「なんですってぇー!お弁当忘れたぁ!。」

「昨日は宿題でお弁当作る暇なかったんだよ。」

元気なアスカの声とは裏腹にシンジ弱々しい抗議の叫びがあがる。

「アンタはこの私に、お昼なしですごせってぇの?。」

アスカがシンジ机をたたいて抗議する。

「なんや、また夫婦喧嘩かいな。」

「「違う(わ)よっ!。」」

そこへいつも通りのトウジの冷やかし。
そんな冷やかしにも二人は仲良くユニゾンで抗議する。

「でも、許せないわね。何でアンタだけお弁当持ってきてるのよ。」

シンジの机の上には青い包みで覆われたお弁当箱が一つおかれていた。

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お弁当×1

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真っ赤な顔から復活したアスカが第一声。
それに続いてシンジが反発を開始する。

「だっだって・・元はといえばアスカがいけないじゃないか。
明日のお弁当は洞木さん作ってもらうとかいって、今朝になって急に僕に頼むから・・。」

「じゃあ、時間がないならないなりに、どうして私のを優先にしないのよ。」

「アスカがわがまますぎるからだろ。僕だって朝起きるの遅かったし、
急に言われてもできるわけないじゃないか。」

アスカからお弁当が必要だと宣告されたのはアスカが起きる時間。
つまり、僕がお弁当を急いで作り終わった後だったのだから。

「こっちだって、ヒカリにお弁当断ったのが昨日の夜で、シンジを起こすのかわいそうだと
思ったから今日にしてあげたのに。」

「かわいそうだと思うなら自分でお弁当ぐらい作ってよ。」

「なんですってー。アンタが作らせてくださいっていうから作らせてやってんのに。」

「なんだよそれっ。」

教室では再び夫婦喧嘩?が始まっていた。
シンジとアスカの周りには人だかりができてきたが二人がそれに気づく様子はなかった。

「と・に・か・く、私のお弁当を忘れた罰として、アンタの持ってるお弁当を私に渡しなさい。」

「そんなわがまま利けるわけないだろ。」

「じゃあ、私にどうしろっていうのよ。お昼抜きですごせってぇの?。」

「購買部で買っていくればいいじゃないか。」

「ふんっ、あんなものが私の口に合うと思ってるの?。いいからアンタのお弁当渡しなさい。」

「そんなぁ・・。」

ようやく夫婦喧嘩?も鎮火の傾向を見せ始めた。
大方の予想通りシンジの敗北で終わりそうだ。

「碇君、いいじゃない。そのお弁当二人でわけあえば。」

「「えっ?」」

ユニゾンで返事をする二人。
ヒカリの言葉にクラスメートは絶句してしまっている。
あの『不潔よ〜』の洞木さんがそんなこと言うなんて。

「別に変なことじゃないわよ。アスカが食べ終わった後、碇君が食べればすむことでしょ。」

「そう言えばそうよね。」
あっさり納得したのはアスカ。
シンジの方はまだ納得しかねているようだ。

「じゃあ、屋上行くわよ。シンジ。」
アスカは最後まで周りの人だかりに気づくことなく。
シンジを引きずって屋上へと向かっていった。

二人のいなくなった教室はいつもの静けさを取り戻していた。

・
・
・

「くー!やっぱり、おいしいわね。」

屋上では早くもアスカがお弁当を食べ始めていた。
シンジは、そんなアスカをうらやましそうに眺めている。

どう見ても二人は恋人同士にしか見えない

「僕が作ったのに・・。」

「まぁだブツクサ言ってるの、もうちょっと待ってなさい。
私が食べた後、渡してあげるから。」

そう言いながらアスカはエビフライを口に運ぶ。

ぐー!
そんなときシンジのお腹の音が響いた。

「お腹減ったの?、シンジ。」
アスカが声をかける

「当たり前だろ。」

「しょうがないわねぇ。ここでアンタに餓死されても困るし・・。」

そう言いながらアスカはシンジのお弁当箱の中から
一口サイズに切った卵焼きを箸でつまみ出す。

「ほら!口を開けなさい。」

「え!、いいよ後で自分で食べるから。」
シンジの頬が赤く染まる。

「いいから!口を開きなさいっていってるの!。」

シンジがどうやってもアスカは引こうとはしない。
シンジはあきらめて、アスカの持つ箸から卵焼きを受け取った。

「どう?。」
卵焼きをシンジに食べさせたアスカが聞く。
こちらも頬が赤くなっているようだ。

「もっもちろん、おいしいよ。」

「あっアンタの作ったものだから当たり前じゃない。・・それに・・この私が食べさせてあげたのよ。」

アスカの言葉の後半はシンジには聞こえないほど小さかった。

「次はなに食べたい?。」

「えっ、本当にもういいよ自分で食べるから。」
シンジは両手を前に出しアスカを制止しようとするが、

「つーぎーはーなぁに食べたい?。」
強調して言葉を紡ぐそんなアスカに、シンジが逆らえるはずはなく。

「えーと・・エビフライでいいです。」
弱々しい声で答えてしまう。

「エビフライね・・じゃあ、あーんして。」

アスカに促され口の中にエビフライを入れるシンジ。
言葉では仕方なさそうだったが明らかに表情がそれを裏切っている。
アスカもすっかり新婚気分のようだ。
・
・
・
・
・
「「ごちそうさまー。」」
食事を終えた二人。
二人とも顔が真っ赤だ。

「シンジ・・お弁当おいしかった?。」
自分で作った訳でもないのにアスカが心配そうに聞く。

「もちろん・・・おいしかったよ。・・アスカが食べさせてくれたからね。」

「(えっ?)きっ聞いてたの?。」

「当たり前だろ。アスカの声を聞き逃すはずないじゃないか。」
その言葉を言った後、シンジは照れたようにうつむいてしまった。
・

・
・そのまま幾ばくかの時間が流れる。
言っておくが昼休みはとっくに終わっている。
・
・
・
「シンジ・・明日は私がお弁当作ってあげようか。」

「え?・・・・本当?。」
嬉々とした表情でシンジが問い返す。

「うん・・いつもシンジにばかり作らせているからたまにはね。」

「・・・ありがとうアスカ。・・・・明日楽しみにしてるよ。」


・
・
・

そして次の日・・・・・・

「何だってぇー!お弁当忘れたぁ。」

「仕方がないでしょ。私、料理初めてだったんだから。」

シンジの悲鳴にもにた叫び声とアスカの声が2−Aに響く。

「なんや、また夫婦喧嘩かいな。」

「「違う(わ)よ。」」
トウジの冷やかしにもいつもの調子で反論する。

「それにしても・・昨日約束したのに・・。」
悲観の様子のシンジ。
思わず顔をうつむかせてしまう。
「やれやれしょうがないわね。」そんな表情のアスカが声をかける。

「でも・・、私の分は持ってきたのよ。」

「え?。」
シンジの顔があがる。

「だから、アンタに半分あげるわ。光栄に思いなさい。」



すべてはアスカのシナリオ通りに(笑)


マナ:きったなーーーーーーーーーーーーーい!!! 手口がきたなすぎるわよ!

アスカ:あら? 何が?

マナ:1度目は、シンジが作れないようにしむけて!!

アスカ:何のことかしらぁぁぁ?

マナ:2度目は、わざとシンジのだけ忘れて!!

アスカ:だって・・・初めてだったんだもーーーん。

マナ:あなたの分は作ってきておいて、初めてもへったくれもあるもんですか!!!

アスカ:あっらぁぁ? アタシが仕組んだっていう証拠はどこにあるのかしらぁぁ? おほほほほーーのほーー。

マナ:あるわよ!

アスカ:え・・・。ど、どこにあるのよ。

マナ:ベファナさんが、教えてくれたのよ。

アスカ:ベファナは、アタシの下僕よ! そんなことするわけ無いわ!

マナ:じゃー、最後の「すべてはアスカのシナリオ通りに(笑)」は何かしらぁぁ?

アスカ:ゲ・・・しくじりやがったな・・・!(ーー;)

マナ:天誅ーーーーーーーーーー!!(−−)/(゚o゚) ゲシッ!
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