今日嬉しいことが起こったんだ

あんなことを言ってしまった僕をトウジが許してくれて、しかも友達になってくれたんだ


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キーンコーンカーンコーン


「碇!!」

「あ、トウジ・・・ごめんね」

「あ〜〜もう!!ワイの顔見る度に謝るなや。」

そこまで言い終わると一つため息をつく

「・・・もうええて。許したる、そこでじゃ!」

「えっな、なに?」

「ワイを殴れ」

「は?(確か前もこんなことあったようなァ・・・)」

「ワイを殴れっちゅ〜とんじゃ」

後からひょこっとケンスケが出てきた

「コイツ不器用だからさ。たぶん殴ってもらって今までのことチャラにしようってことだよ、こいつ碇のことガンガ
ン殴ってたし、このまえ邪魔しちゃったしさ」

「え・・・・でも・・」

「殴ってやってくれよ。こういう奴はこうなると頑固だしさ」

(っていうかケンスケもあの使徒戦のとき一緒にいたじゃないか・・・)

「でもぉ・・」

「はよ殴れや」

「でも・・・死んじゃうよ?」

二人は冗談と取ったのか笑い出した

「おっもろいギャクやのぉ」

「碇、ククッ、意外だな」

そんな二人にちょっとむっとしたシンジは証拠をみしてやると拳くらいの大きさの石を手に取った

「学校の壁とかでもいいけど壊していいもんじゃないしね・・・よしっじゃぁ見てろよ」

ポンっと軽く宙に投げられたシンジの掛け声と共に放った拳圧によって拳に当たることなく跡形もなく消さ
れた

そんな非現実的な光景に二人はぽかんとしていたがある結論にたどり着いた

「・・・・・す、すっげー手品もできるんか」

「ほ、ほんとだな」

「もうっ違うってじゃぁ消すんじゃなくて割るよっもう!  よいしょっ」

ピキピキっ バカッ

池の周りにおいてあったトウジの頭ほどある岩が四つに割れた

さすがにこの光景に青ざめたトウジは慌てて取り消した

「い、い、い、碇!!そ、そのさっきの発言取り消させてくれや。ワイにできることならなんでもするで」

「うんいいよ、そのつもりだったし・・・じゃぁ友達になってくれないかな」

あんだけ殴ったりしておいて友達になってくれなんて言われると思っていなかったトウジは一瞬間が開いた

「だ、だめかな?」

「お、おう、ええでこちらこそや」

その言葉に顔をパッと明るくさせたシンジ

「ありがとう!!じゃよろしくっ」

スッ

「ああよろしく」

ガシッ

「おいおい俺も混ぜてくれよ」

ガシッ

こうして三バカトリオは再結成されたのだった



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―ネルフ―

スピーカーからゲンドウの声が響く

「これより零号機再起動実験を行う、レイ、準備はいいか?」

「はい」

(・・・・髭の声イヤ・・・・碇君の声が聞きたい・・・)

いろいろと作業が進む

そんな中スピーカーからシンジの声が響く

「レイいけそう?」

(碇君〜♪これならがんばれるの・・・・)

「うん♪」

ゲンドウの時とは明らかに声のトーンが違うが作業に忙しくゲンドウは気づいていなかった

「零号機起動しました」

(あら・・・いつのまにか終わってたのね・・・)

全く集中力のないレイだった

その頃シンジはあることについて考えていた

(・・・そろそろくるな・・・、前回一度僕が殺されかけた・・・・あいつか・・・今度は綾波を出させない様にし
なきゃ・・・でもどうやって・・・どうする・・・・とりあえずミサトさんの作戦は使えない、レイがあぶない・・・だが
どうする・・・・しかたない、よけながら接近し倒す)

「碇!!未確認物体がここに接近中だ!!恐らく第5使徒だ」

(ちっ来やがった・・・まぁいい僕の命に賭けて全力で倒す

「シンジ出撃だ」

「ああ」

シンジがエントリープラグに乗りこむと作業が進む

「シンジ君いいわね?」

「かまわん行け」

「エヴァ初号機発進!」

バシュッ

初号機がカタパルトに乗って一気に地上まで打ち上げられる

しかしその時使徒は前回同様アレを放とうとしていた

「目標内部に高エネルギー反応!!」

「まさか・・・?加粒子砲!?シンジ君よけて!」

瞬間、加粒子砲が放たれた

「ぐぅおっ!!」

初号機に力が入り固定具を壊しながら体を捻る

バキバキガキッ

しかし固定されているため一瞬遅れた

(え、ATフィールド展開!!)

よけきれそうにもなかった足にATフィールドが展開され少しだけ進行が鈍ったところを上手く抜けた

それに落ち着き少しばかり安心する

(よし・・・こっからだ)

「シンジ君後退して!!」

(うるさいな・・いつも役に立たないクセに・・切っちまえ)

ブチン

(いくぞっ!!)

極限の速さで加粒子砲をくらわないように蛇行しながら兵装ビルのあいあだを縫って走る

ビシュッ!ビシュッ!

(なっ連射だと!?くっ厳しいな・・・・)

その加粒子砲を飛びこんで何とかよける・・・が

ぐにゅん

加粒子砲が曲がった上、追尾機能まで搭載のようだ

「くっそおおおおおぉぉぉぉ!!!!」

ドンッ

飛び前転をすることで避け、そのまま少し走ると跳んだ

「このまま突っ込んでやる!!うおおおおおおおお!!!」

ビシュッ

またもう一発発射されてくるが空中で身体を捻りなんとか避ける

加粒子砲が体を掠め激痛が走るも、空中でさらにATフィールドを展開し、それを踏み台にして高く跳ぶ

「無へ帰れぇぇぇえ!!」

右足を突き出しその足にATフィールドを展開し威力のついた跳びげりを放つ

スッ

しかしまるで手応えがなくその使徒がまるで幻影ようにすり抜けてしまう

「なっ!!」

そこへ一瞬隙ができる

さらに3発の加粒子砲が飛んでくる

「う、うわあああああああああ!!!!」

シンジの前に何かが割ってはいる

ズドオオオォォォォ!!!

「!?レイ!」

「い、碇・・君は・・くっ・・私・・が守・・る・・ああっ!」

すぐにレイの周りにATフィールドを張るが一瞬とはいえ3発も同時に受けたためかなりヤバイ

(と、とりあえず、もどらなきゃっ)

最初に出てきた射出口を見つける

(あそこだ!!)

ズゴン!












プシュウッ

プラグ部分を壊し、強制的にレイを引きずり出す

「レイぃぃぃ!!!」

かけより扉を蹴り飛ばし中に入るとLCLが茹っていたんじゃないかと思えるほど暑かった

「レイ!!」

(よかった息はある)

「レイ!レイッ!!」

「う・・・碇・・君?」

「レイ!大丈夫かっ!?」

「ええ・・・・」

返事をしたと思った瞬間また意識がなくなった

「レイッ!!」

「すーすー」

「よかった・・・・寝てるだけか・・・・・」

そうしてレイは医療班に連れていかれた











あ・・・碇君・・・

碇君!碇君!!碇君!!!

何故気づいてくれないの?あ、こっちをむいて・・・・

え・・・何故言ってしまうの?碇君が遠くなる・・・いや・・・いや・・・



「イヤッ!碇君!!」

ガバッ

レイが目を開けたその前にはシンジが心配そうに見ていた

「よかった・・・」

「大丈夫?」

「ええ・・・」

「ごめんね・・・・」

「えっ?」

「だって僕が怠慢してヘマったせいで・・・」

「そう・・・気にしないでいいわ・・・・」

「すまない・・・」

「・・・・・碇君に一つ言いたいことがあるの・・」

「何?」

「これはある本での言葉・・・【憎しみや恨みは何も生まない】・・何故か今のあなたにコレが当てはまるよ
うな気がするの」

そういうレイは聖母のようで少し哀しげだった

「・・・・けど僕は・・・あの人達を憎しむべきはずなんだ・・・あんなことをされたんだから・・」

シンジの左手がせわしなく開いたり閉じたりを繰り返す

「そう・・・でもね、信じることによって自分以上の力を出せることもあるのよ・・・裏切られたらそこでまた考
えればいいことだと思うの」

その一言にかっと目を開き左手を握り締め何かを決心したシンジ

「そうだね・・もう一度、もう一度みんなを信じてみるよ、彼らをどうするかはそれからでも遅くはないよね?」

「ええ」

「じゃ、いってくるよ」

「そう・・死なないで」

「ああ必ず帰ってくるよ・・・勝ってね」

シンジは笑みを見せ左拳を前に突き出してそう宣言した











プシュッ

入るなりいきなりミサトが絡んできた

「ちょっとアンタね!」

シンジはすっと頭を下げた

「な、なによ」

「ミサトさんすみませんでした!」

あのシンジに名前で呼ばれ、さらに謝られるなんて思っても見なかったミサトとそこにいた者は唖然として
いた

「10分後に作戦会議を開きたいのでリツコさんよんできます」

「ええ・・・」

そのシンジの目を見たミサトはその決意にあふれた目におどろいた

プシュッ

「・・・・はぁ〜?」



プシュッ

「リツコさん!!」

「あ、シンジ君」

「あの・・・今まですいませんでした!!」

「えっ・・・」

「じゃぁ10分後に会議ですから」

プシュッ

「・・・・・なんなのかしらね」





―― 会議室 ――

ミサト,リツコ,シンジが議論しあっている

「じゃぁ・・相手は500キロを範囲とした円はあいつのテリトリーでその中であればどこでも影を出せると言
うわけなんですね?」

「ええ、そうよ」

「ちょっち厳しいわね・・・・」

「・・・・・くそっ!!いったいどうすれば」

ダンッ

コロコロコロ  カタン

シンジが机を叩いたためボールペンが転がって落ちた

「・・・」

落ちたボールペンを見つめるミサト

「ちょっとミサトなにボーっとしているのよ」

「・・・これよ!!相手の上空からなるべく近づいてエヴァを投下すればいいのよ!」

「でもそれじゃぁ狙い撃ちじゃないですか・・」

「いや、いけるわ盾があるもの、それにシンジ君のATフィールドでコ―ティングすれば、投下中くらいは問題
ないわ」

「それでも着地の際相手にどのくらい近づけるんですか?」

カタカタ

「待って・・いまMAGIでシュミレートしてるから・・・出たわ、良くて5キロよ」

「・・・出来は上々ね」

「これなら・・これならいける!!ありがとうございます!!」

そんなシンジにフッと笑いかけ

「変わったわね〜シンちゃん、最初はあんなにとっかかりにくかったのに・・・」

「そうね・・なにかあったのかしら?」

少し照れくさそうに俯くシンジ

「もう、吹っ切れたんです。憎むより先にまず信じる・・・そうすることに決めましたから・・だから・・・裏切らな
いでくださいね?」

そんなシンジに思わずふきだす二人

それにつられてシンジも笑い出し、会議室に今の状況に見合わない明るい雰囲気に満ちていた











バララララ

ヘリで初号機が入ったカプセルが輸送される

その手にはケーブルがなくなったスナイパーポジトロンライフルが握られていた

今まで歴史が変わってきたことに不運しかなかったが今回は運気がシンジに傾いたようだ

(もうこれ以上の作戦はない・・・これで決める)

「ミサトさん,リツコさん,行きます!!」

「がんばって!!」

「いってらっしゃい」

ガコン

そして初号機は投下された


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