303号病室

「アスカ・・・」

様々な機械音が飛び交う中
一人の少年が病室のベッドに横たわる少女を見つめていた。
少女の名は惣流・アスカ・ラングレー
ある残酷な崩壊劇を見せた少女である。

「アスカ、僕行かなきゃならないんだ。
多分最後の戦いになると思う。相手使徒じゃないんだって。
戦略自衛隊、また人を殺すんだ。・・でも必ず戻ってくるから。
そしてもし戻ってこれたら、その時は君に伝えられなかった言葉を言うよ。
さよなら、アスカ・・僕が戻ってこれなくても元気で。」

プシュー
ドアの閉まる音とともに少年の姿が病室から消える。

残された少女の瞳には誰彼とも無く涙が流れていた。


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THE END OF EVANGELION
    〜伝えられなかった言葉〜
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「Bブロックに侵入!Bブロック占拠されました。」
「Aブロックへ通じる通路に侵入!占拠されました。」

混乱しているネルフの発令所にオペレーターたちの悲鳴めいた報告が飛び交う
戦略自衛隊が侵入してから5分、ネルフはすでに組織としての機能を果たしていなかった。

「シンジ君は?」
ミサト叫ぶように声に出す。
「すでに初号機パイロット、エヴァ初号機に待機中です。」
「かまわないわ、すぐ出して。」
すかさず初号機が地上へと射出される。
「アスカは?」
「未だ303号室です。」
「(殺されるわ)。」
ミサトは声にならない悲鳴をあげる。

303号室
そこにはすでに身動きの取れないアスカを囲むように戦略自衛隊が存在していた。
「悪く思うなよ。」
一言呟いた後、男が引き金に手を伸ばし・・。

ドキューン!!!!!

銃声が病室に響き渡った。
弾丸は確実に頭を貫いていた。
アスカを囲んでいた男達が慌てて扉のほうへと顔を向ける。
「きさまっ!」
銃を構える男達。

遅い!

ドキューン!!!!!ドキューン!!!!!ドキューン!!!!!
ドキューン!!!!!ドキューン!!!!!

続けざまに起きる銃声に男達は一人また一人と倒れていく。
そして一人の男が倒れ様に扉の男に言った。
「きさま・・・死んだはずじゃ・・・。」


発令所

「アスカは?」
映像の途絶えた発令所でミサトが声を荒上げる。
「わかりません、映像途絶えたままです。」
日向マコトが答えを返す。
「葛城二佐!」
オペータの一人、青葉がミサトを呼ぶ。
「空中に謎の飛行物体、全部で9つ。」
「何ナノあれ・・。」

懸念の表情を見せるミサトをよそに上の司令席では、
「量産機か。」
「ああ、老人達もレイとアダムを取り戻すためにとうとう本気になったみたいだな。
(頼むぞシンジ)。」

その時
ズドォーン!
大きな衝撃音とともに発令所に侵入者があらわれた。
戦略自衛隊。

戦略自衛隊は警備に当たっていた職員を次々を撃ち殺すと
その銃口をミサトへと向けた。

発令所に衝撃が走る。

リツコ「ミサトッ!」
マコト:シゲル:マヤ「「「葛城さん!」」」
ゲンドウ:コウゾウ「「葛城二佐!」」
悲鳴にも似た呼びかけが発令所にこだまする。

ズキューン!
発令所に銃声が響く。
しかし倒れたのはミサトに銃を向けた兵士のほうだった。
「ぐわぁ!」

ミサトはいまだ硝煙の立ち上る銃を持つ男のほうへと顔を向ける。
そこには懐かしい、そして一番愛してやまない男の顔が存在していた。

「加持!」
ミサトの喜びの悲鳴が発令所に響き渡る。

「葛城、話は後だ。今は戦略自衛隊の殲滅が最優先だ。アスカを頼む。」
そう言うと加持は背中にしょっていたアスカをミサトに手渡すと、
いまだショックを引いている戦略自衛隊へと向かっていった。

加持リョウジは強かった。戦略自衛隊など子供扱いの様子だ。
そして数分後、一先ず発令所の危機は去っていった。

その間ミサトも遊んでいたわけじゃない。
アスカを受け取ると直ちに職員に命令。
アスカを二号機に乗せると直ちに地底湖に射出した。
「ここが一番安全だから。」
ミサトはそう呟いた。
今やこの発令所も安全でない。
ならば1万2千枚の装甲に包まれたエヴァの中が一番安全なのだ。

「葛城二佐!・・・来ます!」
今まで沈黙を守っていた空中を飛来する飛行機に動きがあった。

「何だあれは」
初号機に乗っているシンジは呟いた。
飛行機から何かが射出され、空中を飛来している。
その時、発令所から通信が入った。
「シンジ。私だ。」
「(父さん)。」
「あれは量産型のエヴァだ。お前にしか出来ん、最後の仕事だ。
絶対殲滅してくれ、頼む。」
シンジは初めて聞く父親の哀願するような声に決意を固めた。
そして父親の言葉は死んでしまったある男の言葉をリフレイさせた。
「加持さん・・」シンジは呟いた。
「呼んだかい?シンジ君」
突然モニターにシンジにその言葉を投げかけた男の姿が映った。
「加持さん?・・加持さんなんですか?」
シンジは未だ信じきれてないようだ。
「あぁ、間違いない。俺だ。シンジ君。」
「加持さん・・・」
シンジの声は喜びに満ちた。
よかった加持さんが来てくれたんだ。
しかしここでシンジの頭には一つの疑問が浮かぶ。
「でも・加持さん?・・加持さんは死んだはずじゃ。」

そう、確かにテレビの映像でも加持が登場した後一発の銃声が響き渡っていた。
これで加持は死んだと判断されたのだった。
ならばなぜ加持は生きているのだろうか。

するとその疑問をかき消すようにゲンドウの顔がモニターに表示された。
「ふっ問題ない。情報操作は私の十八番だ。シンジ。」
「まっそういうことだ、シンジ君。」
再び加持の顔が映し出される。

どうやらテレビの映像もゲンドウの情報操作によるものらしい。
おそるべし!!ゲンドウ。

「そういうことだからシンちゃん、バーンとやっちゃいなさい。」
ミサトさんの久しぶりに元気な声が発令所に響きわたる。
加持さんも後ろで苦笑している。

「(加持さんが戻ってきたからかな。)」
僕はそう思った。そしてすでに目の前に並んでいる量産型エヴァと対峙した。


地底湖

一連の会話はすべて地底湖に射出された二号機に届いていた。
そして無論、アスカの耳にも。
「(加持さんが生きていた。ミサト嬉しそう。でも私はだめね。・・
私にはなにもないもの)。」
アスカの心は地底湖よりも深く沈んでいた。


デュガシャ!!!!
初号機の蹴りが量産型エヴァの一体を捕らえる。
そのまま吹き飛ぶ一体の量産機。

これで残り5体。
いままでシンジは3体のエヴァを葬ってきた。
それも9体のエヴァに囲まれながらである。
しかし、もう体力もそこをつきかけていた。
シンジは手に持つプログレフナイフをしっかりと握り締めた。
「残り5体か・」

一方そのころ発令所の入り口でも死闘が繰り広げられていた。
次々と迫りくる戦略自衛隊。
その猛攻を加持は何とか食い止めていた。
何しろこの発令所が奪われればすべてが終わる。
「(がんばれシンジ君!、君は君にしか出来ないことをやり遂げるんだ)。」
加持は戦略自衛隊の猛攻に耐えながら心の中でシンジにエールを送っていた。

「状況を説明して。」
発令所の中枢部ではミサトが指揮を執っている。
「はいっ、敵エヴァ量産機4体を撃破!残り4体です。」
マヤの報告が飛び交う。
「やるわねシンジ君!。このまま行けば勝てる!。」
「無理ね!」
ミサトの希望を冷静に戦況を見ていたリツコが打ち砕く。
「なんでよ!」
リツコにすかさず反論するミサト。
「(あら、久しぶりねミサトが私に反論するなんて、まあいいわ)
ハーモニクス値を見てご覧なさい、明らかにパイロットに疲労が溜まってるわ。
それにシンクロ値も明らかに下がってきている。」
「くっ!」
反論する言葉もなく唇をかむミサト。
そこへ日向マコトが声を掛ける。
「大丈夫ですよ、葛城さん、シンジ君なら。・・だって僕たちは今まで何度も見てきたじゃ
ないですか、シンジ君が・・あの子達が起こす奇跡を何度も。」
マコトの言葉にミサトもそしてリツコも思わず頷く。
「そうね・・。今は信じるしかないわね・・・シンジ君を。」


「コノヤローーー!!!」
怒り一閃、シンジのもつプログナイフが量産機に向かう。
しかし、疲労の溜まった初号機・・シンジの攻撃は量産機にあっけなく躱されてしまう。
すかさず、量産機がプログナイフを払う。
持ち主を失ったナイフは地底湖へと沈んでいく。
そしてプログナイフを失った初号機に量産機が襲い掛かる。


地底湖
「(ママ・・私・・・もうだめ・・だめなの・・・ママ・・助けてよ。)」
地底湖のそこではアスカが思考の海に沈んでいた。

そこに
がツーん

突然!二号機の顔に何かが当たった。
二号機の顔に当たったもの・・図らずもそれは初号機のプログナイフだった。

アスカは目をうっすらと開けて落ちてきたプログナイフを見た。
「(そう言えば、昔もこんなことがあったわよね。あれは確かマグマの中へ入ったときだったわ。
武器を失った二号機にシンジがプログナイフを投げ入れてくれたんだっけ・・・・シンジ)。」

思考の海に沈んでいたアスカの意識が少しずつ浮かんできた。

シンジ・・優しかったあいつ、憎らしかったあいつ、たくましかったあいつ、
内罰的なあいつ・・嫌いだった・・憎らしかった・・悔しかった・・
殺してやりたかった・・・・でも・・好きだった。

シンジ、シンジ、シンジ、シンジ、シンジ、シンジ、シンジ、シンジ、
シンジ、シンジ、シンジ、シンジ、シンジ、シンジ、
シンジ、シンジ、シンジ、シンジ、
シンジ、シンジ、


浮上を続けるアスカの思考に光が射し込み始めた。
するとどこからともなく声が聞こえた。
それはとても優しい声だった。

「そう・・あなたはシンジくんを選ぶのね・・・行ってらっしゃい、私のかわいいアスカ」

「ママ!!!?」
その瞬間アスカは母の胸に抱かれたような気がした。




発令所
発令所に歓喜の悲鳴が沸き上がった。
「二号機!・・・・起動!・・アスカ・・地底湖から浮上します。」
マヤの叫びが戦況を一変させた。

「勝ったな。」
「ああ。」



「ぐわあああぁああ!」
地上では量産機の攻撃に苦戦するシンジの姿があった。
「くそー、残り4体なのに・・ここまでなのか。」
そうシンジが呟いたとき、通信用のモニターが開いた。
そのモニターはもう長いこと使われていない回線だったのでシンジは少しおどろいた。
そして次の瞬間、シンジの表情は歓喜のものとなった。
そう・・EVA-02と書かれたモニターの上にはシンジが一番愛しいと思う人物、
そして一番そばにいてほしいと思っていた人物の顔が映し出されていた。

「なぁにボケボケっとしているのよ、バカシンジ!」

呆けたようにアスカの顔をじっと見つめるシンジ。

「ばっバカ!・・人の顔まじまじと見つめるんじゃないわよ・・恥ずかしいじゃないの。」

「あっアスカなの!ほんとに?」
思わず感動の涙を流すシンジ。

「シンジ!話は後よ・・今は殲滅が先よ。」
「わかってる」

「(しばらく見ない間にずいぶんと頼もしくなったじゃないの
バカシンジ・・)」
アスカはモニターが消える直前、そんなことを思っていた。

「「行くぞ(わよ)」」

そして戦場に美しいユニゾンの花が咲き乱れた。



発令所
「見てください先輩・・これ。」
「えっ?何々?どうしたの?」

戦況が一変し発令所は無事に戦略自衛隊を追い払うことに成功した。
そして発令所にはアスカの復活、そして華麗なユニゾンを前に、
勝利を確信したそんな空気が流れ、ほのぼのとした空気が流れていた。

しかしここにほのぼのとした空気とは無縁のおやじ達が佇んでいた。
「良いのか・・碇・・・・戦闘中だぞ・・」
「ああ・・・問題ない・・」

「どうしたのマヤ?、えっ!?なにこれシンジ君のシンクロ率が・・・」
さすがのリツコも動揺を隠せない。
「ええ、シンジ君のシンクロ率97パーセントに上昇、アスカのシンクロ率も
それに続く勢いです。」

リツコは信じられなかった。シンジ君のシンクロ率は先ほどまで疲労のために
40をきっていたのに。それにアスカのほうも以前まで起動指数に届かないほどだったのに。

苦悩の末ネルフの頭脳とまでいわれたこの科学者は、この理解不能な現象にようやく一つの答えを見つけ出した。

「愛の力ね。」
ブーーーー!!!!!!
作戦部長葛城ミサトはまさかリツコからこんな言葉が出てくるとは思っていなかったらしく
飲みかけていたコーヒーを吹き出してしまった。
被害に遭ったのは日向マコト。
でもどこか嬉しそうだった表情だったという。
「不潔」



「「これでどうだー!!!!!」」

アスカとシンジの見事なまでのユニゾンキックが7体目のエヴァを破壊する。

「はあはあ・・残り一体ね・・。」

アスカは疲れ果てていた。無理もないさっきまで病院のベッドで横になっていたのだから。
シンジは横にいるアスカに向けて声を掛けた。
「アスカ・・もういいよ・・さがってて。最後は僕がやる。」
アスカの体は確かに疲れ果てていた、長い間の点滴による生活は明らかにアスカの体力を奪っていた。
「でっでも・・・・」
アスカは以前のアスカではなかった。
以前のアスカなら「なに、言ってんのよ。シンジだけに良い格好させてたまるもんですか。」
とかいって、決して引く事はなかっただろう。
しかし今アスカは自分がシンジの足手纏いになってしまう事を自覚していた。

そんな時発令所からも命令が下った。
「アスカ、命令よ。下がりなさい。」
ミサトの言葉だ。以前のアスカならこの言葉にも反論したはずだが、初号機の・・シンジの方を見やると
言葉を紡いだ。
「ええ、わかったわ。」
「・・アスカ・・・。」
シンジは以前と違って素直になったアスカに戸惑っていた。
「シンジ!」
「何?アスカ」
いきなりアスカに名前を呼ばれたのでシンジは少し驚いた。
「私を結婚する前から後家にしたら、ぜえぇーーーーーーーーーたいに許さないわよ!。」

アスカのこの爆弾発言に某保護者の一言
「あらま・・アスカ、だいたーん」

慌てふためくかと思われたシンジ君だったが、落ち着いた調子で
「うん、わかってるよアスカ・・」
この言葉にはアスカのほうがK.Oされ真っ赤になってしまった。
「それじゃあ、ミサトさん。アスカの事、よろしくお願いします。」
「わかったわ・・・がんばってねシンジ君・・」
「はい」
そう言うとシンジは通信回線を閉じた。

しばらくすると二号機が回収されるのが見えた。
「よしっ」 
                        ・・
僕は改めて前に佇む量産機たち
を見やった。

「なんつうインチキ!」
発令所にはミサトさんのこえが響いた。

僕にはたいした驚きはなかった僕にはこうなる事がわかっていた気がする。
そして僕はもう負ける気はしなかった。
相手が何体でも・・・・・
今の僕にはアスカがいる、ミサトさんがいる、そして・・・・父さんがいる・・・

「シンジ・・聞こえるか・・」
回線が開いた。
父さんだ。
「コアを破壊しろ。」
再度量産機を見やると・・なるほど・・赤いコアらしきものが見える。
「わかったよ。父さん。」

そして僕は奇跡を・・・





「エヴァ初号機!ATフィールドを展開!」
「そんな、生易しいものじゃないぞこれは。」

再び発令所が混乱に見舞われる。

「初号機の映像、入ります。」
「うそ!」
発令所は驚愕の叫びにとらわれた。
なぜなら、初号機の背中には6枚の羽根。
そして右手にはロンギヌスの槍が握られていた。

「ATフィールド」
「どういうことなのリツコ!」
リツコの呟きにミサトが叫ぶ。
「ATフィールドの結晶化よ、高密度に展開されたATフィールドは収束し物質化するのよ。」
「何でそんなことあなたが知っているのよ。」
ミサトの叱責が飛ぶ。

「葛城二佐、そのことに関しては私が・・・・。」
司令席のゲンドウが口を開く。
「碇・・良いのか。」
「ああ・・問題ない。」
「(そう言えばこの男ワシと話すときはこれしか言わんな)。」
副司令は少しあきれるとともに、少しさびしかった。

「葛城二佐、君が14歳のとき、まさしくこれと同じ現象が起きた。」
「まさか。」
「そう、君が見たという6枚の翼はまさしくこれ、そして南極で発見されたロンギヌスの槍は
その時の副産物というわけだ。」

ミサトの脳裏にはあの時の惨劇がよみがえる。
しかし、今ではミサトの隣にはミサトを支えてくれる男がついていた。
その男、加持リョウジはミサトを強く抱きしめるとささやいた。
そう・・あの時伝えられなかった言葉を・・・・
「大丈夫、俺がついてる・・葛城・・・・愛してる・・・・・・。」
ミサトは鳴咽をもらしながら加持の腕の中で泣きつづけた。

地上ではシンジの乗る初号機による一方的な惨殺が行われていた。
その様子にリツコが口を開く。
「ATフィールドの結晶体、ロンギヌスの槍。だからこそATフィールドを
やすやすと切り裂く事が出来る。まさに鬼に金棒ね。」

まさにその通り!
シンジの乗る初号機のもつロンギヌスの槍はあっさりと8体目の量産機のコアを貫く。

「これで終わりだー!」

最後の量産機が爆発する。


その瞬間初号機が吠えた。
まるで人類の新しい幕開けを喜ぶように・・・
・
・
・
・
・
・
・
・
数日後の夜・・・

「ねぇシンジ。」
「なにアスカ。」

とあるマンションのベランダ、シンジとアスカは二人っきりの夜を過ごしていた。
ミサトさん相変らず事後処理で帰りが遅いらしい。
無理もないか・・あの後が大変だったもんな。
父さんの告白・・ゼーレの解散・・・・そして・・・・母さん・・・。
結晶化したATフィールドを用いたサルベージ計画は見事に成功。
母さんが戻ってきたんだ。あの時の父さんの顔・・本当に嬉しそうだったたな。

「なに、にやついてるのよ」
少し拗ねたような口調でアスカが話し掛けてくる。
「いや、ちょっとね。母さんと再会した父さんの顔を思い出していたんだ。」
「そう言えばあの時の碇司令の顔。本当に幸せそうだったわね。(いつかは私のお義父さんになるのよね)。」
「うん。」
そのまま私たちは輝く星の姿に魅了されていた。
不意に思い出したようにアスカが口を開いた。」
「そう言えばさシンジ?最後に私の病室を出て行くとき何か言わなかった?」
「(どきっ)えっ!なんのことかな。」
あくまでとぼける気らしい。
「お願い・・言って・・」
そんなシンジに涙を潤ませながら懇願するアスカ。
無論シンジがこの攻撃に逆らえるはずもなく。
「わかったよ、アスカ・・・。」
瞬間真顔に戻るアスカ・・はかったな・・。
「アスカ・・・(君に今伝える)・・・(あの時伝えられなかった言葉を)・・・
(出会ったころから)・・(君だけを)・・愛してる・・。」
「シンジ。」

そしてゆっくりと二人の影は重なった。
月の光がそんな二人を祝福するかのように輝いていた。
願わくば二人の時間がこの月の光のように永遠に輝き続けますように・。



p・s
「やっぱり君は尻に敷かれるタイプのようだね。シンジ君。」某銀色の髪の少年。
「・・・・イカリクン・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」某青い髪の少女



終劇


マナ:ベファナさんから、初投稿を頂きました。ありがとうございました。

アスカ:これこそが、エヴァンゲリオンの真のエンディングね。EOEよりずっといいわ。

マナ:そりゃそーでしょーとも。あなたにとってはね。

アスカ:何を言ってるのよ。みんな幸せになったじゃない。これこそハッピーエンドよ。

マナ:最後の2行を見てみなさいよ。

アスカ:そ、そんなの知らないわよ。シンジがアタシを選んだんだもーん。(*^^*)v

マナ:このままじゃ、シンジが尻に敷かれるだけだわ! わたしが本当の愛を教えなきゃ。

アスカ:だれが、尻に敷くってのよ!! 幸せな家庭を築くんだからぁぁ!!

マナ:そんな、重そうなおしりしててよく言うわねぇ。

アスカ:な、な、な、なんですってーーーーーーーー!!

マナ:わたしの方がスリムだもーーん。

アスカ:ムカッ! なによ! ペチャパイのくせに!!

マナ:な・な・な・なんてこと言うのよ!!

アスカ:いくらアンタが言い寄っても、そんなスタイルじゃーねーー。

マナ:よーーーし! 面白いじゃない、今からシンジの所に行って、本当のエンディングを作ってあげるわ!!

アスカ:もう、話は終わったのよ! いまさら余計なことするんじゃないわよ!

マナ:では、次回・・・「帰って来たマナ」で・・・。次回もサービス、サービスぅ。

アスカ:そんなの無ーーーーーーーーい!!!!!
作者"ベファナ"様へのメール/小説の感想はこちら。
shi-ma@din.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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