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KIZUNAV
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「私は負けるわけに行かないのよ。」

シンジのネルフ脱退。
その事実は私たちパイロットに重くのしかかっていた。もう負けられない。

そして今「力」をつかさどる使徒、ゼルエルによる襲来が始まった。

「何で倒れないのよ。ATフィールドは中和しているのに。」

「アスカ、落ち着いて!」
ミサトの叱責が飛ぶ。

しかし私の耳には入らず、私はひたすら使徒に対し攻撃をおこなっていた。

使徒がゆっくりとジオフロントに下降してくる。
二号機の攻撃が効いたような様子はない。
間違いなく史上最強の使徒だった。

ドキューン!!!ドキューン!!!ドキューン!!!

相変らずバズーカを連射している二号機。
使徒がジオフロントに降り立つ。

その時、使徒に変化があった。
手らしきものが下に伸びた・・・・
次の瞬間

ズバッ!!!!

「あつっ。」

使徒の手がこちらに向かってきて、二号機の両手がバズーカごと切り落とされた。

「(負けられない。)」

私は使徒を睨み付け、
二号機ごと使徒に向かって走り出した。

「(もう負けられない!、もう、シンジだけに負担は掛けさせられない。)」


「アスカ!!!、神経接続解除はやく!!!!」
ミサトの命令が飛ぶ。

刹那!
ズバッ!!!!


二号機の頭が切り落とされた。

使徒はそんな無抵抗の二号機の横を摺り抜けていく。

「何も、、何もできなかった。」
首を失い電源の落ちた暗い二号機の中でアスカは一人呟いていた。
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「二号機完全に沈黙。使徒、本部まで一直線です。」
オペレーターの日向マコトが叫ぶ。

「(まだ手はあるはずよ。)」
ミサトが呟く。

その時

クオォーーーーン
かすかな駆動音とともにゼロ号機がジオフロント内に姿をあらわした。

「ゼロ号機・・まさか、まだ修理中のはずよ!」
疑心暗鬼の赤木リツコ。
「ゼロ号機、N2爆雷を装備しています。」
「何ですって!」
ミサトが叫ぶ。



「えっ、ゼロ号機・・レイ!」
司令塔からの声を何気なく聞いていたアスカだったが、
ゼロ号機を知らせる声にハッとなって顔を上げた。

アスカが顔を上げるとそこには爆弾を抱え、使徒に向かっていくゼロ号機の姿があった。

次の瞬間

ドゴォーーーーーン。
閃光、爆風、振動、
ゼロ号機と使徒はともに消滅した。


「早く!、ゼロ号機の反応調べて。」
ミサトが直ちに命令を下す。
「目標物付近に高エネルギー反応あり、」
「レイなの?」
マヤの答えに再び問うミサト、しかし答えたのは。
「違うわ。」
「リツコ!・・じゃあ高エネルギー反応って。」
ミサトの顔が徐々に青くなっていく。
「映像、出ます。」
「やっぱりね。」

リツコが呟く。
そこには例の腕でゼロ号機の顔面を切り裂いた使徒の姿が
悠然と立っていた。

「もう、なすすべなしね。」
それを呟いたのはミサト・・あるいはリツコだったのかもしれない。
でもその言葉は、この場にいる全員の言葉を代弁していた。
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アスカは走っていた。
プラグスーツのまま草をかき分けながら。
「レイ・・・無事でいなさいよ。」
そう呟きながら。

レイの爆発を見た直後、いても立ってもいられなかったのだ。
「レイを助けなきゃ。」
アスカは直ちにエントリープラグを射出。
一目散にレイのもとへと向かっていった。
ゼロ号機までの距離は3キロほど離れていた。

ちょうどそのころ初号機のもとへと向かう少年の姿があった事を
少女が知るはずもなかった。
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「ハアッハアッ」
息を切らせながらゼロ号機のもとへとたどり着くアスカ。
幸いゼロ号機の損傷は頭だけ、
しかし神経接続を解除しないまま、N2爆雷の衝撃を受け。
おまけに頭にもダメージを負ったのだ、レイの安否が気遣われる。
「レイ!!。」
すぐさまエントリープラグを射出。
そしてハッチへ手をかける。
「こんちくしょーーーーー!」

ギギッ!
ハッチが開きすぐさま中を覗き込む。

「レイ!」
再度呼びかけるアスカ。
中には気を失ったままのレイの姿があった。

レイの目がうっすらと開く。
「アスカ?」
「レイッ!。」
アスカがレイに抱き着く。
「ほんとに・・・ほんとに心配したんだから!」

アスカが涙を流しながらレイに向かって言う。

その時アスカはレイの顔を見て驚いた。

「レイ!あんた笑えるんじゃない。」

そこには不器用ながらも笑顔を顔いっぱいに湛えているレイの姿があった。

「ええ、こういう時には笑えばいいって碇君が。」
笑いながらも口調はレイのまま、冷静な口調で答えを返す。

ムカッ
「よかったわね、シンジにそう言ってもらえて。」
ちょっと不機嫌そうに言うアスカ。

しかしレイがフォロー?を入れる。
「大丈夫よ。碇君、アスカの事好きみたいだから。」

「なっ、こんなとこで何てこと言うのよ。・・・
いっ、いつまでもこんなところにいないで、
さっさと逃げるわよ。」

顔を赤くしながらもレイを強引に立たせるアスカ。
二人はそのまま避難所へ向かった。

その途中、使徒ともに射出される初号機をみた。

「シンジ!。」
「大丈夫よ、碇君なら。必ず戻ってくるわ。アスカが待っているんですもの。」
「レイもいちいちうるさいわね。」
相変らず顔を赤くしながら反論するアスカ。

このままいけばこの二人、親友になりそうな雰囲気が漂う。
しかし運命はどこまでも残酷だった。
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その後初号機と使徒による死闘が繰り広げられた事を、
避難所に避難していたアスカたちが知るはずもなく。
ましてやシンジが初号機にとり込まれたという事はまさに寝耳に水であった。


「いやーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
「アスカ。」
事実を聞き絶叫するアスカ。
なだめようとするレイ。
しかしアスカは事実に耐え切れずに倒れてしまった。

そして2日後、アスカは無事回復した。

だが

「記憶喪失ぅっ!!」
「ええ、そうよ。どうやらシンジ君を失った事が相当ショックだったみたいね。」
「記憶喪失ってどのくらいの記憶がないの。」
「そうね、大体ここ二ヶ月ぐらいかしら。」
「二ヶ月ってあんた・・簡単に言うけどそれって。」
「そう、アスカは日本に来てからの記憶を失ったことになるわね。」
・
・
・
廊下ですれちがうレイとアスカ
レイに話し掛けるアスカ。
「あなた、人形みたいね。」
その言葉にレイは何も言う事が出来なかった。


・・・・・・・・・
その後記憶喪失の後遺症から
使徒との決戦に耐え切れず。徐々に精神崩壊を起こしていくアスカ。
ついには病院のベッドで寝込む事になってしまった。


そして物語は最後の決戦へと向かう。


最終話
THE END OF EVANGELION〜伝えられなかった言葉〜
                                                          へ続く


マナ:困ったわ・・・アスカが記憶喪失になっちゃったわ。

アスカ:あら? アンタ誰?

マナ:やっぱり、覚えてないのね・・・。

アスカ:世界中に何万といるアタシのファンを、いちいち覚えてられないわよ。

マナ:誰が、あなたのファンなのよ! それより、シンジのことどうするのよ。もらっちゃうわよ!

アスカ:ダメ!

マナ:なんだ・・・シンジの記憶あるんじゃない。

アスカ:シンジって誰?

マナ:あなたねぇ・・・。

アスカ:よくわからないけど、あげない。

マナ:やっぱり、覚えてないの? これはチャンスかも・・・。

アスカ:シンジ・・・シンジ・・・シンジ・・・・・・・。あ!

マナ:思い出しちゃったの?

アスカ:確か・・・アタシの下僕・・・だったような・・・。

マナ:・・・・・・・・・・・・・・・。当たらずとも遠からずか・・・。
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