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キスした夜・・その後
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「なーんか、ギスギスしてるわね。」
委員長こと洞木ヒカリ、アスカの親友である彼女が呟いた。

彼女は朝登校してきてからのアスカの様子をずっと見ていた。

「(珍しく碇君と一緒に登校してこないし。学校に来てからも一言も
しゃべらないし。何かあったのかしら)。」
ヒカリはいつもと様子のおかしいアスカをしきりに心配していた。

一方、二バカこと鈴原トウジ、相田ケンスケのほうでも
そんな二人の間のギスギスした空気に気がついていた。

「どうしたんや、センセィ。さっきから一言も惣流と話さなへんがな。」
「昨日の夜何かあったとか。」
「そう言えば惣流の様子がおかしいのぉ。さっきから赤くなったり青くなったり、
忙しいやっちゃな。シンジのほうも暗い顔で机にしがみついておる。」
「これは委員長と相談してみるべきだな。」
「そうやな、若い二人のために一肌脱いでやるか。」

やや強引に話がまとまったところで二人はヒカリのもとへ駆け寄った。
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「そうよね、私も二人の様子がおかしいと思っていたのよ。」

ヒカリの元へ駆け寄った二人はさっそく事の顛末を彼女に話した所、
どうやら彼女のほうでも同じ考えだったらしく話に乗ってきた。

そのころアスカとシンジの方はと言うと

「何でシンジなんかとキスしちゃったのかしら・・・ああーー!惣流・アスカ・
ラングレー一生の不覚だわ。いくら暇つぶしとは言えあんな奴とキスしちゃうなんて、
恥ずかしくて顔もまともに見れないわ。」

「何でアスカは僕にキスしようなんていってきたのかな。暇つぶして言ってたよな。
本当に暇つぶしだったのかな、そう言えばアスカは加持さんが好きなんだよな。
と言う事は本当に暇つぶし?。いや、アスカは暇つぶしでそんな事する女の子じゃないしな。」

二人とも思考の波に飲まれており、ヒカリたちの様子には気づいていなかった。


「なあ、委員長はどう思う?。」
話し掛けたのはケンスケ。
トウジはこの手の話には疎いので傍観者を勤める事にしている。
「昨日は二人とも普通だったし・・やっぱり何かあったとすれば夜よね。」
「やっぱり委員長もそう思うか。でも何があったんだろうな。」

そういって一同は再び両者のほうを見る。
しかし二人ともさほどとたいした違いを見せず、
アスカは口に指を当てながら考え中。シンジも暗い顔で何やら考え込んでいるようだ。

「・・・そうか、わかったわ。」
いきなりヒカリが声を上げた。
「何がわかったんや。」
傍観者を勤めていたトウジが声を上げる。
「ええ、分かったのよ、乙女の感でね。」
「「乙女ねぇ・・・・。」」
ケンスケとトウジのユニゾンが決まった。

がんっ!
委員長がかばんで二人を殴りつけた。
すぐさま倒れる二人。

「ごっ、ごめん鈴原。」
自分で殴っておきながら鈴原を心配するヒカリ。
「ワ、ワシは大丈夫や、それより偉く硬いのぉそのかばん。何が入っとるんや?。」
「ええ、フライパン、私料理が趣味だから。」
それに対しトウジは
「(フ、フライパン?そうか委員長って意外と家庭的なんやなぁ)。」
などとぼけていた


ちょうどそのころ忘れられていたケンスケが復活した。
「い、委員長、それで何が分かったんだ?。」

あら相田君いたの?そんな顔をするヒカリ。

そしてヒカリはゆっくりと二人に話し始めた。

「ええ、あのふたりね・ゴニョゴニョゴニョ・・。」

他のクラスメートたちに聞こえないように小声で話すヒカリ。
しかし誤算はこの男にあった。
・
・
「な!なんやと!!!惣流とシンジがキ!キスしたやと!!!。」

ご存知鈴原トウジ14歳。
有らん限りの大声を張り上げて叫んでしまった。

「ちょっ・・。」
ちょっと鈴原声が大きい!そう言いかけたヒカリだったが、
アスカの声にはばまれてしまった。

「鈴原!あんたなんてこと言うのよ。」
ボーっと考え事をしていたアスカだったが、さすがにトウジの大声は耳に入ったのか、
顔を赤くしながらトウジに言い寄った。
アスカの様子はすでに戦闘モードに入っていた。

「い、いや・・シンジ・・。」
シンジと惣流の様子がおかしかったもんやから、委員長がそう言ったんや!
そう叫ぼうとしたトウジだったが、後の言葉を待たずしてアスカはシンジのほうへと
向かった。

「シンジ!。」

はっ!
思考の海からようやく抜け出したシンジ。
先ほどのトウジの大声もシンジには聞こえてはいなかったらしい。
「なに?アスカ。」
声が震えている、無理もない鬼の形相をしたアスカが自分の前に立ちはだかっていたのだ。

パシーン!
いきなり殴り付けるアスカ

「あんた、昨日の事誰かに話したでしょ。」
「えっ?」
赤くなった頬を触りながら聞き返す。

「何様のつもり?私とキスしたからってすぐ言いふらすなんて!。」
「僕は誰・・。」
僕は誰にも言ってないよ。そう言おうとしたシンジだったがまたしても
アスカの声にはばまれてしまった。
「あんなんですぐ恋人面するのやめてよね。こっちが迷惑だわ。」
さすがのシンジ君も立ち上がってこの言葉に反論する。
「なっ何だよ、アスカのほうからしようって言ってきたんじゃないか。」
「そんなの関係ないわ。それに私はあの後うがいしたんだから、あのキスは無効よ。」
「したのは事実だろ!。」
「なによ!そんなに私とキスしたかったのならさっさとすればよかったじゃない。」
「そんな問題じゃないだろ!」
「それを私から誘ったみたいに言うなんて!。」
「そうよねー碇君には無理よね。」
「無理じゃないさ!。」
「へん!無理ねあんたには。そんな度胸無いもの。」
「出来ないのか、シンジ。」
「そこまで言うのならやってやるさ・・・えっ?。」
「ふんっ出来るもんならやってみなさいよ・・えっ?」

そこまで来てシンジとアスカは会話に二人以外の声が混じっているのにようやく気がついた。
横を見るとヒカリとケンスケがにやにや笑っている。

「じゃあやってもらおうかシンジ。」
ケンスケが言う。

見るとクラスメートたちの好奇の目が二人を囲んでいる。
無理もないあんな大声で言い合っていたのだから。

真っ赤になってうつむく二人。

そんな二人にますます注目が集まる。

「「な、なんでこうなっちゃったんだ(のよ)。」」
二人はそう思いながらお互いの事を見やる。
目と目が一瞬あう。
またもや真っ赤になってうつむく二人。

不意にヒカリがアスカの背中を押した。
前にバランスを崩すアスカそれをシンジが受け止めた。
そして二人は抱き合う形となった。

「(ど、どうしよう・・このままじゃ公衆の面前で恥をさらす事になるわ。
・・・そ、そうだ。)シンジ。」

アスカに動きがあった。
「おお!」歓声が沸きおこる。
いよいよ二人のキスシーンが見れるとなって
観客は瞬きするのも忘れるほど二人に注目していた。

「えっ?」
「逃げるわよ。」
シンジの答えも聞かないままシンジの手を取って駆け出すアスカ。
数瞬後には教室から姿を消していた。
後にはあまりの事に茫然自失となった観客と、
手を取り合ってアスカとシンジの様子を見ていたヒカリとトウジが残されていた。

「「はあっ、はぁっ。」」
二人は屋上にいた。
「な、何だよアスカ。いきなり走り出すなんて。」
ようやく呼吸の落ち着いたシンジがしゃべり出す。
「しょうがないじゃない、あんな公衆の面前でキスなんか出来ないわよ。」
「えっ?」
「まさか、今更出来ないって言うんじゃないでしょうね。」
「やってやるよ。」

アスカの答えについ強気になるシンジ。
そして真っ赤になりながらも
アスカの側に近づき。

「いいの?」

「出来るならね。」

そして僕たちは唇を重ねた。
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二回目のキスは少し大人のキスだった。
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・
その頃屋上の入り口では
「おいっ押すなって。」
「見えないだろ。もっとつめろよ。」
「アスカしあわせそう。」
「ちょっとみんな授業中よ!」
「けち臭い事いうなって委員長。」
「そうそう親友の晴れ舞台じゃないか。しっかり写真に撮っておかないとな。」
「畜生!碇のやろう。うらやましすぎる・・。」
クラスメートたちが二人の様子を探りに詰め掛けていた。





余談だが、ケンスケがこの時撮った写真は末端価格数百万を記録したという。

購入者の言葉。
「碇、明らかに無駄づかいだぞ。」
「ああ、問題ない。」


マナ:な・・・な・・・なんてことするのよ!!!!

アスカ:もうシンジに唾つけちゃったもんねぇ。

マナ:ひどい!! 2回もするなんて!!

アスカ:手遅れよあきらめなさい・・・っと、それはいいとしてケンスケのやつぅ!!

マナ:全然良く無い!!

アスカ:まぁ、アンタみたいな無謀な女に対しての歯止めくらいにはなるから、売ったこと自体は許すとして・・・。

マナ:む・・・無謀・・・まだ、勝負は終わって無いわよ!

アスカ:売上の9割9分は、もらわないといけないわね。

マナ:勝負よアスカ!!

アスカ:さて・・・ケンスケをとっちめにいってくるか。

マナ:ちょっと!! どこ行くのよ!

アスカ:あら・・・まだいたの? じゃね。

マナ:あ・・・相手にもされてない・・・く、くやしい・・・。(TT
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