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恋する乙女の決戦日!
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作者注:この小説は、アスカxシンジ,レイxカヲル,ヒカリxトウジ,マナxムサシ
        でくっつけてます(くっついてませんが)。組み合わせがお好みでない方はご
        注意下さい。また、レイはリナレイです。
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<通学路>

今日は2月13日。青いお空が天高く突き抜けている。雲1つ無い快晴の下、澄み切っ
た空気に胸を膨む。

今日は2月13日。年に1度の決戦日を明日に控え、恋する乙女が1年で1番忙しくな
る日。

今日は2月13日。恋の鎧にハートを包み、頑張る乙女達が駆け抜けて行く。

「アスカっ! 準備はできてるっ!?」

「あったり前じゃんっ!!」

いつもはカバンをぶらぶらさせ、ぺちゃくちゃお喋りしながら歩くこの道を、少女達が
駆け抜ける。先頭を切って走るアスカに、続くヒカリが呼び掛ける。

「見て見てっ! わたし、秘密兵器持って来たのぉっ!」

「あーーっ! マナちゃんだけずるーいっ!」

学校にいる間、先生にみつからないようにカバンの奥底に隠していた秘密兵器。ケーキ
を作る時に使うトッピングあれこれ。レイはマナの秘密兵器を物欲しそうに眺める。

「ハンっ! そーんなの使わなくたって、アタシのチョコがいっちばんよっ!」

「アスカに、チョコの作り方教えたのわたしよ?」

「作り方は関係ないのっ! 愛情の問題よっ!」

「それなら、わたしが1番よっ!」

アスカとヒカリの戯れに、数歩後ろから走るマナが秘密兵器をしっかと手に握り加わっ
てくる。

「さっ! 急いでチョコ作るわよーっ!」

「「「えいっ! えいっ! おーっ! イェーーーーーーッ!!!!」」」

アスカの掛け声に皆が歓声を上げ、ラブソルジャーズがアスカの家へと駆け込んで行っ
た。

<アスカの家>

みんながアスカの家に辿り着くと、そこには既にチョコを作る準備が整っている。父親
は仕事でいつも家にはおらず、更にキョウコも出張で家にいない。まさしく好都合とは
このこと。

「アスカぁっ! やるぅっ!」

「君主、危うきに近寄らずってやつよっ!」

「・・・・・・なんか違う。」

珍しく気の利いた準備を誉めたレイだったが、わけのわからない例えにジト目でアスカ
をじーーっとみつめる。

「ほらっレイ。急がないと、出遅れちゃうよ。」

「あー、わたしにも秘密兵器頂戴っ!」

そうなのだ。アスカなどに構っている暇はない。恋する乙女は忙しい。マナの秘密兵器
をおねだりしながら、用意しておいた板チョコをむんずと掴みエプロンを掛けるレイ。

「さーーっ! 作るわよっ!!!」

お湯も沸いてきた。アスカが向き直る。

「「「「えいっ! えいっ! おーっ! イェーーーーーーッ!!!!」」」」

ガスコンロは2つ。我先にとコンロを取り合う恋する乙女達。チョコを溶かさなければ
何も始まらない。

「もっ! アタシんちなんだから、アタシが1番に使うのよっ!」

「ずるーーいっ! それが目的で自分の家でやろうって言ったのねっ!」

「横暴〜っ! 横暴〜っ!」

マナとレイが膨れている。だが、決戦日を翌日に控えた乙女にそんなぶーいんぐなど無
力に等しい。

「アンタ達がっ、自分ちだったらママがいるからって言ったんでしょうがっ!」

「「横暴〜っ! 横暴〜っ!」」

更に膨れるマナとレイ。その横では我蚊帳の外と言う感じで、ヒカリは着々ともう1つ
のコンロを密かに使いチョコを溶かしている。

「しゃーないわねぇ。使わせてあげるわよ。」

「もっ! 自分のが溶けたからでしょっ!」

「ほらほら、文句言ってたら時間ないわよ。」

「じゃ、わたしが先ぃ。」

「あっ! レイちゃんずるーいっ!」

「霧島さん? わたしの方、空いたけど。」

「ヒカリぃ、ありがとーっ!」

アスカとヒカリの順番が終わり、続いてマナとレイもチョコを溶かし始める。恋する乙
女に時間はないっ!

「さーっ! チョコも溶けたわっ!」

足をがにまたに開きガッツポーズを取るアスカ。ここからが、愛の個性の見せ所。どろ
どろになったチョコを前に、右手を高々と突き上げる!

「「「「えいっ! えいっ! おーっ! イェーーーーーーッ!!!!」」」」

いよいよチョコの形作り。マナは秘密兵器を惜しみなく利用し、ごてごてと飾りの付い
たトリュフをたくさん作ってく。

「マナちゃーん。それちょっとちょーだーい。」

「えー、またぁ。」

「おねがいっ!」

「もぅっ!」

折角用意した秘密兵器も、さっきからちょろちょろレイに取られていく。レイが作るは、
何を勘違いしたかカヲルの顔。首から上の銅像みたいなチョコレート。その目や髪に色
が欲しい。

「ねぇ、綾波さん? そんな大きなチョコ渡すの?」

「うんっ。大きい方が愛情感じるでしょ?」

「・・・大きけりゃいいってもんじゃ。」

実物大の役半分という大きな固まりに、カヲルの顔を作っているレイ。それに対し、ヒ
カリはオーソドックスにハート形の板チョコ。ホワイトチョコレートで、メッセージを
書くのがポイント。

「ヒカリ〜? チョコとスポンジってどんくらいの割合で混ぜたらいいの?」

「えっとね・・・。」

偉そうなことを言ってる割には、何かと言うとヒカリを頼るアスカ。彼女が作るは、こ
じんまりとしたチョコレートケーキ。やはり、ホワイトチョコでメッセージを書く。

夕日が赤くキッチンを照らし出す頃。

それぞれのチョコの形が整ってくる。

「さぁぁっ! 最後の仕上げよーーーっ!」

みんなで囲むキッチン台を前に、両手にぐぅを作って腰を落とし力を込めるアスカ。決
戦は目前。

「「「「えいっ! えいっ! おーっ! イェーーーーーーッ!!!!」」」」

ヒカリは想う。

中学になってから知り合った、無骨でいつもジャージを着ているスポーツの得意な男の
子のことを。

その想いを、オーソドックスなハート型の板チョコに書いたメッセージに込めて。

マナは想う。

小学校の頃に転校してきた、色の黒い少年のことを。

その想いを、秘密兵器で彩り固めたトリュフに込めて。

レイは想う。

中学になって知り合った、自分と同じ瞳の色を持つ神秘的な男のコのことを。

その想いを、なにか勘違いしたとしか思えない銅像に込めて。

そして、アスカは想う。

いつしか気になって仕方がなくなった、昔から知っている男のコのことを。

その甘い甘い愛情を込めて作り上げたケーキに込めて。

「さぁっ! できたわっ!!!」

「わたしもっ!」

「うんっ。できたねっ。」

みなほぼ同時刻に完成。N2兵器もなんのその。恋する男のコのハートを射止める最終
兵器。史上最強のチョコレート達。

顔から制服のスカートのあちこちに迄チョコをくっつけ満点笑顔の乙女達。

かわいい舌をちろりと出すと、口の周りに付いてしまったチョコが甘くて・・・。
チョコのついた指をペロリと舐めると、またまた甘くて・・・。

「じゃ、冷蔵庫借りるわね。」

「ちゃーんとスペース空けてるわよっ!」

「・・・・・アスカ。」

その時レイが泣きそうな顔をした。

「わたしの・・・入らない。」

アスカはちゃんと全員のチョコを冷やしておけるように、冷蔵庫を2段空けていた。
が、レイのそんなでかいチョコ。とても入らない。

「アンタが、んなもん作るからでしょうがっ!」

「だって・・・。」

「ねぇ、アスカ? その段外して綾波さんの入れてあげたら?」

「じゃ、アタシ達のはどうすんのよ。」

「ほら、箱に入れて、積み重ねて。」

ヒカリが1案を提案。右半分はレイに譲り、背の低い自分達のチョコは、材料の箱など
に入れ積み重ねる。

「ま、しゃーないわね。レイっ! 感謝すんのよっ!」

「ありがとーっ。」

こうして、一晩冷たい冷蔵庫で寝かされることとなったのは、甘く熱い想いの詰まった
チョコレート。そんなチョコを冷やす冷蔵庫。きっと自分のおなかの中にいる、嬉し恥
ずかしチョコレートのせいで、夜も眠れないことだろう。

「アスカ、ありがとね。」

「じゃ、明日忘れないで持って来てよっ!」

礼を言いながら玄関先に出て行くヒカリと、朝寝坊のアスカがチョコを忘れて来ること
を心配するマナ。

「わかってるって。まっかせなさいっ!」

玄関先で靴を履いた3人の乙女達。それを見送るアスカは、スリッパを履きエプロンを
付けたまま。

狭い玄関で、皆がかわいいお尻を突き出し、がっちりスクラム肩を組む。

「明日は決戦よっ!」

「「「「えいっ! えいっ! おーっ! イェーーーーーーッ!!!!」」」」

戦友はみな帰って行った。戦闘準備は整った。準備に怠りはない。

あらゆる敵を薙ぎ倒し、彼のハートを貫く最強の最終兵器は、冷蔵庫で目覚めの時を待
っている。

でも・・・不安。

夜の帳を煌くお星様が照らしている。まぁるいお月様が照らしている。

今頃みんな眠れてないんだろうな。

今日は早めにお布団に潜ったのに。

明日のこと・・・そればかりが気にかかる。

ドキドキドキ。

眠れない。

あんなに早くお布団に入ったのに。いったい今は何時なの?

横を見ると、可愛い壁紙を張った部屋の壁。

その向こうにいるのは、こんなにもハートを締め付けてくれる極悪人。気になるアイツ。

「はぁ〜。」

何度目の溜息だろうか。

「はぁ〜。」

布団に入ってから、どれくらいの時間がたったのだろうか。

眠れない。

恋の鎧を脱ぎ捨てパジャマに着替えた乙女の心は不安がいっぱい。

「コラっ! シンジっ!」

コンと壁を叩いてみる。乙女のハートをこんなに苦しめるなんて重罪だ。

「寝れないじゃないのっ。」

だが、明日は決戦日。年に1度の決戦日。寝不足なんて持っての他。

首元迄掛かっていた布団を、2つの手でしっかと掴み、ぐいとひっぱり顔まで被る。

ドキドキドキ。

鼓動で布団が動きそう。

そんなアスカの努力が実り、ようやく瞼が重くなる。

おやすみ・・・シンジ。

今日が最後の夢でのデート。








ジリリリリリリリ。

「んーーーーーー。」

ジリリリリリリリ。

「んーーーーーー。」








ガバッ!!!!!!!!!!!!

「しまったーーーっ!」

時計を見ると、いつもと同じギリギリの時間。眠気も吹っ飛び、飛び起きる。

「学校に行く迄に、シンジに渡したかったのにぃっ!」

シンジはいつもトウジ達と登校している。学校に着いちゃうと、先生の目が厳しい。そ
れ迄でに渡さねば。

カーテンをバサッと開ける。眩しいばかりの朝の光。

寝起きの目を細め空を見上げる。今日も青い空が一面だ。

今日は2月14日。

年に1度の特別な日。

今日は2月14日。

待ちに待った特別な日。

今日は2月14日。

シーザも、アーサー王も、世界を作った神々ですら、この日ばかりは恋する乙女に適わ
ない。




                            今日は2月14日!




                        今日は恋する乙女の決戦日!




                    今日はSt.バレンタインデーっ!!!!




「へっへーっ!」

今日の為にクリーニングに出しておいた制服。とっておきの制服。洋服ダンスから取り
出し体にあてがいチェックチェックっ!

朝シャン完了。

歯ブラシ完了。

バスタオルを体に巻き、急ぎ部屋に駆け込んで来る。時間が無い。

コンポに指を伸ばしスイッチオン。お気に入りのラブソング。

鏡の前でブラッシング。

「うーん。こっちかな? こっちかな?」

前髪の流れ方が重要なポイント。

髪型ばっちり。パーフェクト。

ブラウスに袖を通し、スカートに足を通す。

スカートは、腰で2回折り曲げる。膝が少し見えて、可愛さ30%アップ。

みんなのチョコが冷蔵庫で待っている。アスカのチョコレートケーキも待っている。

時間がない。玄関に飛び出し、靴を履く。

「おっとっ!」

もう1度、靴箱にある鏡でチェックチェック。

髪型オッケー。

襟元オッケー。

うーん、完璧ぃっ!!!

いよいよ出陣っ!

恋の鎧に身を包みっ! 勇気のソードを握り締めっ! 最終兵器を胸に抱きっ!

まばゆいばかりの光に包まれ、アスカは決戦場へ飛び出して行く。




                        いざっ! 出陣っ!


        「えいっ! えいっ! おーっ! イェーーーーーーッ!!!!」




みんなの想いが詰まったチョコを包むずっしりカバンを握り締め。アスカの想いが詰ま
ったチョコを胸に抱き、いつもの道を駆け抜ける。

昨日迄は幼馴染。

でも今日からはっ!

友達なんて許さないっ!

覚悟なさいっ!

お手入れが大変だけど、お気に入りの長い髪。風に靡く長い髪。少し短めのスカートか
ら出る白い足が、アスカの港へ向かって走る。

シンジっ!

アタシの想いっ! 受けてみなさいっ!

照れちゃう心に、不安な心、そんな物はねじ伏せてっ!

見えるは恋する彼の背中のみっ!

「先行っちゃったかっ。」

待ち合わせの場所。さすがにもう誰も待っていない。きっと、チョコを受け取れず怒っ
ていることだろう。急がなくては。

横断歩道を駆け抜け、路地を横切り、堤防の上へ駆け上がる。

「いたっ!」

前に見えるは、いつしかアスカの全てとなってしまった男のコ。いつも気になるムカつ
くアイツ。

アタシの心をなんだと思ってんのよっ!

でもっ!

今日でアンタもおしまいなんだからねっ!

前行くアイツの気になる背中。近付くにつれ、その温もりが伝わってくるよう。

「いくわよっ! アスカっ!!!」

胸に納まる最終兵器っ! 抱き締める手に力が入る。

堤防の上を駆け抜ける足が速くなる。心臓の鼓動も早くなる。

明日からは、アンタと一緒にこの道をっ!

明日からは、アンタと時間を共にするっ!

明日からは、2人で想いを分かち合うっ!

シンジお背中が大きく広がる。





                             今日は2月14日っ!

                        今日はSt.バレンタインデーっ!

                          恋する乙女に魔法がかかったっ!




                                 いざ決戦っ!!




「シンジっ!!!」

グラッ!

「いやぁっ!」

恋する想いが強過ぎた。気をつけろ、アスカは急に止まれない。

「キャーーーーーーーーーーっ!!!」

もつれた足が、ぐにゃぐにゃになり、勢い余った体が倒れ込む。

「キャーーーーーーーーーーっ!!!」

ゴロゴロゴロゴロ。

堤防から転げ落ちていってしまうアスカ。

「アスカっ!!!」

真後ろで耳をつんざくような悲鳴を聞き、シンジが驚いて振り返る。

そこに見えるは、雪だるまの様にゴロゴロ堤防を転げ落ちていく少女の姿。

「な、なにしてんだっ!? 大丈夫っ!?」

慌てて水辺ですっころんでいるアスカの元へ、土手を駆け下りて行くシンジ。

「シンジ〜〜〜〜〜〜っ!」

今迄の勢いは何処へやら。少女の顔は涙でぐちゃぐちゃ。

「大丈夫? どこか痛い?」

「ううん。」

「じゃ、泣かないでよ。」

「シンジ〜〜〜〜〜〜っ!」

「ほら、びしょびしょじゃないか。」

「チョコがぁぁぁ〜〜〜。」

もう発する声も涙声で碌に言葉が聞き取れない。

「シンジにあげようと思ったのぉぉ〜〜〜。」

シンジがふと見ると、無残にもアスカの両手でべっしゃり潰されたチョコレートケーキ。
手から胸までチョコでぐしゃぐしゃ。

「・・・・それ、ぼくに?」

「い、一生懸命作ったのにぃぃい〜〜〜。シンジに渡したくって作ったのにぃぃい〜〜〜。」

泣き崩れるアスカに、ニコリと澄んだ笑みを返すシンジ。

「大丈夫だよ。ありがと。アスカ。」

「あっ!」

シンジは、アスカの人差し指についたチョコをペロリと舐めてニコリと笑う。

「シンジぃぃっ!」

嬉しさ、恥かしさ、照れ、いったいなんなのだろう。顔が熱くて仕方がない。こんな顔
見せれるはずないから隠さなければ。

顔を隠す為にシンジに抱きつくアスカ。

「ありがとアスカ。」

「シンジぃぃぃぃ〜〜〜〜。」

びしょびしょになった体を暖かく抱きしめてくれる。

チョコは潰れても、想いが潰れることはない。

アスカの最終兵器。それは、チョコなんかではなかった。

アスカの最終兵器。それは、乙女の恋する想い。

好きな男のコのハートは、あえなく最終兵器の前に陥落した。

今日は2月14日。乙女の恋の革命日。

今日は2月14日。世界が変わる変革日。

今日は2月14日。今日は、恋する乙女の決戦日。今日は、St.バレンタインデーっ!

シンジに抱きつき、この世の幸せ噛み締める。

明日からは、幸せな日々が待っているのだ・・・・・・・ん?

「「「アスカーーーーーーーーーっ!!!!!」」」

シンジに抱き着いていたアスカが顔をあげると、そこに見えるは親友3人。

「あら、みんな?」

「わたしのチョコはぁっ!?」

マナが目を吊り上げ、チョコをよこせと手を差し出している。

「アスカ・・・たしか、ハート形のチョコ預けてたわよねっ!」

滅多に怒らないヒカリの顔が怖い。

「どうしてくれるのよっ! 私のチョコっ!」

髪を逆立て怒るレイ。赤い瞳が怖い。

「えっ、あ、あの・・・アンタ達のチョコはここに・・・ん? ゲッ!」

ふと川を見ると、マナのトリュフがゴロゴロと川底を転がっている。

ヒカリの板チョコが流れて行っている。

レイの銅像チョコが、ゴボゴボと沈んで行っている。

「「「アスカーーーーーーーっ!!!」」」

「あ、あはは、あはははははは。」

「「「あなただけ上手く行くなんて、許されると思ってんのっ!!!!」」」

「あ・・・いや、これは・・・。」

「「「ちょっと来なさいっ!!!!」」」

親友3人にシンジからひっぺがされ、ズルズルと何処へともなく引き摺られて行く。

メデューサに睨まれたごとく、フリーズしたまま動けないシンジ。

シンジはこの時程、女の子が怖いと思ったことはなかった。

「あ、あの。みんな学校が。ヒ、ヒカリ委員長じゃない。ねっ。」

「「「やかましいっ!!!」」」

「いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

明日から幸せ一杯ラブラブデイリーを過ごすはずだったアスカ。しかし、翌年のバレン
タインデー迄、シンジと仲良くする度に冷たい視線を投げ掛けられ、気まずーーーーい
1年を過ごすことになったのだった。

fin.
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