・・・「シンジ」、それでもあたしを見ていてくれる?






Mail Friend 第八話 作:ちょ〜さん
土曜日。かねての約束通り、六分儀の家にて勉強会が開かれた。 だけど、あたしは不機嫌だった。 原因は、この前のテスト。 宣言通りに、先生は順位発表とともに答案を返した。 どうせいつも通り、あたしがトップだと思っていた。 なのに・・・ 「惣流、おしかったな。単位が一つ抜けてたぞ。」 「えぇ?そうなんですか?・・・はぁ。」 気が緩んでいた、と言われれば何も言い返せない。 だが、それでも満点の一歩手前、いつもだったら堂々のトップに違いなかった。 それなのに・・・ 「で、今回の一位だが、六分儀、文句無しの満点だ。」 「ありがとうございます。」 あの、六分儀が・・・トップ?! 「な、なんで、あたしが二番なのよ!」 ついつい、大声をあげてしまった。 「間違えたものはしょうがないだろ、惣流。」 先生が怪訝な顔でこちらを見ていた。 「あ、す、すみません。何でもないです・・・」 くぅ〜、恥かいちゃったわ。 これも、あの六分儀がトップになるからいけないのよ! 「流石ね、シンジ。」 マナが、労いの言葉をかけた。 「いや、まぐれだよ。」 六分儀は、照れくさそうに頭を掻いている。 まぐれですって?まぐれで満点取れるようなテストじゃないわよ! こいつ、なんだっていうの? 「勉強会は、シンジに教えてもらおうかな?」 「うん、別に構わないよ。」 「えぇ〜、レイちゃんもぉ〜。」 いつの間にそばに来てたのか、レイもシンジになすりついている。 だぁ〜!人前でいちゃつくなぁ〜! 「はいはい、わかってるよ。だけど、勉強はみんなでやるんだよ?わかってる?」 「はぁ〜い、わかってま〜す。」 「それならいいんだけどさ・・・」 まったく、トップの余裕って奴? 自分でまぐれとか言っときながら、勉強を教えるだなんて見栄張っちゃっていいのかしら? あたしはその時、そう思っていた。 きっと、みんなは最後にはあたしを頼ってくると・・・ だけど、あたしの目論見は大きく外れた。 六分儀・・・悔しいけど、こいつは頭がいい。 しかも、教え方が親切、丁寧だ。 その横では、残りの2バカがヒカリから教えてもらっている。 あたしの横には・・・誰もいない。 「だから、それは違うでしょ?ここは、こっちの公式を使うのよ。」 「い、いいんちょ、もうちょい、わかりやすい説明をやな・・・」 「トウジ、洞木さんの説明は申し分ないと思うよ。」 「ちょっと、シンジ。これ、どうやるの?」 「シンちゃ〜ん、ここ、わかんな〜い。」 「こら、トウジ!委員長を独り占めするな!」 それにしても、みんな楽しそうよね。 こうやって端から見てると、この前の六分儀とマナの話が嘘みたい。 なんか、あたしだけ置いてけぼりくらってるって感じだわ。 そう、自分の居場所が無くなったような感じ。 いつも自分の居る場所に、今は六分儀が居る。 そうよね・・・あたしと比べたら、六分儀のほうが優しいだろうし。 それに、六分儀のこういう時の笑顔が、結構良かったりするのよね・・・ ・・・はっ!あ、あたしったら、何考えてるの? 六分儀なんて、単なる嫌味な奴じゃない。 ・・・でも、よくよく見てみると、六分儀ってかっこいい気もするな。 勉強も・・・まぁ、あたしほどじゃないにしろ、出来るみたいだし。 ・・・だぁ〜!あたしには「シンジ」がいるじゃない! なんで、こんなどこの馬の骨ともつかない奴に惹かれなきゃならないのよ! ・・・惹かれてる?あたしが?六分儀に?! そ、そんなことあってたまるかぁ〜!! 「ちょっと、アスカ。シャーペン折れそうよ?」 ヒカリに言われて、我に返った。 あ、シャーペンを握りつぶすところだったわ。 「どうしたの?」 「べ、別に何でもないわ。」 「アスカ、顔が真っ赤だよ?」 なんでこういう時だけ、レイは気づくのかしら? 「ほ、ほんとに何でもないんだってば。」 「なんや、またもう一人の「シンジ」のことでも考えとったんか?」 な、このジャージ!何言ってるのよ! 「いやはや、惣流をそこまで骨抜きにするとはね・・・ その「シンジ」って奴にも会ってみたいな。」 はぁ、そんな簡単に会えたら苦労しないわよ。 「でもさ、アスカは会いたくないの?」 マナが目をキラキラさせながら聞いてきた。 う〜ん、答えに困る質問ね。 「そ、そりゃ、会いたい、とは思うけど、あっちにだって都合ってもんがあるでしょうし。 それと、どこにいるのかわからないのよ?あたしにはどうすることも出来ないわ・・・」 「惣流さんにしては、消極的な意見だね。」 六分儀の意見に、みなが頭を縦に振る。 「それに、惣流からそんな思いやりのある言葉が出てくるとは思わなかったよ。」 今度は相田の意見に、みんな・・・いや、六分儀とヒカリ以外が頭を縦に振った。 「ちょ、ちょっと、それどういう意味よ?」 あたしは相田を睨みつける。 いつもなら、それだけで怯えるのだが今日のあたしにはそれだけの迫力がないらしい。 「いや、それだけその「シンジ」がすごい奴なんだって思うよ。 最近の惣流はなんか丸くなったからな。それも「シンジ」のおかげなんだろ?」 そうなの?あたしって変わったのかしら? 自分ではよくわからないけど・・・ 「・・・アスカ、会わないの?」 マナがニヤニヤしている。 何、何を考えてるの? 「そうよ、アスカ。そろそろ会ってみてもいいんじゃない?」 ヒカリも賛成のようだ。 ・・・って、なんでこんな話になったのよ? 「・・・僕は、会わない方がいいと思うな。」 今まで黙って聞いていた六分儀が、口を挟んだ。 「どうして?アスカは「シンジ」君に会いたいって言ってるのよ?」 ヒカリ、そこまでして会わせたいの? 「だって、二人はメールでしかやり取りしてないんでしょ? 顔合わせて、自分の思い描いてた通りの人ならいいけど、そうじゃなかったらどうなる?」 そう、それはあたしにもわかる。 だけど、あのやさしい性格だもの・・・「シンジ」はきっと、素敵な人だと思う。 でも、「シンジ」があたしを見たら、どう思うのだろう? 幻滅されたりしたら、メールのやり取りをしてもらえなくなってしまうかもしれない。 「でも、会ってみて、うまくいく場合もあるかもしれないでしょ?」 「さぁ・・・それは本人が決めることだし・・・他人が強制することではないよ。 無理やり会わせて悪い方向へ向かったとき、周りは責任は取れないでしょ?」 六分儀って・・・「シンジ」みたい・・・ 強く言い放ってるわけではないのに、妙に説得力のある言葉。 あたしは、六分儀に「シンジ」をだぶらせていた。 似てる・・・なんで? 考えてみれば、六分儀との口喧嘩は「シンジ」との最初のころのメール交換に似ていた。 言葉使いも、よく似ているし。 だから・・・あたし、六分儀のことが気になり始めてる? でもそれは、六分儀に「シンジ」を求めてるだけ。 それじゃあ、六分儀に失礼よね。 でも、そうじゃなかったら? 「シンジ」に出会う前に六分儀に会ってたら、あたしは惹かれたのだろうか? 多分・・・そうなったかもしれないわね。 今だって、こんなに気になってるんだし。 完全に否定は出来ないかも。 「ともかく、単なるメル友でしょ?深く関わらないほうがいいとは思うよ。」 むっ?! せっかく人があんたのことを認めてあげようとしているのに。 なに?その言い方は。 「ちょっと、それはどういうことよ?」 「いつも言ってるだろ?事実を述べてるだけだって。」 あんたのその言い方だけは、むかつくのよ! 「事実ですって?あんたは彼の何を知ってるっていうの? 別にあたしがどうしようと、あんたには関係ないでしょ?。」 先ほど考えていたことはどこ吹く風、あたしはいつも通り虚勢を張る。 自分でいけないことだと、わかっていても。 「それが、心配してる人に向かって言う言葉?」 「心配?いい子ちゃんぶるのは、止して欲しいわね。 あんたに心配されるようじゃ、あたしもおしまいだわ。」 「なんだよ、その言い方・・・そんな片意地張ってて、疲れない?」 くっ!人が気にしていることを・・・ 「べ、別に意地なんて張ってないわよ!」 「どうだか・・・僕には生まれたばかりの仔猫が、 温もりを求めてぴーぴー鳴いてる様にしか見えないけど?」 仔猫?あたしが? 「・・・なんですって?」 「弱さを誤魔化すための強さなんて、ほんとの強さじゃないって事だよ。」 「・・・あたしが弱いとでも言いたいの?」 「自分でもわかってるんだろ?」 今までに無い言い争いに、周りのみなは固唾を飲んで押し黙っている。 その沈黙が、あたしの心に重く圧し掛かってくる。 「あ、あんたに、何がわかるっていうのよ?」 「わかる?違うよ。僕はわからないから言ってるんだよ。 人の心なんて読める訳ないだろ? 人間は口に出して言わなきゃ、理解はしてもらえないんだよ。」 こんな時まで、納得の出来ることは言って欲しくなかった。 もう、何も言い返せない。 あたしは限界だった。 「何よ・・・」 「・・・?」 「なんなのよ、あんたは・・・ いきなりあたしの前に出てきて、あたしが気にしてることずけずけと言って、 あたしのプライド傷つけて、あたしの居場所持っていって・・・ あんた、一体、何様つもり?!」 いけない・・・涙が零れそう・・・ 「・・・それが惣流さんの本音なの?」 違う、違う・・・六分儀の言ってることは、正しいもの。それはわかってる。 だけど、強気なあたしがそれを否定する。 「ええ、そうよ。 あんたがあたしの前に現れたおかげで、おかしくなったのよ。 あんたが来たから・・・あんたさえ来なければ、 あたしは今まで通り、「あたし」でいれたのよ!」 違う・・・そうじゃないって、「シンジ」は教えてくれたじゃない。 「・・・それは本当の「自分」じゃないでしょ?」 その六分儀の言葉はあたしに大きな衝撃を与えた。 なんでそんなことまで言うの? 恐い・・・こいつの存在はあたしを駄目にする・・・ その瞬間、あたしは自分を見失った。 気が付いたときには・・・あたしの右の平手が、六分儀の頬を打ち抜いていた。 乾いた音が、部屋に響き渡る。 まるで時が止まったようだった。 六分儀は赤くなった頬を気にもせず、あたしを見ていた。 「・・・ねぇ、もう無理するのはやめようよ?」 その瞳は・・・慈しむような瞳。 あたしが求めてやまなかったもの。 だけど・・・どうして、こんな時に・・・ 「うるさい・・・」 どうして・・・ 「うるさい!」 どうして・・・・・ 「うるさい、うるさい、うるさい!!」 どうして?! 「あんたなんかに・・・ あんたなんかに、とやかく言われたくないわよ! あんたなんか・・・大っ嫌い!!」 「あ、アスカ?!」 あたしは部屋から飛び出した。 いや、どちらかというと逃げ出したと言ったほうが正しいかもしれない。 誰かがあたしの名前を呼んだ気もしたが、そんな事はどうでもよかった。 六分儀を叩いた手が、やけに痛い気がした。 わかってる・・・あいつは間違ったことは言ってない。 だから、こんなにも手が痛いんだ。 手だけじゃない、心も痛い。 あの目・・・あんな時に、あんな目で見て欲しくなかった。 あんなに荒れているあたしを、あの目で見て欲しくなかった。 ちくしょう・・・ つぶやきが自然に漏れる。 涙が次から次へと溢れてくる。 止まらない。 なんだか、涙腺が壊れたみたいだった。 あたしの心も壊れたみたいだった。 嫌悪感が満ちてくる。 他人にではない、自分に対してだ。 強情な自分。 我が侭な自分。 見栄っ張りな自分。 他人のことを思いやれない自分。 素直になれない自分。 正直になれない自分。 今まで良しとしていた、これまでの自分が嫌らしいものに思えてくる。 家に駆け込むや否や、部屋に入りベッドの上で枕に顔をうずめて泣いた。 こんなに大泣きしたのも久しぶりの気がする。 だが、どんなに泣き喚こうとも、あたしの心は落ち着いてくれない。 助けてよ、誰か・・・ 助けてよ、「シンジ」・・・ ・・・そうだ、あたしにはまだ彼がいたんだ。 あたしは何かに憑かれた様にして、端末を用意した。 「シンジ」にメールを打つ。 あたしの心の叫びを聞いてもらえるように・・・ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 名前: アスカ From a_souryu@daiichi.jh.jp To s_ikari@nerv.com シンジ・・・助けてよ・・・あたし、弱くなっちゃったよ・・・ 六分儀って奴が、あたしを壊そうとするの。 あたしの心に、ずかずかと入ってきて、あたしを狂わせるの。 あたしがあたしでなくなるみたい・・・ 嫌い。あんな奴、大嫌い。 でもね、ほんとはわかってる。あいつが言ってることは正しいって。 だけど、あたしの心がそれを否定するの。みんなの前では、強くなきゃいけないって。 あんなやつのいうことを聞いちゃいけないって。 だから、自分が嫌い。そんなこと考える自分が一番嫌い。 ねぇ、シンジ。あたし、どうしたらいいの? お願い、教えて・・・ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− メールを打つと、幾分か心が軽くなった気がした。 少し経てば、「シンジ」が答えを持ってきてくれるから。 あたしは改めて、「シンジ」への依存度の高さに気が付いた。 メールでの言葉のやり取りだけかもしれないが、「シンジ」はあたしを見ていてくれている。 「シンジ」はあたしの悩みを解いてくれる。 だから、あたしは「シンジ」に頼り、甘える。 だから・・・あたしは「シンジ」が好き。 でも、それなら六分儀もあたしを見てくれていたのでは? あたしの心の冷静な部分がそう告げる。 あそこまで図星を指してくるということは、 あたしのことをそれだけ見てくれている証拠なのでは? 少し落ち着いた頭で、今までの六分儀とのやり取りを思い出してみた。 初めて会ったとき・・・「シンジ」とのメールと同じことを言い合った気がする。 毎日の口喧嘩・・・それは、「シンジ」とのメールのやり取りと雰囲気が似てた。 あたしが嫌味を言っても、皮肉を言っても、のらりくらりとかわすところは「シンジ」と同じだ。 さっきのやり取り・・・夏休みの頃の「シンジ」の言葉、そっくりだった。 なぜ、そこまで似通っているの? それなのに、なんであたしは反発しちゃうの? 違ってたのは「目の前に居る」か「居ない」か、 「口にして言った」か「文章にして送られてきた」か。 たったそれだけの違いで、あたしの態度が大きく変わってしまったんだ。 男はみんな、あたしの容姿と態度を気にして、下手に出て話してくるから、 あたしも人前で強気になるのが当たり前になってしまった。 お互いの顔が見えないメールだからこそ、意地を張ることなく話が出来たのかもしれない。 そこであたしは、はっと気が付いた。 六分儀は、あたしの外見を気にした素振りなんて見せたことも無い。 あいつはいつでも、あたしと対等にやりあってくれた。 押しもせず、引きもせず。 ただ思い付くまま、口論してただけ。 ある意味、それは気持ちが良かった。 甘えるとか、縋り付くとか、そういった事ではなく、 素直に、自分の言いたいことを言っていたのだから。 それは、「シンジ」のメールと同じようなものだった。 だから・・・あたしは六分儀に「シンジ」を重ねていたんだ。 だから・・・あたしは・・・・・六分儀のことが・・・・・・・・ ピンポ〜ン♪ ・・・・あ・・・・・誰か来た? やば、こんな顔じゃ人前に出れない。 ピンポ〜ン♪ 「アスカ?アスカ、いないの?」 ヒカリ? ヒカリならばと思い、あたしは急いで玄関に行った。 ドアを開けると、そこにはヒカリとマナがいた。 「ヒカリ・・・マナ・・・・」 「大丈夫?アスカ。急に飛び出し行くもんだから、心配したわ。」 「そうよ、あの後大変だったんだから。今頃、レイちゃんがシンジにお仕置きの真っ最中ね。」 マナはケラケラと笑っている。 お、お仕置きって? 「とりあえず、これ置いてったでしょ?」 ヒカリが、あたしのカバンやらノートやらを持ってきてくれた。 「あ、ありがとう。」 「ほんとに大丈夫?目が真っ赤よ?」 あ、やっぱり酷い顔してるんだ。 「だ、大丈夫だから・・・」 「シンジも言い過ぎなのよね。もうちょっと、相手のこと考えられないのかなぁ。」 それは・・・あたしも同じようなものだし。 「いいのよ。六分儀の言ってることも、まったくのでたらめではないんだし。」 「駄目だよ、アスカ。そんなこと言ってると、シンジがつけあがっちゃうよ?」 「ううん、あいつの言ってることは、当たってるもの。 あたしこそ・・・引っ叩いちゃって、悪いことしちゃったかなって。」 「いいの、いいの!アスカにあんなこと言ったんだもん。あれくらい、当然のことよ。」 マナにしてみれば、シンジの方が悪いようなことを言っているが、 今のあたしには、六分儀に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 「あたし・・・嫌われちゃったかな?」 「「誰に?」」 「六分儀に・・・」 あたしの言葉に、ヒカリとマナは顔を見合わせた。 「・・・平気でしょ?シンジはあのくらい、気にしないと思うよ。」 「どちらかと言うと、六分儀君の方がショックだったんじゃない? アスカに”大嫌い”とか言われて。」 あ、あたしってば、そんなこと言ったんだっけ? ・・・そういえば、言ったような気がする。 はぁ、あたしって最低。 「ま、明日になればケロリとしてるんじゃないかな?」 そうだといいんだけど・・・ 「アスカも案外元気そうだし、安心したわ。」 ありがとう、ヒカリ。心配してくれて。 「アスカがシンジの心配するなんて、明日は大雪かしら?」 マナが空を見上げてそう言った。 むぅ、それはどういうこと? 「ふふ、アスカは根は優しいもの。」 「な、ヒカリ、何を言うのよ・・・」 「こうやって素直になってきてるのも、「シンジ」君のおかげかもね。」 「そ、そうかしら?」 素直ねぇ・・・そんなことはないと思うけど。 「そうそう、もう一人の「シンジ」君はどうするの?」 いきなり、マナの顔が不気味な笑顔モードに移行。 「ど、どうするって?」 「だって、シンジにあれだけ言われてさ、悔しくないの?」 「そうよ、アスカ。ちょうどいい機会だし、会ってもらえるように頼んだら?」 え?え?どうして、そういう話になるの? 「ちょ、ちょっと待ってよ。あたしは別に「シンジ」には会わなくても・・・」 「「ほんとに?」」 二人して、あたしの顔を覗き込んでくる。 うっ・・・そんな目であたしを見ないで。 「そ、そりゃ、会いたいけど・・・でも、会うのが怖いかなってのもあるし・・・」 「だ〜いじょうぶよ。昔っから、当たって砕けろって言うじゃない?」 マナ・・・砕けたらおしまいなのよ・・・ 「ね?ね?そうしましょ?そうしましょ?」 「ちょ、マナ、勝手に決めないで・・・」 「アスカ、こういうのは勢いが大切よ?」 「で、でも・・・」 「「会いたいの?会いたくないの?」」 再び迫りくる、ヒカリとマナ。 うぅ、なんか怖い。 「あ、会いたい、かな?」 「じゃあ、決まりね!」 「う、うん・・・」 あたしは反射的に答えてしまった。 「じゃ、アスカも元気そうだし、帰ろうか?」 「そうだね、私はシンジがどうなったのか早く見てみたいし。」 「アスカ、ちゃんと「シンジ」君にメール送るのよ?」 二人は言いたいことだけ言うと、さっさと帰ってしまった。 な、なんて強引な・・・ でも、ほんとにいい機会かもしれないわ。 「シンジ」・・・どんな人なのかしら? あ、なんかどきどきしてきた・・・ ど、どういうメール送ろうかしら? う〜ん・・・・・それよりも、会ってくれるかが心配だわ。 彼、忙しそうだし。 あたしは部屋に戻ると、端末の前でしばらく悩んだ。 そして、意を決して彼にメールを送った。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 名前: アスカ From a_souryu@daiichi.jh.jp To s_ikari@nerv.com 今日、二回目になっちゃったわね。 さっきのメールを書いたおかげで、少し気が楽になったわ。 ありがとう。 それで、もう一つお願いがあるんだけど・・・ 今度、暇なときでいいから会ってくれないかしら? 忙しかったり、遠くにいるんだったら、しょうがないけど。 あたしは、第3新東京市に住んでます。 もし、少しでもあたしに会ってみたいな、と思ったら返事ください。 あたしは学校が終わってからでも、休みの日でも構わないから。 あたしは・・・あなたに会いたい。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− <続> ======================================== あとがき ども、ちょ〜さんです。 はぁ、やっとここまでこぎつけた・・・ これで一安心・・・かな? まだまだ、課題は山積ですが。(汗) しかし、六分儀・・・生意気だなぁ。 ここまで、成長するとは・・・思ってみなかった。 果たして、アスカは「シンジ」に会えるのか? 六分儀は、「大嫌い」から立ち直れるのか?(笑) そして、トウジとヒカリはラブラブになるのか?(核爆) 次回、「ウィルス、侵入!」(←大嘘) サービスは・・・一切ございません。m(_ _)m ではでは、また続きでお会いしましょう! ========================================


アスカ:六分儀シンジめ、むっかつくわねぇ。

マナ:シンジが正しいこと言ってるってわかってるんでしょ?

アスカ:でもっ! このアタシに立てつこうなんて100年早いってのよっ!

マナ:なにもかも負けてるくせに。

アスカ:ムキーーーっ! うっさいわねぇっ!

マナ:もっと素直にならないと駄目よ。

アスカ:ちゃんと、メールのシンジの前では素直よ。

マナ:そんな二重人格してたら、どうなることやら・・・。

アスカ:二重人格ぅっ? 人聞き悪いわねぇ。

マナ:で、メールのシンジとは会えそうかしら?

アスカ:それが問題なのよねぇ。(・・;
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