ビシュッビシュッ

落ちる間の数十秒間の間に幾度となく撃たれたものの予定どおり着地に成功した

「うおぉりゃっ!!」

ズガン!!

そのカプセルの中から初号機が飛び出す

(本体とのあいだに影・・・・何とかしてあいつをすりぬけなきゃ)

ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!

「くっ!」

右へ左へと踊るようにステップしながら紙一重でよけつづける

(このままじゃやられる・・・どうする・・・地中・・・だめだあれは地中をもつき抜ける・・・ならばこちらから向か
う!!いくよっセツッ!!)

=雄ォォ!!=

「うらあ!!」

一旦スナイパーポジトロンライフルで加粒子砲を一発弾き飛ばし先ほどのカプセルを相手に向かって蹴り
飛ばしそれを盾に同じスピードで走る

だが今度は影がシンジの後に出現した

(かかった!!)

ビシュッビシュッビシュッビシュッ

前から来た加粒子砲は相手の速度+自分の速度までもが加算されるが、後ろからであれば相手の威
力そのものだけであるためATフィールドだけでもなんとか切りぬくことができた

(よしっ!このまま倒す!!!)

「うおおおおお!!!!」

ついに右手が本体に触れようかという時にそれは起こった

本体の色が赤く光りなんとバリアーともいえるような球状の加粒子砲が放たれた

「ぐわぁ!!!!」

どんどん本体と遠くなりその球状の加粒子砲の射程距離限界の広さまで達すると後から6本加粒子砲
が来た

「ぎゃっ!!」

ルイが声を荒げる

「シンジ君!!」

「シンジ君一旦撤退よ!!逃げてッ!」

「すみ・・ません・・・あぐっ・・ミ・・サトさんそれは、くっ・・・だめなんです。も、もうこんなチャンス・・・はない・・
と思う・・んで」

そこでシンジはなんと笑ったのだ苦痛で絶えられないはずなのに

「負けてたまるかぁぁぁ!!!」

=ここで終われるものかぁ!!!=

=「雄雄雄雄雄ォォォォォォ!!!!!!!」=

二人の息がぴたりと合う・・・その時エヴァが獣のような雄叫びをあげると背中の鎧を貫き漆黒の翼が生
えた



その様子を司令室で見たリツコは慌てながらもキーボードを打つ

「マヤっ今のシンクロ率はっ!?」

「せ、先輩....ぜ、0どころか、ま、ま、ま、マイナスです!!それも100」

「な、なんですって!?」

状況がどうなっているのかそれを確認するためにモニターに目をやるとそこでは何本もの加粒子砲を全て
受けきるどころか跳ね返した初号機がいた



「舐めるなァ!!」

ズバン!!

一気に翼を広げると加粒子砲をかき消した

(かなりのダメージを受けてるエネルギーも残り少ない・・・全身がほとんど動かない・・動くのは、片腕だけ
か・・・くそっ)


《シンジ君!!残り時間40秒切ったわ!》


だが使徒も同じのようでエネルギーを消費しすぎたのかまるで動きを見せない

(この一発にかける・・・・・ごめん、セツ・・・力を貸して・・)

=ったくシンジがだらしねぇからよ・・・ま、ここで終わるわけにもいかねぇしな=

初号機は左腕をだらんと下げ俯き右腕だけを使徒に向け伸ばし、ギギギ、と頭をそちらに向ける

すると初号機の右腕に抱えられたスナイパーポジトロンライフルの銃口が赤く光り出す

「もっと、もっとだ、あいつを倒すにはもっと力が!!」

さらに光りが増す

「セツ、いくよっ!!」

=おぉ!!=

激しく発光し、銃口がカタカタと震え出す

「今回は絶対に一発限り・・・コレで終える!!くううう・・・・・・うおあああ!!!」

=ぐおおおおああああああ!!!=

ズドム!!

バシュウウウウウウ!!!!

赤い・・・赤い光りが発射された

相手もそれを察してかまるでバリアーのように何本も連続して加粒子砲を撃つ

だがそんなものは役に立たず全てを弾き飛ばす

そして最後の切り札かのように球状の加粒子砲が放たれる

それを見た司令所の皆の声援がシンジの耳にスピーカーを通して届く

《圧されてるわ・・・でもシンジ君信じてるわ!がんばって!》

《がんばってシンジ君後少しよ》

《《がんばれ!!》》

それを聞いたシンジの瞳に涙が浮かびLCLに溶けていく

「そうだ・・ここで負けたら何も残らない,残らないんだよぉ!!いっけぇ!!みんなのために!!」

=そうだ!!ここで終わったら俺は何のために産まれてきたんだ!!貫けぇぇぇ!!!!=

シンクロ率が一気に振り切れる。

そのとき誰もが思ったセツとシンジは普通のシンクロでもなくセツに飲みこてしまう過剰シンクロでもなく本
当に一つにシンクロしたと・・・

そしてシンジとセツとの言葉に呼応するかのように一気につきすすんだそれは、まるで第三使徒サキエル
の光のパイルのようでありそれ以上の強さで加粒子砲に穴をあけ、ラミエルに届かんとしていた

=「無に帰れぇ!!」=

ズゴォン

目標にをつきぬけてもまだ失速しないそれははるか宇宙まで突き進んでいった

「目標完全に沈黙!!」

「「「「やった!!」」」」

司令室が歓喜に満ち溢れてた

そんな中ルイとレイがシンジの異変に気がついた

「まって!!シンちゃんがおかしい!!・・・まさか!!シンちゃん!!?シンちゃん!!」

「碇君!!!大丈夫なの!?碇君っ!」

応答がない

リツコがマイクに向って叫ぶ

「プラグの強制排除!!急いで!!医療班!!早く!!」

プラグのハッチから数人の医療班が入っていく、

(いやっシンジ君・・・・)

ギュッと目をつぶり必死に祈るルイ

「サードチルドレン脈,呼吸ともに確認、しかし極度の疲労により意識がない模様」

そのシンジの左の拳は固く握り締められ顔は笑っていたその姿はまさに誰がなんと言おうとも人類の戦士
の顔だった





















=シンジ・・・シンジィ・・・おぉいぃ起きろよぉ・・ククク=

「う・・・だれ?」

僕の体に巻きついてへばりつくような感触だ、それに何か血なまぐさくて、なにか貪るような音が聞こえる・
・・はっきりいって気持ち悪いな

それにここは・・・闇・・リリンと会った場所のようで全く違う・・・もっと深く寒い牢獄だ・・・

=さぁなぁ・・・ククク=

「出てこい!!」

=だめぇ・・・まァそのうち会えるさ・・・いやでもなぁ・・・=

「いったいどう言うことだ!!おいっ」

=ククク・・・じゃぁなぁ・・・・=

その時一瞬だけ半分顔が見えた気がした・・・その口には今日倒した使徒が半分だけになって咥えられ
てた

(な・・・・あれは・・・)














「ねぇレイ、もし、もしよ、シンちゃんが・・・・もしこのまま・・・」

ルイが最後まで言いそうになった時レイが遮るようにして言う

「それは言ってはだめ・・・」

じっとレイがルイを睨む

「そ、そうね・・・どうしちゃったんだろう私・・・」

病室にはピリピリとした空気が漂っていた

ガバッ

「リリン!?」

そこには闇はなく真っ白な病室だった

レイとルイがものすごい反応の良さでこちらを向く

「シンジ君!?」

「碇君?」

「え・・・あ、あぁ、おはよ」

そんな何気ない一言から二人の目からぽろぽろと涙が零れ落ちる

「うぅ・・よかった・・よかったよぉ・・・」

「碇君・・・・・いかりくぅん」

ミユウとレイがシンジに抱きついて泣き始めてしまった

(う・・困ったな・・・でも心配かけちゃったからもう少しこのままでいるか・・・)


―20分経過―


(そろそろ泣き止んでよぉ!まだすることがあるのにぃ)

そんなシンジの思いも知る事ながら二人は一歩も退こうとはしなかった

ミユウがレイに目で訴えかける

(レイ,シンちゃん、困ってるよ、そろそろ離れたらどう?)

今度はレイが訴える

(だったらルイ、あなたが離れればいいの・・・)

そんな攻防がさらに20分ほど繰り返されてからシンジはようやく解放された





司令室

(はぁ、ルイとレイにも困ったもんだよ、さてそろそろ皆を呼びますか)

ブツっ

「え〜え〜マイクテス、マイクテス、ミサトさんリツコさん冬月さんは司令室にきてください、以上です」

ブツ

(あ〜もう一人いたなぁ)

ブツ

「あと髭も来い」

ブツ

ゲンドウは髭扱いだけでなくついでだった


―10分後―


全員が集まった

「シンジ君何で皆を集めたのだね?」

みんなも、うんうんとうなずいている

「えぇと、僕の異常な強さと知識について知りたくないですか?」

その一言に一番敏感に反応したのはやはりリツコだった

「ほ、ほほほほ、本当に教えてもらえるのかしら?」

「そんながっつかないで、ちゃんと教えますから、でも貴方達にとってはきかないほうが良いと思うかも知れ
ませんがそれでも?」

「ちょっと待った、シンジ君のことなのに私達がきかなかったほうが言いと思うのよ?」

「ミサトさんそれは話の中に入ってしまうので教えられません、みなさん聞くと覚悟してもらえますか?」

皆が少し考えるが皆一様にYESと答える

「では心して・・・」

シンジは目をつぶり皆の前に手をかざす

「見てもらい・・・」

「ちょっと待った!!」

今まさにと言うところでゲンドウが髭・・・いや口をはさんだ

「なんだよ,髭」

「む・・・またいったな、何故私がひ、・・・ピギャッ」

ゲンドウが何故自分が髭と呼ばれるのかと怒鳴ろうとした時シンジが顔面にコークスクリューパンチをかました

「ったく今かんけーね―だろ」

(司令・・・・無様ね・・・)

「では、皆さん行きますよ、ほら髭も」

「くっ・・・」

ポウとシンジの手が淡く光る、そしてシンジの手が激しく光る

「「キャッ」」

「む・・・」

「うぐ・・・」

そうして彼等はサードインパクトの事、何故シンジがこうして戻ってきたかを知った

「そ、そんな・・・・」

「ありえないわ・・・」

「・・・・」

「・・・・ユ、ユイは戻ってこないのか・・・」

悔しそうな表情を見せるゲンドウ

「・・・そうなんだよ・・だから父さん・・」

「・・・・だが私は計画を続行する・・・」

あれだけの物を見たあとにまさかそんなことを言うのかと猛反発するミサト達

「そんなっ司令!!このまま行けば人類は滅びてしまうのですよ!」

「そうだ碇、バカな考えはよせ!!」

「だが、だが私はユイを・・・ユイを取り戻すのが何よりも優先だっ!!たとえそれが人類が滅びようとも!
たとえ未来が決まってようとも他の手を探し、ユイを取り戻す!!」

シンジはそんな自分の父の背中を見て悲哀の表情でこういう

「父さん・・・・そうまでしても母さんは喜ばないよ・・・」

「だが、だが生きてさえいれば!!」

「そう・・・そこまでいうのなら・・・いいよ・・連れ戻してやるよ・・けど母さんは変わったよ・・」

シンジの胸倉をつかむゲンドウ

「ほ、本当なのか!!ならば早くやってくれユイが変わっていようが私は変わっておらん!!だから!!」

「けどね父さんが母さんを連れ戻すことが出来れば・・・の話だよ」

「だが私はシンクロできないのだぞ!!」

「イヤ、できるはずだよ、父さんのパーソナルデータに書きかえればね」

その一言にリツコが口を挟む

「そんなの無理よ!いくらパーソナルデータを書き換えたってユイさんのDNAを持つ人でなければ!」

「いや・・・できるんだリツコ君・・」

「そう・・・できるんだよ、もし初号機が暴走した時に食い止めるプログラムとして父さんのプログラムが入っ
てるんだ」

その事実を知ったミサトが信じられないと言う顔で言う

「そんな・・・じゃぁ・・自分が乗れるのにあえて自分の息子やレイに任せていたというの?」

カタカタとミサトの右手が握り締められすぎて震える

「ふざけんじゃないわよ!!」

ボグッ

ミサトに殴られ少しよろけるがキッとミサトを睨みつける

「私は!!ユイのためならなんでもする!それが外道だろうが、悪魔に魂を売ろうが鬼になろうがなんでも
だ!!」

そんな気迫に圧されミサトは何も言えなくなった

「すみません、もういいんですよ、ミサトさん、さぁ父さん行くよ」

「ああ・・・」

「でもシンジ君!!」

そんなミサトやリツコにニコリと笑いかけプラグに入っていった








カタカタキーボードを鳴らしとリツコが淡々と作業を進める

「シンジ君、司令行くわよ。」

「はい」

「ああ、かまわん」

「シンクロスタート!」

シンクロ率が100,200,300、と急激に上がりついに400%になりシンジとゲンドウは溶けてエヴァの
中に入っていった























「う・・・」

ゲンドウが起きるとシンジは何かと戦っていた

「父さん,起きた?」

「どうしたのだシンジ!!」

「母さんがね暴走してるみたいなんだ、だからこいつ等が僕等を排除しようとしてくるから戦ってるの」

「大丈夫なのか?」

「うんまぁね、でもやっぱり僕じゃ母さんの心は開けないみたいだから父さん行ってきてよ」

「だが、しかし・・・」

そう、ユイのもとへいこうにも蟲のようなものが邪魔をする

「大丈夫今から道を作るよ・・・ハッ」

ATフィールドが蟲を押しのけ道を作る

「はやくね」

「ああ、すまんな、」

ゲンドウはユイの元にたどり着いた

ユイは泣いていた

「ユイ・・・・」

ゆっくりと顔を上げるユイ

「ゲンドウ・・・さん?」

「ああ、連れ戻しに来た」

先ほどまで邪魔していた蟲がふっと消える

(母さんのとこまでたどり着いたみたいだな・・・)

「ユイ・・・戻ってきてはくれないか・・・」

少し考え、だめですといった

「そういうと思っていた・・・・君にも全てを話そう」

そうしてゲンドウはユイにシンジのことやサードインパクトのことを口で伝えられる物だけ伝えた

「本当はもっと酷いんだが私ではそれを口では伝えることが出来ない」

「そんな・・・・そんなのありえないわ!!あの計画が・・そんな、そんな・・・」

「だが事実だ・・」

「はは・・・ありえないわよ!!そっか・・・貴方もきっと偽者なのよ・・そうよ皆偽者なのよぉ!!!!!!
ハハハハ!!」

昔のユイとは似ても似つかなくなった現状を見てゲンドウは顔を歪ませる

そんな中つかつかとシンジが無表情で二人に歩み寄る・・・そしていきなりユイにあの世界を見せた

「いやああああ!!!!!」

「シンジ!やめろ!!」

ゲンドウに突き飛ばされた

「ふ、ふふふ、そう、そうなのね・・・あいつがそんな物を見せて騙しているのね?」

そんな様子を不審に思ったゲンドウがユイを見ると先ほどまでは持っていなかったはずの包丁が握られて
いた

「こいつが死んじゃえばいいのよ!!!!」

いきなり突き飛ばされたシンジは受身を取ることが出来ていなかったため態勢が悪くよけることも出来な
い状態だった

グサッ

「ぐぅっ・・・・」

「そ、そんな・・・・」

そこではシンジの前でかばうようにゲンドウが仁王立ちしていた

「父さん・・・なんで・・・」

「ふ・・・こんなんでも父親だからな、体が勝手に動いたみたいだ・・信じられんよ、自分でも」

ふらふらした足取りでユイの元に歩み寄る

そして・・・

パァン!!

ユイに平手打ちした

「な、なにをするのっ・・・・・・」

ユイは見た、ゲンドウの酷く歪んだ悲しげな顔を・・・

「お前も見ただろうあの世界を・・・その責任は私達がとっていかなければならない・・わかるか?ユイ」

「・・ええ・・・」

「だったらこんなところにいてはダメだろう?」

「はい・・・」

ゲンドウがユイを抱きしめるとユイの目からポロっと一筋涙が流れた

「一緒に償って・・・いこ・・・・・」

ドサッ

「父さん!!」

「ゲンドウさん!!」

「くそっ!!早くここから出て肉体を治療しなきゃ!!死ぬなよ!死ぬなよゲンドウ!!ここで死んだら
絶対許さないからなっゲンドウっ!!」

そうしてユイとゲンドウと共にエヴァから出ていった


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