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開かれたのは・・・・
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「「イヤーンな感じ!」」
僕の赤いプラグスーツ姿を見たトウジとケンスケが叫んだ。
僕だって着たくなかったよ、まったく・・・。

とりあえずガギエルとの戦闘を終えた僕はプラグスーツを脱ぎ、
ミサトさんたちのいる食堂へとむかった。

「お疲れさま、シンジ君。」
「お疲れ、シンジ!」
「お疲れさん。」
三者三様の言葉が飛び交うがその意図するところは、
すべて僕を心配してくれているのがわかった。
「ありがと、みんな。」

「それにしてもいけすかん奴やったな。あの女。」
トウジが口を開く。
「えっ?誰の事。」
「シンジ、決まっているだろ。あの惣流・アスカなんとかっていう外人さ。」
「そうかな。」
「何で男の事を殴れるんや。わいはああいうのは、一番いけすかん。」
「そうそう自意識過剰、唯我独尊って感じだったもんな・・ん!どうしたシンジ。」
「えっ!なっ、何でもないよ。」
しかしそういうシンジの表情は少しうつむきかげんで、顔も少し赤くなっている。
「だってシンちゃん、あの娘と一緒にエントリープラグはいっちゃったもんね。」
「そっ、そう言えばそうやな。」
「あの中に一緒に入ると搭乗者の意識が伝わってくるもんな。」
経験者はかたるといった奴である。
「つまり、シンジはあの外人の事が気に入っちゃったというわけですな。」
「センセも物好きやな。」
相変らずの突っ込みを受けるシンジだったがそんな彼にお声がかかった。
そう、かの惣流・アスカ・ラングレー嬢である。

「シンジ!、ちょっと付き合って。」
顔を上げるシンジ。
すぐさまアスカのもとへと駆け寄る。
「「イヤーンな感じ!」」
本日二回目。
あるいはシンジ君、この冷やかしから逃げ出したかっただけかも知れない。

二人は甲板に立っている。
周りを見渡すと二号機が破壊した戦艦を修理している姿。
海に落ちた戦闘機を拾い上げる姿などが見受けられる。
アスカはしばらく風に髪をなびかせながら手すりに寄りかかっていた。
シンジはただじっとその姿を眺めたいた。
やがてシンジが口を開いた。

「なんだよ、こんなところに呼び出して。」
口調は乱暴だが視線が下を向いている。
彼女が恐いのか、それとも恥ずかしいのか。
それでも沈黙が続く。

シンジが彼女のほうを向くと相変わらず彼女はあさっての方向を向いている。
「用がないならもう行くよ!」

耐え切れなくなったシンジが後ろを向いて帰ろうとしたとき、消え入りそうな声が聞こえてきた。
「・・・・・アリガト・・・」
「(えっ!)」
思わず向くシンジ。

そこには相変わらずあさっての方向を向くアスカがいた、しかしよく見てみると首筋が赤い。
よっぽど緊張していたと見える。
しかし次の瞬間事態は一変した。

アスカが突然と振り向くと人差し指でビシッ!とシンジを指差しながら言った。
「冴えないあんたでも今回の戦闘で役に立つ事がわかったわ、そこであなたを私の栄えある
下僕一号にしてあげる。あんたも運がいいわね。この天才美少女の下僕になれるなんて。
少なくとも20万人が私の下僕になりたがっているというのに。
それから!私の事は惣流”様”と呼びなさい。下僕のあんたにはそれが妥当よ。」
そこまで一気に捲し立てるアスカ。
しかしこれにはさすがのシンジも黙っていない。

「何だよ!それ単なる横暴じゃないか!。奴隷って何だよ。全く。
惣流はなにを考えてるんだよ。」

まさか反論されるなんて思っていなかったアスカは真っ赤になって叫ぶ。

「”様”をつけなさいって行ったでしょ”様”を。それに下僕のあんたがこの私に
逆らうなんていい度胸じゃない。これから誰があんたのご主人様かきっちりわからせてあげるわ。」

「ふんっ死んでも、惣流なんかの奴隷になるもんか。」
「いっ、言うにことかいて惣流なんかとは何よ、なんかとは。」
「そっちが先にいってきたんだろ。」
「なによ!」
「なにさ」

そういう二人の距離が後数cmになっていようとは、さすがにアスカでも気づいていなかったらしい。
はっ!とその事実に気がつくアスカ。

すぐさま
「エッチ!バカ!変態!もう信じらんなーい!」
得意の台詞とともにびんたを繰り出すアスカ。

当然、吹き飛ぶシンジ。
「ふんっ!わかったわね。あんたは私の下僕よ!。ちゃんと覚えときなさいよね。」

真っ赤になりながらその台詞を言い残すとアスカはさっそうと甲板から降りていった。
一方アスカの攻撃を受けたシンジは・・・・一撃でダウンしていた。
まだまだ修行が必要だなシンジ君。

そして
指令塔にはそれを望遠鏡で見ていた二つの影があった。
「どうやら彼、尻に引かれるタイプのようですね、艦長。」
「ああ、どうやらそうらしい。しかしあの惣流とかって子供、あんなに乱暴だったかの。」
「保護者の加持がいなくなったからじゃないですか。あの年の子供には
憧れの男性の前では猫をかぶる傾向があるらしいですから。」
「ふんっ!それにしても・・本当に子供が世界を救うのか・・副官。」
「ええ・・私も自信がなくなって来ました。・・きっとこれも時代の流れなんでしょう。」

副官の答えは決して間違ってはいない。
当たらずも、遠からずといったところだろうか。
しかしその答えの原因は当人である惣流・アスカ・ラングレーにもまだわかっていなかった。

そしてここにも、様子を見つめていた人影が3つ。
「あーらら、シンちゃんもだらしないわね。」
ご存知シンジ君の保護者葛城ミサトと
「「イヤーンな感じ!」」
本日三回目の台詞を叫んだ鈴原、相田であった。


そしてオーバー・ザ・レインボーは日本へと進んでいくのであった。


マナ:シンジをいきなり下僕扱いするなんて、ひどいじゃない。

アスカ:いいのよ。遅かれ早かれそうなるんだから。

マナ:遅かれ早かれって何よ。シンジがあなたの下僕なんかになるわけないじゃない。

アスカ:アタシと結婚するってことは、そういうことなのよ!

マナ:け、結婚って、会ってすぐにそんなこと決めるわけぇ?

アスカ:ファーストインパクトで、わたしにはシンジが未来の旦那様だってわかったのよ。

マナ:ファーストインプレッションでしょ・・・。

アスカ:そ・・・そうとも言うわね。

マナ:とにかく、シンジはあなたなんか眼中に無いんだから、余計な手出ししないでよね。

アスカ:そんなことないわよーーー。アタシを守ってくれたもん。

マナ:ビンタしといて、よく言うわね。愛想つかされるのも時間の問題ね。

アスカ:愛想つかす前に、調教して離れられなくしてあげるわ。

マナ:シンジーーー騙されるんじゃないわよーーー!
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