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風邪
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「ハックシュン!」

「もー最低!なんでこの私が風邪なんか引かなくちゃなんないのよ。!」

「アスカ、頼むからおとなしく寝ていてよ。」

「わかってるわよ、あんたはさっさと学校いきなさいよね。」

「うん、じゃあ、行ってくるよ。アスカ。」

そういうとシンジは学校へ行った。

「まったくバカシンジったらいつまでもいつまでも、『アスカ大丈夫?』とか
『アスカしっかり』とか繰り返し繰り返しうざったいったらありゃしない・・・・・・・
まあ・・・・それだけ心配してくれているんだろうけど。」

ベッドの上には少し顔を赤らめた少女が横たわっていた。

なぜ少女がここに寝ているかというと、まあ、平たく言えば風邪を引いたのだ。
原因は分かりきっている。昨日ネルフが使徒の侵入を受けたとき、裸のまま
長時間放置されたのがその原因だ。
某科学者に言わせれば”無様ね”なんて言葉が返ってきそうだが風邪を引いた本人はたまったもんじゃない。
好きな(?)少年と離れ離れにされてしまったのだ。
これにはアスカの機嫌が悪いのにも納得が行くような気がする。



ところ変わって第一中学

「えーーーーーー!アスカ風邪なの?」
そう叫んだのはアスカの親友、洞木ヒカリその人であった。

「でも大丈夫だよ、いつもどおり元気いっぱいだし。とても病人には見えなかったから。」
ヒカリに声を掛けるシンジ、しかし声は決して明るくない
「その割にはシンジも元気あらへんな。」
「そうそう惣流がいなくて寂しいのか。」
シンジの言葉に答えたのは、彼の悪友二人、鈴原トウジと相田ケンスケであった。

つい顔を下に背けてしまうシンジ。

「鈴原も相田も碇君をからかわないの!。今アスカが風邪で大変なんだから。」

「へいへい、わかっとるわい」
「そうそう奥さんは大事にしろよシンジ。」
ヒカリの言葉にも動じた様子を見せずシンジをからかいながら教室に入っていく二人。

「もうあのふたりったら・・・・・・碇君大丈夫?。」
ヒカリは下を向いて心ここにあらずといった感じのシンジに声を掛ける。
「大丈夫だよ、洞木さん。」
しかし相変らずシンジの顔は沈んでいる。
明らかにアスカと離れ離れになっている事が原因だとヒカリには分かっていたが
ヒカリには何もする事が出来なかった。
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放課後

「きりーっれいっちゃくせきっ」
ヒカリの声が教室に響き一日の授業が終わる。
シンジは一目散にアスカのもとへと向かう。

「あれっシンジは?」
「知らんわ、奥さん心配になって、さっさと帰ったとちゃうんか。」
ケンスケとトウジがそんなことをいていると案の定
「スーズーハーラー」
彼の天敵であるヒカリの登場である。
「ほなケンスケ帰ろうか。」
「ああ、そうだな。」
ヒカリの登場とともにさっさと教室を抜け出す二人。
「まったくあの2バカは・・碇君も大変よね、あんなのが親友なんだもの。」
二人の去った教室ではヒカリがそんなことを呟いていた。
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そのころ校庭では
「ちょっとどいでくれよ。」
シンジの珍しく険悪な声が響く。
一刻も早くアスカのもとへ駆けつけなければならないというのに
シンジの前には3年生の3人組が立ちはだかっていたのだ。

シンジにはその顔に見覚えがあった。確かアスカのファンクラブの連中だ。

「碇、お前いつも惣流さんが一緒だからっていい気になってんだろ。」
一人の男がシンジに話し掛ける。
「本来ならお前ごとき惣流さんの側に近寄る事さえも出来ないんだ。
そのことを惣流さんがいない今日、お前にはっきりとわからせてやる。」
突然一人の男がシンジに殴り掛かった。
続けて二人目の男が・・そして三人目が。
シンジの体がたちまちぼろ雑巾のように砂埃にまみれ、所々赤く染まって行く。
そして地面に倒れているシンジを男が蹴り飛ばそうとしたとき

「おのれら!シンジになにさらしとんじゃい!!。」

「やべぇ!鈴原だ!逃げろ!」
シンジの親友である鈴原トウジの登場に3人の男は次々と逃げ出していく。
「大丈夫か、シンジ。」
ケンスケがシンジを抱き起こす。
そこへ
「あいつら、今度見つけたらパチキいれちゃる。」
そういってトウジが戻ってきた。
「センセ、大丈夫か?」
「ううっ・・だいじょう・ぶだよ・・これくらい・・」
トウジたちのその言葉にシンジは薄目を開け意識を取り戻したようだ。
「シンジ・・・・」
意識を取り戻したシンジはトウジたちの手を振り払って立ち上がった。
「アスカのとこへ行かなきゃ・・・」
シンジはそういうと足を引き摺りながら帰路へとついていった。
残されたトウジとケンスケはその様子を心配そうに見つめていた。

そしてその様子を教室の窓から眺めている少女がいた、洞木ヒカリその人であった。
その少女の呟きは誰にも届く事なく風に消えていった。
「すずはら・・」
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「ただいま。」

へとへとなりながらもようやくマンションへ辿り着くシンジ。

「おそーい!どこほっつき歩いていたのよって、シンジ!どうしたの?」

玄関までシンジを迎えに来たアスカちゃん、しかしぼろぼろで帰ってきたシンジに
驚いている。

「いっ、いやちょっとそこで転んじゃって。・・・それよりアスカ風邪は?」

「そんなのとっくに治ったわよ、それよりアンタよ、そんなボロボロになって!
おまけに転んだですって、私がそんなうそにだまされると思っているの?」

一気に捲し立てるアスカ。

「ごめん。」
そんなアスカにシンジが反論出来るはずもなく、ただただ謝ってばかりだった。

「まあ、いいわ。さっさとあがってリビングで待ってなさい。」

アスカはそういうとさっさとどこかへ行ってしまった。
残されたシンジはアスカの指示通りにリビングへと向かった。
まだ傷が痛むらしく動きがぎこちない。

「ふー、」

シンジがリビングにたどり着き一息入れているとそこへアスカがやってきた。
手には救急箱が携えられている。

「ほら!シンジさっさと怪我したところ出しなさい。」
「!」
シンジは状況がよくつかめていない様だ。

「私が手当てしてあげるっていってるのよ、いいから出しなさい。」
ようやく状況をつかんだシンジは少し顔を赤らめながらアスカに傷を見せた。

「ありがと・・アスカ。」
「まったく、もうちょっとしっかりしなさいよね。あんたに怪我されると
私が困るじゃない。」

真っ赤になりながら言葉を紡ぐアスカ。その真意は分からない。
でも、シンジは一生懸命に自分の傷の手当てをしてくれているアスカをただじっと、優しく見つめていた。
そしてシンジは自分が確実に目の前の少女にひかれていることを改めて実感していた。

次の日
まだ怪我が治りきっていないシンジが二人を止められるはずもなく、
シンジを襲った三人組に見事なまでのトウジとアスカの
ユニゾン(?)攻撃が炸裂した。
まあ、一種の自業自得って奴ですよね(笑)。


マナ:風邪が治ったんなら学校に行きなさいよ!

アスカ:ちょっと、面白い昼のドラマがあったのよ。

マナ:まだ、熱があるんじゃないかって、シンジが心配してたじゃない。

アスカ:まさか、帰ってくるとは思ってなかったのよ。

マナ:そのせいで、シンジがボロボロになっちゃったじゃない。

アスカ:ちゃーーーんと仕返ししてやったわよ。

レイ:(ぬぼーーー)

アスカ:ヒーーー、びっくりしたわねー。なんなのよ突然。

レイ:どうして私は呼んでくれなかったの?

アスカ:なにが?

レイ:碇くんをいじめた人へ仕返しするとき・・・。

アスカ:アンタも参加したかったの?

レイ:ATフィールドで、ぺっちゃんこに・・・フフフ。

アスカ:・・・・・・・・・アンタ。(--;
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