VOL.2 見方は世界を変える scene.B

 

「レ、レイ・・・」

「碇君?」

公園前で偶然にもばったりと出くわした二人。

「ひ、久しぶり・・・」

「そうね・・・」

「・・・・」

「・・・・」

しばらく無言が続き気まずい雰囲気が立ち込める。

「どうしたの?こんな夜中に?」

「え?あっ・・・ちょっとね・・・夜風に当たってみようかなって・・・碇君は?」

「僕も・・・同じ・・カナ」

「・・・・」

「・・・・」

またも無言と気まずい雰囲気が支配する。

「あ、あのさ?」

その沈黙を破ってレイが話しかける。

「前のこと・・・気にしてる?」

一瞬びくっとなるシンジ。

しかしすぐに笑顔になる。

「い、いや・・・もう気にしてないから・・・」

「そう。ならよかった」

笑顔になるレイ。

「気にしてたらどうしようってずっと思ってたからさ。少しほっとした」

「ああ・・・そう・・・うん。もう大丈夫だから」

「これで前みたいな関係になれるかな?」

「う・・ん・・・。なれるんじゃないかな?」

「そっか・・・。うん。なんか安心した。最近ね?ケッコ―これが悩みのタネだったのよ」

「ふーん・・・そうなんだ?」

「うん。だから安心した。あっそれでさ。聞いてよ。マユミって覚えてる?・・・・・・・」

さっきまでの雰囲気はどこかにいき、以前のような感覚で会話は続いていった。

「じゃあ、もう遅いから帰るね。じゃ、オヤスミ」

「ああ、オヤスミ」

シンジとは反対方向に歩いていくレイの背中を見送ってからシンジは自分の部屋に歩き出す。

(気にしてない・・・ワケナイダロ・・・)

先ほどレイに問われた気持ちの整理。

簡単にできるわけがない。

「ふぅ〜・・・」

一つため息をついてから空を見上げる。

今日も空は雲ひとつなく月が煌々と輝いていた。

(なにしてるんだろうな・・・)

そんなことを考えながら部屋までの道を憂鬱な気分になりながらとぼとぼと歩いていった。

 

「オハヨーゴザイマース・・・」

昨日からの憂鬱な気分はまだ紛れてない。

それでも誰にでも平等に朝はやってくるしバイトに出ないとお金がない。

(つまり現実はキビシーってことだ・・・)

「おうオハヨーさん。・・・ってどないしたんや?」

そんなことを考えてると奥から先に来ていたトウジが顔をのぞかせる。

「なんや・・・憂鬱そうやな?」

「そう見える?」

「ああ。なんかあったんか?」

「いや・・・あったのかな?まぁ・・・大丈夫だよ」

「ほうか?まぁええわ。とりあえず先に商品のチェックしてや」

「わかったよ」

シンジはそのまま奥に消えていった。

それと入れ違いにアスカが入ってくる。

「オハヨーゴザイマースッ♪」

「おう。オハヨーさん」

「あれ?シンジは?」

「ああ、今裏に行ったとこやわ。もうすぐしたら出てくると思うけど?」

「ふ〜ん・・・じゃ、お邪魔しマース」

アスカはそのまま奥に行こうとする。

「はいはい・・・ここから先はカンケー者以外立ち入り禁止」

ちょうどそのとき奥からシンジがでてくる。

「オハヨーシンジ♪」

「はい、おはよう。おキャクさんは何か買い物してからこっちに来てクダサイね」

そう言ってアスカの背中を押して店の中に出る。

「あぁ〜なんか冷たいぃ〜」

「はいはい。ゴメンナサイ。と言う訳で出て行ってくださいね」

「ぶぅ〜」

アスカはシンジに背中を押されながらしぶしぶ言われたとおりにする。

シンジはそのまま賞味期限切れの商品のチェックに行く。

その背中を見てアスカはニヤリ顔になる。

「ねぇねぇシンジ♪」

パンの整理をしているシンジの背中に飛びつくアスカ。

「だぁ〜!?じゃれ付くなって言ってるだろ」

アスカを振り落としてから振り向く。

「今はバイト中なの!バ・イ・ト中!わかる?」

「わかってるわよ」

「じゃあ邪魔しないでくれる?」

「はいはい。わかりましたよ〜。それより昨日の約束覚えてる?」

「昨日?・・・ああ。覚えてるよ。日曜だろ?」

パンのチェックしながら答える。

「よろしい。楽しみにしてるからね♪じゃ!今日も一日ガンバッテ働きたまえ♪青年よ♪」

「はいはい。アリガト。お前もがんばれよ」

「は〜い」

アスカは笑顔で手を振って店の外に出て行った。

「アイツ・・。何しにきたんだ?」

 

「おっはよ〜アスカ♪」

昇降口で突然背中に誰かに飛びつかれるアスカ。

「ぐえっ・・・。重いよ・・・マナ・・・」

「・・・・」

無言でアスカの首に腕を絡めて力をこめる。

「く・・・クルシイ・・・」

「苦しい?これは今の私の心の声よ!」

「ご・・・ごめんなさい・・・マナさんは重くありません・・・」

「よろしい」

満足そうにうなずいてからアスカの背中から降りるマナ。

「改めてオハヨウ、アスカ♪」

「オハヨ、マナ」

二人は上履きに履き替え教室に向かう。

「それより、アスカ。見〜た〜ぞ〜」

「なにを?」

「ふっふっふっ・・・コンビニ」

「うっ・・・」

「いや〜・・・朝から大胆ですなぁ〜」

ニヤリ顔をアスカに近づける。

「な、何のことかしら?おほほほほ・・・」

アスカは冷や汗を流しながら明後日のほうを向く。

「あら?とぼける気ですか?アスカさ〜ん?」

腕を肩に絡めるマナ。

「うっ・・・」

「タネはあがってんのよ?ほれほれ白状しちゃえ♪」

「な、何も隠してないわよ?」

「ほっほー・・・あくまで白を通す気ですか?いいでしょう。ではワタクシにも考えがあります」

なにやら奇妙な言葉遣いになるマナ。

そしてこうなったときのマナの恐ろしさはアスカが一番知っていた。

「ああ!!わかりました!全て白状させていたただきます!」

しぶしぶ今日の朝の出来事を話す。

もちろん日曜のデートのこともだ。

「ほ〜日曜にねぇ〜。いいですなぁ?」

やたらと恨みがましくアスカを睨むマナ。

「そっか・・・日曜か・・・」

そして小さく呟く。

「どうしたの?マナ?」

「へ?」

あわてて顔を上げるマナ。

「あっ・・・な、なんでもないわよ」

「そう?」

「そうそう。さっ早く教室いこっ」

「ちょ、ちょっとマナ」

アスカの腕を取って教室に向かった。

 

日曜日。

午後12時。

駅前にアスカはいた。

ぱっと見はとても高校生とは思えない。

しかもかなりの美少女である。

そのため無遠慮にじろじろと見ていく。

さっきから声も何回もかけられれいる。

ついさっきも撃退したところである。

(あ〜早く来ないかなぁ〜)

ひっきりなしに声をかけられていらいらしているのだがにやにや顔がとまらないアスカであった。

それをひっそりと見ている人物にももちろん気づかない。

(くっそーアスカめぇ・・・シンジさんとデートだとぉ・・・ずるい・・・)

そうである。

なにを隠そうと霧島マナ嬢である。

彼女もシンジを狙っている者の一人である。

(ずぇ〜ったい邪魔してやるぅ〜)

目を光らせながらアスカの行動を見逃さないようにするマナであった。

 

                                                         scene.Bおわり

 

 

あとがき

 

どうも・・・。

おひさしぶりです。

もう忘れられてますよね?

20th childrenです。

一年ぶりの更新。

自分でもうすらぼんやりとしか構想が思い出せず大変苦労しました。

まぁ復帰第一弾ということで多めに見てください。

ではまた続きでお会いしましょう。


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