ポチャン・・・・・・・・

奇怪な音色を残しながら第17使徒と呼ばれた
そのものは巨人の手のひらの上でその体を引き裂かれ
LCLの海へとその身を踊らせた・・・


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さよなら

     ベファナ
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「終わったのね・・・・。」

ミサトのつぶやきがそっと洩れる。
その言葉はその場にいる皆の胸に安堵感をもたらしていた。

「ふぅ・・・本当にこれで終わったんですね。」

「やっと平和が訪れるんですよね・・・。」

男二人の声がミサトの声に続いてあげられる。
しかし、不思議と残る一人伊吹マヤの声だけはそこにはなかった。

「マヤ、どうしたの?。」

相変わらず画面を見つめたままのマヤの様子を不快に思い
ミサトはマヤの方を見やる。

するとマヤの体がかすかにだが震えているのがわかった。

「マヤ?。」

再度ミサトが問いかける。
すると今度はマヤの返事が聞こえてきた。
ただし、その声はか細い弱々しいものであった。

「か・・葛城さん・・・・・・。」
そこまで言うのがやっとだったらしくマヤの言葉がとぎれる。
代わりにマヤの指が目の前にあるコンソール画面を指さしている。

ミサトは促されるように画面を見た。

「な・・なんなの!。」

画面を見た瞬間、ミサトにわかに自分の目を信じることができないでいた。
なぜならそこには未だ反応の消えていない使徒・・いや、A.T.フィールドの反応が
あったからだ、しかも巨大な・・。

ミサトはとっさに初号期をみる。そのA.T.フィールドが初号期から
発せられたものだと思ったからだ。しかし、初号期にその兆候は見られなかった。

では・・・・そのA.T.フィールドはだれが発しているのか。

「日向くん!A.T.フィールドの発信源は?。」

「少し待ってください。」

再び発令所の動きが激しさを増す。

「でました!これは・・・・。」

瞬間マコトの声が途絶える。

「A.T.フィールド発信源は・・あの巨人です!。」

「何ですって!。」

叫び声にも似たミサトの声が発令所に響き渡った。

「シンジ君を呼んで。」

「ダメです、妨害電波が発せられています。
音声つながりません。」

ミサトの声のマコトが悲痛な思いで声をあげる。

「なんてこと・・。」

マコトに続きミサトの口からも悲痛な声が漏れる・・

「(シンジ君・・)」

心の中では必死にシンジの安否を気遣っていた。




「カヲルくん・・・・・。」

シンジの胸の中に急速に後悔の念が生まれる。

しかし、それも次の瞬間に起こった事態によって中断させられてしまった。

「な、なんだ?・・・。」

シンジは目の前の巨人から発せられている
強大なA.T.フィールドを密かに感じ取っていた。

LCLの海が波打ち出す。

初号期は急いで海からあがった。

「なにが起こっているんだ・・。」

シンジは再び目の前の巨人を見やる。

「それが使徒の目的だからよ。」

「えっ!?。」

突然の声に驚いてシンジは横をみた。
するとそこには、宙を飛んでいる綾波レイの姿があった。

「綾波?・・。」
おそるおそるシンジが声をかける。
が、レイはあえてそれを無視するように言葉を続けた。

「使徒がここへ向かってくる理由の一つがこれよ。
巨人の目でその命を捧げ、生け贄になること・・・。
碇君は計らずともその手助けをしてしまったってわけ。」

「そ・・そんな、カヲル君は最初から死ぬつもりで・・。」

「使徒はその身を巨人に捧げこの世の混沌を望む存在。
そして・・私はそれを阻むため神の手によって創られた・・。」

「綾波?。」

いぶかしげにシンジがレイに問いかける。
その間にも巨人のA.T.フィールドはますます強大になってゆく。

「混沌を阻む存在として私は数億年にわたって護られてきた。
でも、それも今・・ようやく終わる。」

「綾波・君がなにを言っているかわからないよ。」

「碇君・・・・・ありがとう。こんな私を仲間と認めてくれて。」

「綾波、そんなこれでもうお別れみたいなこと言うなよ。」

「ダメ・進めてしまった時計の針は元に戻すことはできないの。」

「で、でも・・・・・。」

「もう、時間がないわ。碇君・・・・。」


次の瞬間時がゆっくりと流れるように僕は感じていた・・・
綾波の顔に再びあの笑顔がゆっくりと浮かび上がっていた・・


「さよなら・・・。」

それが綾波の最後の言葉だった・・

「綾波ぃいい!。」

僕はその瞬間あらん限りの声を出して叫んでいた。

瞬間視界がホワイトアウトする。

静寂の後・・そこには再び綾波レイの姿はなかった・・・・・。
ただ力を失った巨人がLCLの海に佇んでいた。



後から父さん真実を聞かされた・・
母さんがレイを守るための巫女として南極に住んでいたこと
たまたま南極に行った若い頃の父さんと母さんが偶然に出会い恋に落ちたこと。
それが原因でセカンドインパクトが起きたこと・・
そして僕が生まれ「神児(シンジ)」と名付けられたこと・・


すべてが終わったとき、すべてがその姿を現した。
しかし、それは新たな敵との戦いの序曲でしかなかった。



ある部屋・・そこには「SOUND ONLY」と
描かれている石版がいくつか立ち並んでいた。

「作戦は失敗に終わってしまった・・・やはりあのとき無理にでも
ゼロ号機パイロットを幽閉しておけば・・。」

「まぁ、今更悔やんでも仕方があるまい。まだこちらには切り札が残っておる。」

「切り札?。」

「巨人の前で命を捨てるのは使徒でなくてもよいのだ。それと同じ生体を持っておれば・。」

「量産機を使うのか・・。」

「仕方があるまい、裏死海文書に記されていた使徒は全滅だ。残るは我々自身の時計を進めるしか
ない。」


一瞬の静寂の後音声は途絶えた・・・・

あたりは深い暗闇に閉ざされた




303号病室
「アスカ・・・」

様々な機械音が飛び交う中
一人の少年が病室のベッドに横たわる少女を見つめていた。
少女の名は惣流・アスカ・ラングレー
ある残酷な崩壊劇を見せた少女である。

「アスカ、僕行かなきゃならないんだ。
多分最後の戦いになると思う。相手使徒じゃないんだって。
戦略自衛隊、また人を殺すんだ。・・でも必ず戻ってくるから。
そしてもし戻ってこれたら、その時は君に伝えられなかった言葉を言うよ。
さよなら、アスカ・・僕が戻ってこれなくても元気で。」

プシュー
ドアの閉まる音とともに少年の姿が病室から消える。

残された少女の瞳には誰彼とも無く涙が流れていた。


マナ:あなた、大変な時に何をのんきに寝てるのよ。

アスカ:だって・・・、入院してるんだもん・・・。

マナ:みんなが、必死で戦ってる時に、自分だけ寝ていていいの?

アスカ:だって・・・、入院してるんだもん・・・。

マナ:このままだったら、シンジが1人で戦いに行っちゃうわよ! なんとかしてよ!

アスカ:だって・・・、入院してるんだもん・・・。

マナ:あなたねぇ〜、自分でなんとかしようと思わないわけぇ?

アスカ:だから、入院してるって言ってるでしょーが!!

マナ:あなたのは、心の病でしょ!

アスカ:違うわよ!

マナ:何が違うってのよ!! そう聞いてるわよっ!

アスカ:それは、看護婦さんが気を使ってくれて・・・。

マナ:はぁ? じゃ、本当は何なのよ!

アスカ:実は・・・下痢がひどくて・・・。(作者注:投稿した小説のアスカの病室を読んでね。)

マナ:そ、そんな、古いネタを今ごろ持ち出すなぁーーーーーーーー!! さっさと行きなさいぃ!! (ドゲシッ!)

アスカ:あ〜ん、お尻蹴らないでよーーーー。
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