画面いっぱいに映った、その顔。


驚愕に目が見開かれた、その顔。







・・・六分儀?






Mail Friend 第十一話 作:ちょ〜さん
「・・・どういうこと?」 小さいがしっかりとした言葉が、ヒカリの口から漏れた。 「あたし、行ってくる!」 「あ、待て、待てよ綾波!」 急に飛び出していったレイを、相田が追いかけていく。 テレビの画面には、相変わらず六分儀の顔が大きく映されたままだ。 『社長!なぜ今まで姿を隠しておられたのですか!』 『孤児院にいられたと言うお話ですが?』 『どうして今になってこの街の戻ってこられらのですか!』 『隣りにいる女の子との関係は?』 『ちょっと、何するんですか!』 六分儀に詰め寄っているレポーターを引き離そうとする女の子が一人。 マナだ。 『碇社長とはどういった関係で?』 『今、ご一緒にマンションから出ていらっしゃいましたよね?』 『二人はお深い関係なのですか?』 『か、勝手なこと言わないでください!』 今度はマナまでが、レポーターの標的にされたようだ。 二人の困惑した顔が、画面いっぱいに広がる。 「ねぇ鈴原、これは一体どういうことなの?これが前に言っていた”秘密”ってやつなの?」 あたしの隣りからは、鈴原に詰め寄っているらしいヒカリの声が聞こえた。 でも、そんなことどうでもよかった。 あたしの意識は、テレビにだけ向いていたから。 「そ、それはやなぁ・・・その・・・」 「はっきり言ってよ!六分儀君は、本当に”碇シンジ”なの?ねぇ、どうなの?」 「あ、あのな・・・いいんちょ・・・」 六分儀が”シンジ”? まさか、そんなことあるわけないじゃない・・・ テレビも嘘つくことあるんだ。 でも、何で六分儀もマナも否定しないの? それじゃ「そうです。」って言ってるようなものじゃない! どっちでもいいから、「違う!」って言ってよ・・・ だけど、画面の向こうの二人はうろたえているだけ。 六分儀はぎゅっと口をつぐんで、俯いている。 マナは、どうにか六分儀がカメラに映らないようにしているが、 レポーターとカメラにはさまれてあせりの表情を浮かべていた。 そんな二人を見て、あたしは奇妙な既視感を覚えた。 こんなこと、以前にもあった気がする・・・ 「どうなの、鈴原!はっきり言いなさい!」 「いいんちょ・・・それは、わいの口からは言われへん・・・」 「どうして?!」 「どうしても何も・・・言えへんもんは、言えへんのじゃ・・・」 もし、六分儀が”シンジ”だったとして・・・ あたしは”シンジ”に「嫌い!」とか言っちゃったの? あたしを見てくれる人に・・・「嫌い!」って言っちゃったわけ? 「アスカ、こんなのでたらめよ!気にしちゃだめなんだから!」 あたしの異変を感じたのか、ヒカリが言葉をかけてきた。 「ヒカリ、あたし・・・」 「アスカ、どうしちゃったの?」 「あたし・・・帰る・・・」 「ちょっと、アスカ。大丈夫?」 「ん・・・」 あたしは力なく答えると、荷物を持ってヒカリの家から出た。 帰り道、あたしの頭の中にはさっきのテレビ画面がグルグルと回っていた。 何かに耐えるように、じっと歯をくいしばっていた六分儀。 関係を疑われて、顔を赤らめながらも六分儀をかばっていたマナ。 だけど、二入はレポーターと言うことを否定はしていなかった。 だとすると、やっぱり本当のことなの? 六分儀は”碇シンジ”で、ネルフの社長で・・・ マナは、六分儀と何かしら関係があって・・・ でも、もしかしたら違うかもしれない。 ただ単に、あの強引なレポーターに押されて言い返せなかっただけかもしれない。 ・・・そうよ、あの六分儀が”碇シンジ”なわけないじゃない! あたしは家に帰り着くと、急いで端末を取り出した。 ”シンジ”に連絡をとれば、全ては明らかになるから。 あの六分儀と一緒にされたら、”シンジ”がかわいそうってもんよね! −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 名前: アスカ From a_souryu@daiichi.jh.jp To s_ikari@nerv.com ちょっと気になったことがあったんだけどさ。 テレビ・・・見た?シンジのことを追っかけてたゴシップ番組。 あのテレビに出てたのが、前に言ってた六分儀って奴なんだけど、 まさかあのテレビの言ってたことって本当じゃないよね? そりゃあ、六分儀とシンジは言ってることが一緒だったり、 妙なところで大人ぶってるところはそっくりだけど・・・ でも、違う人よね?全然、別人よね? ・・・ごめんね、変なこと聞いちゃって。 でも、あたしは確かめたいの。 シンジと六分儀が別人だってことを。 テレビなんてうそつきだってことを。 早く・・・返事頂戴・・・ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ピッ! ・・・どうしてあたし、こんなに焦ってるんだろう。 だって六分儀が”シンジ”だったら、ちゃんとあたしに言ってくれるはずよね。 それを今まで言わなかったってことは、別人に決まってるじゃない! そうよ、焦る必要なんてない。 あたしは強く自分に言い聞かせた。 ピッ! しばらくすると、端末からメールの着信音が流れた。 ・・・やった!やっとシンジから返事がきた! あたしは慌てて端末を覗き込んだ。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 ・・・何、これ? ”受信を拒否しました”? どういうこと? 中身を見てみると、さっきのメールがそのまま返ってきていた。 ”シンジ”があたしのメールを拒否した? 恐る恐る、もう一度”シンジ”に同じメールを送った。 ピッ! しばらくして、また端末から着信音が聞こえた。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 中身は・・・今、送ったばかりのメール。 嘘、どうして・・・どうして受信してくれないのよ?! あたしは何度も何度も、そのメールを送りつづけた。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 >Return Mail:s_ikari@nerv.com あなたの指定したアドレスは、メールの受信を拒否しました。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ どうして・・・どうして受け取ってくれないの?! やっぱり、六分儀が”シンジ”なの? あのテレビの言っていることは、本当だったっていうの? そうなんだ・・・きっと、そうなんだ。 きっと、あたしが「嫌い!」とか言ったから、怒ってメールを受け取ってくれないんだ。 学校で冷たかったのも、メールを受け取ってくれないのも、全てはあたしの責任。 あたしが、あんなこと言ったから。 あたしが、謝らなかったから。 嫌われた・・・六分儀に・・・”シンジ”に。 あたしを見てくれていた人に。 あたしを大事にしてくれた人に。 あたしが大好きな人に・・・ でも、それはあたしのせい。 あたしが、あたしが・・・あたしが素直じゃないから。 これで、あたしを見てくれる人が、また、いなくなっちゃった・・・・・ 誰にも甘えられない。 誰にも縋りつけない。 誰にも弱みが見せられない。 あたしは、また、独り。 心が悲鳴をあげる。 ・・・サビシイ・・・・・・・・・・ ・・・・・・カナシイ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・クルシイ・・・ 「アスカ、起きなさい、アスカってば。ごはんよ?」 ・・・あれ?・・・あたし、寝てた・・・ 気が付くと、ママがあたしの肩を揺さぶって声をかけていた。 ん・・・なんか体がだるいなぁ。 「この寒いのに、机の上でお昼寝なんて・・・あら?顔が赤いわ。」 ママがあたしのおでこに手を当てている。 冷たくて気持ちいい・・・ 「やだ!熱があるじゃない!」 「ヘ、平気よ、ママ・・・」 あたしは立ち上がろうとしたが、なぜだか体が言うことを聞いてくれない。 ふらふらと椅子から立ち上がったが、そのまま横にあるベッドへと体が傾いていった。 「アスカ!平気じゃないじゃない!」 「平気、大丈夫・・・・・」 「今、薬持ってきてあげるから待ってなさい!」 「ありがと、ママ・・・ごめんなさい・・・」 ここ、どこ? あたし、さっきまで机で寝てて、熱出してベッドに倒れこんで・・・ ふと、隣りを見てみると、黒い服を着てあたしの小さな手を握っているパパがいた。 反対側には、同じように黒い服に身を包みあたしの手を握っているママがいた。 周りにも黒い服を着ている人がたくさんいた。 俯いている人、声を殺して泣いている人、じっと天を仰ぎ見ている人。 この風景、あたし、知ってる・・・ 「それでは、親族の代表として故人の片腕として働いていた冬月氏から、挨拶の言葉を・・・」 そう言われて出てきたのは、いかにも温厚そうな男の人。 その前には、小さな男の子と女の子がいた。 女の子がひっくひっくとしゃくりをあげて泣いているのとは対照的に、 男の子はじっと泣くのを堪えて俯いていた。 あの子たち・・・どこかで見たことがある? 「今日はお忙しいところ、こんなに沢山の人たちにお集まりいただき・・・」 あぁ、そうか・・・これは誰かのお葬式なんだ・・・誰の? 「・・・まだ幼い二人の子供を残し、さぞや無念だったろうとは思いますが・・・」 あたしは、その二人の子供をじっと見ていた。 女の子は、透き通るよう白い肌と青い髪を持っていた。 その赤い瞳は、泣きはらしてますます赤みを増しているようだった。 あたしの知っている限りで、ああいう感じの女の子は一人しかいない。 多分・・・あの女の子はレイだ。 だとすると、その隣りにいる男の子は誰? 綺麗な黒髪、黒い瞳、中世的な顔立ち・・・ もしかしたら女の子に間違えそうな、そんな男の子。 ・・・思い出せない、身近にいると思ったんだけど・・・ 「・・・ですので、私は碇のためにもネルフ存続に一層の努力をするとともに・・・」 ”碇”? ”ネルフ”? あの冬月というおじさんは、確かにそう言った。 だとすると、あそこにいる男の子は・・・ でも、どうしてレイまでがあそこにいるの? ドタドタドタドタドタドタ・・・・ あたしが色々と考えを巡らせていると、後ろのほうが急に騒がしくなった。 「おい!そろそろ終わっちまうぞ!」 「さっさと絵を撮って、インタビューだ!」 周りの人たちが後ろを振り向いたので、あたしも倣って後ろを振り向いた。 そこには、カメラやメモ帳やレコーダーを持った人たち。 ドダドダドダドダドダドダドダドダ・・・ (来ちゃだめ・・・) なぜだかわからないが、あたしはそう強く思った。 だけど声に出してそう言おうとしたのだが、 心の中で叫ぶだけで口からは出てくれない。 ドダドダドダドダドダドダドダドダ・・・ さっきの二人の子供のほうを見ると、男の子がその大人たちの集団を見て、 驚きと不安の表情を浮かべていた。 女の子はその男の子の後ろに隠れて、ぎゅっとしがみついていた。 (逃げて・・・) まただ。どうしてそう思うのか・・・あたしにはわからない。 でも、このままだとあの二人が大変なことになるような気がした。 その二人に声をかけようとしたが、またしても声にならない。 ドダドダドダドダドダドダドダドダ・・・ いきなり乱入してきた奴らは、周りの人たちを押しのけるようにして進んでいくと、 その手に持ったカメラを全て男の子の方へと向けた。 (だめ!だめだってば!) 心の中で強く叫ぶ。 だが、あたしの気持ちを裏切るかのように、そのカメラが一斉に光を放った。 「うわぁぁぁぁぁぁ?!」 突然の眩しさに、男の子が叫び声をあげた。 冬月のおじさんが、男の子の前に慌てて立ちはだかる。 あたしの隣りにいたパパも、おじさんの隣りに並ぶと焦りの表情を浮かべて二人をかばっていた。 その様子を見て、あたしは思い出した。 あの男の子の名前を。 あたしは小さな手をその男のほうにかざすと、大きな声で叫んだ。 「シンジぃ〜〜〜!!」 「アスカ、しっかりして、アスカ!」 「ん・・・・」 誰かに起こされて、あたしは目を覚ました。 頭がぼんやりとしている。 さっきまでのことは・・・夢? 夢にしては、とてもリアルだったな。 まるで、思い出の一部分を思い出しているような・・・ 「・・・ママ?」 あたしは横を向くと、霞んだ視界に入ってくる隣りにいる誰かに声をかけた。 いるとすれば、ママしかいないと思ったから。 「ママ、じゃないわよ。マナ、よ。大丈夫?」 その人は、あたしの額に濡れタオルを置くと静かにそう言った。 目をごしごしとこすってベッドの横にいる人を見ると、確かにマナだった。 「あ、うん・・・でも、どうしてマナがここに?」 「どうして、じゃないわよ。三日も学校を休んで、心配しないとでも思ってるの?」 三日・・・あたしが倒れたのって、土曜日よね。 だとすると、ええっと・・・ 「あたし、四日も寝てたの?」 あたしの問いかけに、マナはふぅとため息をつくとこう答えてくれた。 「そうよ、ヒカリやレイが見舞いに行っても、まだ寝てるからって帰されちゃったって。 それであたしたちが今日来てみたら、おばさまの方が倒れそうになっているんですもの。 だから、今日は私がおばさまの代わりにアスカの看病をしているって訳。」 「ママが・・・倒れそう?」 「そう、ずっと看病してたみたいね。ろくに寝てなかったみたい。 今は、少し横になってもらってるわ。」 「そう・・・」 ママには悪いことしちゃったな・・・大丈夫かな? 「とりあえず、この薬飲んで・・・パジャマは?着替える?」 あたしは布団から体を起こすと、マナから薬をもらった。 ぐっしょりと寝汗を含んでいるパジャマが、今日は一段と重く感じる。 ん・・・まだ、ふらふらするな・・・ 「うん、パジャマ、着替える・・・」 「じゃ、体拭いてあげるから。」 薬を飲み終わったあたしはマナに背中を向けると、パジャマの上を脱いだ。 部屋の空気がひんやりとあたしの肌にまとわりつく。 「おぉ、色っぽい、色っぽい♪」 「ば、ばか、何言ってるのよ。」 マナは親父くさいセリフを吐きながらも、濡れタオルであたしの体を丁寧に拭き始めた。 「ところで、かなりうなされてたみたいだけど?」 マナが心配そうに、肩越しにあたしの顔を覗き込む。 「ん、夢、見たんだ・・・嫌な夢・・・」 さっきの夢、なんだったんだろう・・・ あれは本当にあたしの記憶の一部なのかな? 碇のおじさまとおばさまの葬儀には行ったことは覚えている。 だとすると、あたしはシンジに小さい頃に会ったことがある? でも、どうしてあそこにレイがいたの? 「さ、終わったわよ。」 ぽんっと背中を叩かれて、あたしの考え事は中断された。 あたしはマナに用意してもらった新しいパジャマに袖を通す。 「嫌な夢か・・・最後に”シンジぃ〜!”とか叫んでたけど・・・どんな夢だったの?」 パジャマを着終わると同時に、マナの茶化した声が耳に入った。 ・・・えぇ?叫んでたの?! う、マナがにやけだした。 あたしは病人だって言うのに、からかう気? でも、あの男の子って本当にシンジだったのかなぁ・・・ 「ねぇ、マナ・・・」 「な〜に?」 あのことを聞くのは怖い・・・でも、聞かなきゃ何もわからない・・・ あたしは、知りたい・・・ 「全部、話してくれるって、前に言ってたよね?」 「ええっと・・・シンジのこと?」 マナが困ったような目をして、あたしに聞き返す。 「そう・・・あたしね、テレビ、見ちゃったんだ。」 「そうなんだ・・・」 マナはそう言うと、下を向いて黙ってしまった。 重い沈黙があたしとマナの間にのしかかる。 「・・・シンジのこと話す前にね、言っておかなきゃいけないことがあるんだ。」 そう言うと、マナが顔を上げた。 その表情は、硬く険しい。 「・・・何?」 あたしはそのマナの態度に、すごい不安を抱いた。 この言い方は、あたしに対して何かすごく悪いことを言おうとしているのでは・・・ 「あのね、あのね・・・・」 マナが言葉を濁す。 言うならはっきり言って・・・ 「あのね、あたしとシンジ・・・もう、ここにはいられないの。」 「え?・・・どういうこと?」 背筋がぞくっとした。 マナと六分儀が・・・いなくなる? 次の瞬間、マナはあたしの目をじっと見てこう言った。 「あたしたちね、引っ越すんだ。」 <続> ======================================== あとがき ども、ちょ〜さんです。 ・・・書き終わってみると、たいして辛くはならなかったですね。(汗) まぁ、読み手によって感じが変わるので、みなさんがどう感じたかはわかりませんが・・・ 「待たせておいて、こんなかよ〜」と言う声も聞こえてきそうですが、 すみません、これがおいらの技量の限界・・・おいらに痛物は書けないのね。(涙) さて、さっさと続きを書かないと・・・あぁ、もうそろそろこれも終わりか。(とほい目) ではでは、また続きでお会いしましょう! ========================================


アスカ:いったい、何がどうなってるのっ? 熱出しちゃったじゃない。

マナ:アスカの記憶の断片は、意味深ねぇ。

アスカ:意味の前に、なんで忘れてたのかしら?

マナ:記憶力、悪いからよ。

アスカ:アンタねっ!!!(ーー# そうかっ! わかったわっ!

マナ:なになに?

アスカ:あの後、アンタがアタシの頭をおもいっきり、どついて記憶喪失になったのよっ!!!

マナ:そんなことしてないわよっ!(@@)

アスカ:よくもアタシを、どついてくれたわねぇっ!! 仕返しよっ!!!!(ドカッ! バコッ!)

マナ:勝手に話作らないでーーーっ! きゃぁぁーーーっ!(がくっ)

アスカ:はぁ、すっきりしたぁ。(^O^)
作者"ちょ〜さん"様へのメール/小説の感想はこちら。
chousan@pk.highway.ne.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system