先帝陛下>宰相、あの者が無事退院したそうだな。
宰相  >はい。その様で御座います。
先帝陛下>そうか・・・ならば祝いをせねばなるまい。
宰相  >ほう!では、この戦争も停戦という事になりますか?(^^)
先帝陛下>ふ・・・祝いの品はコレだ。/〜\
宰相  >・・・・・・・・・げっ!?こ、コレですかぁ!?(@@)












マッチ売りの少女 マナちゃん♪

by あっくん

2000/12/21



昔、とある街にマナと言う可愛い娘がいました。

ですが彼女はとても薄幸な少女で、愛人が産んだ娘という事で妻の嫉妬を恐れた父親に生まれてすぐに銅貨1枚で売り飛ばされ、

売られた先の碇家では、とことんまでに扱き使われる始末。

「全く!見目が良いから成長すれば高く売れると思ったのだが、くそっ!」

先行投資の失敗を嘆き、酒をあおる家の主のゲンドウ。

「その上、馬鹿で家事全般も出来ないときては………どうしようもありませんわね!」

ゲンドウの妻のユイも愚痴を零す。

「くそっ!洗濯板が好みという奇特な人物を捜すしかないのか?」

またもやゲンドウが愚痴る。

「無理ですよ、あなた。洗濯板どころか、むしろ剔れてるんですから」

そうなんです。

薄幸のマナちゃん、最大の不幸は………16歳にもなって胸が無い事だったのです!




















雪の舞い散る夜。

マナちゃんは街の街頭でマッチを売っていました。

「マッチ、マッチは要りませんかぁ〜?」

しかし、ライターが幅を利かせ出した今となっては、マッチなんか売れる筈もありません。

元々、当てが外れたゲンドウが、単に嫌がらせでやらせてるだけなのです。

「はぁ〜………やっぱこれで売れる訳ないよね………ふぅ〜」

愚痴を零すマナちゃん。

何とポケットから煙草を取り出して、売り物のマッチで火を付けて美味しそうに一服を始めちゃいました。

どうやらマナちゃんは、虐げられたせいですっかり悪い子になってる様です。

「もっと強引にいかないと売れないのは分かってるけど、彼が現れるまでは大人しくしてないとね♪」

呟くマナちゃん。

どうも、いつもはもっと強引な商売をしてる様です。

「はぁ〜、早く彼が現れないかなぁ〜♪」

マナちゃんの瞳が輝いています。

いわゆる『恋する乙女』モードというものでしょうか?

一体彼女に何があったのか?彼とは何者なのか?

時間を少し戻してみましょう。





<3日前の同じ場所>





「ひい、ふう、みい………ちっ!しけてる親父ね」

「あ、あう〜」

「じゃあ、これマッチ代として貰っておくね♪(はぁと)」

あううううう

マナちゃんは財布から有り金全部抜き取ると、空になった財布とマッチ箱を倒れている男性に放り投げました。

はて?マナちゃんはマッチ売りの筈では?

マッチ一箱で3万円とは?

「ホント、男って馬鹿でスケベね。ちょっと誘うと………ふふふ」

ど、どうやらマナちゃんは、普通のマッチ売りではなく、危ない方のマッチ売りをしてる様です。

しかも!それで誘っておきながら、実は相手を関節技で倒して金だけ頂く………た、逞しい。

「さて、思ったよりも稼ぎが無かったから、もう一人ぐらい獲物を………」

マナちゃんは倒した男の持ち金が少なかった事に不満があったのでしょう。

更なる獲物を求めて、再び街へと繰り出しました。

その時です。

一人の警官がマナちゃんにぶつかってしまったのです。

きゃあーーーーーっ!!

悲鳴をあげるマナちゃん。

そして、マナちゃんがかごに入れていたマッチは路上に散らばってしまいました。

一方、マナちゃんにぶつかった警官はというと。

「済まない、胸の無いお嬢さん!

他に言い方もあるだろうに、よりにもよってマナちゃんの弱点を指摘して走り去って行きました。

そんな警官に向かってマナちゃんは、中指をおっ立てて次回会った時の復讐を誓うのでした。

そんな時でした。

「大丈夫ですか?」

「え?」

一人の青年が、マナちゃんに声を掛けながら手を差し出してきたのです。

その青年は、年の頃は20歳前後で、長身のスレンダー体型に優しい面持ちの美青年でした。

マナちゃんは声も出ません。

それ程の美形の青年がマナちゃんの前に現れたのです。

「さぁ、立てるかい?」

「は、はい………」

青年はマナちゃんの手を掴んで、転んだマナちゃんを起こしました。

そして今度は、辺りに散らばったマッチを一つ一つ拾い出したのです。

そんな青年をマナちゃんはただ見つめていました。

「はい。多分、これで全部だよ」

「あ、ど、どうも………」

差し出されたかごを夢見心地で受け取るマナちゃん。

「じゃあ、僕もマッチを一つ貰おうかな?幾らだい」

「そ、そんな!?助けて貰って、どうぞ差し上げます!

そう言って、かごごと差し出すマナちゃん。

かなりのぼせてる様です。

「ははは、これぐらいの事で………それに君だってそれで生活してるんだろ?」

半ば冗談と受け止めたのだろう。

青年は魅了の魔法が掛かっているのでは?と思える程、魅力的な笑みを浮かべる。

それを見たマナちゃんの顔は、真っ赤っかです。

「じゃ、じゃあ、一つ50円です」

一箱3万円が50円です。

もうマナちゃんは撃沈寸前の様です。

「じゃ、10個貰うよ」

「は、はい!有り難う御座います!」

マナちゃんは青年にマッチを10個渡します。

青年はそれを受け取りながら、代金をマナちゃんに渡しました。

「じゃあ、寒い中大変だろけど、気を付けて頑張ってね」

「は、はい!」

青年は軽く手を振ると、マナちゃんの視界から消えて行きました。

ですがマナちゃんは、青年の去った方をずっと見つめていました。

そして………

「ふ、ふふふ。み、見つけたわ!彼こそ私に相応しい男性よ!!!

 左手の薬指もチェックオッケー!結婚指輪はしてなかったから独身!!!!

 例え恋人がいても既成事実を作れば問題無し!!!!!

 くっくっく。次に逢った時………必ず手に入れてみせるわ!!!!!

マナちゃんは握りしめた拳を天高く掲げると、高らかにそう宣言したのでした。

………余談ではありますが、そんなマナちゃんを芸人と間違えた人が、マナちゃんに銅貨を投げてマナちゃんがキレちゃいました。




















あの日以来、マナちゃんは猫の皮を何重にも被って、あの青年が再び現れるのを待ちました。

用意も万端。

真冬のこの時期にも関わらず、コートの下は下着のみ。

しかも下着も勝負用の実に際どいデザインのものを着用していました。

マナちゃん、16歳。恋する乙女………違いますね。

これでは獲物を狙う猛禽類です。

「む〜!現れないわねぇ〜」

初日、2日目は、ジッと我慢をしてたマナちゃんでしたが、流石に3日目にもなると愚痴が出てきました。

まぁ、この寒空の中で良く我慢した方でしょう。

「うぅ、寒い………ちょっと身体を暖めようっと」

そう言ってマナちゃんは、コートのポケットから瓶を取り出しました。

そして瓶の蓋を開けると、勢い良く瓶の中身を喉に流し込みました。

「んぐっ……んぐっ………くぅ〜!やっぱ寒い日のウォッカは格別よねぇ〜!!

16歳とは思えない、見事な飲みっぷりのマナちゃん。

ご近所に住んでいる酒豪のミサトおばさん(独身)がマナちゃんを鍛えたとの事です。

「はぁ………だいぶ人通りが少なくなったわね。今夜も駄目かぁ〜」

マナちゃんがぼやきました。

確かに、時刻にして真夜中になろうかという時間です。

今夜も再会は無理でしょう。

「全く。彼も恥ずかしがらずに早く私に逢いに来ればいいのにさぁ〜」

そう呟くマナちゃんは、今度は煙草を取り出しました。

マナちゃんは順調に悪い子への道を歩んでいるみたいです。

そしてマナちゃんは煙草をくわえると、売り物のマッチで火を付けようとしてマッチを………すると!?

「ん?………ああ!!

何とマナちゃんが灯したマッチの光に照らされた壁に、あの青年が映ったのです。

当然、マナちゃんは驚きの声を上げました。

「か、彼だわ!で、でもどうして!?」

食い入る様に、マナちゃんは壁に映った彼を見つめます。

ところが、マッチの火が消えると同時に、壁に映った彼も消えてしまいました。

するとマナちゃんは当然の如く、新たなマッチに火を灯しました。

そして………再び彼が映し出されたのです。

「どうやら自宅に居る様ね………もぉ!私を迎えに来てくれればいいのにぃ〜♪」

マナちゃんは嬉しそうに、壁に映った彼に囁きます。

ところがです!

「ん?………なっ!?何よ、あの女ぁ!?

マナちゃんの目が吊り上がります。

何故か?

それは………映し出された青年の側に、美しい、本当に美しい女性が現れたからです。

その女性は、美しい少し赤みのある長い金髪に澄んだ蒼い瞳。

どんな天才彫刻家でも模倣できない、神の寵愛を一手に受けた様な容姿。

プロポーションもマナちゃんでは太刀打ちを考えるのが愚かと言わんばかりに整っている。

『お帰りなさい。シンジ♪………じゃ、無かったわね。あ・な・た(はぁと

『はは、シンジでいいよ。アスカ』

何と不思議な事があるのでしょうか。

照らされた壁に青年が映っただけでも不思議なのに、今度は声まで聞こえてきました。

「あ、あ、あ………あなたですってぇ!!!!!

マナちゃん。怒髪天をついた様です。

『ほらシンジぃ〜♪いつものやつぅ〜(はぁと)』

『分かってるよ………ただいま、アスカ………』

美女………アスカと言う名の美女が、青年………シンジと言う名の美青年に抱きつき甘えます。

そして、アスカの甘えに応える様に、シンジはアスカの美しい唇に自らの唇をそっと重ねました。

それを見たマナちゃんは当然………

うがぁ!!!か、彼の唇は私のモノなのにぃ!!!

吠えています。

しかし、悲しいかな、マナちゃんの叫びは負け犬の遠吠え。

相手には聞こえてない様です。

『………あん♪こら、シンジぃ〜♪おいたしちゃ駄目でしょ(はぁと

『本当に駄目かい?』

『昨日、アタシ達は夫婦になったんだから、幾らでも時間はあるでしょ?』

『………そうだね。なら明日からのハネムーンに備えて、今夜はゆっくり休もう♪

ああ!?そ、それは………』

『ん?どうしたの、アスカ』

『………意地悪』

壁に映し出された二人は………見ている者が痒くなる様な甘い会話を続けます。

ハッキリ言って、独り者には拷問と言えるでしょう。

勿論、マナちゃんにとっても拷問です。

うががががが!!!!!

拳を血が滲む程握りしめて、呻いています。

ですが、壁に映る二人はそんな事は知らないので、イチャつきぶりはどんどんエスカレートしてます。

『はは、ごめんよアスカ。アスカがあんまりにも可愛いから、ついね』

『ぷい………知らない』

『ごめんよ。その代わり………』

『………代わり?』

シンジはアスカの耳にそっと息を吹きかけ、そして優しく耳朶を噛みながらアスカに囁きました。

『今夜は………寝かさないよ』

『………ば、馬鹿ぁ………』

アスカは小声でそう呟きました。

でも、頬を染め、瞳を潤ませている表情には、拒絶では無く期待が込められている様です。

いやいや。実に仲の良い、微笑ましい?新婚夫婦です。

しかし!マナちゃんにはそう思えない見たいです。

激しい歯軋りをして、歯茎から血が出てます。

ぐががががが!!!!!

『さぁ、今日も寒いし………まずはゆっくりとお風呂で暖まろう。一緒にね

『………うん』

シンジは、可愛く照れるアスカの肩をそっと抱いて………部屋の奥へと消えて行きます。

恐らく、お風呂に入るのでしょう。………アスカと二人で。

うん。実に仲睦まじい二人です。

ですが、マナちゃんはそれどころではありません。

自分が一目惚れした相手は既に既婚者であり、マナちゃんがどんなに頑張っても太刀打ち不可能な相手が妻とあっては………

きぃぃぃぃぃ!!!!!

やり場の無い、怒りに叫ぶしかないでしょう。

しかもマナちゃんは、一々マッチに火を付けるのを面倒と思ったので、大量のマッチを箱ごと燃やしたので、この甘い二人の生活は当分続きます。

まぁ、自業自得………って言いますか、この場から立ち去ればいいのですが、そんな事に気がつく程にマナちゃんのおつむは成長してません。

よって、マナちゃんは自棄酒を呷りながら、

泣く泣く二人の甘い生活を入浴シーンから部屋の明かりが消えるまで見せ続けられたのです。

もはや、マナちゃんの怒りは当の昔に臨界点を超えています。

そんな時です。

危険物と化したマナちゃんに、一人の男性が声を掛けてきました。

「もしもし、そこの君。こんな夜中に一体何をしてるんだ?」

マナちゃんは、ギギィっと顔を声のした方に向けました。

するとそこには、警官が一人、マナちゃんを不審そうに見ていたのです。

この警官、T巡査部長(仮名)は最近頻繁に起こっている放火犯の逮捕の為に、深夜の警邏に出ていたのです。

そこに、マッチを燃やしまくっているマナちゃん………職務質問は当然です。

ですが、彼は彼女を避けるべきでした。

一つは当然、今のマナちゃんは独りよがりのハートブレイクモードで八つ当たりの的が欲しかった点。

そして!

先日マナちゃんを突き飛ばした警官は、何とこのT巡査部長だったのです!

まさに!飛んで火にいる夏の虫(今は真冬ですが)とはこの事です。

哀れ、T巡査部長は、マナちゃんが振り返った瞬間!

うらぁぁぁぁぁ!!!!!

足払いを喰らって、冷たい雪の中に倒れてしまいました。

ぶはっ!?な、何をするんだ!!

当然の反応です。

ですが、この場合はこれが命取りでした。

マナちゃんはウォッカを大量に口に含むと、マッチにを灯しました。

そして………





ゴォーーーーー!!!!!





口に含んだウォッカを、T巡査部長目掛けて吹いたのです。

………当然、その通り道には、火の灯されたマッチが………




















この日以来、この街では火を吐く少女の噂が流れる様になりました。

そして、この少女からヒントを得た軍人さん達は、後に『火炎放射器』と呼ばれる武器を発明したそうです。




















おしまい

●後書き

どうも。あっくんです(^^)/

タームさん、無事退院されて本当に良かったです(^^) ← で、こんな作品かい?

そして、漸くマシンの環境も整いだした様で・・・(^^;

ってな訳で、某チャットでお話ししてた作品を寄贈しますね♪(^^)

これは、帝国の皇妃様、皇太后様、先帝陛下が是非にマナちゃんに贈りたいと言われたものです(爆)

マナちゃん、喜んでくれるといいなぁ〜♪(^〜^) ← もはや、確信犯

そうそう、以前にマナちゃんの『火炎放射器』の接待を受けたので・・・今回は是非に!と思いました(にやり)



で、後は言い訳を・・・(^^;;;

10月から現在まで体調が悪く、連載作品となっている『無敵外伝』が全く進んでいないです。

本来なら、先に外伝の4話(執筆は既に開始してます)を投稿すべき所なんですが、あれはかなり体力と時間を要します(^^;;;

で、先にこの書き易い(をい!)リハビリ作品が投稿になっちゃいました(^^;;;

あんまり居ないとは思いますが、無敵外伝を期待されてる方、もう少し時間を下さい(^^;;;

回復したと思うとぶり返す・・・今年の風邪は悪質なんです(^^;;;

本当に申し訳ない。



では、次回こそは無敵外伝4話の後書きで皆さんとお逢いしたいと思います。

遅筆な上にぺっぽこ作家な私ですが、どうか・・・見捨てないで下さいね(^^)

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マナ:よくもよくもっ! こんなわたしを書いてくれたわねぇ。(▼▼#

アスカ:な、なんて怖い顔してるのよ。(@@;;;

マナ:あなた、このわたしがどう頑張っても太刀打ちできないとか思ってるわけぇ。(ギロっ!)(▼▼#

アスカ:(フルフル)(怖)(TOT)

マナ:じゃぁ、あなたはわたしの味方よねっ!(▼▼#

アスカ:うっ・・・(@@;;;

マナ:どうなのっ!(ギロっ!)(▼▼#

アスカ:(コクコク)(怖)(TOT)

マナ:じゃっ! 某A氏を捕らえてきなさいっ!(▼▼#

アスカ:えっ!?(@@;;;;;;;;;;;;;

マナ:火炎放射器の絨毯を作って待ってるわっ!(▼▼#

アスカ:うぅぅぅぅぅ。(怖)(TOT)

マナ:行くのっ!? 行かないのっ!?(ギロっ!)(▼▼#

アスカ:い、行きます(@@;;;;

マナ:フフフフフフフフフフ。灰になっても、焼き続けてあげるわっ!(▼▼#
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asuka@rr.iij4u.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。