------------------------------------------------------------------------------ 静止した闇の後 ------------------------------------------------------------------------------ 「なんだってんのよーーーー!」 停電の復旧したネルフから帰宅した、シンジとアスカ。 しかし帰宅と同時にアスカの絶叫がコンフォートマンションに響き渡った。 「いいから落ち着いてよ、アスカ。」 シンジがなだめようとするがアスカの怒りはなかなか収まらないようだ。 「なんでうちだけ停電したままなのよー!!!!。」 「しょうがないじゃないか、アスカ。明日電気屋さんに来てもらおう。」 じろっ! じとめでアスカが僕を見つめるのが見える。 「暗闇でどうするつもりよ、真っ暗なままじゃご飯も作れないじゃない。」 「そんなこと・・ないよ。」 そう言いながら僕はマンションの中を覗き込んだ。 本当に真っ暗だ。 数十cm先のものが見えない。 「いいから・・今日のところは入ろう、アスカ。」 そう言ってアスカの手を取るシンジ。 「何、人の手握ってるのよ!。」 パチーン! すぐさまアスカのビンタが華麗に夜空に輝く。 「しょっ、しょうがないだろ、この暗闇じゃ。はぐれたら危ないだろ。」 殴られながらも反論するシンジ。 「そっ、それもそうね。わかったわ、今日だけだからね!。」 そういって手を差し出すアスカだったがその顔は真っ赤に染まっていた。 暗闇だったのでシンジにはそれがわからなかったようだが。 シンジはアスカの手を握ると部屋の中へと入っていった。 キッチン ろうそくの火があたりを照らしている。 「アスカ、暗いから簡単なものしか作れないんだ、うどんで良い?」 「かっ構わないわよ。」 夕食の準備をしているシンジに対して、テーブルの椅子に座っていたアスカは、 先ほどまでシンジに握られていた手をじっと眺めていた。 やはり顔が赤くなっているようだが暗闇でよく見えない。 「出来たよ、アスカ。」 シンジはそういって丼をアスカの前に差し出す。 「「いただきまーす。」」 暗くてもユニゾンには支障はないようだ。 「へーえ、このうどん。何かいつもと違うわね。」 アスカがうどんを食べながらふとした疑問を投げかける。 「うん、この麺、僕が作ったんだ。」 「へーえ、そうなの・・・・・」 しばらく沈黙が流れるが・・ 「この麺シンジが作ったの!!!!!」 ハッとなったアスカが声を上げる。 「なんで、そんなこと・・・・」 「アスカ、この前市販の麺でうどん作った時、ぼろくそに文句いってたじゃないか。 だから今回僕が作ってみる事にしたんだ・・・気に入らなかった?。」 「そんなわけないじゃない。」 アスカの声は小さく消え去りそうだった。 アスカはシンジの些細な気遣いがとてもうれしかった。 ・ ・ ・ ・ ・ 「じゃあ、私。シャワー浴びてくるわね。」 数分後夕食を食べ終わったアスカはそう言い残し歩いていこうとした・・が 「きゃっ!」 暗闇で足元が見えないのでよろけてしまう。 「アスカ!」 ガタッ!椅子の投げ出される音が響く。 ろうそくの火が消える。 ・ 一瞬の静寂 ・ ・ そして・・暗闇 ・ ・ ・ 思考の回復したアスカは誰かに抱き留められているのを知った。 恐る恐る上を覗いてみるとそこにはシンジの顔があった。 「大丈夫?アスカ」 アスカはシンジの胸に抱きつくような形になっていた。 ぼんっ! たちまち顔が赤くなるアスカ。 しかし暗闇で・・・以下略。 「アスカ?」 いぶかしげな表情でアスカを見つめるシンジ。やはりシンジも顔が赤い。 二人はしばらくそのまま抱きあったままだったが・・ しばらくするとシンジが顔をアスカの顔に近づけていった。 たちまち混乱するアスカ。 「(えっ!まさかシンジ。私にキスしようとしているの?。まさかあのシンジがこんな行動に出るなんて、 だめよっ、私のファーストキスは加持さんにあげるんだから!、 それに私たち未だ告白もしていないのに。駄目っていってるでしょ!バカシンジ!)。」 無論、心の叫びがシンジの耳に届くはずもなく二人の距離はだんだんと近づいていった。 「(もう!シンジが全部悪いんだからね、私は悪くないわよ)。」 アスカは覚悟を決めたように瞳をとじた。 そして・・・二人の距離がゼロになろうかという時。 パチッ! 今まで停電していた部屋の電気がついた。 その拍子に瞳を開けてしまうアスカ。 思わず数瞬シンジと見つめ合う。 が・・・・。 「きゃーーー!エッチ!馬鹿!変態!もうしんじらんなーーい!」 ドタドタドタドタ お約束のせりふを吐いた後アスカは一目散にシャワー室へいってしまった。 もちろんそこには 「(アスカ・・・・何で僕あんなことしちゃったんだろ。) と頬に見事なまでの紅葉を貼り付けながら自問自答しているシンジが残されていた。 一方シャワー室に入ったアスカちゃんはというと ドアを背にして、唇に右手人差し指で触れながら考え込んでいた。 「(私なんであんなことしちゃったんだろ、ファーストキスの相手は加持さんだって 決めていたのに・・でも・・・・シンジ・・シンジとだったら良いかな・・。)」 静止した闇の中 暗闇には人をいつもより少し大胆にさせる力があるいう。
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