〜注意〜 この作品内では、
     1.サードインパクトはシンジの希望する形で完了。
     2.したがって、レイ、ゲンドウ等の人物は復活(生存?)
     3.ついでに、マナも生きてます。
     4.レイの性格はTVで言うところの「二人目」に準じます。
     5.さらに、サードインパクトにおいてシンジ達が大活躍した事は、全人類が知っています。
     6.つまり、「とてつもなく」都合の良い世界となっています。


思いは永久に…。                      作.CYOUKAI
 
プロローグ。



 西暦2046年、最後の決戦の終結により平穏となった世界。
地軸の乱れが徐々に戻り、世界にも四季と言うもが戻った。
 そして、此処第三新東京にも、かつて世界を魅了した日本の四季が戻っていた。
 


 「これにて、碇ゲンドウ氏の葬儀を終了させていただきます。」
 第三新東京市の外れにある「新増上寺」において、かつてサードインパクトを
自分と妻との再会に利用し、自らの息子にさえ冷徹に接した男の人生最後の式典が
執り行われていた。


 その「新増上寺」の山門を、参列者達が帰る姿を深々と頭を下げながら見送る一人の男性がいた。
 彼の名は「碇シンジ」、かつて『サードチルドレン』と呼ばれた人物であった。
 その彼に寄り添うように立っている、これまた一人の女性。
 若かりしころは、さぞ美人であったろうと思われるこの女性。
 蒼い瞳、金髪に近いブラウンの美しい髪、今なおその面影を残す身体。
 和服に身を包み、着物雑誌のモデルと見間違えそうなこの女性こそ、
 かつて、『セカンドチルドレン』と呼ばれた「惣流・アスカ・ラングレー」その人であった。

 「ファーストたち間に合わなかったわね。」
 「うん。だけど、絶対今日は出席するからって言ってたから、身内の会食には来るんじゃない?」
 「そうね、あの二人が来ないとなんだか気の抜けた感じがするものね。」
 そう言ったアスカは、帰っていく参列者達に視線を戻した。
 「シンジ、やっぱり悲しい?」
 帰り行く人々から視線をそらさずにアスカが語りかける。
 「父さんの事。」
 「ウン。」
 「まあね。でも、君を失いかけたあの時よりは、平気かな。」
 そういって、シンジは優しくアスカに微笑みかけた。
 その視線に気がついたアスカがシンジを見上げると、その目には涙が浮かんでいた。
 「「・・・・・・」」


 しばらく見詰め合う二人、
 アスカが、そっと目を閉じ少し背伸びをする。
 肩に手を回し、少しかがむ様にして、顔を寄せるシンジ。
 今まさに、二人の唇が重なり合おうとしたその時。

 「あ〜ら、お二人さん。まだまだ熱々なのね〜。」
 「おいおい、邪魔をしては悪いぞミサト。」 
 と、後ろから声をかけてくる初老の夫婦がいた。
 この二人こそ、方やシンジ、アスカの母であり、姉であった「葛城ミサト」であり、
 方や、アスカの初恋の人であり、シンジの良き助言者であった「加持リョウジ」である。
 
 何かに弾かれるように、体を離す二人。
 「シンジ君、アスカ。悪いな。」
 男性の方が、すまなそうに頭を下げると、
 「いえ、別に。気にしないでください。ミサトさんの間の悪さは、わかっているつもりですから。」
 と、シンジか答えた。
 「い〜え、良くない!! 全く、ミサトときたらいつもアタシたちの邪魔ばっかりして!!」
 四十を超えた婦人の反応とは思えない勢いで、アスカはミサトに詰め寄った。
 「何よ〜、ワタシがいつあんた達の邪魔をしたと言うの?詳しく教えていただけないかしら?」
 ミサトも六十を超えた婦人とは思えないような、張りのある声で言い返した。
 その光景を見て、『ガックリ』と肩を落とす男性が二人いた事は言うまでも無い。
 「ミサト、いい年してみっともないぞ。」
 「アスカ、君はいくつになったんだい?」
 二人をなだめようとする亭主二人。
 しかし、その一言が悪かった。
 本当に悪かった。
 「「シ〜ン〜ジ〜(リョ〜ウ〜ジ〜)」」
 見事なユニゾン。
 ((ゲッ!!))
 こちらの二人も見事なユニゾン?
 「「年の事は禁句よ!!」」
 シンジには、往年のビンタ。
 リョウジには、パンチ一撃。
 両名、仲良く撃沈。
 「全く、いまだにアタシの体を求めてくるくせに、あんな生意気な事を言うなんて。」
 「全く、いまだにワタシに“愛してる”なんて甘いセリフを吐くくせに。」
 「「教育が足りないわね。」」
 門柱に背中を持たれかけ、意識を彼方に飛ばしてしまっている亭主を見ながらそう言ったとか言わないとか。
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二人が意識を取り戻したのは数分後の事だった。



 式も(約二名、別世界でさまよった事を除けば)滞りなく終わり、身内だけで故人を偲ぶ時間が設けられた。
 「母さん、また父さんを別世界に送り込んだんだって?」
 そう言うのは、加持夫妻の長男「加持リョウタ」(30歳)。
 父似の彼は、ミサト曰く「若いころの亭主そっくりだわ。」だそうで、
シンジが議長を務める『人類安全・平和保障理事会』No.1のプレイボーイである。
 「またって何よ、またって。」
 「だってそうじゃないか、父さんが女に人を連れて帰ってくるだけ、張り倒すはけり倒すは、大騒ぎじゃないか。」
 「だってしょうがないでしょ。リョウジには前科が数え切れないほどあるんだから。」 
 「そうだけど、母さんも父さんも若くは無いんだから、無茶はやめてくれ。」
 「解ったわよ。」
 ふてくされた顔でミサトがそう言うと、リョウタは笑顔を浮かべ、その場を立ち去って行った。
 「ホントあの笑顔は。加持君そっくりね。」
 不意に後ろから声を掛けられ、驚いたミサトが振り向くと、
 かつて『ネルフ』技術部のトップであった赤木リツコが立っていた
 「リツコ、見てたの。」
 「一部始終ね。あれじゃ加持君かわいそうよ。」
 今でこそ、あの金髪は白くなっているが、目もとのホクロは変わっていない。
 この年まで独身を貫いている彼女。
 一説には後輩との怪しい関係を噂されていたが、それも昔の事。
 「あなたのところの、リョウタ君。いい男ね。」
 「年甲斐も無く、何言ってんの。」
 「あら、私はまだ独身ですからね。それよりあそこを見て御覧なさい。」
 と言って、リツコが促すと、その先ではアスカが若い男女になにやらお説教されていた。


 「「全く、ママは。パパを殺す気?」」
 そう言って、アスカを叱るのは、彼女達の子供の「碇マナ」(24歳)と「碇ケンジ」(26歳)である。
 「ママは怒るとホント見境無くなるんだから。」
 「そうだよ、今パパがお爺ちゃんの後を追ったら、世界がまた混乱しちゃうの知ってるんだろ。」
 「大体、五十過ぎて自分の夫を死の寸前まで追い込む妻がどこにいると言うの。」
 「マナ、ここにいるよ。」
 ケンジが、うなだれるアスカを見下ろしながらそういうと、
 「大丈夫よ、シンジはアタシを置いてどこへも行かない、アタシを残して天国へ行く事なんて無いわ。」
 と、自身たっぷりにアスカが答えた。
 それを見て、二人は大きなため息をついた。
 「父さん、幸せそうに膝枕されてないで、何とか言ったらどうなの。」
 「そうよ、しっかりママに言って置いたほうがいいわよ。」
 「そうだね。」
 二人に後押しされたシンジが体を起こしてアスカに向き直ると、
 「アスカ、僕は君を独りぼっちにしない、僕達は死ぬときまで一緒だよ。」
 と、優しく微笑んだ。
 「ウン。シンジ、ごめんね。」 
 アスカは、恥ずかしかったのか顔を赤くし、うつむきながら小さくつぶやいた。
 「はぁぁぁ〜。これだ。あのねパパ、私達はそれを言ってほしいんじゃなくて、ママに、バシッと、ビシッと
言って欲しかったのっ!!」
 マナがたまりかねてそう言うと、
 「あ、そうだったの。でもねマナ、ケンジ。パパは、ママのこんな乱暴なところや実は淋しがりやのところも
全部含めて大好きになったんだよ。」
 「あっそ。パパがいいなら私達は何も言わないわ。」
 「そうだ、パパ。俺、今度結婚しようと思うんだけど。」
 突然切り出されたシンジとアスカ、それにマナまでもが一瞬動きを止めた。
 「ケンジ、いつ決めたんだい?」
 その中でも一番最初に動きを取り戻したシンジが、そう尋ねた。
 「そうよケンジ。ママの目に適う娘なんでしょうね。」
 次にアスカが口を開いた。
 「お兄ちゃん、相手の娘ってもしかして・・・。」
 最後にマナが。
 アスカとシンジは、マナが知っているような態度を採ったので、追求を始めた。
 「マナ、その娘は、パパやママが知っている娘なのかい?」
 そう言うシンジとその横でうなずくアスカ。
 「知っていると思うよ。でも、私の口からは言えないわ。あとは、お兄ちゃんに聞いて。」
 そういってマナは、ケンジ方へと視線を動かした。
 「ああ、パパもママも会った事があるよ。それも何度もね。」
 「誰っ。誰なのっ。」
 「ママ、焦らないでよ。今日のお爺ちゃんの告別式にも来てるんだから。」
 「だから、誰なの。あんたまさか、ミサトのところのリョウタとただならぬ関係とか言うんじゃないでしょうね。」 
 興奮したのか、とんでもない事を口走るアスカ。
 「ママ、僕はノーマルだよ。」
 「じゃあ誰なんだい、ケンジ。パパとママに教えてくれるかな。」
 シンジは優しく問いかけた。
 「うん。実は、鈴原さんのところの・・・・・・・・。」
 「ト、トウジのところと言うと、リョウコちゃんか?」
 「うん。実はここのところお爺ちゃんの事で忙しかったからなかなか言い出せなかったんだけど。」
 息を飲んで聞き入るシンジとアスカ。
 「2年前くらいから、リョウコと付き合い始めて、もうトウジさんからは了解ももらってるんだ。」
 「ええっ!!」
 面食らう二人、ハトが豆鉄砲を連射されたような驚きようである。
 「さっきトウジたちに会ったとき何も言って無かったのに。」
 「そうよ、ヒカリだって何も言って無かったわ。」
 「それはね、トウジさん達が気を聞かせて俺がパパ達に話すまでは黙っていようって言ってくれたからなんだ。
パパ、ママ。許してくれるよね。」
 ケンジは、父や譲りの微笑でシンジ達に答えを促した。
 「まあ、トウジたちが了解してるなら、お爺ちゃんの喪が明けたらすぐに準備に執りかかろう。」
 シンジは、少し考えたあと、そう答えた。
 「それで何だけど、パパがママに言ったプロポーズの言葉を教えて欲しいんだけど。」
 「プロポーズって、アンタ。トウジとヒカリに了解を得たんでしょ?」
 アスカは、身を乗り出してそう言った。
 「うん。結婚を前提としたお付き合いにはね。でも、プロポーズはパパとママに話してからにしろって、
トウジさんが言うから。」
 「そうなの。」
 「だから、参考までにパパのプロポーズの言葉を教えて欲しいんだけど。」
 改めて、そう言うケンジにシンジは、
 「パパのプロポーズの言葉か・・・・・。話すと長くなるよ。」
 「いいよ。どうせレイさん達が来るまで会食は始まらないんだろうから。」
 「わかった、話してあげるよ。パパがママにプロポーズをしたときの事を。」
 そう言って、シンジは話し始めた。
 あの、まだ四季の戻らない町で、シンジがアスカに愛を伝えた時の事を・・・・・・・・。




予告
 ゲンドウの葬儀の場で語り始めるシンジ。
 あの暑い夏だけの第3新東京で始まった、新しい生活。
 そんな中、突如アスカの前から姿を消すシンジ。
 最後の戦いの後にシンジとアスカの身に何があったのか。
 と、言うわけで次回「勘違いと思い込み」
 ご期待ください。












あとがき
 どうも、はじめまして『CYOUKAI』です。
タームさんの作品を読んでいくうちに触発されてこんなものを書き始めてしまいました。
 注意書きに書いたように、この世界は、エヴァンゲリオンの最終話後はこうあって欲しいと言う『CYOUKAI』の
理想の世界です。
 設定がめちゃくちゃなのは堪忍してください。
 あと、『霧島』さんですけど、プロローグでは出てきません。
 シンジの思い出の中で出てきます。
 役割はかなり重要なものとなりそうです。
 それでは、本文ともども駄文を長々と書いてしまいましたが、飽きなければ最後までお付き合いください。

                                              『CYOUKAI』


マナ:CYOUKAIさん、投稿ありがとーーっ!(^O^/

アスカ:いやーーーーーっ! アタシが、おばさんにぃぃぃ。

マナ:やーねぇ。アスカったら、おばさん・・・。

アスカ:アンタも同じ歳でしょうがっ!

マナ:いやーーーーーーっ! わたしも、おばさん????

アスカ:と、とにかく。(汗) ストーリー自体は、若い頃の話みたいだから・・・。

マナ:『若い頃』なんて言い出したら、ほんっと、おばさんくさーい。

アスカ:いやーーーーーーーーーーーーーーっ!(TOT)
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