シンジはプラグの中でユイについて考えていた

「う〜ん・・どうしようかなぁセツとの感覚が鈍るんだよなぁ・・・どうしようか?セツ」

=消せ=

「だ、だ、だめだよ!僕の母さんなんだよ!!」

しばらく考えた末しぶしぶだがある案に決めたようだ

「サルベージ・・・するかなぁ・・・・」










プシュッ

中でミサトが何やら受話器から音が漏れるほどに怒鳴られているのに反論していた

「ミサトさんもう帰りますよ」

「え、ええ、いいわよ。おつかれ様」

どこか苦笑いなミサト

「じゃさようなら」

シンジはこの後また歴史が変わっていることに気づかされることとなった

ガコン

大きなドアが開き外へ出て帰ろうとしたその時何者かが前にふさがった

もう外は暗く誰であるかもわからなかった

「てめぇが今日あのロボットに乗っていた野郎か!!!」

「誰ですか?」

「っるっせーんだ!!てめぇのせいで!!!」

バシッ

男は拳を振り下ろした

だがそれはリツコによってシンジに当たることなく止められていた

「えっリツコさん・・なんで?」

「ミサトが話してて一応私が貴方についていくことになったのよあなたが狙われる危険性があったからね」

「てっめぇ何するんだ!!」

今度はリツコに向かって殴りかかるが小さな動きでよけられ銃をこめかみにつきつけられた

「これ以上暴れると撃ちます。おとなしくしなさい」

「・・・・くそっくそぉ・・・俺には家族の敵さえとることができないのか・・・・・」

「な、何のことですか?」

「なっ!!てっめぇ!!」

そのシンジの言葉にまた憤怒し暴れるが足を撃たれ地面に這いつくばらされた

「てめぇのせいで・・・てめぇのせいで・・・娘が・・・妻が・・・」

「な、なんだよ・・・なんなんだよ・・・」

「しらばっくれるな!!てめぇのせいで家族が死んだんだ!てめぇが乗るあのロボットに踏み潰されてな!」

そう言いきると男は左手で襟元から何かをふき取ったあとその指をなめた

「てめぇらのせいで・・・・てめぇらの・・・カハッ」

うつろな目で何度も呟きその男はまるでスイッチが切れたように、こときれた

「な・・・ど、どういうことだよ・・・」

いつものような様子とは明らかに違うシンジに対し驚きを隠せないようであるがふっと表情が和らいだ

(この子もやっぱり人間の子なのね・・・・)

「シンジくん・・・忘れてとは言わないけどあまりこのことについては考えないほうがいいわ・・・」

殴るかのように胸元をつかみ顔は青ざめその眼にはいつものようなあの冷静さはなく血走り、叫ぶ

「どういうことなんですか!!!!僕のせいってなんですか!!何とか言ってください!!!」

がくがくとゆすられるがまるで喋ろうとはしなかった

「僕がエヴァであの人の家族を殺し、そのせいであの人も死んだ・・・・そんな僕はここでのうのうとしていてあ
の家族の事なんかついさっきまでまるで知らなかったなんて・・・」

ガクッとそこで膝をつき前を向いているがうつろな目で唇からかすかに動いている

そんなシンジに慌てて駆け寄ったリツコはシンジが何を言っているかがかすかにだが聞こえ青ざめた

「僕、殺・・・者なんだ・・・皆・・笑顔・・らせるようとか言って・・・自分が・・・何をしているんだ僕は・・・こん
なんじゃ・・」

今度は自分の手を戒めるかのように地面に打ち付け出す

「だめよっ!!そんな事しては!!」

まるで幼い子供に対して言うように優しく話し掛ける

「・・・あのねシンジ君・・悩んでもいい、けどそれは次に何をするかに繋げるためのものなのよ・・・だから次
に繋げられなくするようなことはしてはだめ・・・」

ぎゅっとシンジを抱えると一瞬シンジはびくっとするが、すぐさまリツコを突き放した

「や、やめろよ!!・・・・う、うわあああああ!!!!!」

「シンジ君!!!!」

シンジはリツコを残し走って行ってしまった




















あの日から4日が過ぎていた・・そしてシンジはまだ悩んでいた

(僕は何をしているんだ・・・・皆が暮らせるように、そう願ったはずなのに・・・・僕はまたトウジの妹にケガを
させ、しかも今度は・・・・・)

その時シンジの目の前が歪んだ

バチッバチバチッ

「なっ時空が歪んでる!?まさか!!神かっ!?」

ヒュゥゥゥゥバシュッ   どてっ

「キャッ痛〜い」

女の子がそこから出てきた

「な、なんだよ・・・今度はなんなんだよ・・・」

その女の子はしばらく辺りをきょろきょろと見まわすとシンジと目があった

「あ・・・」

「だ、誰だ!!ネルフの奴等か!?も、もう僕はエヴァには乗りたくないんだ!来るな!」

だがその子はボロボロで服からはうっすらと血が滲み出しており明かにそう言った類の者ではなかった

「ちがう!!私は・・・・」

そしてその子はシンジにもたれ掛かるようにして気絶した

「わっととと・・・とりあえず手当てしなきゃ」

シンジはその子を抱きかかえると近くの公園まで走った

このへんはシンジの人柄なのか警戒にしてたにも関わらず手際も良く冷静な対処で手当てを施した










「う・・・・」

「起きた?」

「あっ・・・・ごめん」

「いいよ、で、起きたばっかのとこ悪いんだけど君はだれ?何故僕の名前を知ってるの?」

そんな風に優しく聞いているようだがシンジはその子をいつでも殺せる態勢にして警戒していた

「そ、そんな警戒しないで、レイよ綾波レイ。未来から貴方の元へ来たの」

「え・・・?は?綾波??」

「ええ・・ええ、そうよ。未来から来たのよ」

「でも髪色とか・・・」

「う〜んそれはなんでかしらね。髪も茶色くて目も赤くないわ・・・もしかしてユイさんの影響かしらね、な〜
んて♪」

「え・・・じゃ、あの綾波かい?」

「ええそうよ。」

「でもどうやって・・・」

「さぁ・・・シンちゃんがいなくて。会いたいと願ったら飛んで来れたわさぁ♪」

「そんないいかげんな・・・」

「ま、いいじゃない、こうしてまた会えたんだから。あ、あと綾波レイは止めるから。碇ルイにでもしようかしら
ね〜♪」

「えっ・・なんでさ!?」

「綾波レイが2人いたらダメでしょ」

「あ〜・・・ってでもなんで碇なのさ!!」

「え〜だめなのぉ?」

「だめでしょ!!」

「シンちゃんのいけずぅ・・」

「いけずぅって・・とにかく変えてっ」

「わかったわよ。じゃシンちゃん考えてっ!」

「えぇ!!?自分で考えなよぉ」

「イヤよ。シンちゃんが考えてくれなかったら碇でいくからね」

「そんなぁ〜」

「さ、はやく」

「う〜ん・・・・蒼・・・蒼月ルイでどう?」

「う〜ん・・・な〜んかシンちゃんセンスないわねぇ」

「うるさいよっ(ってか作者に言ってよ!!)」

ヒュゥゥゥゥ・・・・・パカン

「いって〜!!なんだよっなんで金ダライが降って来るんだよっ!!」

『作者と言う名の創造主からからの天罰じゃ』

「・・・・なんかあったみたいね・・・」

「あ、うん・・・・にしても綾波・・・変わったね」

「そうかしら?人の心がわかったからかもね」

「ふーん・・・でもよかった」

「ありがと・・・けどささっきもうエヴァには乗らないって言ってたけどどうしたの?」

そのときのシンジの顔にルイは何も言えなくなった

「そんな悲しい顔して・・・どうしたの?」

「僕は・・・エヴァで、ある家族の命を奪ってしまったんだ・・そう・・・ぼくは・・僕は殺人者なんだよ」

「・・・・・」

「僕は歴史が少しずつ変わっているのにもわかっていたはずなのに・・・・」

「・・・・そう・・でもさ、そんなに落ち込んでたって始まらないじゃん」

キッと睨まれるがここは退いちゃならないと思ったのかさらに進める

「その人のために今、シンちゃんが何をできるか、そしてコレから何をすべきかそれを考えて行かなくちゃなら
ないんじゃない?」

そのときシンジはリツコとルイがかぶって見えた

「だから次につなげるための事を考えなくちゃ・・ね?」

「!!」

ガタッ

ベンチから勢いよくシンジが立つとルイは殴られると思ったのか目をつぶり体を小さく丸めてちぢこまっていた

「・・・そうか・・・バカだね、僕って・・」

シンジが喋りかけてきたことで殴られないことがようやく分かりゆっくりと目を開く

「これじゃ前の僕と一緒だね、だから僕はあの人の分までがんばらなくちゃならないんだよね」

月明かりに照らされたシンジがそこにはいた。それはまるで振れてはならないものかのような神秘的な姿
で同じ人とは思えないほど美しかった

「僕は・・・・あの人達を信じてもいいのかもしれないな」

以前まだ疑いも何もなかったときに見ていたリツコやミサト達が浮かぶ

「よしっもう悩むの止めっ!!んでさ、ありがとう蒼月」

(うわぁ〜・・笑ったシンちゃん・・・やっぱり、いいっ!必ずゲットしてやる!!)

「綾波・・・じゃなかった蒼月さん?おーい・・大丈夫?」

「えっあっはい!!」

「ふふっ変なの」

(はっずかしぃ・・・あれ?確か今さっきシンちゃん【蒼月さん】って呼んでたよね・・・・ってそれじゃだめじゃん
っ)

「ねぇシンちゃん?」

「ん?何?」

「あのさ名前だけど下で呼んで欲しいなぁ〜なんて・・・」

女の子にいきなり下の名前で呼んでくれだなんて言われ、人一倍恥ずかしがり屋だったシンジは困りや
めとこうとした・・・が、

「えぇっ!!で、でもぉ・・・・ひっ」

思わ息を呑んだ

それはミユウの背中から【拒否したら縛り付けて犯すぞ、おんどりゃぁ!!】的なオーラが滲み出ていたか
らだった

さすがにシンジでも耐えられたものではなく仕方なくだが呼んでみた

「あの〜ぉ・・あ、じゃじゃぁ、ル、ルイ・・・・さん・・」

「さんはいらないの」

ジッ・・・・・

(そ,そんな上目づかいで見るなんて反則だよ・・・・・・でもかわいいなぁ)

「ル、ルイ」

「な〜に?」

「何って言わせたんじゃないかぁ」

「そうだったわねゴメンゴメンじゃ本題に入りますか」

先ほどとはうってかわって顔が引き締まり真剣になった

「サードインパクト後のことまで知ってるよね?」

「うん・・・アレは悲惨だったよ・・・・」

「じゃぁ話は早い、サードインパクトを止めたいの、だから協力して」

「いいよ、どうせそのつもりで戻ってきたんだし」

「ホントに?ありが・・・・・」

「でもっあまり関わらないで欲しいんだ・・・」

まさかそんなことは言われると思っていなかったルイは涙目になりながら黙り込んでしまった

(まさかシンちゃん私のことが邪魔なの?・・・・・・)

「何でかっていうと歴史が少し変わっていて前とは違うんだそれに・・・」

「それに?」

「変わった分前より厳しい状況にあるんだ」

「どんな風に?」

「ごめんそれは言えない・・・・」

「な、なんで?」

「言えないんだ、もし言ってしまえば迷惑がかかるかもしれないそんなことは絶対にしたくない」

ルイは自分の使命は過酷で厳しい物だと覚悟してきていた、だからこそどんなことにも絶えられると思って
いた

「そんな!!迷惑なんかじゃ・・・・・」

「でもダメなんだ」

「そんな・・・・」

「ごめん、でもわかって欲しい」

シンジがグッとルイを見るその瞳の奥には決意の灯火が宿っていた

「・・・・・まだ納得いかないけどそこまで言うのなら・・・」

「ごめん・・・ありがとう」

「いいよ(にこっ)」

(か、かわいい・・・・)

「じゃ、じゃぁも、も、も、もう、戻ろうか」

「どこに?」

「僕の家・・・・そしてルイの家にね」

「え・・うん!」

そして二人は家路へと向かった























ガチャ

「ただいまぁ〜」

ドタドタドタドタ!!

紅い目をさらに赤くした目をしたレイが走ってきた

「碇君!碇君!!碇君!!!碇ク〜〜〜〜ン!!!!」

「うわぁあ!!」

走り寄ってきたレイは止まる様子もなくシンジの前で飛びこんできた

ドンッ  ズザァァァーーーー

飛びこんできたはいいがシンジはビックリした避けてしまったため抱えてくれる人がおらず前のめりに顔から
滑っていった

「ひどひ・・・・」

「ご、ごめんよ綾波」

そんな状況に上手く入り込めないでいたルイがやっと声を出した

「あの・・・シンちゃん??この人もしかして・・・?」

「え?うん、綾波だよ?」

「あ、いやずいぶん雰囲気が違うなぁって」

「まぁね〜でもいいことだよ」

「うん、そうなんだけどね」

(シンジ君は気づいてないみたいだけどこの子・・・シンジ君のことが好きみたい・・・敵だわ)

「いふぁり君・・・ひょにょ人誰?」

舌をかんだのか呂律が回っていない

「あ、えっとちょっと難しい事情があって僕達と住むことになったあやな・・・あ、いや、蒼月ルイさ・・・・」

(う・・・またあのオーラが・・・もうやめてよ、あのオーラだけは・・・(泣))

「えっと・・ル、ルイだよ」

「よろしく綾波さん」

「・・・」

「綾波挨拶しなきゃ」

「・・・・・」

「綾波・・どうしたんだよ」

「その人のこと呼び捨てにしてる・・・何故?」

「えっいや、頼まれたからさ」

レイがシンジをじぃっと見る

(どうしたんだよ綾波ぃ・・・)

そんな中ルイが何か気づいたのかシンジにそっと話す

(ほんっと鈍感ね)

「ねぇねぇ、もしかして綾波さんも下の名前で呼ばれたいんじゃ・・・」

「えぇ〜まっさか〜」

レイの目線に力がこもる

「ねっほらぁ」

「レ、レイ?」

にまぁ〜〜〜

レイの顔がだらしなく緩む

(はぁ〜なんだか今日はつかれるよ)

「碇君碇君、今日は碇君にゆっくりしてほしいの・・・だから私が食事を作るわ」

「えっいいの?」

「問題ないわ」

(むっこの子早速シンジ君にアピールしてる・・・む〜〜ここはひとつ)

レイとシンジの間に強引に体を割り込また

「シンちゃん私の部屋はどうするの?なんならシンちゃんと一緒でも〜〜・・・・」

「なっなに言ってるんだよ。ちゃんとあるから大丈夫だよ」

「な〜んだつまんないのぉ」

レイが殺気のこもった目でルイを見るがそれをどうだとばかりにふふんと流す

(この人は敵・・・敵は排除するの)

「じゃぁあやな・・・・いやレイご飯作ろうか?(そんな恐い目で見ないでよ)」

「ちょっと待った!!私は??」

「あ、いや・・・ルイは風呂に入りたいんじゃないかな〜って」

「う〜んいや・・・シンちゃん入ってきなよ」

「えっ?いいの?」

「うんいいよっ!ね?綾波さん?」

「ええいいわよ」

(この子には負けない)

(この人には負けないの)

「じゃ、お言葉に甘えて」

「「じゃ作って待ってるね(の)」」

そうしてニコニコしながらシンジは風呂に入っていったがその後にはものすごい料理対決が待っていた














「綾波さん!!貴方には負けないわ!!」

「こっちのセリフ・・・貴方には負けられないの・・・」

そういうと二人は台所へ向かった

だが30分後

ガッシャーーーーン!!!

「きゃぁ!!何でこう上手く行かないのーー?」

ゴオオオオ!!!

「・・・・どうしてそうなるの・・・・」

ボムッ

「いやぁ〜!!」

ブシャァァァ!!

「・・・そう・・もうだめなのね・・・」

ズボォン

グチャァ

ビチッ

ピッタンコ

死闘が繰り広げられていた(汗)


















「いやぁいいお湯だった〜どう?できた?」

「ええ」

「うん」

「じゃぁ食べさせてもらおうかな?」

そこに並べられたのはあれだけの死闘を繰り広げ、冷蔵庫の物を全て使って出てきたのはご飯と焦げ焦
げの野菜炒めと辛い味噌汁、砂糖を入れすぎたオムライスと色のないコンソメスープだけだった

「「私のから食べて」」

シンジの前に二つの物体Xが持ってこられた

「はい、あ〜ん」

「口・・・あけて・・」

(う、うわぁ・・・なんか食べたくないなぁ・・・それにそんな二人ともに持ってこられたら食べられないよぉ)

とりあえずレイの方に顔を近づけてみる

「碇君(ポッ)」

シュオオオオオオ!!!!

(ひぃぃ・・またあのオーラがぁ)

顔を引っ込めてルイのほうに行ってみた

「シンちゃん〜やっぱり私のこと・・・」

ヒュゥゥゥゥ!!

(なんか背筋が寒いよぉ!!
こ、こんなんじゃ食べられないよぉ!!!!)

「「碇君(シンちゃん)早く!!冷めちゃうよ(の)!!」」

そしてシンジはたっぷり3時間半かけて食べさせられましたとさ


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