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TwoPair
Episode 12 -なんでぼくが女子校に!-
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<ミサトの家>

アスカとレイが2人になってから数日が経過し、そういった生活に馴れてきたある日、
シンジを含めた5人がミサトの家に集められていた。

ミサト「シンちゃんに、アスカ,レイ。大事な話があるの。」

転校生レイ「大事な話?」

幼馴染アスカ「何よ。急に改まっちゃって。」

ミサト「これは、ネルフの作戦部長としての命令だと思って聞いて。」

ネルフという言葉を聞いた途端、通常アスカと通常レイそして、シンジ目つきが変わっ
た。

通常レイ「命令ですか?」

ミサト「ええ、そうよ。」

通常アスカ「どんな内容? エヴァに乗るの?」

ミサト「今回はエヴァは必要無いわ。ちょっと、これ見て。」

ミサトがシンジ達の前に出したのは、とあるキリスト教関係の厳格そうな私立中学校の
カタログだった。

シンジ「女子中学校じゃないですか。この学校がどうかしたんですか?」

ミサト「ゼーレの生き残りらしき地下組織が、ここでチルドレンを育成しているってい
        う情報があるの。でも、現段階でネルフが表立って動ける状態じゃないのよ。」

通常レイ「私達に調査を?」

通常アスカ「ここに転校するってこと?」

ミサト「そうよ。全寮制だから、しばらくここから離れて貰うことになるわ。」

シンジ「ぼくは、どうするんですか?」

ミサト「もちろん、シンちゃんもよ。」

シンジ「えーーーーーーーっ! ここって女子校じゃないですか!」

ミサト「大丈夫、女の子として入学できるように裏で操作するから。」

シンジ「そういう問題じゃないでしょっ! どっからどう見ても、ぼくは男じゃないで
        すかっ!」

ミサト「あっら? そうかしら?」

ニヤっとしたミサトは、椅子の横に置いてあったカバンから、カツラと女の子の制服を
取り出した。

ミサト「ちょっと着てみて。」

シンジ「えーーーーっ!!」

転校生レイ「わーーーっ。面白そうじゃない。ちょっと、着てみて〜。」

幼馴染アスカ「シンジなら絶対似合うわよっ! 着てみなさいよっ!」

シンジ「嫌だよーーーぅ。」

通常アスカ「着なさいっ!!」

シンジ「・・・・・・・・・わかったよ・・・。」

3人娘とミサトに取り囲まれたシンジは、しぶしぶその制服とカツラを身につける。そ
の姿は、往年の碇ユイを彷彿させるものがある。

転校生レイ「か・・・かわいい・・・。」

幼馴染アスカ「ア、アタシの次に、かわいいわね。」

羨望の眼差しで見つめられながら、シンジはその場でもじもじと恥ずかしそうに立ち尽
くす。

通常アスカ「これなら、十分女の子で通じるわね。」

通常レイ「でも、健康診断とか体育の時間はどうするの?」

ミサト「アスカとレイでうまくやって貰うしかないわね。それに体育くらいならシンち
        ゃん色白いから、下着つけてたらごまかせるんじゃない?」

シンジ「えーーーーーーっ! 女の子の下着つけるんですかぁ?」

ミサト「当然でしょ。」

幼馴染アスカ「ちょ、ちょっと待ってよっ! それじゃ、他の女の子と一緒に着替える
              ってこと?」

ミサト「当然でしょ。」

通常アスカ「そんなのダメに決まってるでしょーが!」
幼馴染アスカ「嫌よっ! そんなのっ!」
通常レイ「碇くんは、私が守るわ。」
転校生レイ「守れるわけないでしょーがっ! そんなのダメよっ!」

ミサト「その辺りは、あなた達にまかせるわ。もうシンちゃんは、碇ユイという名前で
        入学手続きが済んでるから、今週中に引越しして貰うわね。」

シンジ「えーーーーーっ!! それって、母さんの名前じゃないですかっ!」

ミサト「そっくりだから、いいじゃない。」

いろいろと問題を残しつつも、こうして4人娘と女装したシンジのSt.私立第2東京
女学園への入学は着々と進められて行った。

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作者注:キャラクターの数が圧倒的に不足するので、サクラ大戦のキャラクタを使用し
        ます。各キャラクタについては、サクラ大戦1及び2を参照して下さい。ただ
        し、一部悪役として利用するのでご注意下さい。
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<St.私立第2東京女学園>

入学準備を済ませた5人は、今日いよいよSt.私立第2東京女学園の門をくぐり、入
学することになった。

シンジ「ねぇ、なんか足元がスースーするんだけど。」

通常アスカ「スカートなんてそんなものよ。なんなら、アタシのストッキング貸してあ
            げよっか?」

シンジ「えっ? やっぱり、いいや・・・。」

今、シンジ達はシスターの格好をした教師と一緒に教室へ向かっている。女子校の教室
へ入るということで、女装をしているシンジはかなり緊張している様だ。

転校生レイ「なんか、わたし転校の挨拶ばっかりしてるわねぇ。」

幼馴染アスカ「アタシも似た様なものね。」

ガラッ。

2−Aの教室の扉を開け、終礼を行っている教室へ入る5人。裏で上手く操作してくれ
たのか、5人は同じクラスとなった。

うっ!

教室に入った瞬間、女の子ばっかりの独特の雰囲気に、面食らってしまうシンジ。

シスター「先日皆さんにお話しをした、転校生を紹介します。はい、自己紹介をお願い
          します。」

通常アスカ「惣流・アスカ・ラングレーです。明日の授業から一緒に勉強することにな
            ります。よろしく。」

幼馴染アスカ「惣流・アスカ・ラングレーです。よろし・・・」

クラスメート達「「えーーーーーーーーっ!!!」」

幼馴染アスカが挨拶を始めると案の定、予想した反応が返ってきた。シスターは、クラ
スメートを静めると同姓同名の双子であることを説明する。

通常レイ「綾波レイです。」

転校生レイ「シスターから説明があったけど、わたしも同じ名前のレイちゃんです。」

レイの時は、あらかじめ説明があったので先程の様な騒ぎにはならなかった。続いてシ
ンジの自己紹介に入る。

シンジ「わ、わ、わたしは、い、碇・・・碇ユイです。」

ザワザワザワ。

シンジが自己紹介した途端、ザワつき始めるクラスメート達。ばれたのではないかと、
ビクビクしながら足を振るわせるが、特にそれ以上変わった反応は無かった。

シスター「それじゃ、惣流さん達はあそこの席に、綾波さん達はあちらの席に座って並
          んで下さい。碇さんは、あの神崎さんの横にお願いします。神崎さんは碇さ
          んと寮が同室になるので、仲良くして下さいね。」

アスカコンビ&転校生レイ「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

シスター「どうかしましたか?」

通常アスカ「駄目よっ! ユイはアタシと同じ部屋じゃないとっ!」

転校生レイ「何言ってるのよ。ユイちゃんは、わたしと同じ部屋でしょ!」

通常レイ「私と同じ部屋でいいわ。」

幼馴染アスカ「ふざけんじゃないわよ! アタシと同じ部屋に決まってるでしょ!」

シスター「仲がおよろしい様だけど、この学園にも馴れてもらう意味でみなさん別々の
          部屋に入って貰うことにしました。」

それを聞いた4人娘達は、ひそひそと話を始める。

通常アスカ「・・・・・これは大問題ね・・・。」

通常レイ「今、騒ぎを広めるとまずいわ。」

幼馴染アスカ「それもそうね。対策は、後で考えましょ。」

転校生レイ「それしかないみたいねぇ。」

部屋のことが話題になったので、ついでにシスターから部屋割りの説明があった。通常
アスカは、アイリスと同室。幼馴染アスカは、ソレッタ織姫と同室。転校生レイは、神
宮寺さくらと同室。通常レイは、レニと同室ということだ。

シスター「では、マリアさん。ご挨拶を。」

シンジ達が、席についたのを確認すると、このクラスの委員長であるマリア タチバナ
が終礼の挨拶を行った。

                        :
                        :
                        :

すみれ「あなた、ユイさんっておっしゃるのね。」

放課後、皆がクラブ活動や図書室そして寮へとそれぞれ去って行く中、すみれがシンジ
に話し掛けて来る。

シンジ「うん・・・そうだけど。」

すみれ「男性の様な喋り方ですのね。野蛮な桐島さんみたいですわ。」

カンナ「なんだってっ! 誰が野蛮だってんだよっ!」

すみれの言葉を聞きつけてやってきたのは、身長180cmはあろうかというどう見て
も体育界系の女の子、桐島カンナ。

すみれ「あーーーら、聞こえました? ほほほほほ。」

カンナ「おめーみてーな女狐に、とやかく言われたかねーよっ!」

シンジ「ちょっと、喧嘩は良くないと思うけど・・・。」

すみれ「あら? 喧嘩なんて野蛮なことはしませんよ。こちらの野蛮な方はどうか知り
        ませんけど?」

カンナ「なんだとーーっ! もう一度言ってみやがれっ!」

シンジ「神崎さんに、桐島さん。やめてよ。」

自分の前で2人が喧嘩し始めたので、おろおろするシンジの横に、眼鏡をかけた小柄な
女の子が近寄ってきた。

紅蘭「かまへんかまへん。あー見えても、2人は仲がえーんや。ほっときなはれ。」

シンジ「そうかなぁ?」

紅蘭「ところで、碇はん。うちは紅蘭や。この学校では発明王って呼ばれてる。これか
      らよろしゅうな。」

シンジ「こちらこそ。」

一方、通常アスカは・・・。

アイリス「あたしアイリス。よろしくね。」

通常アスカ「あなた? 中学生? それともスキップかなんかで入学したの?」

通常アスカは同室となった超童顔のアイリスを見て、かなり驚いていた。本当にどう見
ても同じ年だとは思えない。

アイリス「うん。そうだよ。」

通常アスカ「うっそーーー。どう見ても小学生よっ!」

アイリス「むーーーーーっ! アイリス小学生じゃないもんっ! でもねぇ。3年ほど病
          気で冷凍されてたから、実際は11才なんだ。」

通常アスカ「そうなの・・・。」

病気で冷凍されてたなんていう話を聞いたので、少しナーバスになってしまう通常アス
カ。

アイリス「一緒の部屋なんだよね。仲良くしてね。」

通常アスカ「そうね。仲良くしましょ。」

あどけないアイリスが相手ということもあり、通常アスカも妹と見ている様な気分にな
るのだった。

また一方、転校生レイは・・・。

さくら「あたし、サクラ。綾波さん、よろしくね。」

転校生レイ「こちらこそ、よろしくね。それから、わたしのことはレイちゃんって呼ん
            でくれたらいいわ。」

さくら「レイちゃん?」

転校生レイ「そうよ。あなたのことは、さくらちゃんって呼ぶから。」

さくら「え・・・さ、さくらちゃん・・・。」

転校生レイ「嫌かなぁ?」

さくら「い、いえ・・・そんなこと無いわよ。レ、レイちゃん・・・。」

転校生レイ「それじゃ、決まりね! さくらちゃんっ!」

こちらも、2人とも人当たりのいい性格ということもあって、仲良くやっていけそうで
ある。

そして、幼馴染アスカだが・・・。

織姫「ワータシト ドウシツト イウ コトデスガァ? ワタシノ ベンキョウのジャマ シ
      ナイデ クーダサイネー!」

幼馴染アスカ「ぬぅーわーーんですってーーっ! 誰がアンタの勉強の邪魔するってー
              のよっ! ふざけんじゃないわよっ!」

シスターの割り当てた部屋割りで、ここは誰が見ても失敗であっただろう。開口一発大
喧嘩となっていた。

織姫「アナタノ コトバヅカイ ターイヘン ゲヒンデース。ツイテイケマセーン。」

幼馴染アスカ「うっさいわねぇ!! 日本にいて、そんな変な言葉使いしてるアンタに
              言われたく無いわねっ!」

織姫「ヘントハ ナンデスカーッ!」

幼馴染アスカ「アンタバカぁ? 自分の発音が変なこともわかんないってーのー!?」

いつまで経っても喧嘩が終わりそうに無いので、最後に通常レイの様子を見てみると。

通常レイ「・・・・・・・。」

レニ「・・・・・・・。」

終始無言であった。

シンジ「ねぇ、アスカに綾波にレイ? 神崎さんが学園を案内してくれるって言うから、
        一緒に行かない?」

それぞれの同室者に、それぞれが挨拶を済ませた頃・・・1組だけはまだ喧嘩している
が・・・シンジが、声を上げた。

通常アスカ「いいわよ。アイリスも一緒に来てくれるかしら?」

アイリス「いいよ。お姉ちゃん。」

転校生レイ「わたしも行くわ。さくらちゃんも行きましょ。」

さくら「ええ。そうしましょうか。」

通常レイ「私も行くわ。」

幼馴染アスカ「アタシも行くけど、アンタは来るんじゃないわよっ!」

織姫「ダーーレガ アナタナンカニ アンナイナンカスルモンデスカ!」

幼馴染アスカ「アンタに案内なんかしてほしかーないわよっ! フンっ!」

シンジ「アスカ・・・早速喧嘩?」

幼馴染アスカ「あの女が仕掛けてきたのよ。いいから行きましょ。」

すみれ「それじゃ、メンバーは決まった様ですわね。参りましょうか。」

レニは無言で返ってしまった為、このメンバーで学園案内に行くことになる。そして、
教室を出ようとした時、何気なくシンジの手を握って歩き始めるすみれ。

通常アスカ「ちょ、ちょっとアンタ! 何してんのよっ!」

慌ててシンジとすみれの間に割って入る通常アスカを、きょとんと見つめるすみれ。

すみれ「どうされたんですの?」

通常アスカ「なんで、手なんか握るのよっ!」

すみれ「碇さんと、気が合ったからかしら? 特に意味はございませんけど?」

どうやらアスカに馴れているシンジは、鼻の高いすみれとも馬が合う様だ。

通常アスカ「手なんか握って、恥ずかしいと思わないのっ!?」

すみれ「はい? 女の子同士で手を握って、どうして恥ずかしいんでしょうか? みなさ
        んやってますよ?」

通常アスカ「うーーーーーーー・・・・。」

転校生レイ「ア、アスカは、ユイちゃんと仲が良かったから、友達を取られそうで嫉妬
            してるのよねぇ。」

話がまずい方向へ進み始めたので、転校生レイが咄嗟に気転を効かせて通常アスカに助
け舟を出した。

すみれ「あーら。そういうことですの。」

さくら「でも、みんなで仲良くするのは、いいことよ。」

アイリス「アスカお姉ちゃんも、そんなこと言わないで、みんなで仲良くしようよ。」

通常アスカ「うーーーーーーー・・・・。わ、わかってるわよ・・・。」

それ以上話をするとまずいことになりそうなので、通常アスカも喋るのを止めて、学園
の中をおとなしく歩いて行く。

すみれ「碇さん? ここが音楽室ですわよ。」

シンジ「そうなんだ。あっ、チェロがあるんだね。」

さくら「碇さんは、チェロを弾かれるんですか?」

シンジ「うん。ちょっとだけね。」

どうも、先程からシンジの周りにばかりすみれとさくらがうろちょろしている。どうや
ら小学校から女の子ばかりの学園で生活をしている為、シンジに中性的な魅力を感じて
いるのかもしれない・・・というより、本能で異性を見ている可能性もある。

幼馴染アスカ「見て、ユイ! このピアノ大きいわねぇ。」

転校生レイ「本当ねっ! ちょっと来てよ、ユイっ!」

危険を感じた幼馴染アスカと転校生レイは、シンジをピアノの方へ引っ張り、さくらと
すみれからシンジを引き離した。

損な役回りだけど、しゃーないか・・・。

通常アスカ「さくらに、すみれ。あの校舎は何かしら?」

幼馴染アスカと転校生レイの反応を見た通常アスカは、さくらとすみれを窓際に連れて
行く。

さくら「あれは、教会よ。」

すみれ「朝、いつもあそこで礼拝するんですのよ。」

通常アスカ「へぇ、そうなんだ。」

心ここにあらずという感じで返事をしながら、ちらりとシンジの方を見ると、この時と
ばかりに腕を組んで楽しそうにしている幼馴染アスカと転校生レイの姿が目に入った。

あいつらーーー。覚えてなさいっ!

通常レイ「食堂はどこにあるのかしら?」

一方通常レイは、アイリスと窓の外を眺めていた。

アイリス「あそこに見える建物の1階だよ。」

通常レイ「ラーメンはあるの?」

アイリス「あるよ。明日一緒に食べに行こうか。」

通常レイ「ええ。」

そうこうしながら、放課後の学園案内は進んで行くのだった。

To Be Continued.
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