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彼女がシンジを乗せた理由
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「サードチルドレン!ちょっと付き合って」

その言葉にしたがって僕はここにいる。
見たところ格納庫のようだがその広さは尋常でない。
いったいここは何なんだろうと思っていると
彼女は中央にある物体に近づいていきシートをめくって僕に見せた。

「!」
エヴァだ。そこには僕の知ってる初号機とは明らかに違う。
赤いカラーリングをしたエヴァが横たわっていた。

「赤いんだ二号機って」
僕は何気なくそう彼女に伝えた。
「!」
ふと横を向くと彼女がいない。どこにいったんだろうと周りを探していると
突然上の方から声が聞こえた。

「ええそうよ。所詮、ゼロ号機と初号機は開発途中で生まれたテストタイプとプロトタイプ。
この二号機こそ、世界で初めての本物のエヴァンゲリオンなのよ。」

地上から7メートルはあろうかそんなところに登って
彼女は得意げに、さも自分自身を自慢するに二号機を論した。
よく見ると大急ぎで上に登ったらしく少し息をきらしている様で肩が少しゆれている。
その時僕は好感以上の何かをそんな彼女に対して抱いていた。

ガーン!!!

そんな時だった艦全体に衝撃が走った。爆発音のようなものが聞こえ船体が大きく横に
揺らいだ。
「まずい!」その時僕はとっさ彼女がまだ二号機の上にいることを思い出し
急いで上を見上げた。「きゃっ!」
ちょうど彼女が二号機の上から投げ出されるように
下に落ちてこようとしているその時だった。
僕はそんな彼女を受け止めようと身構えた。
が、そんな僕を待っていたのは顔全体に広がった。靴だった。
彼女は投げ出されたのではなく自分で飛び、僕の顔へと着地したのだった。

「まったくなにボケボケッとしているのかしら。早くおきなさいよ。」
彼女の一撃をくらい倒れている僕に対して彼女はそう言い、
僕の手を取り無理矢理起き上がらせた。
僕たちはそのまま甲板へと走っていった。

そこには次々となぎ倒される戦艦。
そして沸き上がる水飛沫があった。
「使徒だな。」
こんなことができるのは使徒しかいない。
じっとその様子を見ていた僕はそう結論づけた。
「使徒?あれが・・」

彼女はじっとその様子を眺めていたが突然、
「チャ〜ンス!」ニヤリ
とっ父さん?
幻聴でも幻覚でもない、僕には彼女の顔が一瞬父さんのイメージと重なった。
そこで彼女はくるりと向きを変え再び格納庫の方へ向かおうとした。
しかしここである重大な問題が沸き上がった。

手
二人の手はあの時からずっとつながったままだったのだった。

二人は硬直していた。恥ずかしさからではない、安心感、安堵感。
次々と爆発を続ける戦艦をよそに二人は手をつないだまま数十秒立ち尽くしていた。

パァーン!
景気のいい音とともに僕の頬が赤く染まった。
「エッチバカヘンタイもう信じらんない!」
いち早く立ち直った彼女はそう言い残すと格納庫のほうへと走っていった。

残された僕はじっと彼女と握り合った手を見ていた。
まだ彼女のぬくもりが残っている。
僕の頬はさっきとは違う意味で赤く染まっていた。
しばらくして僕も格納庫のほうへと入っていった。

一方格納庫へと走っていったアスカのほうでも
先ほどまでシンジ君と握り合っていた手をじっと眺めていた。
その頬はシンジ君と同じく少し赤く染まっているようだった。
そして彼女はおもむろにプラグスーツを二つ手に取るのだった。


マナ:ベファナさん、投稿ありがとうございました。それにしても・・・ププっ。

アスカ:なによ!

マナ:弐号機に格好つけようとして、慌てて這い上がるわ、落ちてくるわ・・・ププッ。

アスカ:あ、あれは・・・その・・・。あの・・・あれで、シ、シナリオ通りなのよ!

マナ:落っこちたのに、どこがシナリオだってのよ。

アスカ:本当は、あのままシンジの胸に抱き着く予定だったのよ!

マナ:ふーーーん。シナリオ通りだったわけね。

アスカ:そうよ! 悪い!?

マナ:でも結果は、シンジの顔に足から落ちたってことは・・・・アハハハハハハハハハ!!!

アスカ:あ、あれは・・・。ぶぅーーー。

マナ:しかも、碇司令顔負けの”ニヤリ”・・・。シンジに見られてるしぃぃ。

アスカ:うーーーーーーーーーー。

マナ:最後は、ちょっといい雰囲気になった程度だしぃぃ。

アスカ:な、なによ! 言いたいことがあるんなら、さっさと言いなさいよ!

マナ:このSSは、チャンスだわ! LAS成立前にわたしが、シンジの元へ・・・。

アスカ:なんですって! そんなこと許すものですか!!

マナ:こういう物は早いもの勝ちなのよーーー。

アスカ:マナが来る前に、アタシのものにしてみせるわ!!

アスカ:そんなの無ーーーーーーーーい!!!!!
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