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アスカのシンジ撃沈大作戦
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<JRプラットホーム>

シンクロ率低下。

次負けたらエヴァのパイロットを降ろされる。

でも・・・・・・勝てる自信は・・・・・・もう無い・・・・・・。

アスカは、全てが・・・生きることが嫌になっていた。自分には、もう何も無いと思っ
た時、生きている価値がわからなくなってしまった。

あれは!?

前のプラットホームで、楽しそうにレイと話をするシンジの姿が目に入る。

ブチッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

何かが、アスカの中で切れた。

「フフフフフフフフフフフ。」

その後、アスカは1人になっても、プラットホームで笑い続けていたという。

<ミサトのマンション>

シンジに遅れること、1時間。プラットホームで1人笑っていたアスカが帰宅した。

「たっだいまーーーーーーーーー。」

「お、おかえり・・・。」

最近、殺伐としていた葛城家。特にアスカの様子がおかしかったのだが、異様に明るい
アスカの声が聞こえ、とまどうシンジ。

「ねぇ・・・シンジぃぃぃ。」

リビングに入ってくるやいなや、シンジの腕にまとわり付くアスカ。

こ・・・殺される・・・! 綾波、助けて!!!

最近の暗いアスカを見るより、10倍の恐怖を感じるシンジ。愛するレイに心の中で助
けを求める。

「ねぇったらぁ、ねぇぇぇ。」

「な・・・何・・・???」

猫なで声のアスカに、冷や汗を垂らしながらビクビクと返事をする。

「今日ね、歩き疲れて足が痛いのよ。揉んでほしいなぁぁ。」

「ゲッ!」

その場で、へなへなとへたり込むアスカ。スカートからにょきっと伸びる2本の足を強
調し、上目遣いでシンジを見上げる。

「早くぅ。」

「で、でも・・・。」

「痛いったら痛いの! お願ーーーーい。」

「う、うん。」

おずおずと、アスカの足首を揉み解すシンジ。

「違うわよ。太股が痛いの!」

「えーーーーーーーーーーーー!!!」

目のやり場に困るシンジは、きょろきょろとあらぬ方向を見てその場をごまかそうとす
るが、アスカは容赦しない。

「ここ、ここぉ!」

スカートをたくし上げ、ふとももをシンジの前にさらけ出すアスカ。

綾波ぃぃぃぃ・・・ぼくはどうしたらいいんだ。

「早くぅぅ!!」

「・・・・・・。」

視線をそらしながら、おずおずとアスカの太股を揉み解すシンジ。

「ん・・・気持ちいい・・・。」

「・・・・・・。」

知らない間に、シンジの視線はアスカの足に釘付けになっていた。

「もっと、強くしてぇ。」

「・・・・・・。」

力を入れて、揉み続ける。たくし上げたスカートから見える、白い色の布が気になって
仕方が無い。

もみもみ。

「もっとぉ。」

もみもみ。

「だいぶ楽になってきたわ。」

もみもみ。

                        :
                        :
                        :

「ふぅぅーーー。ありがと、シンジ。」

「わっ!」

アスカはシンジを引き寄せ抱きしめる。

「おかげで、楽になったわ。」

あ、綾波・・・助けて・・・。おかしくなりそうだよ・・・。

10分ほど、アスカに抱きしめられていたシンジだが、夕食の用意があるということで、
なんとか開放してもらえた。

今日のアスカ・・・どうしちゃったんだよ・・・。
おかしいよ。変だよ。

ブツブツいいつつも、先程の感触を思い出しながら料理をするシンジ。アスカの待つ食
卓へ次々と料理が並べられていく。

「じゃぁ、アスカ食べようか。」

一通り、料理を並べ終わったシンジは、食卓の椅子を引きアスカの正面に座ろうとする。

「こっちぃ!」

「へ?」

パタパタと自分の隣に鎮座する、椅子を叩くアスカ。

「シンジは、こっちで食べるの!」

嫌な予感に囚われるシンジだが、なんだか逆らうと恐いので、素直にアスカの隣に席を
移す。

「あーーーーーーーーーん。」

シンジに向って、雛鳥の様に口を大きく開けるアスカ。

やっぱり、こうなると思ったよ。綾波とも、まだこんなことしたこと無いのに・・・。

「わ、わかったよ。」

シンジは、ごはんを箸で摘まむと、ふーふーしてからアスカの口に入れた。

もぐもぐ。

「じゃ、今度はアタシが食べさせてあげるわね。あーーーーんして。」

「ふーーーーっ。あーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」

半ば投げやりに、口を大きく開くシンジ。2人の食事は、最後まで互いの箸で食べさせ
合うことになった。

                        :
                        :
                        :

今シンジは、アスカが風呂に入った隙を狙って、鬼の居ぬ間にミサトに電話をかけてい
る。先に、風呂に入る様に勧められたが、嫌な予感がしたシンジは『今日は汗をかかな
かったから』などと適当な言い訳をして断ったのだ。
今日のアスカは、いつもとは比べ物にならないくらいに、おかしい。

早く出てよ、ミサトさん!

プルルルルルルルルルル。

なかなか電話に出ないミサト。

プルルルルルルルルルル。

ミサトさーーーーん! 出てよーーー!

プルルルルルルルルルル。

ガチャ。

「はい、もしもし。」

ようやく、ミサトの携帯に電話が繋がる。

「あ! ミサトさん!?」

「ええ、そうよん。シンちゃん?」

「はい。アスカが変なんです。早く帰って来て下さい!」

「変って?」

「なんだか、明るいんです。」

「いいことじゃない。今日は帰れないから、よろしくねん。」

「そんなーーー。ミサトさーーーーーーーーーん。」

「じゃねん。」

電話が切れる瞬間、後ろから加持の声が聞こえた様な気がした。

ひ、ひどいよ・・・。

「シンジーーーーーーーー。」

「ひぃーーー。」

アスカの声を聞き、少し後ず去りしてしまうシンジ。

「バスタオル持って入るの忘れちゃったの。持ってきて!」

な、なんで、忘れるんだよ! 今まで忘れたことなんて無かったじゃないか・・・。

「寒いぃぃぃ。早く持ってきてぇ!」

仕方なく、アスカの真っ赤なバスタオルを手にし、風呂場へ持って行く。

「開けるよ。いい?」

「いいわよ。」

「・・・・・・いいって・・・ア、アスカ、そこにいるじゃないか。」

「いいから、貸してよ。」

「だ、だって・・・。」

「何、もたもたしてんのよ!」

バーーーーーッ。

カーテンがシンジの目の前で開く。

ブーーーーーーーー。

シンジは鼻血を噴射しながら、バスタオルをアスカに押し付け、自分の部屋へ逃げ帰っ
た。

「もぅ! 何で逃げるのよ!」

バスタオルを手にしながら、ぶうたれるアスカ。しかし、その顔はニヤリと笑っていた。

                        ●

ど、どうなってるんだ・・・。
頭がおかしくなりそうだよ。綾波ぃぃぃぃぃ・・・。

ベッドで横になりながら、枕に顔を伏せ嘆くシンジ。だが、頭の中ではさっきの光景が
走馬灯の様に回っていた。

スーーーーー。

シンジの部屋の襖が、開く音がする。

「シーーーーンジ。」

「うわーーーーーーーーーーーーーー!!!」

バスタオルを巻いたアスカが、シンジの部屋へ入って来る。

「いきなり、『うわーーー』とは何よ。」

「ふ、服を着てからにしてよ・・・。」

「頭が濡れてるから、服が着れないのよ。ねぇぇぇ、頭拭いてぇ。」

「い、いや・・・だから・・・。」

ベッドの上で、尻餅をついたままじりじりと壁まで逃げるシンジ。

「何してるのよ。頭拭いてったら。」

アスカもベッドの上に乗り、シンジを追いつめる。

綾波・・・絶体絶命だよ・・・。

「じゃ、これで、頭拭いてね。」

シンジの目の前で、巻いているバスタオルを外そうとするアスカ。

「わーーーーーーーーーーーーー!!! ちょ、ちょっと待って!」

シンジは、あわてて手近にあったタオルを手に取った。

「こ、これで拭くから大丈夫だよ。」

「そう? まぁ、いいわ。」

アスカは背中を向けると、シンジにもたれ掛かる。

「アスカ・・・そんなに引っ付いたら拭きにくいんだけど・・・。」

「そ、そうね。」

アスカが少し体を離すと、シンジは頭をごしごしと拭きだした。女の子独特のいい匂い
がシンジの嗅覚を刺激する。

「気持ちいいぃ。」

目の前に座る半裸のアスカの肌から湯気が立ち、シンジの煩悩を徹底的に攻撃する。

襲っちゃダメだ! 襲っちゃダメだ! 襲っちゃダメだ!

理性を総動員して、この地獄を乗り切ろうとがんばるシンジ。過酷な時間が過ぎていく。

「ア、アスカ・・・もう、乾いてきたと思うよ。」

「そ、そう? じゃ、服を着てくるわね。」

「うん。風邪をひくといけないから、急いで着た方がいいよ。」

アスカが、シンジの部屋を出て行き、ようやく生殺しの地獄から開放されたシンジは、
ベッドに倒れ込みガッツポーズを取っていた。

綾波! ぼくは・・・ぼくは、勝ったんだ!
ぼく達の愛の勝利だよ!!

                        ●

その夜。今日の刺激的な出来事が脳裏から離れず、シンジはもんもんと寝付かれずにい
た。

アスカ、どうしちゃったんだろう?

アスカのことが頭から離れない。レイのことを思い出そうとしても、アスカの悩殺的な
ポーズが、次から次へと湧き出てくる。

ブンブンブン。

頭を振るシンジ。

ダメた! ダメだ! こんなこと考えちゃいけないんだ。

そうは言っても、アスカのことが頭から離れない。

スーーーー。

そっと、シンジの部屋の襖が開く音がする。驚いて、入り口を見ようとした時、フッと
蛍光燈のスイッチが切られ、豆電球の明かりが無くなる。

ビクッ。

身構えるシンジ。

モソモソモソ。

布団に何かが入ってくる。

「ア、アスカ!? アスカなの?」

モソモソモソ。

足元から這い上がってきた物は、ゆっくりとシンジの顔の横に出てきた。

「ア・・・アスカ・・・。こんな時間にどうしたのさ・・・。」

「寝付けないの。」

「ね・・・寝付けないからって・・・。」

ギュっとシンジを抱きしめるアスカ。

「ア・・・アスカ!! ま、まさか・・・。服着てないんじゃ・・・。」

「だって、暑いんだもん。」

「暑いからって、ちょ、ちょっと。」

裸のアスカに、抱きしめられるシンジ。

「シンジぃぃぃぃぃ、アタシのこと嫌い?」

「そ、そんなことは・・・でも・・・ぼくには・・・。」

「じゃぁ、好きなの?」

「いや・・・だから・・・。」

シンジが、反論しようとした時、アスカは自分の胸にシンジの顔を押し付ける。

「ねぇ、好きなのぉ?」

「ウププププ。」

「ねぇったらぁ。」

強くシンジの顔を抱きしめ、胸にぎゅっと押し付けるアスカ。

あ、綾波・・・・・・・。

シンジの脳裏に浮かぶレイの顔が、薄くなっていく。

「アタシと一緒に寝ようよぉ。」

ご・・・ごめん・・・綾波・・・もう・・・。

陥落寸前と見たアスカは、シンジの顔を放し、再びシンジに全身で抱き着く・・・いや、
力いっぱい抱きしめる。

「ねっ、シンジ。」

とびっきりの笑顔を、シンジの眼前で浮かべるアスカ。

あ、綾波・・・さようなら〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!

シンジ撃沈。
アスカの顔に、ニヤリと笑みがこぼれた。

そして、真っ暗な部屋で、2人っきりの夜が過ぎて行く。

fin.
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