「戻ってきた・・・今度こそ、僕は・・・」

グッと握り締めた拳を見つめ呟く彼の前に陽炎のように立っている蒼い髪の少女がこちらを見つめている

その少女に彼は握り締めた拳を向け決意を露にするとその拳で胸を軽く叩き

「絶対救って見せる!!」

すると鳥が木からバサバサと羽ばたいていき、それに気がとられていると少女は消えていた

「任せておいてね・・綾波・・アスカ・・君達を救う、そして皆も!!この命の限り!!」

青いルノーが彼の前に飛び出す

「お待たせシンジ君!!こっちよ早く乗って!!」

そしてシンジが乗ったことを確認し猛スピードで走り出す

「ごめんね、遅れちゃって」

そう言いながらシンジを見ると彼は涙を流していた

「ちょ、ちょっとシンジ君!?どうしたの!?私なんか怖いことしたかしら!?」

「いえ・・ごめんなさい・・・・・・」

(嬉しくて涙が出ちゃったよ...でも・・まだ信じられない..ミサトさんも一応ネルフの人だ・・・)

外をチラッと見ると異形のソレが暴れていた

「葛城さんあれは?」

「ミサトで良いわよ・・あれはね使徒よ、今は詳しく話してられないけどね」

しばらく戦闘を見ているとソレから戦闘機が離れていく

(・・・少し歴史が狂ってるかな)

「まずい!!伏せて!!」

ソレを中心に閃光が広がる。そしてそのあとはソレ以外跡形もなく消えていた

さらにその影響はシンジ達にもあったようで、車が何度も転がった跡を残してひっくり返っていた

「くっ何考えてんのよ・・・大丈夫?シンジ君・・・あれ?」

シンジはすでに車から出ておりミサトを見下ろしていた

「こっちですよ。」

「あ、あぁケガはない?」

「はい、ありますけど小さなものばかりなんで問題ないです。」

「そう、よかった」

そしてまたルノーはネルフに向けて走り出した

 

 



機械音が響き、カートレインが進む

「・・・ジオ・・フロント・・」

ぎゅっとシンジの拳が握られる

それを見たミサトが勘違いをして

「恐い?あなたのお父さんが」

「いえ・・・」

(父さん....貴方のことは・・・もう許せないかもしれない)

「・・はぁ・・・」

なんとも言えないような哀しげな眼をするシンジを見ておしゃべりなミサトもさすがに何もいえなくなり、重い沈黙が続く

「・・・」

沈黙の中に響いていた機械音が止む

「着きましたよ。」

「え!?あ、あぁそうね」

(彼には一体何があったっていうの?あんな少年があんな眼を・・・)


 

 

 

 



「ミサトさん・・・ここ前に通りましたよ。」

「う、うるさいわね。黙ってついてくればいいのよ」

(はぁ〜・・・変わらないな責任感がないのは・・・こんなんじゃ作戦部長勤まりませんよミサトさん・・・)

使うはずのエレベーターの前をまた通りすぎ、またシンジのため息が響く

(ま、もうそろそろ迎えが来るか・・・)

チン

「どこへ行くの?二人とも」

髪を金色に染め、白衣を纏った女が出てきた

(リツコさんか・・・ミサトさんさえも裏切り、父さんをとったけど・・・また彼女も被害者なんだよな・・・)

「その子ね例のサードチルドレンって」

(・・・僕をモノとしか見えないか・・・やはり今はまだ信じられない・・・けど彼女も救わないとこのままじゃまた・・・)

「赤木リツコよ、よろしく」

「よろしく」

「いらっしゃいシンジ君、見せたい物があるの。」

(エヴァ・・・か)


 

 

 



「着いたわ、ここよ、暗いから気をつけて」

カシャン

いきなり電気がつけられ視界が真っ白になる、視界が戻るとそこには初号機の顔があった

「これは人の造り出した究極の凡用決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン」

「これが、父の仕事ですか・・・」

「そうだ!!」

(父さん・・・!!)

ギリ

シンジの奥歯が悲鳴を上げる

「シンジ!!おまえがコレに乗るのだ」

「待ってください司令!!レイでさえシンクロするのに7ヶ月かかったんですよ!!この子にはまだ無理です!!」

(ミサトさん....)

「座っていればいいそれ以上は望まん」

「ですが!」

「父さん...」

「なんだ」

「そんなに僕を戦場に送りたいの?」

「お前でなければダメなのだ」

「・・・訓練もしてないのに?」

「緊急事態だ」

シンジの拳が握り締めすぎて血が流れる

「・・・・・・・わかった乗ってやるよ」

ミサトが驚いた顔でこちらを向く

「シンジ君、これは命をかけた戦いなのよ?」

「お気遣いありがとうございます。でも僕がいいと言っているんだからいいんですよ。だけど父さん戦闘については僕に拒否権をもらう、
それに後で話があるよ」

「いいだろう」

そして今シンジの二度目の戦いが始まる


 

 

 

 



「エントリープラグ注水」

赤い液体が溢れ出してくる

LCLは慣れれる物じゃなくやはり気持ち悪い物である

「気持ち悪いなやっぱり」

「我慢しなさい、男の子でしょう」

(・・・・・・無茶苦茶だよミサトさん・・・それにしても使徒か・・・・皆の幸せを壊していった者・・・アスカや綾波を傷つける者・・・許さな
い・・殺す)

そんなことを考えているシンジの顔は鬼のようであった

そしてそのシンジをミサトは見てしまう

(な、なにこの子・・・まるで憎しみそのもの・・・?しかもそれは使徒に対して・・・一体何がそこまで・・・)

そんなこと考えている間にも作業は進む

「ありえないわ・・・シンクロ率95%なんて」

何にもわかっていないミサトはとにかく戦えればいいのか大丈夫ではなく

「いけるの?」

だった、そして作業は進み

「いいんですね?」

「ああ、もちろんだ」

「エヴァンゲリオン発進!!」

そしてとてつもないGがかかる

(はぁ・・・慣れてるからいいけど・・こういうところは言うべきだよな普通・・・なんか抜けてるんだよなミサトさん)

そして初号機は第3使徒、サキエルの前に打ち出された


 

 

 

(また目の前に出しちゃってるよ・・)

「まずは歩くことだけ考えて」

だがそんな命令は無視してシンジはビルの影に隠れた

「何無視してんのよ!!!」

「ミサトさん・・・命がけの戦闘で歩くことをなんて死ぬだけですよ。キツイこと言いますけどもう少しマシな命令をください」

その時の彼の顔は冷徹な機械のような顔でミサとは何もいえなかった

言い終わるとシンジはビルとビルの間を縫うようにしてサキエルに近づき殴りかかった

だが拳は赤き壁に阻まれ本体には当たらない

「これはなんです?」

「ATフィールドよ。忘れてたわごめんなさい。理論上エヴァも張れるから」

「わかりました。今度からはそう言う大事なことはわすれないでくださいね」

また同じようにして今度は中和しながらコアを狙うだが前回以上の速さを見せよけられた

「なにっ」

そしてサキエルの目が光り右腕がもっていかれた

(うっ強くなってるな)

「このバカ!!だから私の指示を仰ぎなさいっていってるでしょうが!!」

(はぁ〜だったらマシなこと言ってくださいよ・・それに今はそんな事いってる場合じゃないよ)

一旦ビルの影に隠れた

(っくそ!!なめきってた。こんなんじゃみんなを救うことなんかできない!)

「うおおおお!!!!!」

サキエルが光の槍を放つがそれを払いのけ足払いをかけ馬乗りになった

「うらぁ!うらぁ!」

仮面にひびが入る

それにまるで怯えるかのようにびくっと振え初号機に抱きついた。前回はここで爆発だった・・が今回は違った・・・・・

「くそぉくそぉ!!」

そして肩の穴と両手から光の槍が発射された

「なっ!?がぁぁぁああ!!」

体中を焼けた棒に刺されるような痛みが走る

「ふぐぅぅぅぅ!!!」

痛みに苦しみ悶えるシンジ。そしてサキエルがとどめをさすかのように槍を太くし、さらに深く突き刺した

「ぎゃああああ!!」

(こんなんじゃ、こんなんじゃぁ、みんなが救えるだけの力が欲し・・・・い)

シンジの身体から力が抜けうなだれる

「心音微弱・・・・いえ停止!!脳波異常!!」

「心臓マッサージ!!」

バシュッ!!

「だめです!!」

そして何度か心臓マッサージが行われたがシンジの心臓は動き出すことはなく・・・シンジの命の灯火は消えた・・


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