ホワイトデー記念? 〜ホワイトデーのオカエシ〜


すでに使徒の脅威も去り平和な時代に突入していた。

ゼーレも跡形も無く消え本当の平和をシンジ達は謳歌していた。

シンジ達チルドレンの情報も公開されすでにヒーローになっている。

そんな平和な世界の日常の一コマ。

3月13日いやすでに日付は14日になっている。

シンジは夜遅くまでキッチンにいた。

どうやらホワイトデーにお返しするクッキーを作っていたようだ。

「よし、これで終わり・・・ふぁーあ・・・寝よ」

シンジはキッチンにクッキーを置いたまま部屋に戻って行った。

このあとこの行動が一つの事件を起こすとも知らずに・・・

 

翌日。

シンジの横を不機嫌な顔をして歩くアスカ。

シンジは触らぬ神に祟りなしと言った感じで無視を決め込んでいるようだ。

(それにしても・・・)

どうやら原因はシンジが両手に持っている手提げ袋にあるようだ。

手提げ袋からはあふれんばかりのホワイトデーのお返しが顔を覗かしている。

(アタシというものがいると知ときながら・・・うちのバカオンナたちめ・・・)

バレンタインのシンジのモテようを思い出したらしくさらに不機嫌になる。

(まぁ・・・でも・・・ねぇ・・・)

袋をみつめながら今度は某指令並のニヤリ笑いをする。

もちろんシンジは気付かない。

(くっくっくっくっ・・・これを開けた時の顔が目に浮かぶようだわ・・・あははははは・・・)

内心では高笑いをしているアスカ。

どうやら昨晩シンジが寝た後アスカが何か細工したようだ。

そうこうしているうちに学校に着く。

今日はホワイトデーのお返しを配るために早く学校に来たのだった。

あたりに人は誰もいない。

「シンジ!一つ貸しなさい!さっさとやって教室に行くわよ!」

「うん。じゃあそっちはまかせたからね」

そう言って袋を一つ渡す。

「了解」

アスカはオカエシを一つ手に持つとニヤリと笑って丁寧に下駄箱に入れていった。

「こっちは終わったわよ」

「うん。こっちも終わったよ。後は親しい人に手渡しする分」

「ちゃ〜んと手渡しするのよ!あんたいつもお世話になってるんだから」

もっともなことを言ってるが顔はニヤリと笑っている。

「あ、あのさ・・・」

「なに?」

「なんでニヤリって笑ってるの?」

「気のせいよ!」

慌てて後ろを向くアスカ。

「ほら、さっさと行くわよ」

そう言ってシンジを置いてすたすたと教室に向かう。

「待ってよ!」

シンジも慌ててアスカの後を追った。

 

教室には洞木ヒカリが教卓を拭いていた。

「ヒカリおっはよー」

アスカはヒカリを見つけるとうれしそうに声をかける。

「おはよう、アスカ。今日は早いのね?」

「うん。シンジのさ・・・」

「ああ、あれね」

それだけでわかってしまうヒカリ。

さすが親友だ。

そこにシンジがお返しのクッキーを持って近づいてくる。

「おはよう、委員長」

「おはよう碇君。何?その手にもってるやつは?」

「これ?このまえのお返し。クッキーだけど食べて」

そう言って微笑みながらクッキーを渡す。

「ありがとう。それじゃあ遠慮無くいただくわね」

ヒカリはクッキーをもらうとカバンにしまいに行く。

アスカはその様を冷や汗をかきながら見ていた。

(し、しまった〜・・・ヒカリも食べるんだった・・・どうしよう・・・ま、まぁ・・・ヒカリなら親友のジョウダンとしてわかってくれるかな・・・あは・・・あはははははははは・・・・ゴメン!ヒカリ!死なないで!!)

アスカは祈るような思いでヒカリを見ていた。

 

登校時間・・・

男子の数が増えてくる。

しかしいつまで経っても女子の姿が見えない。

「なんや〜?女子はどないしたんや?」

「さあな?」

「ほんとどうしたんだろうね?」

通称三馬鹿がそんなことを話している。

アスカはソレを聞くと一人ほくそえんだ。

(作戦は成功しているようね)

一部の女子を除いて全員欠席している。

アスカは一人満足げに教室を見渡した。

 

昼休み・・・

一部の女子の中に入っている霧島マナはシンジに連れられて屋上に来ていた。

普段なら一目シンジを見ようと屋上は女生徒でごったがえすのだが今日は人っ子一人いない。

どうやらアスカの作戦は成功しているようだ。

「今日は誰もいないね?で?渡したい物って?」

マナは期待のこもった目でシンジを見る。

「はい。これ。クッキーだけど食べて」

シンジは今朝のとは違った包装の包みを渡す。

「ありがと!家に帰ったらさっそく食べるね!」

そう言ってシンジの頬にキスをして走り去っていく。

残されたのは固まったままのシンジと心配でこっそり着いて来ていたアスカだけだった。

(あのマナ板ぁ・・・)

すでに怒りはマックスのようだがこれからのマナを思うと怒りも収まってくる。

(ふふふ・・・いい気になってられるのもいまのうちよ・・・おほほほほほ!)

心の中ではたからかに勝利宣言をしているのであった。

 

そして放課後・・・

ついに女子が出てくることはなかった。

そんななかヒカリとマナ、アスカを除いて唯一の出席者綾波レイが教室を出て行こうとする。

「あっ、待って。綾波」

そのレイを呼びとめるシンジ。

レイは表面上は無表情でふりかえる。

「なに?」

そっけない言葉である。

しかし内心ではレイは小躍りしていた。

「あ、あのこれ。この前のお返し。クッキー焼いたから食べて」

クッキーを受け取るレイ。

「そう・・・ありがとう・・・こんなときは笑えばいいのね?」

そしてニヤリと笑う。

凍りつくシンジ。

「・・・そう・・・違うのね・・・ごめんなさい・・・こういうときどんな顔したらいいのかわからないの・・・だって9人目だもの」

「9人目・・・って・・・?」

「いい。さよなら」

すたすたと教室を去るレイ。

残されたのはわけがわからない顔をしているシンジとこれまた心配で一部始終見ていてシンジと同じ顔をしているアスカだけだった。

 

「ふーっ・・・やっと今日という日が終わるのね・・・」

溜め息をつきながらソファーに深く座るアスカ。

「どうしたの?溜め息なんかついちゃって?」

シンジが二人分の紅茶を持ってアスカの横に座る。

「なんでもないわよ・・・それより」

アスカはシンジをぐいっと引き寄せる。

「アタシへのお返しは?今朝シンジがアタシのは特別だからって言ったから今日はいろんなこと我慢したんだよ?」

期待のこもった眼差しをシンジにむける。

シンジは優しく微笑みアスカを抱き寄せる。

「アスカだけの特別だよ?」

そう言ってアスカの瞳を見つめる。

アスカもシンジをじーっと見つめる。

「アスカ・・・大スキだよ」

そう言ってからキス。

真っ赤になるアスカ。

恥ずかしさのあまりすぐにシンジの胸に顔を隠す。

「アタシも・・・ダーイスキッ」

シンジから顔は見えないがアスカの顔はコレ以上の幸せはないといった顔をしていた。

この日コンフォートマンションは過去最高気温を記録したという・・・

 

さてそれぞれシンジのクッキーを貰った少女達を見てみよう・・・

洞木ヒカリの場合

手にはトウジから貰ったプレゼントを震える手で見つめていた。

「も、もらちゃった・・・」

シンジのクッキーどころではないようだ。

そして丁寧に包装をはがしていく。

ついに中身が見える。

「ス、スズハラ!?」

ヒカリは震える手でプレゼントを広げる。

しかも泣いているようだ。

これは嬉し涙なのだろうか?

「こ、これは・・・ペアルックでゴーってことなのね!わかったわ!明日から私もこれ着ていくからね!覚悟してなさいよ!トウジ!」

すでに呼び方も変わっている。

トウジからのプレゼントはトウジの着ているジャージの色違いであった。

しかも色はピンク。

後日ピンクのジャージを着た洞木ヒカリ嬢の姿が確認された。

隣に黒色のジャージをきた少年を引き連れて・・・

ちなみにシンジのクッキーはヒカリの妹が発見しその胃袋の中に納められたという。

そのあと1週間生死の狭間をさまよったらしい・・・

 

綾波レイの場合

レイは部屋に入ると今までの無表情を崩しニヘラと笑う。

「ついに!ついに!あの赤毛猿からシンちゃんをうばいとったわ!」

なにやら勘違いしているようだ。

そしてシンジからもらったクッキーをまるで壊れ物を扱うかのように慎重にテーブルの上に置く。

「さて・・・食べようかしら」

震える手でゆっくりと包装をあけクッキーを一つ手に取る。

「・・・いただきます・・・」

ぽいっと口の中にいれゆっくりと味わってから飲みこむ。

薄れゆく意識の中でレイは一枚のカードに気付く。

「私が不覚だったわ・・・」

そのあと意識不明の重体に陥った・・・

後にレイはこの時の記憶が無くなる・・・

 

霧島マナの場合

ルンルン気分で帰宅するマナ。

「ただいまぁ〜♪」

声も弾んでいる。

そして部屋に入るとシンジからもらったクッキーを机の上に置き紅茶を用意する。

「シンジの愛がこもっているクッキー♪よーく味わうからね♪」

そう言って包装を丁寧にはがす。

そのとき一枚のカードが落ちる。

(カード!?もしかして!?)

マナは慌ててそのカードを拾いあげる。

そして期待してカードに目を通す。

しかしカードを見た瞬間怒りのオーラを発する。

カードには・・・

『アタシの手作りよ♪ゆっくりと味わいなさい!  byシンジの新妻アスカ♪』

と書かれていた。

「こんちくしょーーーーーーーー!!ああ!ああ!食ってやる!食ってやろうじゃない!!」

マナは自棄になって一気にクッキーを食べる。

「うっ!?」

突然涙目になるマナ。

「く、くやしいけど・・・ウマイわ・・・こんちくしょーーーーーーーー!!!!!!」

マナは泣きながら部屋を出ていった・・・

その後彼女は三日間行方不明になる。

その間彼女が何をしていたかは不明である。

ただ彼女は行方不明になったあたりからよく磁石に引っ付くようになったことを記しておこう・・・

 

そしてコンフォートマンション・・・

今日も今日とてラブラブなふたり。

あの晩アスカが何をしていたかは『ミサト特製愛情は料理の素♪』と書かれた空のビンだけが知っている・・・

 

おわり  

 


あとがき

どうも前回の二の舞になりそうな20th childrenです。

今回はホワイトデーネタということなんですけど・・・これってホワイトデー?(笑)

なんか違う気がしてならないのは私だけでしょうか・・・(汗)

さて・・・今回は前回の二の舞にならないようにしたつもりなんだけど・・・(汗)

ああ・・・どうやら今回も一応逃げといたほうがよさげですね・・・

ではこれにて!(ダッシュで逃げる)


マナ:(ギュイーーーンッ!・・・作者を釣り竿で引っ掛ける)釣れたわっ! 逃がすもんですかっ!(▼▼#

アスカ:アンタまた・・・。

マナ:マナ板ってどういう意味かしらっ!!(▼▼#

アスカ:マナってことじゃない?(^^;

マナ:板が余計でしょーがっ!(▼▼#

アスカ:どれどれ、本当にマナ板かしら?(ぺたぺた)

マナ:さわんないでよっ。!!

アスカ:一応、彎曲してるみたいよ?

マナ:彎曲じゃなくて、膨らんでるでしょーがっ!(ドゲシっ!)(▼▼#

アスカ:いたっ! そ、そうね。膨らんでる。(^^;

マナ:しかーもっ! 最後のオチにわたしを使うなんてっ!

アスカ:鋼鉄女だからじゃない? 胸も鉄板だし。

マナ:あなたも一緒に燃えなさいーっ!(ゴーーーーーーっ!)(▼▼#

アスカ:きゃーーーっ! どうしてアタシまでっ!(TOT)
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