------------------------------------------------------------------------------
ダイバー
------------------------------------------------------------------------------

「ぼっ膨張してしまった・・。」


某温泉宿、ここには先ほどの戦闘を終えたネルフの職員たちが今日一日の疲れを癒していた。

「ふぅ、良いお湯だったな。また来たいなー、温泉。」

シンジは夕食の用意してある部屋にたどり着くと久しぶりの休暇にのんびりとしていた。
食事は三人分用意してある。もちろん僕とアスカとミサトさんの分だ。

トコトコ

誰かが廊下を歩いてくる。
アスカたち温泉から戻ってきたのかな。

スー、ふすまが開く。
アスカが入ってくる。
なぜかアスカの顔がほんのりと赤い。
あれっ?

「ねえアスカ、ミサトさんは?」
温泉から部屋に戻ってきたのはアスカだけ、
アスカと一緒に温泉に入っていたミサトさんの姿はそこにはなかった。

「ミサトね、緊急の呼び出しだって。事後処理で遅くなるって。」

?
え?
なぜかそう言うアスカは、しおらしくいつもの勢いが全然感じられなかった。
ふーん、ミサトさんいないのか、ミサトさんがね・・・・・ミサトさんがいない!?
僕はその時アスカの顔が赤い理由が分かったような気がした。
なぜなら今僕の顔も多分赤くなっているだろうからだ。
ミサトさんがいないってことは・・二人きりなんだよな・・。

そうこう考えているうちにアスカが正面の席に座っていた。
口数がいつもより明らかに少ない。

「「いただきます。」」
いつものユニゾンで食事が始まった。
・
・
・
((気まずい))
・
・
静かな部屋で二人の食事は進んでいった。
でも二人ともお互いのことを意識しすぎてなかなか食事は進んでいなかった。
二人っきりってことは何度かあった。
でも二人が意識しすぎている原因は隣の部屋にあった。
隣の部屋には布団が一枚、しかもご丁寧に枕が二つ並んでいる。
ミサトさんの差し金だな・・

ふと、上目遣いのアスカと目が合う。
お互い顔が赤い。
「・・・エッチ・・」
アスカが呟いた。
その言葉に僕の顔はますます熱くなっていった。
・
・
・
・
食事もあらかた食べ終わったが、その間二人の間には会話らしい会話は皆無だった。

しばらくして「もう寝ようか?」

アスカが話し掛けてきた。声が少し震えているのがわかる。
アスカのほうも僕と同じ布団で寝るということに少なからず動揺しているらしい。
僕も内心の動揺を隠せずに震えた調子で、アスカへと答えを返した。
「そっそうだね。もう夜も遅いし寝ようか。」

そう言うとそそくさと二人して同じ布団へと入っていった。
お互いの顔はまだ赤い。
二人とも端っこに陣取り、お互いに背中を向けている。
・
・
・
ドキドキドキドキドキ
胸のドキドキがおさまらない。
それどころかドキドキはより一層はげしくなってゆく。
「(アスカ、僕と同じ布団で寝るなんて抵抗ないのかな。)」
心の中で心に浮かんでいる疑問を呟いてみる。
無論答えが出るはずもなく、そうこうしているうちにだんだんと睡魔が僕の意識を虫食んできた。

不意に、
「ねえ、シンジ?」
アスカが話し掛けてきた。
「どうして危険を犯してまでマグマに沈んでいく私を助けてくれたの?同僚だから?」

その言葉に僕は落ち着いた調子で答えた。
「あの瞬間、ケーブルが切れて弐号機ごとマグマの中へと沈んでしまうとわかった時、
なんか自分の一部が消えてなくなってしまうんじゃないかって思ったんだ。
変だよね、自分の大切なものがこの世から消えてしまうよう気がしたんだ。」
たぶん、寝ぼけていたんだろう、僕の口からは普段はいえないような言葉が紡ぎ出されていた。

「・・バカ・・・・。」
確かにアスカからそう言う声が聞こえた。
そして
ギュッ!
アスカが背中を向けている僕に抱き着いてきた。
(バカ・・ほんとにバカシンジなんだから・・・)
アスカの抱き着いた背中からアスカの気持ちが伝わってくるような気がした。
それはとても暖かく心地よかった。

私はシンジの言葉を聞いた時、シンジの心へ私の心が確かに沈んでいくのがわかった。
思わず私はシンジへと抱き着いてしまった。
もうここから浮かび上がることは出来ないんだ。
シンジの背中はとても広く暖かだった。
私はその温かさに包まれながらだんだんと眠くなっていった。

背中からアスカの寝息が聞こえる。
寝ちゃったのか。
今日は大変だったもんなアスカ。
「お休み・・アスカ・・。」
そう呟くと僕も夢の世界へと飛びだって行った。



某所にて
「ああー、なにやっているのよ、シンジ君は。
せっかくおねーさんが気をきかしてあげたのに。」

「男と女はロジックじゃないわ。」

「先輩も葛城さんも不潔ですっ。」

某所ではネルフを代表する三人の独身の女性達が
シンジ達の部屋を映し出したテレビを目を爛々と輝かせながら見入っていた。


さらに某所

「孫の顔が楽しみだな、碇」
「ああ」

ちゃんちゃん


マナ:さらに同居にいたる軌跡の続編のような作品を、ベファナさんが投稿して下さいました。これって、もしかして連載なのかなぁ。でも・・・とうとう、来たわね。マグマダイバー編。ここが危ないのよ・・・ここが・・・。

アスカ:あぁ・・・シンジは、アタシのことを自分の一部だと思ってくれてるのねぇ。(*^^*)

マナ:なに、のぼせ上がってるのよ! どうして、1つの布団に入るのよ!

アスカ:だって・・・ミサトが・・・。

マナ:もう1つ敷けばいいことでしょーーーが!!!

アスカ:は・・・そうだったわね・・・動揺してたのかしら? 気がつかなかったわ。

マナ:よくいうわねぇー、確信犯のくせにぃ!!

アスカ:それを言うなら、アタシが無理にシンジを連れ込んだんじゃないわよ。

マナ:シンジは騙されてるのよ! シンジを誘惑しないでよね!

アスカ:騙されてる人間が、『自分の大切なものがこの世から消えてしまうよう気がしたんだ。』なんてセリフを言うかしらぁ?

マナ:うーーーーーーー!!!

アスカ:もう、アタシの勝利は確定ね! あきらめなさい。

マナ:マグマダイバー編だからよ! 先に進めば、きっとチャンスが・・・。

アスカ:やーーねーーー。存在もしない希望にすがって、自分をなぐさめてるのぉぉぉ??? アハハハハ!!

マナ:くぅぅぅぅ・・・鋼鉄のガールフレンド編が、いずれきっとあるはずよぉぉぉぉ!!!
作者"ベファナ"様へのメール/小説の感想はこちら。
shi-ma@din.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system