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TwoPair
Episode 22 -ランドセル? 胸が苦しいわよっ!-
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<ネルフ本部>

シンジが目覚ますと、そこは無機質な病室だった。天井に白い蛍光灯が光っており、周
りは殺風景なコンクリートの壁。

知らない天井だ・・・。
そうだ。ぼくだけ身体検査があるとか・・・。リツコさんが・・・。
いつの間に寝ちゃったんだろう?

上半身を起こし、胸の辺りから足にかけて自分の体を見てみるが、特にに変わった所は
なさそうだ。ただ、来る時に着ていた服ではなく病人が着るパジャパ姿になっている。

いつの間に着替えたんだろう?
リツコさんは?

シンジが目覚めたことに気付いたのか、病室の壁に設置されているモニタの電源が入り、
リツコの顔が映し出された。

リツコ『おはようシンジ君。』

シンジ「おはようございます。ぼく・・・どうしたんですか?」

リツコ『気分はどう?』

シンジ「気分? 特には・・・普通だと思いますけど。」

リツコ『ならいいわ。今からそっちに行くから、ちょっと待ってて。』

モニタが切られた後、しばらくしてリツコが入って来る。いったい、何が起こったのか
記憶が定かでないシンジは、ぼーっとしてリツコを見つめる。

リツコ「検査するわね。」

シンジ「はい。」

様々な機器を体に当てられ、検査が始まる。特にどこも異常は無い様で、それはすぐに
終わった。

リツコ「もう帰ってもいいわよ。」

シンジ「はぁ。ぼく、病気なんですか?」

リツコ「心配しなくていいわ。そんなんじゃないから。」

シンジ「じゃ・・・ぼく、なんでここに。」

リツコ「あぁ、改造させて貰っただけよ。」

シンジ「そうですか・・・。」

帰る準備。

                        :
                        :
                        :

シンジ「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

目をまんまるにするシンジ。

リツコ「じゃ、着替えて帰って頂戴。」

カルテを見ながらボールペンで出口を指差し、しれっと帰るように言ってのけるリツコ。
しかし、当のシンジはそれどころではない。

シンジ「か、か、かいぞーーーーぉっ!?」

リツコ「ええ。そうよ。」

シンジ「な、な、なにしたんですかっ!? ぼくの体はっ!?」

リツコ「あぁ、変なことしてないわ。」

シンジ「変なことってっ! 改造って、おもいっきり変なことじゃないですかっ!」

リツコ「大丈夫よ。任務が終わったら、元に戻すわ。」

シンジ「元にって・・どんな改造したんですlかっ!?」

リツコ「知りたい?」

リツコは気味悪くニヤリと笑って、シンジにジロリと流し目で視線を送る。聞くのが怖
くて仕方が無い。。

シンジ「え・・・あの・・・その・・・。」

リツコ「気にしなくていいわ。特になにも影響ないし、任務が終わったら、完全に元に
        戻れるんだから。」

聞くの怖い。
元に戻れるって言ってるし・・・いいかな。
どうしよう・・・。

シンジ「あの、やっぱり、教えて下さい。」

リツコ「そう。でも、教えられないの。あなたには。」

シンジ「はっ!?」

リツコ「わかったら、もう帰りなさい。」

有無を言わさず病室の入り口をボールペンで指差して、さっさと帰るように命じるリツ
コ。シンジはおずおずと退室せざるをえない。

なんだよ。
最初から教えるつもりもないんじゃないか。
ぼくの体どうなったんだよぉ。

ようやく女子校から解放されたかと思えば、その日のうちに改造人間にさせられてしま
った。シンジは泣きそうになりながら、ネルフ本部を去って行った。

所変わって、発令所。

ここには、アスカコンビとレイちゃんズが呼び出されていた。シンジの病室から上がっ
て来たリツコは、インタフェースヘッドセットを人数分持って、4人の前に出てくる。

リツコ「これが、新しいインタフェースヘッドセットよ。」

転校生レイ「インターナショナル ホン?」

リツコ「あなた、わざと間違えてるでしょ。ここは、笑いを取るところではないわ。」

転校生レイ「てへへへ。で、なにそれ?」

リツコ「あなた達は、初めてね。頭に付けるだけでいい・・・とくらいに理解しておけ
        ばいいかしら?」

通常アスカ「新しいって、何が変わったの?」

リツコ「シンクロの対象が、エヴァじゃなくなったってことね。」

通常レイ「エヴァじゃなければ、何に?」

リツコ「シンジ君よ。」

通常アスカ「へ?」

リツコ「元々、シンクロとは、A10神経を経由するのは知ってるわね。」

幼馴染アスカ「知らないわよ。」

リツコ「アスカ、2人に後で説明してあげて。」

通常アスカ「へいへい。でも、こいつら頭悪いからなぁ。」

幼馴染アスカ「ぬわんですってっ!!!」
転校生レイ「この、アスカと一緒にしないでよっ!」
幼馴染アスカ「こっちが言いたいわよっ!」

リツコ「静かに! で、今回の敵は人間と同じ大きさ、もしくはそれより少し大きい敵
        なの。エヴァを動かすわけにいかないわ。」

通常アスカ「今回の敵?」

リツコ「ええ。そのことは、後で説明するけど、となると生身でATフィールドを張れ
        ないといけないの。」

通常アスカ「レイなら、張れるんじゃないの?」

通常レイ「駄目。」

通常アスカ「どうして?」

通常レイ「前、食べ過ぎて張れなくなったもの。」

通常アスカ「・・・・・・・・・・あっそ。」

リツコ「そこで、愛情を司るA10神経を経由して、ATフィールドを張る。その手段
        は1つ。」

通常アスカ「それは?」

リツコ「これこそ、私の発明した画期的システムっ! シンジ君と抱き合って、キスを
        した時にATフィールドが発生する、新兵器なのよっ!」

アスカコンビ「・・・・・・・・・・。」
レイちゃんズ「・・・・・・・・・・。」

目を見開いて、固まるアスカコンビとレイちゃんズ。こんなおいしいシステムがあって
いいものだろうか。それはともかく・・・。

通常アスカ「アンタっ! ヘッドセット返しなさいよっ!」

幼馴染アスカ「ヤよっ! アンタこそ返しなさいよっ!」

転校生レイ「それなら、わたしだけで十分よっ。他のおまけはいらないわ。」

通常レイ「碇君が待ってる。」

ぽっ。

早速、独占欲剥き出しにした4人は、大声をあげて喧嘩開始。予想以上の過激な反応に、
頭を押さえるリツコ。

リツコ「静かにしなさい!」

その後、いくつかの注意点の説明があった。

シンジは受信側となるため、事務的な作業となればA10神経が司る愛情の効果が出な
い為、このことはシンジには教えてはいけないこと。

女の子側は機械で制御するが、シンジは体に直接埋め込まれたコアが反応するため、精
神的疲労が激しい。よって、連発はしないこと。

プライベートでも発動する為、必要以上にシンジを襲うことは禁止。

などなど。

敵の説明もあった。

木之元さくらという少女が、自分がばらまいてしまったクロウカードを集めていた。

しかし、あと5枚のカードとなった所で、突然クロウカードからATフィールドが発生
し、手も足も出なくなったということらしい。イロウルと融合したと思われる。

通常アスカ「じゃ、アタシ達は、そのさくらって子が、敵と戦う時、ATフィールドの
            中和をしたらいいのね。」

リツコ「そういうことになるわね。」

転校生レイ「もしかして、また転校?」

リツコ「そうなるわ。」

幼馴染アスカ「はぁ・・・。いつになったら、元に戻の学校に戻れるのかしら。」

通常アスカ「今度は何処よ。」

リツコ「第2東京私立小学校よ。」

幼馴染アスカ「なんだ、近いじゃない。」

通常アスカ「・・・・・・。」
転校生レイ「・・・・・・。」

通常レイ「小学校?」

リツコ「ええ。」

アスカコンビ&レイちゃんズ「えーーーーーーーーーーっ!!!」

リツコ「じゃ、今日はもう帰っていいわ。」

通常アスカ「小学校って何よっ!」

リツコ「依頼主が、小学生だから、仕方ないでしょ。」

幼馴染アスカ「こ、こんな小学生が何処にいるのよっ!」

リツコ「気にしなくていいわ。」

通常アスカ「気にするわよっ! レイ達は気にしなくてもいいでしょうけどっ!」

転校生レイ「どーーーーーーーーーいう意味よっ!」

通常アスカ「さぁ。」

リツコ「嫌なら降りてもいいわよ。」

アスカコンビ「・・・・・・。」
レイちゃんズ「・・・・・・。」

4人は一様にして、今受け取ったばかりのインターフェースヘッドセットに、じっと目
を向ける。ここで自分が降りて喜ぶのは・・・他の3人。そうはさせるかっ!

転校生レイ「わたし、やろっかなぁ。」

通常アスカ「任務じゃしょうがないわね・・・。」

結局エサに負けてしまった4人は、多少のことは我慢して承諾することになったのだっ
た。

幼馴染アスカ「じゃ、今日は帰ってもいいのね。」

リツコ「ええ。」

転校生レイ「はぁ! ひっさしぶりーの我が家ぁ!」

リツコ「でも、レイだけは残って。」

リツコはそう言いながら、帰りかけようとする通常レイの襟首をくいと摘んだ。なんだ
ろうと、きょとんと振り返った通常レイの視線の先には・・・。

眉間に皺を寄せたリツコのこわーーーい顔。

通常レイ「・・・・・帰りたいの。」

そして。

リツコの研究室に連れて行かれた通常レイ。

新開発の、必殺くすぐり拷問マシーンにかけられる。

リツコ「あなたも、もうスコシ明るく笑えるようになった方がいいわ。」

通常レイ「あははははははは! た、たすけて。あははははははははははははははは!」

リツコ「そうよ。いい声だわぁ。」

余程、通常レイの厚化粧おてもやん事件を根に持っているらしい。額に青筋が浮かんで
いる。

通常レイ「あははははははははははははははははははははははははははははははは!」

怪しく光るリツコの瞳の前で、通常レイはひたすら笑い続ける。確かに、通常レイがこ
れほど楽しそうに笑ったのは、生まれて初めてのことかもしれない。

通常レイ「あはははははは。く、くるしい。あははははは。」

マヤ「そろそろ限界です。」

そう言って、マヤは通常レイをくすぐりマシーンから解放してやる。

通常レイ「はーはーはー・・・・・・苦しい。」

リツコ「マヤ。どうして止めたの?」

マヤ「えっ? だって、もう・・・。レッドゾーンに・・・。」

ようやく解放された通常レイは、はぁはぁと肩で息をしながらそそくさと逃げて行く。
まだ笑わせ足りなかったリツコは、その視線をマヤにギロリと向けた。

リツコ「マヤ。」

マヤ「あ、あの・・・。」

                        :
                        :
                        :

マヤ「あーーーーーんっ!! せんぱーーーいっ!」

リツコ「そう・・・あなたも、たまにはそうやって笑った方がいいわ。」

マヤ「あーーーーーーーん。あーーーーーーーーーーーーーん。」

リツコ「いい声よ。マヤ。」

必殺くすぐりマシーンが振るう猫のシッポが、マヤの全身をくすぐり続ける。

その日、夜遅くまでリツコの研究室には、マヤの高い声が響き渡ったという。

<ミサトのマンション>

久し振りに帰ってきたシンジ達は、トウジ,ケンスケ,ヒカリを呼んで夕食会を開いて
いた。ただ、帰ってくるや疲れ切って寝てしまった通常レイだけは家で寝ている。

トウジ「なぁ、なぁ、なぁ。女子校行ったんやろ? どないやったんやっ!?」
ケンスケ「ちゃんと、写真は撮ってきたろうなぁ。」

シンジ「それどころじゃなかったよ。」

トウジ「ほないに大変な任務やったんか?」

シンジ「だって、知らない女の子と同じ部屋だし。
        下着とかあちこちにあるし。
        着替えも女の子と一緒だし。
        お風呂も女湯だし。
        大変だったんだから。」

トウジ「おんどりゃーーーーっ! なにが大変じゃーーーっ!」
ケンスケ「それは自慢話って言うんだーーっ! 俺なんかっ! 俺なんかっ!」

ドガボカドカッ!
ベキベキッ!
グシャッ!

ようやう会えた親友にいきなり押さえつけられ、殴られまくり落ちるシンジ。ある意味、
とことん不幸な少年かもしれない。

ヒカリ「まだ、うちの学校に戻って来れないんでしょ?」

通常アスカ「そうなのよぉ。酷いと思わない?」

転校生レイ「ねぇ、アスカぁ。さっきから気になってるんだけど、あの箱なに?」

転校生レイが指差す先には、5つの四角い紙の箱が並んでおり、その全てに”祝!入学”
と花の付いた紙が張ってあった。

幼馴染アスカ「ま、まさか・・・。」

幼馴染アスカは嫌な予感がして、その箱をそっと開け覗いてみる。
予想通りの物が入っていた。赤色4つ。黒色1つ。

幼馴染アスカ「イヤーーーーっ! ランドセルよーーーーっ!」

通常アスカ「マ、マジーーーー!?」

転校生レイ「あははは。ランドセルだぁぁぁ。」

幼馴染アスカ「なに暢気に笑ってんのよ。」

転校生レイ「だって、楽しそうじゃない。」

通常アスカ「アンタはいいわよ。アタシなんか、胸が邪魔で・・・。」

転校生レイ「ムーーーーーーっ!!!」

その時、ガチャリという音と共に玄関のドアが開き、ミサトが帰って来る。他にも誰か
が一緒にいる様だ。

ミサト「ひっさし振りねん。みんな。」

通常アスカ「ようやくご登場ね。アンタのせいで、酷い目に合ったわよっ!」

ミサト「まぁまぁ。で、紹介するわ。依頼主の木之元さくらさんよ。」

さくら「はじめまして。木之元さくらです。」

ともよ「さくらちゃんのお友達の、ともよですわ。」

ともよは挨拶しながら、ひたすらさくらのことをビデオで撮り続ける。その姿を見たケ
ンスケは、思わずキラリと目を輝かせた。

ケンスケ「そ、そのカメラはっ! 最新鋭のDVっ! 」

ともよ「当然ですわ。あら、お安いDVをお使いですのね。」

ケンスケが持っていたDVを見て、クスリと笑うともよ。安いとは言っても中学生が持
つにはかなり高価なDVであるが、ともよが持っている物の足下にも及ばない。

ケンスケ「負けた・・・俺が、この俺が小学生に・・・。」

その日ケンスケは、妙に無口になり全くDVを回さなくなってしまった。

転校生レイ「あなたが、さくらちゃんね。あら、可愛いヌイグルミ持ってるのね。」

転校生レイは、さくらの持っていた黄色いヌイグルミを手に取り胸に抱いてみると、そ
の人形は顔を赤くし冷や汗を掻き出したように見える。

さくら「ケロちゃんって言うんです。」

通常アスカ「エロちゃん?」

ギロリ。

心なしか、黄色いヌイグルミが通常アスカを睨んだように思えるが、気のせいかもしれ
ない。

さくら「ケロちゃんですっ!」

幼馴染アスカ「アタシにもちょっと貸して。」

幼馴染アスカは、ヌイグルミのしっぽをグイと引っ張ると、無理矢理、転校生レイから
奪う。

ケロちゃん「イッ!」

通常アスカ「あら? 今なんか声がしなかった?」

さくら「あっ! あんまり、引っ張らないで下さい。」

幼馴染アスカ「あははっ! ボールみたい。」

ドスン。

いきなりドリブルする幼馴染アスカ。

ケロちゃん「むぎゅっ!」

幼馴染アスカ「あら? 跳ね返って来ないわねぇ。」

通常アスカ「これ、蹴鞠よっ!」

ドカッ!

今度は通常アスカが、落ちた黄色いヌイグルミを思いっきり蹴り上げる。

ケロちゃん「ぎゃっ!」

さくら「あーーーーっ! やめてっ!」

さくらは慌てて蹴り上げられた黄色いヌイグルミを抱きかかえに行くと、いい子いい子
して頭を撫でる。

ガチャリ。

仮眠を取っていた通常レイが、玄関から登場。ようやくリツコのくすぐり拷問の疲れも
とれたようだ。

通常レイ「あなた誰?」

さくら「木之元さくらです。」

ともよ「さくらちゃんのお友達のともよです。」

通常レイ「ん?」

通常レイは、さくらの胸に抱かれている黄色いヌイグルミをじーーーーっと見つめる。
赤い瞳に貫く様に見据えられた黄色いヌイグルミは、たらたらと冷や汗を掻き始める。

じーーーーーーー。

たらたら。

じーーーーーー。

たらたら。

通常レイ「そう・・・。ケルベロスなのね。」

ビックーーーー!

通常レイは、ぼそっと言うとみんなの元に座りテーブルに並べられていたスナック菓子
を、ポリポリと食べ始めた。

通常アスカ「なによ。ケルベロスって。」

通常レイ「ただの番犬よっ。」

ケロちゃん「なんやとーーっ! ただのとはなんやっ! ただのとはっ!」

正体のバレテしまった黄色い人形は、しかも”ただの”という言葉に激怒して、思わず
声を上げてしまう。

さくら「ケ、ケロちゃん!」

いきなりこんな得体の知れない生き物が喋り出したので、みんなを怖がらせたのではな
いかと、慌ててさくらがその口を押さえるが、ニヤリとしたのはアスカコンビだった。

通常アスカ「アンタ、生きてたのぉ。」

ひょいと、ケロちゃんを取り上げると、その顔を立て横に引っぱり出す通常アスカ。幼
馴染アスカも興味津々で、両手両足を左右にぐいぐいと引っ張る。

ケロちゃん「やめんかーーーっ! この小娘っ!」

通常アスカ「ダレが小娘よっ!」

ドゲシッ!

床に叩き付ける。

幼馴染アスカ「口のきき方も知らなってーのっ!」

グシャッ!

踏みつけられるケロちゃん。その額には、青筋が幾本も浮かんでいる。

ケロちゃん「くそーー。元の体に戻ったら、お前らなんかっ!」

転校生レイ「もうっ! 可愛そうなことしちゃ駄目でしょ。」

あまりの非道に、思わずケロちゃんを抱き上げ、その胸に抱きかかえる転校生レイ。ケ
ロちゃんの顔が次第に赤くなっていく。

ケロちゃん「ワイ、この娘が1番ええわぁ。 ほれはほうと、なんであの小娘にはワイ
            の正体わかったんやっ!?」

元の姿ならいざ知らず、一目見ただけで自分の正体を見破った通常レイに向かい、いぶ
かしげに視線を送るケロちゃん。

ケロちゃん「聞い取んのかっ!? 小娘っ!」

通常レイ「私はリリスだもの。」

ゲロちゃん「グゲッ!」

属する神の性質は違うものの、ケルベロスとリリスでは、ランクがあまりにも違い過ぎ
る。

ケロちゃん「ほ、ほうやったんか。ははーーー。」

通常レイに平伏す。

通常レイ「ふがふが。」

通常アスカ「雪見大福を2つも頬張るから、喉詰まらせるんでしょうがっ!」

ふと、ケロちゃんが顔を上げると、雪見大福を2つ口に頬張ってもがき苦しんでいる通
常レイの姿。

ケロ「・・・・ほんまにリリスなんか?」

そこへ、ようやくトウジ達に打ちのめされたシンジが起き出してきた。気を失っている
間に騒がしくなっているので、きょろきょろと周りを見渡す。

シンジ「あれ? 君は?」

さくら「さくらです。」

後から後から人が出てくるので、さくらとともよ、本日3度目の挨拶。

シンジ「そっか。さくらちゃんか。」

そんな年下の女の子達に、シンジは得意の澄んだ笑顔で答える。ともよはただぺこりと
挨拶しただけだったが、さくらの顔が真っ赤になっていった。シンジの笑顔も素敵だが、
どうもシンジの声が潜在的にさくらの好みらしい。

さくら「はにゃーーーん。」

シンジ「どうしたの?」

さくら「あ、なんでもないですぅ。」

シンジ「あれ? それは?」

通常アスカ「エロちゃんよ。」

ケロちゃん「ケロじゃっ! 小娘っ!」

通常アスカ「小娘ですってーーーっ!!!!?」

ドゲシッ!!

思いっきりビンタされたケロは、そのまま壁に激突し涙を流しながらズルズルと落ちて
行った。

ケロちゃん「元の姿に戻ったら、絶対復讐してやるっ!」

ムギュッ!

床に倒れるケロちゃんの上を、幼馴染アスカが踏んで通って行く。みんなが飲み終わっ
たジュースを台所に片づけようとしていた進路上に、ケロちゃんが落ちてきたようだ。

幼馴染アスカ「むっ!? そんなとこにいたら、邪魔でしょーがっ!」

ケロちゃん「コイツラ。絶対許さんでーーっ!」

ひたすら元の姿に戻ることを願い、アスカコンビに復讐を決意するケロちゃんであった。

To Be Continued.
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