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白雪姫物語2 レイカ姫の冒険編
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作者注:この小説は、アフロ様の許可を頂きEVANGELION・Rのオリジナルキャラである
        レイカと、アフロさんご自身に出演して頂いております。
        また、レイカのキャラ性はタームの印象で書かせて頂いておりますので、原
        作と比べ違和感のある可能性がありますが、そこはご理解の上ご了承下さい。
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<森>

ふかーいふかーい森の中をブツブツ1人ごちりながら歩いている少女の姿。紅く流れる
美しい髪と夜空の星のように透き通る青い瞳は、まるで天使か女神を思わせ・・・。

「ざけんじゃないわよっ! あの髭おやじぐわーーーーーっ!」

ドッカーーーーーーーーーーーンっ!!!!

・・・いや、その姿はまるで鬼神か魔王を思わせるかもしれない。いったい何をそんな
に怒っているのだろうか。確かこの娘は、王子と結ばれ幸せ一杯に白い船に乗って行っ
たはずだったのだが。

シンジ様がアタシを好きだって言ってくれたのにっ!
にっ! にっ!

魔力が低いだぁっ!?
人徳がないだぁっ!?
気品がないだぁっ!?
知性がないだぁっ!?
我侭ですってぇっ!?
自分勝手ですってぇっ!?
おしとやかじゃないですってぇぇぇぇっ!?

アタシのどこ見てんのよっ! 何様のつもりよっ! あの髭おやじぐわぁぁぁっ!!!

「こんちくしょーーーーっ!!!!!!」

ドッカーーーーーーーーーーーンっ!!!!

またしても、竜巻が天空高く沸き起こったかと思うと、ぶっとんでいく森の木々達。自
然破壊はやめましょう。

絶対見返してやるんだからっ!
傷つけられたプライドは、じゅーーーばいにして返してやんのよっ!

そう。アスカの夢の結婚は、ゲンドウによって条件付で停止されてしまっていた。修行
の旅に出、最低でも魔力と人徳を磨き王族に相応しくなることができれば認めるという
ものである。

シンジ様ぁ。
必ず戻って来ますっ!
だから、待っていて下さいっ!

旅を心配したシンジに止められたものの、プライドをズタズタに引き裂かれたアスカが、
ここで引き下がれるはずもない。天地がひっくり返っても、1人で成し遂げ見返してや
らねば気が済まない。

あの髭おやじを見返してやるっ!
誰の力も借りず、1人でやってみせるわっ!

「ってことでぇ。こうなったからには、小人渚と小人綾波も、お供させなくちゃねっ!」

・・・・・・1人で成し遂げるのではなかったのか? どうやら、小人達の小屋へ向か
っているようだ。折角平和に暮らしているのに、嗚呼、哀れな小人達よ。

<ネルフの王城>

その頃シンジは、アスカが出て行ってしまった寂しさを紛らわせようとしてか、訓練に
励んでいた。

王族の血筋が故、膨大な魔力を持つとはいえ、所詮魔力など火気の火薬量のようなもの。
結局は使う人次第。若いシンジが経験豊かなWizardに習うべきことは、戦闘訓練にお
いても作戦指揮などの教養面においてもまだまだ数多くある。

はぁ、アスカ大丈夫かなぁ?
手助けしてあげちゃ、修行の意味ないしなぁ。
でも心配だよ。
あぁ、ぼくはどうしたらいいんだ。

ズドーーーーーン!

「わっ!」

その時訓練を付けてくれていたWizardの放った魔法が、シンジに襲い掛かってきた。

「王子。訓練中に何をされておられる。ぼーっとしておられると、危険ですぞ。」

「ごめん。よし、気合を入れる為に剣術の相手をしてくれるかな? どうしても、剣術
  ではトウジに勝てないから悔しいんだ。」

「魔法は王子の得意とされるところですからな。不得手なところを鍛えるのも宜しいで
  しょう。」

「よろしく頼むよ。」

第壱帝国魔道艦隊提督という立場にいる為、アスカがいなくなったからといっていつ迄
もモヤモヤしていては指揮にかかわる。なんとか自分に気合を入れようと、剣術の訓練
に勤しむのだった。

<森>

カッコン。
カッコン。

薪を割る音が森の木々に木霊する。この間、使徒に壊された小屋も建て直し、小人渚と
小人綾波は小さい斧を振り上げ、この先の生活に必要な薪を割って積み上げていた。

カッコン。
カッコン。

「これくらい割ったらもういいかい?」

「しばらく暮らしていけるわ。」

「さぁ、薪を運ぼうか。」

「ええ。よいしょ。よいしょ。」

「よいしょ。よいしょ。」

「あら、アンタ達ぃ。手伝ってあげるわよ。よいしょ。よいしょ。」

「すまないね・・・・・ん?」

おかしな所から声がしたので、振り返る小人渚。

「にゅ?」

小人綾波も振り向く。

「久し振りね。」

薪を運びつつアスカがにこり。愛想を振り撒く。

「わーーーーーーーーーーーーっ!!!」
「きゃーーーーーーーーーーーっ!!!」

小人2人が、ぴったりユニゾン。ムンクの叫び状態。

「しくしく。また来たのかい・・・。」
「しくしく。もう来ないでって言ったのに・・・。」

「アンタ達だけじゃ、寂しかったでしょ?」

「で、でも、今度の小屋は、白雪姫様が寝れる大きさじゃないのさ。だ、だから。」

「あら、誰も泊めて貰ったりしないわよ。バカねぇ。」

「ほっ。」
「よかった・・・。」

どうやら、またここで暮らすつもりで押しかけて来たのではなさそうだ。小人達は少し
安心して胸を撫で下ろす。

「これから、アタシ旅に出るの。」

「そうだったんですか。気をつけて早く行って下さい。」
「できるだけ、遠くへ旅するといいと思うの。」

白雪姫を見送ろうと、ニコリと笑う小人渚と小人綾波に、アスカもニコリと笑って返す。

「ってことで、アンタ達2人も一緒に来るのよっ!」

「ん? 何か言ったかい?」
「聞こえないの・・・。」

「アンタ達もっ! くんのよっ!」

ビシっと指差すその先に、嗚呼、その先にいるのは、紛れも無く自分達。そう、わたし
とあなた。

「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
「いやーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

再びムンクの叫びを炸裂される小人2人。お願いだからそっとしておいて欲しいと願う
が、世の中そうは甘くない。

「しばらく生活できるように薪を割ったとこなのさ・・・。だから・・・ははは。」
「そう。このままここに置いて行ったら、勿体無いもの・・・。」

最後の抵抗。

「ファイヤーフレイムっ!」

ボッ。

一生懸命割った薪が、一瞬のうちに灰に。それと同時に小人渚も小人綾波も、一瞬のう
ちに灰人のような顔に・・・いや灰小人のような・・・。

「これで心残りはないわねっ! さっさと行くわよっ!」

「もう駄目なのかい。しくしく。」
「もう駄目なのね。しくしく。」

こうして、身の回りの物を簡単に整えた小人渚と小人綾波を伴い、白雪姫一行の修行の
旅が始まった。旅は道連れとはよく言ったものだが、世に情けは無いのかもしれない。

<コンフォート5キャッスル>

山の麓に聳えるコンフォート5キャッスル。城主であった父や母が他界し、今はその娘
のレイカ姫が、代々仕えて来たじいやと共にこの町を守っている。

ところが、近頃この地方で勢力を伸ばしてきた悪のアフロ大魔王によって、平和だった
生活に最大のピンチが訪れていた。

「レイカ姫、今度はアフロ大魔王がこの地方にブラコン禁止令を出すなどと言ってきま
  したぞ。」

「えええーーーーー。そ、そんなぁ。じいや、なんとかして。それだけはぁっ!」

「父君,母君亡き今、アフロ大魔王に抵抗するだけの力は・・・。」

「だってこの間、だっこ禁止令を飲んだとこだもんっ!」

「はぁ、そうは申しましても・・・・。」

「いやぁぁぁぁ。そんなことになったら、わたしの魅力がなくなっちゃうぅぅっ!」

「耐えて下さいませ。我々の生きる道は、今は耐えることしかございませんのじゃ。」

「やっぱり、帝国に直訴しようよぉ。」

「父君,母君亡き今、お家に帝国の介入は避けねばなりませぬ。」

「だって・・・だってぇっ!」

「今は耐える時でございます。」

レイカ姫は、高台の上に立つ綺麗なコンフォート5キャッスルから、城下に広がる美し
い町を見下ろし涙を流す。

ブラコン禁止令なんか出されたら・・・。
この綺麗な町がめちゃくちゃに。
町の人達はきっと悲しみにくれる毎日を・・・。

1つ山の向こうに悪のアフロ大魔王が先日建設した居城、アスロン800がある。とう
とう我慢ができなくなったレイカは、一世一代の決意をここに固めた。

「じいやっ! わたしっ、アフロ大魔王を倒すっ!」

「な、なにをおっしゃられるっ!」

「わたしだって、魔法使いの娘よっ!」

「アフロ大魔王の魔力には勝てませぬっ! 無謀ですじゃっ! それに、かの者が持つ魔
  剣GeForceMX400は、天をも切り裂くとの噂ですじゃっ!」

「だって、このままブラコン禁止令が出されたら、この町もおしまいじゃない。やるこ
  とはやっておきたいのっ!」

「・・・・・・。」

「ね。じいや。わかって。」

じいやは、いつまでも幼子だと思っていたレイカの成長と、これ程のことを姫に決意さ
せねばならない現状に涙を流す。

「わかり申した。しかし、じいやにとっては、姫の元気な姿が1番ですじゃ。くれぐれ
  もご無理はなさいませぬよう。」

「ありがとうっ! じいやっ!」

「留守はこのじいやがお守り致します故、ご無事にお帰り下さることを祈り、待ってお
  りますじゃ。」

「うんっ! 頑張ってくるねっ!」

決意を固めたレイカは、母の鎧を身に纏い、コンフォート5キャッスルを1人隠密行動
で出て行った。

<森>

「でいやーーーーーーっ! ファイヤーボーーーールだっちゅーのっ!!!!!」

ズガーーーーーーーーーーーーーン!!!

ブスブスブス。

「げっ! き、きかないっ! に、逃げるわよっ!!!」

その頃白雪姫一行は、予想外の強力な使徒と鉢合わせしてしまっていた。最初は余裕を
ぶっこいていたアスカだったが、頼みの綱のファイヤーボールがきかない相手だとわか
り小人2人を小脇に抱えて、すたこらさっさと逃げ出している。

「あわわわわわわ。だから、かかわり合いにならない方がいいって・・・。」
「あわわわわわわ。も、もう嫌ぁ。」

本来なら気付かれずに通り過ぎることもできたはずなのに、アスカが母の仇とばかりに
ちょっかいを出したのが不運の始まり。小人2人にとっては、とんだ迷惑話。

ドガンっ!
ドガンっ!

後から追ってくる使徒が火の玉を次々と吐いて来る。アスカは森の木々を盾代わりに、
その間を擦り抜け、スタコラスタコラとにかく逃げる。

ドガンっ!
ドガンっ!

「いやっ! ちょとっ! 熱いっ! やめっ! やめなさいってっ! いやぁぁぁっ!」

ドガンっ!
ドガンっ!

「小人渚っ! アンタっ! 囮になってアイツ引き寄せなさいっ!」

真っ青になる小人渚。

「そ、そ、そんなの、ぼ、ぼ、僕にできるわけないと思わないのかいっ!!!」

「うーん、やっぱ無理かぁ。」

「む、無理に決まってるじゃないかぁ。」

「じゃぁ、小人綾波?」

おめめを大きく見開いてぎょっとする小人綾波。

「わわわわわ、私も・・・・」

「無理よねぇ。」

「ほっ。」

どうやらわかってくれたようだ。アスカの小脇に抱えられながら、ほっと胸を撫で下ろ
す。その間もしつこく追いかけて来る使徒。

「しつこいわねぇ。女に嫌われるタイプだわっ! でいやぁっ! サンダーーーーっ!」

バリバリバリっ!

ブスブス。

「いやーーーーーん。やっぱ、きかないよーーーーーっ!」

いちかばちか、魔法の属性を変えて攻撃してみるが、やっぱりきかない。そんなアスカ
達の前が少し開け、小さな町が広がってきた。

「ま、町よっ! あそこなら、誰か助けてくれるかもっ!」

白雪姫一行はすたこらさっさと、その町目掛けて走って行った。

<アスロン800城の城下町>

いんてる親方と仲の悪い、えーえむでー親方が建設したアスロン800城の城下町の飯
屋に、黒ずくめのマントをかぶった集団がテーブルに座っている。

「どないや? この町は?」

「なにやら、傭兵を雇い軍備増強を図っているように見受けられます。」

「ほうかぁ。狙いはコンフォート5キャッスルやろな。」

「ですが、帝国の介入を防ぐ為か、尻尾を出しそうにありませぬ。」

「ともかく陛下に報告するくらいしかでけんちゅーこっちゃなぁ。」

彼らは新たにできたこの町を調査に来た、トウジ率いる帝国第参魔道艦隊のWizard連
数人。極秘に町の調査に来た帰りに、腹ごしらえをしようとしているところだった。

「お待ちどう様でした。」

店のお姉さんが食事をテーブルに運んでくる。

「来たでぇ。とにかく飯や飯。腹減ってしゃーないわ。」

「わしらもですわっ! 飯食って帰りましょか!」

「よっしゃぁっ! 飯や、飯やでぇぇぇぇぇっ! わはははははははははははっ!!!」

帝国艦隊の中でも、荒くれが集まっている第参艦隊のWizard連は、出て来た料理をガ
ツガツと食べ始める。トウジを始め食い気ばかりの連中。その時・・・。

ズガン!

ズガン!

ズガンっ!

酒場の壁を突き破り、大きな火の玉が料理もろともトウジ達を飲み込んだ。

ブスブスブス。

さすがに帝国の誇るWizardだけあり、トウジ達は無傷・・・だが料理は黒焦げ。いや、
一部のWizardは料理も一緒に防御したようが、少なくとも馬鹿みたいに飯を前に大笑
いしていた提督たるトウジの料理は墨になっていた。

「「「「・・・・・・。」」」」

命の次に大事な飯が黒焦げ。

沈黙する魔力最強レベルのWizard集団。

穴の空いた壁の向こうで、使徒がぎょっとこっちを見ている。シンジの部隊ならともか
く、トウジの部隊から食い物を奪ってはいけない。とにかく何があろうと、やってはい
けない。




うつむいて墨になった食い物を見るWizard達。

一瞬の静寂。




使徒から脂汗が出る。




ギロリ! トウジ達が一斉に使徒を睨んだ。

ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
ズガガガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!

灼熱の光の筋が地平線の彼方まで無数に炸裂!

そして、使徒は塵1つ残さず無へと還っていった。飯の恨みは怖い。




その頃アスカは。

「ん? あの使徒おっかけてこなくなったわねぇ。」

小人2人を小脇から下ろし、あたりの様子をきょろきょろと見るが、何処にも使徒らし
き影はない。どうやらいなくなったようで、アスカの顔に笑みが漏れる。

「わははははははははっ! アタシに恐れをなして逃げて行ったのねっ!」

両手を腰に当てて踏ん反り返るアスカを前に、本当にそうだろうかと疑問符を浮べる小
人達。

「さ、ご飯よっ! ご飯っ! ご飯食べましょ。」

「あの・・・僕達、お金ないんですけど。」
「私も。あなたが宝石全部持って行ったから・・・。」

「だーいじょうぶよ。アタシが奢ってあげるわっ!」

「ほ、ほんとうかい?」

なんだかんだ言いつつも、優しいところがあるんだなと微笑を浮べる小人渚。

「アンタ達の宝石売ったから、けっこう持ってんのよ。」

・・・・・・僕達のお金じゃないか。

もっとも、お腹が空いているのは事実であり、ここで白雪姫の機嫌を損ねて何も食べれ
なくなると困る。小人達は素直にアスカに付いて、食べ物屋へと入って行った。

「なに? この店? 壁に穴が開いてるわよ?」

「使徒でも暴れた跡じゃないかい?」

「こんなとこまで使徒が来るなんて、恐いわねぇ。とにかくなんか食べましょ。」

先程迄トウジ達がいたテーブルに座り、料理を注文する白雪姫一行。その時、ポンポン
と肩を叩く者がいた。

「ん?」

「あ、あのぉ・・・。」

振り返るとそこには、黒髪の可愛い少女が立っている、腹の立つことに、自分より胸が
大きそう。

「何? アンタ?」

「もしかして、白雪姫様では?」

「そうとも言うわね。で、アンタは?」

「やっぱりそうだっ。あのぉ、相談したいことがあるんですけどぉ・・・。」

自分が白雪姫だということがわかった為か、その少女はニパっと笑顔を作る。

「だから、何よっ! アンタ誰よっ!」

「そのぉ。ちょっと・・・ここでは・・・。」

「ふーむ。アンタら、ご飯食べてなさい。」

何やら訳有りようだ。アスカは小人をその場に残し、黒髪の少女と一緒に食べ物屋の外
へ出て行く。

「ここならいいでしょ?」

「ちょっと、耳貸して下さい。」

「やけに念入りねぇ。耳元で『わっ!』とか言ったら、殺すわよっ!」

「そんなこと言いませんっ! 早く耳を。」

「はいはい。」

「わっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

キーーーーン。

「ぶっころしてやるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

いきなり耳元で叫ばれ、目を吊り上らせて魔法を唱え出すアスカ。

「ご、ごめんなさい。じょ、冗談ですよ。お約束かと思って・・・。」

「じょーだんー??? ざけんじゃないわよっ!」

「ごめんなさい。ごめんなさい。今度はちゃんと話をしますから。」

「むぅぅぅぅぅ。次やったら、マジでコロスわよっ!」

「はいぃぃ。」

再びアスカが耳を貸すと、その少女は自分がコンフォート5キャッスルのレイカ姫であ
ること、そして悪のアフロ大魔王が現れてからのいきさつを細かく説明した。

「そのアフロ大魔王って奴は、アンタの町にブラコン禁止令を出そうとしてる悪い奴っ
  てことねっ!」

「そうなんですぅ。でも、アフロ大魔王は魔力も強いし、GeForceMX400っ
  て言う魔剣を持ってて・・・どうしたらいいのか・・・。」

「わかったわっ! 協力してやろうじゃないっ! 」

「本当ですかっ!?」

「人には親切にしなくちゃっ、人徳は磨けないってもんよっ! いいわよっ!」

「白雪姫様が味方になってっくれたら、百人力ですっ! やったっ!」

「うーん。白雪姫様って、なーんかやーねぇ。アスカでいいわ。」

「アスカですか? じゃ、わたしはレイカちゃんって呼んで下さいね。」

「・・・・ちゃん・・・・。むぅぅぅ・・・。レイカにするわ。」

「それでもいいですけど・・・。とにかく、助かりますっ!」

手放しで喜ぶレイカ。お嬢様育ちだからだろうか、白雪姫の噂をよくしらないのかもし
れないが、まぁレイカに比べると強いことに変わりはないからいいだろう。

「ともかく、そのGeForceなんたらって剣をまずは奪わなくちゃね。」

「それが、そう簡単には・・・・。」

「だーいじょうぶっ! 小人渚ぁ? 小人綾波ぃ? ちょっと来てぇ。」

<アスロン800城>

屋根裏をごそごそと動く2つの小さな影。その2つの影の瞳には、涙が溜まっている。

「しくしく。呼ばれた時嫌な予感がしたのさ。」

「私達、魔力もないのに・・・しくしく。」

見付からないように見付からないように、恐る恐るコソコソと屋根裏を進んで行くスパ
イの小人達。

チュチュチュチュチューーー!

「わっ!」
「きゃっ!」

2人の前を鼠が数匹駆け抜けて行った。よっぽどびっくりしたのか、紅い瞳に涙をいっ
ぱいに溜めている。

「ね、鼠かい? びっくりしたじゃないか。」

「わたしも・・・。もう嫌。早く帰りたい。」

GeForceMX400を奪取する。無理ならせめて何処にあるかだけでも突き止め
て来るというのが任務。無論2人は奪取するなど危険なことは考えておらず、さっさと
場所を突き止め帰りたくて仕方がない。

「うーん、ここも違うんじゃないかい?」

「でも、だんだん部屋が豪華になってきてる。もうすぐじゃない?」

「そうだね。」

更に小さい体を右へ左へ動かして突き進んで行く。屋根裏から見下ろす部屋は、進むに
連れ徐々に豪華になっているので、もうすぐだろう。

「あっ、あれだと思わないかい?」

「きっとそうね。」

そこには、ベッドで眠るアフロ大魔王らしき人物と、その横に置かれている豪華な剣が
あった。その剣には、冷却する為か黒いファンがついている。

「寝てるね。」

「ええ。」

「取って帰れるかもしれないけど・・・。」

小人渚の言葉に、プルプルプルと首を振る小人綾波。

「無理だったことにしよう・・・。」

下手に降りて行って捕まっても、魔力も無く剣術も碌に知らないので、どうすることも
できない。ここは取れなかったことにし、大人しく帰ってしまうことに意見が一致した。

「帰ろう。」

「ええ。」

ベキっ!

変な音がしたので小人渚が振り返ると、小人綾波の足が天井の板を破いていた。

<宿屋>

小人達が任務についているころ、アスカも重大な作業に取り掛かっていた。

「やーっぱ、女の子はいつも綺麗じゃなくちゃーねぇ。」

この町で湧き出る温泉がとてもお肌に良い聞いたアスカは、レイカと一緒に体に磨きを
かけていた。

「あの小人さん達大丈夫かなぁ?」

「だーいじょうぶ。あいつら、潜入のプロだから。」

「そうなのぉ?」

そんなわけがない。そんなことより、さっきからアスカの目にちらちらと映るのは、タ
オルを巻きながらお湯に浸かっていても、はっきりとわかるボンとつき出たレイカの胸。

「なんでアンタ、そんなに胸でかいわけ?」

「うーん・・・毎日牛乳飲んでたからかなぁ?」

「牛乳かっ! よしっ!」

ガッツポーズを取るアスカ。どうやら牛乳を飲めば、胸が大きくなるらしいことがわか
った。有名な巻物の、”EVANGELION・R 外伝8”にもそのことは記されているらしい。

「で、アンタ。魔力はどれくらいあるわけ?」

「マジシャンの資格、こないだ取ったの。」

「はぁ〜? マジシャン? よーくそんなので、アフロ大魔王なんかに立ち向おうと思っ
  たわねぇ。」

「だから、アスカに助けて貰うんじゃないですかぁ。」

「ま、それもそうか・・・。」

「アスカは、きっと凄いんだろうなぁ。どこまで資格持ってるの?」

「・・・・・・。」

「どうしたの?」

「・・・・・・。」

「ん?」

「ウイッチィ・・・。」

ぼそりと呟くアスカ。

「え? なに?」

「ウイッチィよっ! 悪いぃっ!!!?」

「うっ、うっそーーーーーっ! 1番下のなのぉ?」

「悪かったわね。何度受験しても、なんでか滑んのよっ!」

「でも、魔力は強いんだよね?」

「おっかしいなぁ。自分では魔道士くらいはいけると思ってんだけどさぁ。」

面接でシンジの名前をバンバン出すから、王族を恐れた試験官に落とされているのだと、
いつまで経っても気付かないようである。

「で、アンタ。アフロ大魔王を倒した後、この町どうするつもり?」

「この町?」

「だってまがりなりにも町ができちゃってるじゃない。誰かが治めないと。」

「でもぉ・・・コンフォート5キャッスルからじゃ、山をぐるりと回らなくちゃいけな
  っくて、治めるって言っても遠いよぉ?」

「そうよねぇ。ま、後のことを今から考えてもしゃーないわ。まずは、どうやって倒す
  かねっ!」

「ふぅ。なんだか、のぼせてきちゃった。」

熱いお湯に浸かって喋っていた為、いつしかレイカの肌がピンク色に染まってきている。

「アタシも、暑くなってきたわ。そろそろ出ましょうか?」

「うんっ!」

そして2人が体に大きなタオルを巻き、温泉から出ようとした時、その窓から黒い影が
飛び込んで来た。

「フッ。貴様らが白雪姫とレイカ姫か。小人達は預かった。返して欲し・・・」

「くぉのっ! 覗き魔ぐわぁぁぁっ! ファイヤーウォーーールッ!」

「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

碌に言うことも言えず、黒焦げになって泣きながらすたころさっさと逃げて行くアフロ
大魔王の配下らしき男。

「まったくっ! 乙女の肌を見ようなんて信じらんない。たまったもんじゃないわよ。」

「でも、タオル巻いてたから・・・。」

「そういう問題じゃないでしょ。ったくっ!」

それはともかく、どうやら小人渚と小人綾波が捕まったようである。アスカとレイカは
急ぎ更衣室で服を着る。

「アンタ、もう着替え終わったの?」

「うん。」

「じゃ荷物、部屋から取って来てくんない?」

「うん。すぐ持って来る。」

ブチブチと文句ばかり言っていたアスカは、まだ碌に着替えられていない。しかし、の
んびりもしていられず、レイカが荷物を取りに行っている間に髪を拭き服を着始める。

バタン。

その時また、更衣室の窓から人影が勢い良く飛び込んで来た。

「まだいたかぁぁぁっ!!! でいやーーーーーーーっ!!!!」

「アスカ?」

「え? あっ、あーーーーーーーーーーっ!!!!!」

口を大きく開いて大声を上げたアスカは、入ってきた人物に思わず両手でがばーっと抱
き付いた。そこに現れたのは、まぎれもなく・・・。

「シンジ様ぁぁ、どうしてここに?」

「父さん達には内緒なんだ。でも、心配でさ。」

「シンジ様ぁぁ。」

ぎゅーーーーっとシンジを抱きしめ、その温もりを体全体で感じ幸せに浸る。

「どう? 困ったこととかない?」

「えっと・・・。」

ここでシンジに助けを求めれば、なんとかしてくれるだろう。だがそれではあのムカつ
く髭おやじに、やはり1人じゃ何もできないのかなど、また頭にくることを言われるに
違いない。そんなことを、アスカのプライドが許せるはずもなく・・・。

「大丈夫よっ。自分の力でみんなに認められるWizardになるんだもんっ!」

「そう・・・ならいいけど。でもさ、やっぱり心配だから、ちょっとしたプレゼント持
  って来たんだ。」

「プレゼント? シンジ様が? アタシに? えーーー? なになにぃ?」

「父さん達には秘密だよ。これ・・・王家に伝わる強力なマジックアイテムなんだ。」

そう言いながら、紅い貝殻のような物を2つ懐から取り出し、アスカの髪にポチポチと
止めてあげる。

「これは?」

「”紅きルナの髪飾り”って言ってね。満ちた月の力を利用して、アスカの得意なファ
  イヤーボールのレベルを上げるアイテムなんだ。」

「ファイヤーボール? え? ファイヤーボールなのっ!? うわっ! ありがとーっ!」

なんでもいいからとにかく抱きつくアスカ。しかも、シンジからのプレゼントであれば、
マジックアイテムだろうが、1輪の花だろうがとにかく嬉しいことには変わりがないと
いうのに、最も思い入れのあるファイヤーボールとなれば、最高のプレゼントである。

「じゃ、父さんにばれちゃまずいから・・・そろそろ帰るよ。」

「シンジ様ぁ。今度はいつ・・・。」

「また、目を盗んでさ・・・。だから頑張って。それから。」

「ん?」

「頑張るのはいいことだけど、決して危ないことだけはしないでね。」

「うんっ! 大丈夫っ! アタシ頑張るもんっ!」

「Wizardなんかじゃなくても、ぼくはアスカが好きだから。父さんのこともあるだろ
  うけど、無理して怪我だけはしないでっ! じゃっ!」

それだけ言い残しシンジはさっと闇夜の中へ消えて行った。本当に隠れて来たらしく、
いつも周りを囲んでいるWizard連の気配も無い。

「えへへへ。」

アスカは頭に付いている貝殻のような紅きルナの髪飾りに、そっと手を伸ばし触って撫
でてみる。

シンジ様のくれた髪飾り・・・。
あーーーん、ほっぺがぁ落ちそうぉ。

「よーしっ! がんばろっ!!」

ニヤニヤしながらアスカがえいえいおーと拳を突き上げていると、荷物をよっこらよっ
こら持ったレイカが戻って来て、目をまーるく見開いた。

「あのぉ。まだ着替えてないのぉ?」

<アスロン800城>

ここは悪のアフロ大魔王の豪華な部屋。そこへ、黒焦げになった密偵が舞い戻って来て
いた。

「んーーーー。どうしてそんな格好で帰って来るんですかぁ?」

「いきなり、火の壁が・・・しくしく。」

「用件は伝えてくれましたか?」

「い、いえ・・・いきなりだったもので・・・。小人を捕らえたとしか。」

「そうですかぁ。あなたは、もう用済みですねぇ。消えなさい。」

「え、そ、そんな。」

「消えなさい。」

眉間に人差し指と中指を当てながら、金髪のアフロ大魔王が迫る。事実上解雇通告をさ
れたその密偵だが、これ以上アフロ大魔王の前で何かを口にすると命が危険である為、
すごすごと荷物を纏めてアスロン800城から出て行った。

「さて、君達。」

今度は掴まえた2人の小人の前に寄って行くアフロ大魔王。小人渚も小人綾波も縛られ
たまま、背中を寄せ合いガタガタと震えている。

「どうやら、君達を掴まえたことだけは、伝わったようですねぇ。さて、彼女達は来る
  でしょうかぁ。」

「・・・・・・こ、来ないと思います・・・。」
「私も・・・。しくしく。」

「どうしてですかぁ? 仲間じゃなかったんですかぁ?」

「き、きっと、今頃美味しい料理を食べてると思うよ・・・。」
「私も・・・。しくしく。」

「んーーー、もしかして、君達は単なる小間使いですかぁぁ?」

「そうかも・・・。」
「小間使いの時のアンケートでは、王様だったはずなのに・・・。しくしく。」

わけのわからないことを口走る綾波小人は無視して、考え込むアフロ大魔王。どうやら
この目の前にいる小人達はまったく利用価値がなさそうである。

「誰か? この小人達を牢屋に入れておいて下さい。邪魔になってきましたぁ。」

「はっ!」

近くにいた近衛が小人2人を両脇に抱えて連れ去って行く。

「しかし・・・あのレイカ姫がいるんですから、見捨てたりせず乗り込んできますね。
  いいでしょう。この場でブラコン禁止令の誓約をして貰いましょう。」

アフロ大魔王は、GeForceMX400を腰に刺し、煙草を指に挟んで燻らせ始め
る。幼い頃から、マルボロ・メンソールが大好きなアフロ大魔王であった。

その頃、アスカとレイカは、小人達が通った場所と同じ屋根裏を通り、アスロン800
城の中を突き進んでいた。

「あ、あの・・・。」

「さっさと来なさいよ。」

「あのね・・・胸がつかえて進めないのぉ。」

ピクっ!

同じように腹這いになって進んでいるのに、自分は通れた隙間でレイカがもたもたして
いる。ピクリとアスカのこめかみに青筋が立つ。

「我慢なさいっ!」

「あーーーん。胸がつぶれちゃうぅ。」

ピクピク。

「黙って進みなさいっつってんのよっ! 見つかっちゃうでしょうがっ!」

「はーい・・・。」

一瞬、助っ人をやめてやろうかとも思ったが、乗り掛かった舟でもあり、何より小人達
が掴まっている為、そういうわけにもいかない。

「アイツら大丈夫でしょうねぇ。」

「わたしのせいで・・・ごめんなさい。」

「いいって。アタシがばっちり助けるから。」

「いいなぁ。仲がいいんですね。」

「あいつらで遊んだらおもしろいからね。」

「・・・・・・おもちゃなのね。」

ズリズリズリと腹這いで進む2人。その幅は狭くアスカでも苦しいのだから、レイカに
至ってはかなり胸が圧迫されていることだろう。

「む?」

1つ1つ屋根裏から部屋を確認しながら進みつつ下を覗くと、牢屋らしき部屋が見え、
小人渚と小人綾波が縛られていた。

「みーーーっけっ!」

ドカンと屋根を突き破り牢屋の中にストンと降りたのだが・・・その前には番兵が見張
っているではないか。

「いやーーーーんっ! 敵がいるじゃないのぉっ!」

「あっ! 白雪姫様っ!」
「来てくれたのね。」

喜ぶ小人2人。

「なんだ貴様ーーーーーっ!!!!」

驚いた番兵達が弓を構える。

「うっとうしいわねっ! サンダーーーーーーーーーっ!!!」

バリバリバリ。

吹き飛ぶ牢屋。

「き、貴様っ!」

「こんちくしょーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

ドッカーーーーーーーーーーンっ!

縛られている小人渚を投げつける。

「うわーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

小人渚の悲鳴。

「うわーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

番兵の悲鳴。

「いっちょあがりーーーーっ!」

そして、番兵と小人渚は頭をぶつけて倒れていた。

レイカもストンと崩壊した牢屋に下りて来ると、小人達の縄を外してあげる。

「ほらっ! 小人渚。寝てんじゃないわよっ!」

「うーーーーーん・・・。」

「アンタ達さっさと逃げなさい。」

「ええ。わかったわ。アフロ大魔王の部屋は2階上にあったの。」
「うーーーーーん。」

フラフラしている小人渚を連れ、小人綾波はアフロ大魔王の居場所だけ告げて逃げて行
く。

「2階上か・・・でね、レイカ? 作戦なんだけどさ・・・。」

                        :
                        :
                        :

本当にこんな作戦、役に立つのかなぁ?

レイカは疑問符を頭いっぱいに浮かべながら、城の中の階段を1人駆け上がっていた。
その服装は、先程殴り倒した番兵の物を覆っている為、ひとまず怪しまれず順当に上が
っては行けているが。

えっと・・・この階段を上がったとこだったかな?
よーしっ! 行こうーーっ!

「お前っ! ちょっと待てっ。」

気合を入れて階段を上ろうとした時、見回りについていた近衛に呼び止められた。レイ
カはビクっとして、番兵のキャップを深く被り恐る恐る振り返る。

「番兵がアフロ様にいかなる用か?」

「あ、あの・・・。」

どうしよう。
どうしよう。
えーーーん。困ったよぉ・・・。

「えっとぉ・・・・ないしょ。」

たらたらたらと冷や汗を流しつつ、いざとなったらいつでも戦えるように身構える。

「そうか。極秘任務か。呼び止めて悪かった。」

なんだか通れたようだ。レイカは胸を撫で下ろし、また階段を上って行く。

ここからが問題よねぇ。
本当にあんな作戦で通じるのかなぁ。

コンコン。

アスカに言われたように番兵の服を脱ぎ、キャップだけ深く被って部屋の扉を軽くノッ
クする。

「あのぉ? アフロ大魔王さんですかぁ?」

ガチャリ。

「なんですか? 今、忙しいんですけどねぇ。」

アフロ大魔王が出て来た。その腰にぶら下がっているのは、まさしくGeForceM
X400。これさえ取り上げれれば、かなり有利になるのだが・・・。

「あのぉ。あのね。」

「早く言ってくれますか? 忙しいんですよ。」

「その・・・わたし、剣を手入れしてます町の鍛冶屋です。剣を手入れをしようと思い
  まして。」

「んーーーーー。」

やっぱり怪しい目で見てるよぉ。
だから、無理だって言ったのにぃ。
アスカのバカバカバカぁぁぁ。

「そうですかぁ。じゃぁ、GeForceMX400を手入れして貰えますかぁ? も
  うすぐ使うことになるんです。」

ぽんと、魔剣GeForceMX400を腰から抜きレイカの手の上に乗せるアフロ大
魔王。

「え?」

自分の手の中にある物・・・これは?

と一瞬唖然としたレイカだったが、なんとか我を取り戻した。

魔剣・・・取っちゃったよ。

「早く手入れをして貰えますかぁ? 急いでいるんですがぁ?」

そうだ。早く手入れしなくちゃ。
ん? わたし、剣の手入れの仕方なんて知らないよぉ?

「あのぉ。本当は手入れの仕方知らないんですぅ。」

「んーーー、どうしてですか? 鍛冶屋さんじゃありませんでしたっけ?」

「そうなんですけどぉ・・・初めてなの。」

「頂けませんねぇ。剣はこうやって手入れするんですよ?」

アフロ大魔王は再び、GeForceMX400を手に取ると、レイカの前で手入れを
始める。レイカはその様子をじっくりと眺めていた。

「へぇ、そうするんだぁ。」

「わかりましたかぁ? ん?」

興味深々でキャップを脱ぎ、手入れの様子を見ていたレイカ。その姿を見たアフロ大魔
王は、驚いて目を見開いた。

「レイカ姫じゃないですか?」

「え? あっ、け、剣っ! 無い? 取ったはずなのにっ!」

バタバタバタと大慌てで自分の体を触るが、GeForceMX400は何処にもなく、
ふと見るとアフロ大魔王の手に戻っている。

しまったっ!
取り返されちゃったっ!

「んーーーー。頂けませんねぇ。せめてあたなは、このGeForceMX400はわ
  たしに返すべきではありませんでしたぁ。」

「あーーん。やっぱり、それちょーだーい。」

「これはわたしの大事な武器ですからねぇ。さて・・・ブラコン禁止令を承諾して頂き
  ましょうか・・・。」

「うっ・・・。」

それだけは、どうしても認めたくはない。窮地に立たされたレイカが、困った顔でアフ
ロ大魔王を見上げた時。

バーーーーーン!

天井が砕けたかと思うと、アスカが舞い降りて来た。

「でいやーーーーーーっ! マジックアローーーーっ!!!」

やみくもにマジックアローを連射するアスカ。だが、その全ては魔剣の魔力に遮られる。

「げっ! ア、アンタっ! まだ取ってなかったのぉぉっ!?」

「あ、あの・・・その・・・。」

「作戦が失敗したのねっ! ここじゃ不利だわっ! 逃げるわよっ!」

「うんっ!」

敵にまだGeForceMX400があることを知り、レイカと一緒に一目散に逃げ出
す。しかしその後から、アフロ大魔王が追いかけて来た。

「まだ、話は終わってません。待って下さい。」

「待てっつわれて待つバカはいないわよっ! レイカっ! あの渡り廊下から隣の塔へ逃
  げるわっ!」

「うんっ!」

狭い石作りの渡り廊下に飛び込んで行く2人。だがその先は魔力のかかった分厚い扉で
閉ざされていた。

「ちっ! アタシがぶっこわしてる間、応戦してっ!」

「わかったっ!」

アフロ大魔王は、余裕の笑みで廊下に近付いて来ている。レイカは少しでも時間を稼ご
うと魔力を溜めて、フリーズアロー発射。

バッキャーーーーーーーーーーーン!

発射した・・・が。それは的が外れてしまい、渡り廊下の床を直撃。

「強い魔力がかかってんじゃないのよっ! 硬わねぇ。マジック・・マ? ん!?」

ガラガラガラ。

必死で魔法の掛かった扉を打ち破っていたアスカの耳に、背後から大きな物音が聞えて
来た。何事かと振り返ると、渡り廊下が崩れ出しているではないか。

「げげげっ! アフロの奴っ! 廊下壊したわねっ!」

「・・・・え。あ、うん。」

自分が壊してしまったとは言えないレイカは、アフロ大魔王のせいにして、コクコクと
頷く。

「きったない手使うわねぇぇっっ! こんちくしょーーーっ!」

こうなったら、狙い撃ちされることを覚悟で飛んで逃げるしかない。アスカは、レイカ
を背中に背負い壊れていく渡り廊下の隙間から飛びあがり、飛行して一気に逃走を図る。

「んー。レイカ姫に今死なれては困りますからねぇ。着地してから、白雪姫をまず片付
  けましょうか。」

レイカ姫を傷つけたくないアフロ大魔王は、攻撃はせず2人の後を、宙を飛んで追い掛
ける。その姿をアスカの背中におぶさっていたレイカがみつけた。

あっ!
追ってきたぁ。
よーしっ!

「フリーズアローーーっ!!!」

なんとか敵を威嚇しようと氷の矢を発射。したが・・・またしてもわけのわからない方
向へ飛んび上がって行ってしまい・・・。

地球には自由落下の法則というものがある。

ひゅるるるるる・・・。

ごいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!

「ほげっ!」

レイカの放った氷の塊がアスカの頭に直撃。

「いっ。いったーーーーーーーーーーーーっ!」

空を飛びながら目から星を撒き散らすアスカ。ふと後を見ると、アフロ大魔王が追って
きてるではないか。

「後ろから攻撃してくるなんて、とことん汚い奴ねっ! レイカっ! 応戦してっ!」

「う、うん。」

冷や汗を流しながらコクコクと頷いたレイカだったが、これ以上魔法を出す自信がなく
なり、背中でじっとしているのだった。

<地上>

ようやく地上に降り立ったアスカは一目散に走り出すが、レイカがもたもたしておりな
かなか付いて来ず、距離が開いてしまう。そうこうしている間に、2人の間にアフロ大
魔王が降り立ち、雲間から照らす満月の光にその顔が照らされる。

「さて、レイカ姫はまだ利用価値がありますが、白雪姫にはここであの世に行って貰い
  ましょうか。」

「ちっ!」

GeForceMX400を構えて立つアフロ大魔王を前に、舌鼓を打つアスカ。あの
剣がある限りにっちもさっちもいきそうにない。

なんとかして、あの剣を奪わなくちゃ・・・。
どうする。

思案にくれていると、アフロ大魔王を挟みその向こうにいるレイカが大声で叫んだ。

「アスカは関係ないから、手を出さないでぇぇぇぇっ!!!!」

そう言いつつフリーズアローの束を連発してくる。アフロ大魔王はもろともせず宙へ逃
げ・・・その全ての矢はアフロ大魔王の向こうにいるアスカに・・・。

ズバーーーン!
ズバーーーン!
ズバーーーン!
ズバーーーン!

「わっ! わっ! ワッ! ちょとっ! レイカっ! やめっ! やめっ! やめてっ!」

目を閉じておもいっきり氷の矢を撃っていたレイカだったが、悲鳴が聞こえてきた。目
を開けてみると、全部アスカに直撃して行っている。

「あっ・・・またやっちゃった・・・。」

冷や汗を流し、おとなしくなるレイカ。

「さて、そろそろ年貢の納め時ですかねぇ。」

また地上へ舞い降りて来たアフロ大魔王は、GeForceMX400を構えアスカに
迫る。

やばいわね・・・。

GeForceMX400を前に、じりと後退するアスカ。

うーーーん。
そうだっ!

「だーさなきゃ負よっ! じゃーんけんっ! ぐぅぅぅーーーーーっ!!!」

おもいっきりぐーを突き出すアスカを前に、アフロ大魔王は思わずパーを出してしまっ
た。それと同時にGeForceMX400がはらりと手から離れ落下する。

「今だっ! フリーーーズアローーーーっ!!!!!」

アスカの放った氷の矢がGeForceMX400を弾き、レイカの手へ飛ばす。

「これは参りましたねぇ。」

魔剣がなくなり頭を抱え込むアフロ大魔王。あの剣が敵の手にわたれば、非常にまずい。

「よーしっ! いくわよっ! レイカっ!」

「うんっ! 魔剣さんっ! ファイヤーボルト出してみてっ!」

新たな主となったレイカの命に従い、GeForceMX400はファイヤーボルトを
発射する・・・があくまでも使っているのはレイカ。その火の玉はアフロ大魔王とは全
然違う方へ飛んで行き。

バッフーーーーーン!

「ほげーーーーーっ!」

アスカの顔におもいっきり直撃した。

「・・・・・・・く、くぉのバカレイカぁぁぁぁぁああああああああっ!!!!」

「あややややや・・・。」

なんとか魔法で防御はしたが・・・。たとえレイカが使ってたとしても魔剣が繰り出す
ファイヤーボルト。ブスブスとほっぺたから煙が上がる。

「アンタ、もうその剣もってどっか行ってっ!」

「で、でも、わたしも戦わなくちゃ。」

「アンタ、戦う相手わかってないから、ダメっ! どっか行ってっ!」

「しくしくしく。」

哀愁の漂う背中を見せて、剣を胸に抱き走って行くレイカ。魔力とは火器でいうところ
の火薬量であり、最後は使う人次第であることの典型的な例かもしれない。

「あの剣が無かったとしても、あなたにはわたしは倒せませんよ。」

レイカにGeForceMX400を奪われたアフロ大魔王だったが、まだ余裕の笑み
を見せている。

「なんで、そんなことわかんのよ。」

「今迄のあなたの魔法を見ればわかります。わたしよりかなりレベルが低いようですね。
  さて、あなたを倒して、GeForceMX400を取り返しますかね。」

「魔道師だからって、偉そうにすんじゃないわよっ!」

「んーーーーーーー。上級レベルのソーサラーなんですがねぇ。」

「げっ・・・、ソ、ソーサラー。」

帝国の軍隊は別世界として、ソーサラー上級レベルと言えば通常では最強レベルである。

「さぁ、どうしますかぁ? 無謀な戦いは止めた方がいいんじゃないでしょうかぁ?」

「ハンっ! 強いくせに、女のコを苛めるなんて許せないわっ!」

「そうですかぁ。同じ女の子同士気が合うのでしょうか? まぁ、同じ女の子と言って
  も、レイカ姫よりだいぶ胸は小さいようですが。牛乳飲んでますかぁ?」

ブッチーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

何か極太のワイヤーが切れた音がした。

「うりゃーーーーっ!」

ズガーーーン!!!!!

アフロ大魔王に直撃するファイヤーボール。だが大魔王と言われるだけあり、その場に
立ち止まったまま受け止める。

「これは、ききますねぇ。どうやら、この魔法だけレベルが高いようですね。」

「ちっ。ダメか・・・。」

「では、次はわたしのを受けて貰いましょうしょうかぁ。」

アフロ大魔王のファイヤーボールが炸裂。

「ぐふっ!!!」

なんとか耐えたが、やはり向こうの方がレベルが高く吹き飛ばされる。

つ、強い。
強過ぎる・・・。

「さて、とどめですかね。」

ズガーーーーーーーーン。

今度は、サンダーが舞い降りてくる。ファイヤーボールしか決め手がないアスカとは違
い、多くの魔法をかなり高いレベルで放って来る。

「キャーーーーーーーーーっ!」

またもや吹き飛ばされたアスカは、キッと夜空を見上げ・・・。

「こんちくしょーーーーーーーーーーっ!」

「耐えるとは・・・しかしまだやりますか?」

「勝利の女神はアタシにあるっ! でいやーーーーーーーーーーーっ!」

ファイヤーボール連射。

「フっ。愚かな・・・何度やっても同じですよ。」

不適な笑みを浮かべたまま、アフロ大魔王が光の矢を無数撃った。

持てる限りの力で壁を作り防御するが、壁ごと弾き飛ばされ宙を舞うアスカ。

「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

風が流れる。

悲鳴を上げ宙を舞いながらも、その青い瞳は空を見据える。

あと・・・。
あと少し!

地面に叩きつけられ、倒れながら夜空を見上げる。

「んーーーーーーーー。これでおしまいですか?」

アフロ大魔王が魔力を溜め迫る。

風が流れる。

雲が流れる。

夜空を流れる。

倒れたままのアスカ。

「あなたの好きなファイヤーボールで、決めましょうか。」

アフロ大魔王が呪文を唱えた。




そして・・・。風が流れた。




「きたっ!!!!!」




飛び跳ねるアスカ。

夜空の下、宙を舞う。


その瞳には・・・光り輝く勝利の女神が宿っていた。




風が流れ、雲間が晴れ。

赤い髪が風にたなびき。

青い瞳が輝き。

美しい満月の光が差し込んだ。




紅きルナの髪飾りが、満月の光を真紅に神々しく映し日輪のごとく輝いた。





「でぃやーーーーーーっ!!!」

アスカの体全身にかつてない魔力が漲る。




「ファイヤーーーーーボーーーーーーーーーーーーーーーーーーールっ!!!!!」




突然のことに身構えるアフロ大魔王。

「なっ? ばかなっ!」




ズガガガガガガガガガガガガガガガガガァァァアアアアアアアアアアアアアアン!!!




世界が真っ赤に染まり、巨大な灼熱の炎の固まりが地面を真っ二つに切り裂く。

「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

ゴロゴロゴロ。

撃った本人のアスカが、あまりの威力に遥か後方までふっとばされる。

レベルが1,2上がるのだと思っていたが、Wizardレベルのファイヤーボールが出て
しまうようだ。

そして、アフロ大魔王は・・・。

「ぎょえーーーーーーーーーーーっ!!!!」

強烈な魔力に吹き飛んで行ったかと思うと、お星様になってしまった。キラン☆

「勝った・・・。 シンジ様ぁ、勝ったよぉ。」

吹き飛ばされゴロゴロと地面を転がっていたアスカだが、ようやく木にぶつかり止った
ようだ。

「でも・・・あー、もうびっくりしたぁ。あんな威力あるとは思わなかったわ・・・。」

戦いが終わったことを知り、レイカが城の外で隠れていた小人2人を連れて戻って来る。

「ありがとう。アスカぁ。」

「これで、この町も平和になったわね。」

「だっこ禁止令も、ブラコン禁止令もこれでなくなりますっ!」

「あっ、見て、アタシのファイヤーボールが山にトンネル作ってるわっ!」

「あっ! ほんとだぁ。すっごーーいっ。」

「あっち、あなたの町でしょ? これで山を回らなくてもここまで来れるじゃない。」

「はい。みんなで仲良く暮します。」

今回は頑張った。100点満点と言ってもいいんじゃないかと、満足するアスカ。こう
して頑張っていけば、いずれあのヒゲおやじにも認められ・・・。

「くおらーーーーーーーーーっ!!!!!」

その時、アスカの作ったトンネルの中から大勢の人が走って来た。山の向こうから昇っ
てきた明るい朝日に照らされて。

「あっ、じいや。」

「誰じゃぁ!! 山に穴開けた奴はぁっ!」

「ん? アタシっ! アタシぃぃっ! どうっ? 便利になったでしょっ! お礼なら、形
  のあるものでねっ!」

と言いつつ穴の中を覗くと、その向こうに何やら城が瓦礫になっているのが朝日に照ら
され見えて来る。

「レイカ? ・・・・もしかして、アンタの城って。」

「はい。山の裾野にありますけど?」

「・・・・・・。」

「誰じゃーーーー城を壊したのはぁぁぁぁぁっ!!!!」

じいやを先頭に、どやどやどやとコンフォート5キャッスルの兵士達が、怒り狂って走
って来ているではないか。

「小人渚っ! 小人綾波っ! あとよろしくぅっ!」

すたこらさっさと、とんずらをこくアスカ。

「そ、そんなぁっ! こんなとこに置いてかないで下さいよーっ!」
「あぁ、とうとう共犯になってしまったのね。」

こんな所に置いていかれては、どんな仕打ちを受けるかわからない。小人達もアスカの
後を追って逃げて行く。

「あっ! これは、レイカ姫っ!」

「じいやぁ、アフロ大魔王を倒したのよっ。」

「ほ、本当ですかっ! レイカ姫っ・・・じいやは嬉しいですぞ。よくぞここまで立派
  な魔法使いに・・・。ところで、山に穴を開けた者は?」

「ん? 山? あぁ、あっち。えっとね、あの白雪姫さんがね・・・」

「皆の者っ! あやつを追いかけよっ! レイカ姫、パーティーの準備をさせます故、我
  らが城へ・・・。」

「パーティー? やったぁぁぁぁっ!?」

アスカのことを話そうとしたレイカだったが、”パーティー”の一言を聞きすっとんで
城へ帰ってしまった為、アフロ大魔王を倒したのはレイカ姫。城を壊したのは白雪姫と
じいやは思い込んでしまったらしい・・・。

「白雪姫様ぁぁぁ、追いかけてきますよぉっ!」

「でぇーーーいっ! 相手にしてらんないわよっ! 2人とも捕まってっ!」

はしっ!
はしっ!

「ばっははーーーーいっ! ファイヤーボーーーーーーーーーールっ!」

ズガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!

追っ手が来れないように、地面に大きな穴を開けたアスカは、小人2人を小脇に抱えて
飛んで逃げて行く。

まだまだアスカが人徳を身に付けるのは先のようである。

<コンフォート17キャッスル>

それから数日後。

「やったーーーーーっ! これで借金も全部返したわぁぁ。
  さよならぁー。内職の毎日ぃぃぃ。」

マナは喜び勇んで、最後の返済金をコンフォート17キャッスルの城主であるミサトの
元へ届けにやってくる。

「あらぁ、これで最後ね。」

「はいぃ。いろいろご迷惑をおかけしましたぁ。」

「ご苦労様ぁ。」

「やったぁ。やっと自由だわぁ。」

「でさぁ。プレゼントがあるんだけど?」

「やだなぁ。そんな気を使って貰わなくてもぉ。」

「はい。請求書。」

「・・・・・・・・・え?」

目が点になるマナ。

「請求書よ。」

「・・・・・あの、冗談でしょ?」

「またあなたの妹分がコンフォート5キャッスル壊してとんずらしたらしいのよ。」

「・・・・・・。」

「で、あの子の師匠のあなたに、渡して欲しいって。」

「・・・・・・。」

もうマナは何も言わず、涙を流しながら請求書を手に内職部屋へ戻り・・・。

「アスカぁぁぁああっ! ぜーーったい今度ばかりは、とっ捕まえてやるんだからぁっ!」

目を鬼のように吊り上らせながらも、また新たな内職募集を探し始めるマナ。

アスカが人徳を身に付けるのと、マナが内職から開放されるのは、どちらが早いことだ
ろうか。

fin.
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