仮面ライダー龍騎EVAAVE騎龍ーダイラ面仮

         〜第二話〜
















「うおっ!」

墜落したシンジは、意外と痛くないことに気付き飛び跳ねてみる。

「ほへー・・・・・・大丈夫なもんなんだなぁ・・・・・・」

と、言っている間に背後のビルが崩落していく。

「な、なんだぁ!?」

焼け焦げながら降って来る瓦礫を避けながら、シンジはアスカの姿を探す。

「いたっ!」

逃げるといっても、ここがどこなのか、どうやれば元の場所に帰れるのかまるで分からない。

シンジに出来ることはアスカを追うことだけなのだ。

「待ってよ!おーい!アスカぁ」

「・・・・・・長居は無用よ。退散するわよ」

「えっ?さっきみたいに倒さないの?」

「死ぬわよ」

アスカの嘲るような呆れたような声。

「ガオオオオオオ―――ン!!」

ビルの崩壊音とともに響く龍の咆哮が、それを半ば掻き消した。

「じゃあがんばりなさいね」

アスカはそう言うと、手近な建物の窓ガラスに手を触れた。

シンジが引きずり込まれた時と同じように、ガラスの面が波打つ。

「ま、待ってよアスカ!」

「何よ」

「ライダーっていったい??」

しばしの沈黙の後、アスカが応える。

「・・・・・・とりあえず今はこれだけ教えてあげる私は仮面ライダーナイト。」

アスカ―――ナイトの姿が流動するガラスに飲まれて消えていく。

閃光が止んだ時、そこにナイトの姿は無かった。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


朝焼けに包まれて 走り出した 

行くべき道を 

情熱のベクトルが 僕の胸を貫いていく 

どんな危険に傷つくことがあっても 



夢よ踊れ この地球(ほし)のもとで 

憎しみを映し出す鏡なんて壊すほど 

夢に向かえ まだ不器用でも 

生きている激しさを 体中で確かめたい 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 


「って・・・・・・どうしろていうんだよ!」

ナイトが消え、ただ1人取り残されたシンジ。

背後の龍の声が次第に近くで響き始めている。

(あの窓から帰れるのかな?)

シンジはナイトが消えた窓ガラスに視線を向ける。

「行くしか・・・ないよな?!」

両手を大きく振りながら全力疾走し、窓ガラスに頭から体当たりし・・・・・・

ただ単にガラスを粉々に砕いた。

勢いが付き過ぎて止まれず、そのまま建物内をごろごろとひとしきり転がったのち壁にぶつかってやっと停止する。

「いった〜・・・・・・ダメじゃん!」

誰にでもなく怒鳴るシンジ。

頭をさすってみる。

手に触れる感触はやはり鉄仮面。

「なんなんだよ・・・・・・もぅ」

「ガアアアアア!!」

龍の叫びが建物全体を震わせているのが分かる。

「・・・・・・こうなりゃ、やるしかない!!!」

意味不明のやる気を出し、シンジは破った窓ガラスへ向かう。

「うおおおおおっ!!」

跳躍して窓枠に爪先を引っ掛けて転び前方に転がった。

「うわあああああ・・・・・・」

再びごろごろと転がり、結局止まったのは龍の目の前。

「オオオオオオ―――ン!!」

「うわっ!うるさいだろ!!」

頭をさすりながら立ち上がり、ナイトの行動を思い出す。

「確か・・・・・・こう・・・・・・」

ベルトからカードを1枚引き抜く。

『SWORDVENT―――RIDESAVOUR』

「それで、こう」

引き抜いたカードを腕のホルダーに差し込む。

『Swordvent』

どこからともなく響く無機質な声とともに、空から剣が降って来た。

細身の、頼りない剣。

それでもシンジには唯一の武器である。シンジは剣を拾い、龍に向かって走り出す。

「おりゃああああ!!」

龍の頭目がけて全力で剣を振り下ろすと・・・・・・

剣はあっさりと根元から折れた。

「折れたぁぁぁぁ!?」

折れた剣と龍の頭を見比べ・・・・・・ている余裕はない。全力で後ろに走ってなんとか炎から逃れる。

「なんだよこれぇ!!」

叫びながら、次のカードをベルトから引き抜き、絵柄を確認する。

『GUARDVENT』。

楯の絵と『500GP』という数値。

「今度こそまともでありますように!!」

呟きつつホルダーにセット。

『Guardvent』

声と共に空から降りてくる楯を空中でキャッチしながら龍に飛び掛かる。

「これでおまえの炎なんか―――」

「ガアア!!」

しかし、楯は炎に触れただけであっさりと熔け落ちた。

「そんな!!だーめじゃんか!!」

なんとか手を焼かれるだけで逃れ、龍の頭を蹴って後方に跳ぶ。

「熱っ!熱ッ!!」

手を振り回すシンジ。

「まともな武器ないのか・・・・・・ったく!」

緊張感ゼロの声を上げながら、シンジは龍を見上げた。










「・・・・・・これは?」

「あぁ、警察のえらいさんに知り合いがいてな。情報を流してもらってるんだ」

「リークですか?」

「捜査情報ってレベルじゃない情報さ。リークってほど大袈裟じゃない」

「はぁ・・・・・・」

知り合いに渡された資料に目を通すヒカリ。

捜査情報ってレベルじゃない・・・・・・と言ったが、実際には容疑者の候補が多数明記されている。

住所、氏名、年齢、家族構成、職業、勤務地。

凡そ全ての情報と顔写真。

「・・・・・・!」

見覚えのある顔を見付け、ヒカリは手を止めた。

「どうした?」

「・・・・・・いえ、何でも」

「知り合いでもいたか?」

「そんなところですが」

「ま、気にすることないさ。そこに載ってるのは『ちょっと怪しいかな?』くらいのレベルから全員集めたもん
だから」

「・・・・・・」

ケンスケ・・・・

懐かしいその名と、相変わらず実直そうなその顔にしばし見入る。

「この人・・・・・・私の、昔の友達の人なんです」

「へえ、ヒカリさんの?」

「はい」

「このケンスケって人ね・・・・・・確か、事件後の現場に何回か現れてたとか」

「・・・・・・」

ケンスケの、眼鏡を掛けたその顔は、中学時代と何も変わっていない。

かつての彼のイメージとは程遠い黒いコートに身を包んでいる・・・・・・ということ以外は。







「どおおっ!」

足元を、頬を、脇腹をかすめていく炎をすんでのところでかわし続けるシンジ。

「うりゃあ!」

結局カードはどれも使い物にならず、肉弾戦しかないと判断して突っ込んだのだが、炎に遮られてどうにもならない。

「まずっ!?」

「オオオオオオオ―――ン!!」

痺れを切らしたのか、龍はシンジ目がけて突進してきた。

「うわわっ!?」

面食らったシンジはその頭部にもろに正面衝突する。

「くはあああ〜!」

シンジの身体がきりもみ回転して吹っ飛ぶ。

「オオオオオ!!」

「・・・よし・・・このカードならどうだっ!」

空を舞いながらカード装填。

『Searchvent―――DRAGREDER/AP6000・GP3000』

「・・・・・・」

吹っ飛びながら考える。

「そうか・・・・・・こいつの能力なのか」

納得して手を叩く。空中で。

「って、えええぇぇぇ!?」

シンジの持つSWORDVENTのAPは500。最初から敵うはずがない相手なのだ。

「いてっ!」

ようやく地上に衝突し、頭をさする。

「ん〜・・・・・・」

沈黙。

龍は炎を吐くことなく、シンジの様子を見ている。

「このカードに懸けてやる!」

何の勝算もないが、シンジはカードを引き抜き、絵柄を見ずにホルダーへ装填した。

『FINALVENT』

青錆色をしたシンジの装甲が輝く。

「うおおおおおおおっ!!」

鉄仮面の奥にある双眸が赤く光る。

「とうっ!」

「グルウ・・・・・・」

シンジは空高く飛び上がり、叫ぶ。

「どぉりゃぁぁ!!」

その身体が青い弾丸と化して龍の頭に突き刺さる・・・・・・ことはなく、弾かれてどこかに飛んでいった。






「アスカ。倒したの?」

「あぁ。デカい奴が残ってるようだけど」

「・・・・・・デッキは?」

アスカの隣にもう一人女性がいる。

アスカ対照的に白いジャケットを着た女性。

「さっき言ったデカい奴と戦ってるわ」

「戦ってるって・・・シンジ・・・見捨てたの!?」

「そうよ」

「アスカ!」

「・・・・・・もぅ!!分かったわよ。助けに行けばいいんでしょ?」

そう言うと、アスカはポケットから黒いカードケースを取り出す。

「ユイおば様の甘さにも参ったものよね・・・・私的には助かって欲しいけど助かって欲しくないのよ」

「早くしなさい!」

「はいはい」

ショーウインドウに映った

鏡の中のアスカの腰にはベルトがある。

「変身!」

中世の騎士の甲冑・・・・・・とでも形容される姿。

黒いマントを纏った戦士が、『鏡』の中に現れた。そのシルエットはどことなくコウモリを思わせる。

「・・・・・・!」

「リ・ボーン・・・・・・もう1匹いるようだな」

どこからともなく聞こえるざわめきに、2人は表情を硬くする。

アスカの姿は『鏡』の中に消えていった。






続く


マナ:なんでシンジを見捨てるの?

アスカ:助かって欲しいけど、助かって欲しくないって・・・。何のことだろ?

マナ:戦闘はカードゲームみたいなものなのかな?

アスカ:なんかそんな感じよねぇ。でも、なんでカード引くんだろ?

マナ:やっぱ、良いカードをいっぱい買ってきたら強くなるのかな?

アスカ:こうなったら、カードを大人買いするっきゃないわっ!!!
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