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同居にいたる軌跡
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「まったく、シンジの奴。わたしのどこが悪いって言うのよ。」

私は今、加持さんの車の中で先ほどの戦闘(あの二つに別れた使徒ね)
のことを思い出していた。

「アスカ、もういいだろう。」
加持さんは相変らず優しく慰めてくれる。

「シンジ君だって悪気があっていったわけじゃなかろうに、
売り言葉買い言葉って奴さ。」

「そんなことわかってるわよ。!」

そう私にはそんなことはわかりきっていた。
シンジがそんなこと言う奴じゃないことぐらいは。
すべて私の口の悪さが原因なのだ。
今日のことだって私が独断専行しなかったら使徒に勝てたかも知れないのに。
でもシンジの奴怒ってたわよね。
そりゃそうよね、私が全部悪かったんだから。
どうやって謝ろう。
シンジの奴許してくれるかな。
いきなり目の前に現れて「ごめん」って謝ろうかな。
それともあいつ見掛けに依らずスケベだから水着を着て・・・
ぶんっぶんっ、私は首を振って今の考えを打ち消した。
あぁっ!なんでこの世紀の天才美少女パイロットがあんな奴に水着を見せなくちゃならないのよ。


「シンジ君のことが気になるのかい?」

どきっ

いきなり加持さんに心の中を見透かされたので思わずドギマギしてしまう。
「ちっ違うわよ、だっ誰がバカシンジのことなんて、あんなバカでグズでスケベで
ノロマな奴のことなんか。あんな奴こっちから願い下げよ。ましてや結婚なんか以ての外よ。」

そんなことを言うのだが、自分でも顔が赤くなっているのが分かる。
やだ、私ったらなんでバカシンジのこと言われただけでこんなに胸がどきどきするのかしら。
アスカは今まで体験したことのない気持ちに戸惑っているようだ。

一方、車を運転している加持はというと
アスカの奴いきなり”結婚”って単語が出てくるか、
と言うことはまんざらでもないようだな、シンジ君のことは。
俺は車を運転しながら助手席に座りながら顔を赤らめているアスカを見てそう思った。
もしかして今度の作戦、アスカにとっては吉になるかもなしれんな。
と微笑ましくアスカのことを見守っていた。

「なぁアスカ?」
「えっ、なに?加持さん。」
アスカの顔の火照りが冷めはじめたころ加持が口を開いた。
「今度の作戦のことなんだけどな、あの2体に分離する使徒を倒すにはコアへの二点同時攻撃が
有効であるという結論が出た。」
「さっすが加持さんね、どっかで文句ばっかり言ってるバカとは大違いだわ。」
「ははっ(シンジ君のことだな)、そこでだそれを実現するために一つの考え出されたんだ。」
「どんな作戦?。」
「それはな・・・・・」


ボンっ


「えええええええええええええええええええええっ!!!。
シンジと同居ぉ?」
私は再度赤くなった顔を抑えながら、それだけをようやく紡ぎ出すことができた。

「そうなんだ、アスカには悪いが今回の作戦はシンジ君との同居が必要不可欠な要素になるんだ。すまんな。」
「かっ加持さんが謝ることじゃないわよ。そんな作戦を立てた奴が悪いのよ。
どうせミサトに決まってるわ、そんなデリカシーのない作戦立てられるのは。
昔ドイツにいた時からそうだったのよ、あの女。まったく乙女心ってのがぜんぜんわかってないんだから」
「ははっ(アスカ、その作戦俺が立てたんだけどな)、しかし同年代の男の子と同居なんてつらいだろうな。」
「そっそんなことないわよ。(つらいなんてこと・・だってシンジと・・)」
「まっそんなことだから我慢してくれよアスカ。」

もはや私の耳には加持さんの言葉は届いてなかった。
なぜなら私の心は遠いシンジとの甘い新婚生活へとトリップしていたんだから。
「ねぇアスカ?」
「なぁに?だんな様」
あぁ、なんちゃってなんちゃって・・・




「アスカ?」



「なぁ、アスカ?」



ハッ!!


「お取り込み中のところ悪いんだが、もうついたぞ。」

わっ私ったらなにを考えていたのかしら。
ああっ顔が熱い。きっとものすごく赤くなっているに違いないわ。

「おーい。アスカちゃん」

ハッ!加持さんが呼んでる。

「何ですか?加持さん」
「いや何ですかっていわれてもな。ついたんだけど葛城の家に。」

へぇー。ここがあのシンジがいるマンションね。
意外と高級そうなところね。ここなら私が入っても狭くはなさそうね。

「こっちだアスカ。」
そういうと加持さんは一つの部屋へと入っていく。

ここが私とシンジの新居ね。
ハッ私ったらまたなにを考えようとしたのかしら。

「荷物はそこら辺においておけばいいだろう。後でアスカの荷物が届くはずだから。
「わかったわ加持さん。」
「それじゃ俺はこの辺で失礼させてもらうよ。」
「ええー!、もう行っちゃうの加持さん。」
「あぁ、仕事が残っているんでな。それに俺がいつまでもここにいると葛城の奴がうるさいし。
じゃあなアスカ、シンジ君と仲良くやるんだぞ。」
そう言うと加持さんは行ってしまった。

さて、荷物がきたときどこに置くかね、問題は
ちょっと部屋でも見てみようかしら。

ははーん、ここはミサトの部屋ね。一発でわかるわ。
まったくどうやったらここまで汚せるのかしら。
あんなガサツな女と同居じゃシンジも大変よね。
でも私が来たからにはシンジだけに苦労は掛けさせないわ。

ここがシンジの部屋ね。こざっぱりしてるわね。
だからあんなに暗いんだわ。
これからは私がしっかりと教育しないといけないわね。
さて、私の荷物はここに入れとけばいいか。
いずれ、私とシンジの部屋になるんだし(笑)。

ピンポーン

そう考えているとちょうど宅急便がきたようだ。
「こんちはー。惣流さまでございますね。」
・
・
・
・
「ここに確認のハンコをあっ!なかったらサインでも結構ですよ。
それでは、ありがとうございました。またよろしくお願いします。」
そういうと配達係の人は出ていった。

しっかし日本の家ってのは狭いわね。
荷物が半分も入らないじゃない。
そこにはシンジの部屋と一つの空き部屋そして廊下を占領する荷物が
高々と重ねられていた。


「4時か・・・。」
私は荷物が運び込まれてからリビングでくつろいでいた。
もうそろそろシンジも帰ってくるころね。

プシュー!

「ただいまっ、なっ何だこれ!」

ほらね。やっぱり私とシンジはどっかでつながっているんだわ。
今迎えに行くから待っててね、私のだんな様(はーと)。

私はそう思うと立ち上がって玄関へと向かった。


マナ:「彼女がシンジを乗せた理由」の続編のような作品を、ベファナさんが投稿して下さいました。

アスカ:あぁ・・・今日からアタシ達の新婚生活が始まるのね。

マナ:わたしが、シンジと出会う前にぃ! ずるいわよ!

アスカ:アタシは知らないわよ。誰かが、決めた作戦の為なんですから。仕事よ、仕事。

マナ:仕事にしては、やけに嬉しそうねぇ。

アスカ:あったりまえじゃない。新婚生活が始まるんだもんねーーー。アンタが来るころには、入り込む余地なんか無いわよぉぉ。

マナ:でも、まだシンジの方が、それほど傾いて無いからチャンスはあるわ。

アスカ:無い無い。アンタは、登場する前から負けてるのよ! 諦めなさい。

マナ:今に見てなさいよぉぉぉ。

アスカ:この時期、戦自にいるアンタに何ができるってのよ。

マナ:とりあえず・・・加持さんに連絡して・・・。

アスカ:な、なに企んでるのよ! そ、そうか・・・それで、加持さんはアンタの名前を知ってたんだ!!

マナ:同じ声のよしみでレイも見方にして・・・。

アスカ:アンタ・・・。

マナ:フフフフフ。

アスカ:ちょっと・・・アンタ・・・目が座ってるわよ・・・。
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