれの家に帰って行った。

翌朝。

通常アスカ「シンジっ。」

シンジ「ん?」

通常アスカの声に、目を覚ますシンジ。まだ朝の6:30くらいだ。

シンジ「どうしたの? こんなに朝早くから。」

通常アスカ「アンタ、着替える服無いんでしょ?」

シンジ「うん。でも今日買うからいいよ。」

通常アスカ「ダメよ。2日も同じ服なんか着てたら臭いし、だいたいそれってレイの服
            じゃない。」

シンジ「だって、他に服ないだろ。」

通常アスカ「しょうがないから、アタシのタンクトップ持ってきてあげたわよ。もう着
            ないやつだからアンタにあげるわ。」

シンジ「え? いいの? 助かるよ。」

通常アスカ「それじゃ、まだ眠いから帰るわ。レイの服は、アタシが返しておいてあげ
            るわね。」

シンジ「でも、ズボンは?」

通常アスカ「あっそっか・・・、じゃズボンはレイのを今日1日借りておきなさい。」

シンジ「うん、わかった。ありがとう。」

通常アスカ「じゃね。」

通常アスカは、タンクトップをシンジに渡すと自分の家に帰って行った。

<デパート>

通常レイの服を10着ほど買った後、今度はシンジの服を買う番になっていた。

転校生レイ「ねぇねぇ、シンちゃん、こんなの似合うんじゃない?」

薄いピンク色のTシャツを自分の体に当てながら、シンジ見せる転校生レイ。

シンジ「えぇぇぇ、ピンクはやめてよ。」

通常アスカ「ねぇシンジ、これ着てみてよ。」

今度は、アスカがかわいらしい白地のブラウスを持って来る。

シンジ「だから、どうして女の子の着る様な服ばっかり持ってくるんだよ。」

幼馴染アスカ「いいから、ちょっと試着してみなさいよ!」

シンジ「えーーーー。」

通常アスカ「さっさと着てみる!!」

しぶしぶ、アスカコンビとレイちゃんズが次々と持ってくる服を試着していくシンジ。
試着室から、シンジが姿を現す度に4人娘達はキャーキャーと狂喜乱舞していた。

はぁ・・・どうしてこうなることが、予想できなかったんだろう・・・。

恥ずかしくて嫌々ながらも逆らうことができないシンジは試着を繰り返し、4人娘の本
日のメインイベントの餌になっていくのだった。

<ミサトの家>

夕方まで遊ばれたシンジだったが、最後にはなんとか15着ほどの新しい服を買って帰
ることができた。

Tシャツが10枚とズボンが3着、ポロシャツが2枚か・・・。これだけあれば十分だ
な。

シンジは買ってきた服の値札を外しながら、洋服ダンスに収納していく。

全部服が新品になっちゃったなぁ。新品じゃないのは、アスカから貰ったタンクトップ
だけかな。

シンジは、そのタンクトップを脱ぐと洗濯籠に入れた。

このタンクトップ、よくアスカが着ていたやつだったな。そういやこれを着ながら、ジ
ェリコの壁がどーとか言ってたこともあったなぁ。

洗濯籠の前で、なんとなく昔を懐かしむシンジだった。

<アスカの家>

その頃、通常アスカは1枚のTシャツを自分の机の引き出しにしまい込んでいた。シン
ジが出展用に選んだ6枚の服から、密かに1枚抜き取って置いておいたTシャツである。

この服だけは売れないからね・・・。

最後に残ったシンジの古着、それは通常アスカとシンジが一緒に暮らし始めるきっかけ
とるユニゾンの訓練の時に、シンジが着ていたTシャツだった。

To Be Continued.
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