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名前:  アスカ               Age:  14
a_souryu@daiichi.jh.jp

どうも、はじめまして。アスカといいます。
あたしは自分でいうのもなんだけど、スタイルいいし、頭もいいし、
みんなからは「天才美少女」といわれています。
こんなあたしとメール交換してくれる人を探しています。
かっこよくて、大人の考えを持つ優しい人がいいな。
それではメールをお待ちしています。

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Mail Friend 第一話 作:ちょ〜さん
「なに、これぇ〜。」 レイが後ろからあたしの端末を覗き込んでいる。 「普通、自分で「スタイルいい」とか「頭がいい」とか書く?誰が「天才美少女」だって?」 「う、うっさいわねぇ。こういう風に書いておけば、男なんてすぐ引っかかってくるのよ!」 相変わらず腹を抱えて笑っているレイに答える。 「でも以外ね。アスカだったら「下僕募集!」とか、「求む、家来」とか書きこむかと思ったのに。」 「レイ、それはあんまりなんじゃ・・・」 ヒカリがあたしの気持ちを代弁してくれてるが、レイは聞く耳持っていない。 あたしとレイ、ヒカリは小学校以来の付き合いだ。中学もずっと同じクラス。 俗にいう腐れ縁という奴だろう。 それはそうと、中学3年になってから、うちの学校で流行り出したことがあった。 「メル友」 単にメール交換する友達という意味で、20世紀末に流行っていたものに再び火がついたらしい。 「恋人を作る」という裏の意味もあるらしく、この周りの学校でもいくつかのカップルが誕生している。 恋人うんぬんはともかく、これは面白そうだというレイの発言により、 あたしたち3人も「メル友になろう!」とかいう掲示板に書き込みしようということになっただが・・・ 「じゃあ、レイはどんなの書いたのよ?」 「見たい?」 「見せなさい!」 あたしはレイの端末を取り上げた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 名前: レイ Age: 14 r_ayanami@daiichi.jh.jp ども、レイちゃんだよ! レイちゃんはメル友といわず、彼氏も大募集です! レイちゃんの彼氏になってくれた人には、もれなくレイちゃんの「ファーストキス」をプレゼント! あんなことやこんなことや、もうそんなことまでOK!(はぁと) メール待ってるね! −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「あ、あんた、なんてこと書いてるのよ!」 「ふ、不潔よ・・・」 横からレイの端末を覗いていたヒカリは顔を真っ赤にしながらお約束をつぶやいている。 「えぇ〜、いいじゃん。このくらいやっとけば、いっぱい返事が来るよ〜。」 レイはにこにこ笑いながら、自分の端末を席に戻す。 「男の人がこういうのに対してどういう返事書くか見てみたいじゃん? メールなんだから、やばくなったら受信拒否しちゃえばいいんだし。」 はぁ、レイってばこういうことに関しては悪知恵が働くのよね。 あたしもそういうのに興味が無いわけじゃないんだけど・・・あとで返事を見せてもらおう。 「そういうヒカリはどんなにしたの?」 いまだトリップしているヒカリに、レイが声をかける。 「・・・へ?わ、わたし?み、見せられるものじゃないんだけど・・・」 「あ、ずっる〜い。わたしの見せたんだから見せてよぉ。」 今度はレイがヒカリの端末を奪った。 「あ!だ、だめぇ〜!」 「もう遅いも〜ん。どれどれ・・・」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 名前: ヒカリ Age: 14 h_horaki@daiichi.jh.jp はじめまして。 わたしは悩み事を聞いてくれる人を探しています。 実はわたしには好きな人がいるんですけど、 その男の子が何を考えているのか全然わからなくて・・・ どうしたらいいのかすごく悩んでいます。どなたか話を聞いてくれませんか? もしよろしかったらメールください。お願いします。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ・・・この好きな男の子って、あいつのことよねぇ。 あら、ヒカリったら両手を顔にあてて、いやんいやんしてる。 「ねぇねぇ、この好きな男の子って鈴原君のこと?」 レイ、あんたストレート過ぎだわ。 「べ、べつに鈴原がどう思ってるとか、鈴原のタイプとか、 鈴原に好きな子がいるのかな?とか知りたいわけじゃないわよ!」 ・・・ヒカリ、墓穴掘ってるわよ。 「この中では、あたしのが一番まともね。」 あたしは端末をカバンに入れて帰る支度をした。 「アスカ、だから自分から「天才」とか書くのはまともじゃないって。」 「じゃあ、あんたのはまともだ、とでも言いたいの?レイ。」 「う〜ん、そういわれると返す言葉がありませ〜ん。」 「と、とりあえずまともかどうかはともかく、返事が来るといいわね。」 ヒカリは先ほどの動揺がまだ抜けきってないらしい。 「じゃ、帰りましょうか。」 「「うん!」」 そしてあたしたちは、家へと帰っていった。 次の日 放課後、昨日入れた書きこみに、たくさん返事が返ってきていた。 しっかし、早いわねぇ。書込みしてたった一日よ? あたしのところには男ばかりから20件ほどのメールが来ていた。 ヒカリのところはさすがに女の子からのメールばかり。1件だけ男から来たらしい。 レイのところは・・・何も言うまい。ただ、3桁はいっていたはずだ。 返事の中身はだいたいが「僕と付き合ってください。」とか、「会いましょう。」とか そんな内容のものばっか。男ってどうしてこう、無粋なのかしら。 どうせ、あたしの「スタイルいい」とか、「美少女」ってところだけしか見てないのね。 ふん!あたしはそんな安売りはしないわよ! あたしはそういう奴らのメールを削除して、受信拒否にした。 ん?このメールは・・・ そんな中に、ひとつだけすごく気になる・・・いや、妙にむかつくメールがあった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 名前: シンジ Age: 14 From s_ikari@nerv.com To a_souryu@daiichi.jh.jp はじめまして。なんか、すごい人だと思ってメール書きました。 普通、自分で「スタイルいい」とか「頭がいい」とか書く?友達とかあきれられない? やっぱりさ、そういうのはやめておいたほうがいいと思うよ。 自分っていうのは自分が評価するんじゃなくて、他人が評価するんだから。 ・・・ってことは、「天才美少女」も自称なんじゃないの? 強がりはよくないんじゃないかな。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− な、なんなのよ、このメールは! このあたしに説教たれようっていうの?同い年の癖に? キー!む・か・つ・く・ー! このことを伝えようとレイの方を見る。なんかレイの顔が引きつってるわね。 「どうしたの?」 「・・・へ?う、ううん。なんでもない。」 レイはそう言うと、焦ったようにカチャカチャと端末を弄り始めた。 レイが忙しそうにしているので、ヒカリに聞いてもらうことにした。 「ヒカリー、ねぇ、聞いてよ〜。」 「・・・・。」 「・・・ヒカリ?」 ・・・またトリップしてるわね。 しょうがないので、ヒカリの端末を後ろから覗きこんだ。 ん?この名前は・・・ 「あ〜!こ、こいつは〜!」 「きゃ!ア、アスカ、いきなり耳元で叫ばないで!」 ちょうどヒカリの顔の横から覗きこんでいたので、 あたしの叫び声が鼓膜にダイレクトに通じたらしい。 「あ、ごめん、ごめん。だって、こいつあたしに説教たれるのよ!」 そう言って、ヒカリの端末に出ているメール送信者を指差した。 「この「シンジ」っていう人?すごくいい人よ?」 改めてヒカリの端末を覗きこむ。 う、あたしにはあんなメール送っておきながら、ヒカリのにはきちんと答えているのね。 「しっかし物好きな奴もいたもんね。好きな男のがいるっていってるのに わざわざ女の子にメール出すかしら?」 「それだけこの「シンジ」っていう人がいい人なんじゃない?」 「あたしに向かって説教たれる奴が、いい奴な訳無いじゃない!」 「何、騒いでるの?」 作業が終わったのか、レイがこちらにやってきた。 「こいつよ!こいつのせいよ!」 あたしはヒカリの端末を指差す。あたしの指につられるようにして、レイが端末を覗き込んだ。 「いい人よねぇ?」 むむ、まだ言うか、ヒカリ。 「・・・この人、アスカのところにもメール出したの?」 読み終わったレイがあたしに声をかけた。 「そうよ!これよ、これ。」 先ほどのメールをレイに見せた。 「・・・ふ〜ん。で、アスカはどうするの?」 レイがにやけながら聞いてきたので、 「ここまで言われて引き下がるわけにはいかないわ!こいつをギャフンと言わせてやるのよ!」 あたしは早速、このいやな奴に返事を書く事にした。 あたしが端末に向かうとヒカリがレイに聞いた。 「レイには来なかったの?この人から。」 「へ?・・・う、うん、来たよ。」 レイったら何動揺してるのかしら。 「どんなメールが来たの?」 「え、えと〜、そ、そう、こういうことは書いちゃいけないよって。もっと自分を大事にしなさいって。」 ふん、とんでもないおせっかい野郎ね。 「やっぱり「シンジ」って人、すごくいい人なのね。」 「そ、そうだね。ははははは・・・」 なんだかよくわからない態度をとっているレイを放っておいて、 あたしは返事を書き始めた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 名前: アスカ Age: 14 From a_souryu@daiichi.jh.jp To s_ikari@nerv.com あんた、何様のつもり?あたしに喧嘩売ってるわけ? あたしは正真正銘、「天才美少女」なのよ! 成績優秀、容姿端麗とはあたしの為にあるような言葉なんだからね! 嘘だと思うんなら、この問題、解いてみなさい! −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− あたしはここまで書くと、3年になってから一番難しかったテストの問題を書いた。 あたしでさえ、解くのに10分位かかったやつだ。 普通の中学生なら解くのに1〜2時間はかかるだろう。 (ちなみに、レイとヒカリは解けなかったらしい。) 書き終わると、メールを送信する。 「終わったの?」 ヒカリが不安そうな顔で聞いてくる。 「今までで一番難しい問題送ってやったわ。同じ中3なら解けないでしょうね。」 ふん、あたしに説教たれるかいけないのよ。 「まったく、アスカも大人気無いよね。あのメールは的確だと思うけどな。」 まだ、鼻息の荒いあたしにそんなこと言っていいのかしら?レイ? 「そうねぇ、確かに間違ったことではなかったものねぇ。」 ・・・ヒカリまで。 あ、あたしだってもうちょっと女の子らしいこととか書きたかったわよ。 でも、今まで培ってきたものはそう簡単には変えられないのよね・・・ 「いいのよ。どうせ男なんて外見ばっか見て近寄ってくるんだから。 そんな奴らはこちらから願い下げよ!」 「これメールだよ。外見なんてわかるわけ無いじゃん。」 う、レイの言うことも最もね。 「だ、だから、この「天才美少女」って奴を馬鹿みたいに信用してるんでしょ。」 「あら、「シンジ」君は否定してるじゃない?」 ヒカリ、もう「君」付けなのね。 「否定されるのもむかつくのよ。あ〜、今度は写真でもつけてやろうかしら。」 「そんなに気になるの?この「シンジ」って人。」 レイ、何ニヤニヤしてるの? 「ば、馬鹿言わないでよ。あたしがこんなどこの馬の骨ともわからない奴を気にする訳無いじゃない!」 「でも、返事は出したよね?」 そ、それはもののはずみで・・・ 「だぁぁ!それはこいつをこらしめ・・・」 あたしがそこまで言いかけたとき、あたしの端末から電子音がした。 メール受信? 3人で端末を覗きこむと、そこには「シンジ」からのメール。 さっきから5分くらいしか経ってないわよ? 「はっや〜。もう返事来たよ。」 「ねぇねぇ、早く見ましょうよ?」 2人に急かされてメールを開いてみた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 名前: シンジ Age: 14 From s_ikari@nev.com To a_souryu@daiichi.jh.jp 返事ありがとう。これくらいは書いて欲しかったな。 まぁ、そこまで言うからには「天才美少女」なのかな? そういうことにしとくよ。この問題もまぁまぁ難しかったしね。 でもこれって、学校のテストからの流用なんじゃないの? これをアスカさんが作ったとしたら尊敬するよ。 じゃ、また返事待ってるね。 P.S.あ、問題の答えはこの下だよ。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− なんか妥協されたって感じだわ。 しかも・・・答えは正解。しかも、あたしより早い。 くっそ〜、なんなのよこいつは? 「あの・・・アスカ?大丈夫?」 両肩を震わせているあたしに恐る恐るヒカリが聞いてきた。 あたしはくるっと振り向き、 「うん、大丈夫よ。」 「「ひっ!」」 後で聞いた話だと、そのときのあたしの頭には角が生えてたらしい。 「そ、そろそろ帰りましょうか?遅くなっちゃうし・・・」 「そ、そうだね。で、ヒカリは返事書かないの?」 「うん、後でゆっくり書こうかと思ってるから。」 「「シンジ」に?」 あたしが会話に割り込むと、2人はビクッと体を震わせた。 「う、うん。せっかく悩みを聞いてくれるって言うし・・・アスカには悪いけど・・・」 なんであたしに悪いのかしら? 「別にいいわ。ヒカリにとっては「シンジ」はいい人なんだからねぇ?」 「う・・・アスカ、餡蜜奢るわよ。・・・レイ、割勘よ。」 「えぇ、なんでぇ?」 「だいたい、あなたが「メル友作ろう」って言い出したんだから。 アスカの不機嫌の原因はあなたにもあるのよ? それともアスカをこのまま不機嫌にしておいてもいいの?」 「うっ・・・よくない・・・はぁ、しょうがないか。」 なに2人でこそこそ話してるのかしら。 ともかく、あたしの機嫌はこの餡蜜のよってベクトルを180度向きを変えたのは言うまでも無い。 それから3ヶ月、なんだかんだいって「シンジ」とのメールのやり取りは続いた。 <続> ======================================== あとがき はじめまして、ちょ〜さんです。 これは僕の処女作になる作品です。 この稚拙な文章を最後まで読んでいただき本当ににありがとうございます。 チャットでここの管理人のタームさんに知り合いまして、 「マナをよく書いてね」と言われて書いたのに・・・ マナちゃん出てこない(T T) 次からはでてきますので・・・マナちゃん、怒らないでね。 では、第二話でまたお会いしましょう! ========================================


マナ:ちょ〜さん、投稿ありがとうっ!

アスカ:よくもアタシをコケにしたわねっ!

マナ:美少女とか書くからよ。ほんっとによっく言うわねぇ。

アスカ:美少女だから美少女って書いたのよっ!

マナ:わたしもシンジが正しいと思うわぁ。

アスカ:ったくっ! シンジの癖にこのアタシに説教たれるとはっ! 覚えてらっしゃいよっ!

マナ:綾波さんとこには、すんごい数のメールが来たみたいね。

アスカ:あんなこと書いたらそりゃ来るわよっ! バッカじゃないの?

マナ:アスカのも結構バカっぽいメールだと思うけど?

アスカ:アタシのどこがバカっぽいってのよっ!

マナ:完全にシンジにやられてるじゃない。

アスカ:ぐぅぅ・・・。

マナ:それにしてもこのシンジって鋭いわねぇ。

アスカ:何がよっ!

マナ:アスカのへっぽこさを一発で見破ったんだもん。あっ、誰にでもわかるわね。

アスカ:ウルサーーーーーーイっ!!!
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