------------------------------------------------------------------------------
修学旅行が終わって・・
------------------------------------------------------------------------------

たったったった
今日も道を走る音が鳴り響く。

「もう、やんなっちゃう。何で起こしてくれなかったのよ。」
一人は惣流・アスカ・ラングレー。
そして、

「しょうがないだろ、昨日夜遅くまで勉強していたんだから。」
もう一人は言うまでもなくその下僕(?)の碇シンジその人であった。

「きー!、バカシンジの癖に。」
思わず声を荒あげるアスカ。
しかしシンジはそれに構った様子も見せずに続ける。
無論走りながらである。

「そう言えばトウジたち今日帰ってくるんだよね。」
「ええ、そうよ。全く。私たちを置いて修学旅行なんて。
まったく、ふざけてるわよ。」
無意識のうちに”私たち”といったアスカだったが、
鈍感なシンジがそれに気づくはずもなかった。

今から一週間前、二年生全員を乗せた飛行機は
修学旅行のために沖縄へ向かった。
そして今日、修学旅行を終了させた二年生が帰ってくるのである。

「お土産、何かしらね。おいしいものだったらいいわね。」
自分の親友洞木ヒカリの買ってきてくれるお土産(食べ物)に思いを馳せるアスカ。
しかし。
「太るよ」
シンジの痛恨の一言がそれを中断させる。

ばしっ!

アスカの蹴りが飛ぶ。
「私は食べても太らないのよ!」
そう吐き捨てるように言い残すとアスカは走って先に行ってしまった。
シンジはアスカの蹴りをくらって倒れたまま。その台詞を聞いていた。
・
・
・
・
・
ガラッ!!
「おはよー!あれっ?」

何とか立ち直ってドアを開けて教室に入ってきたシンジ。
しかし教室にはアスカと綾波。他数人のクラスメートしかいなかった。
その数人のクラスメートも何やら疲れ果てように机に倒れ込んでいる。

「ようやく来たわね。バカシンジ。」
アスカが入ってきたシンジを見て言う。

「アスカみんなどうしたの?」
シンジが周りを見渡しながらアスカに尋ねる。
「私にもわからないわよ。ただ修学旅行で何かあったのは確かなようね。」
机に倒れ込んでいる生徒を見ながら言うアスカ。
そこへ、

がらっ!
入ってきたのは、アスカの親友である洞木ヒカリ。その他二名であった。

しかし三人とも様子がおかしい、肩をだらんと下げ。
足取りも重く教室に入ってくる。
「おはヨーさん。センセ。」
「おはよー、シンジ。」
疲れ果てた口調で話すトウジとケンスケ。
「おはよー、アスカ。」
同じくこちらも疲れ果てたような口調で話すヒカリ。
三人とも沖縄で大分焼いたのか真っ黒であった。

「どうしたのヒカリ?そんな疲れ果てて。」
「・・・アスカ・・・。」
アスカの問いに答えようとするが声が出ない。その気力もないらしい。

「トウジ、ケンスケどうしたの?沖縄で何があったの?」
こちらではシンジが彼の親友に話を聞いている。

「どうしたもこうしたもあるかい!」
三人の中では比較的元気のあるトウジがそれに答えた。
アスカもシンジの隣に来てそれを聞いている。

「まさか、沖縄っちゅーところがあれほど暑苦しいところとは思わなかったわ。」

「えっ、どういうこと?。」
いぶかしげな表情のシンジ。
その問いに答えたのはケンスケ。
「毎日毎日45度を越える気温とは思ってなかったぜ。おかげで俺達も
体力をすっかり消耗してこのざまさ。」

その時ハッとなってその理由に気づいたのはアスカ。
「そう言えばそうよね。沖縄ってここより南にあるんですものね。」
一人納得したように話すアスカ。
それにまだ理解しきれていないシンジが声を掛ける。
「どういうことなの?、アスカ。」

「アンタバカ、考えてもみなさい。ただでさえセカンドインパクトの影響で
この第三新東京市でさえ連夜の猛暑、真夏日よりなのよ。
緯度の高いここででさえ気温が高いのに、沖縄なんて南に行ったらもっと
暑苦しいに決まってるじゃない。」
「そうか。」

「そういうことだ、シンジ。おまえら沖縄来ないで正解だったぜ。」

「ところでアスカ?、アスカたちは私たちが沖縄行ってる間なにやってたの。」
そんな疑問を口に出したのはヒカリだった。

「私たち?、私たちは温泉に行ってたわ。」
「へー、いいわね。温泉か・・・・温泉!?。まっまさかアスカ。あなた碇君と
二人っきりで温泉に行ったんじゃないでしょうね。」
最後の体力を振り絞って問うヒカリ。
「ちっ、違うわよ。使徒殲滅後近くの旅館にネルフの職員みんなで泊まったのよ。」
顔を赤くしながら反論するアスカ。

しかしそこへトウジがいつものちゃちゃをいれた。
「でも同じ部屋で寝たんとちゃうんか。」
何気ないトウジの一言。それはいつもの冷やかしのつもりだったのかも知れない。
が、その一言にアスカとシンジは顔を赤くしたままうつむいてしまった。

「「・・・・・・・・」」

一瞬固まるクラスメートたち。
いつのまにか5人の周りには人だかりが出来ていた。

「まっまっまっまっまさか、おのれら同じ布団で・・・・」
いち早く回復したトウジがまたもやいらん事をぬかす。
その言葉を止めるはずのヒカリも今は固まってしまっている。
その言葉にも正直な反応を見せてしまう。アスカとシンジ。

「(あんたたち不潔よーーー!)」
「「(イヤーンな感じ。)」」

心の中で叫ぶ三人。
しかし沖縄帰りの疲れも手伝い。
とうとうその言葉が出る事はなかった。

そこには全身真っ赤に染まった二人と、体は黒いが顔面蒼白になっている生徒が
静かに硬直していた。

その硬直状態は、二年生の過半数が不登校のため本日学校休校の知らせが
届くまで続いたという。


マナ:2015年の沖縄って灼熱地獄だったのね。

アスカ:あんな所へ行くなんてバカよ。

マナ:よく言うわね。行きたくて仕方なかったんじゃなかったっけ?

アスカ:いいのいいの、温泉旅館に行けたんだから。

マナ:クラスのみんな固まっちゃったじゃない。どうするのよ。

アスカ:いいのいいの。しばらく、うるさい奴等がいなくてなったから。

マナ:クラスのみんながいない間、なにしてたのよ。

アスカ:シンジとねぇ。○○したりぃ。××したりぃ・・・。

マナ:こ、この外道が!!

アスカ:誰がゲンドウよ。

マナ:似たような物だわ・・・。すべてはシナリオ通りだったってわけね。

アスカ:そうよー。みんなが登校してきたらね。

マナ:何よ。

アスカ:今度は、みんな昇天しちゃうかもね。

マナ:アスカ! あなた、学校で何してんのよーーーーーーー!!!?
作者"ベファナ"様へのメール/小説の感想はこちら。
shi-ma@din.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system