赤い海。
そのほとりに二人の少年少女。

少女は横たわり、眠っている。
赤いダイバースーツの様なものを着、左目と右手に巻かれた包帯が痛々しい。
そしてその横で、少女を愛しいそうに見つめながら彼女の長い金髪を撫でる少年。

「誰も戻ってこない。戻ってくれない。どうしてこんな事になったんだろう?ねぇ、アスカ・・・」
だが今だ眠り続ける少女は答えない。

更にしばらくたち、彼ら二人以外に、佇む少女の存在に少年は気付いた。

「綾波・・・」

「碇君」

しばらく見詰め合う二人。
そして先に話したのは少年、シンジのほうだった。

「ねえ、綾波。どうしてこんな事になったの?どうしようもなかったの?僕は・・・、僕はこんなこと望んでいなかった。もう、どうにもならないの?出来るなら過去に戻ってやり直したい・・・」

「・・・出来るわ」

「え?」
「だから出来るわ、過去に戻ること。やり直すこと。絶望の未来を変えること」
「ほっ、本当に!?」
「ええ、リリスと一体になった今の私にはたやすいこと」
「じゃあ」
「でも、戻せるのは私以外」
「え?」
「私自身はここに残って、時空歪曲場をコントロールしなければならない」
「そんな、それじゃあ、綾波は・・・君はどうなるの?」
「大丈夫。碇君が未来を変えることが出来れば、この世界も変わる。そうなれば、歴史が修正されれば、サードインパクトで戻ろうとしない軟弱者たちも強制的に還ってくる。だって無かったことになるんだもの」
「じゃあ、綾波は大丈夫なんだね?」
「ええ、ただ、そうなった場合、私達は知り合わなかったことになる場合もあるわ」
「・・・・・・」
「彼女とも出会わなかったことになるかもしれないわ。それでもやる?」
そう言って、赤の少女、アスカをさす。
シンジもアスカを見つめしばし考える。
そして
「いいよ」
と答えた。
「もしアスカとの出会いがキャンセルされたとしても、僕は絶対にまた彼女に会う。僕はどんなことをしてももう一度アスカに会いに行くよ。たとえ彼女が僕のことを覚えていなくても」
「・・・そう、決意は固いのね」
「うん」
「なら、早速始めるわ」
「うん、でもその前にアスカに別れを言わせて」
コクンとうなずくレイ。
そしてシンジは再びアスカの横に座り
「アスカ、行ってくるよ。こんな、絶望しかない世界を否定する為に。君が心安らかに生きられる世界を取り戻すために。行ってくるよ。・・・・・・愛してるよ、アスカ」
そして彼女の頬にそっと口付ける。

「もう、いいのね?」
「うん」
「それじゃ、今度こそ始めるわ」
「ああ!全ての始まりのときっ、始まりの地へっ!!」
「そこでいいのね。それじゃあ、行ってらっしゃい、碇君・・・バシルーラっ!!
「ちょっと待ってっ?バシルーラって!?」

ビューンビューンビューン


こうしてシンジは過去へと跳んだ。
後に残されたのは、レイ。
そしてアスカ。
その彼女の右目からは涙がこぼれていた。

「しんじ・・・」


エヴァンゲリオン−P
「行き過ぎた者」



「・・・・・・」
シンジは呆然と立っていた。
「ここって、過去?」
シンジが立つのは人っ子一人いない町の中。
だが、ここは第三新東京市ではない。
「あれって東京タワー・・・じゃないな。・・・エッフェル塔?」
少し離れたところに建つのは間違いなくエッフェル塔。
そしてその近くには・・・
「空飛ぶ円盤?」
そう、円盤が浮いていた。
それも恐ろしく巨大な、あからさまにアダムスキー型な、赤い円盤が。
「なに、あれ?」
「あれはレッドノア。古代アトランティスの遺産。そして今はネオ・アトランティスの旗艦」
「って、うわぁぁぁっ」
シンジの後ろにはいつから居たのか蒼銀の髪の少女が立っていた。
「あれ?綾波、来れないんじゃなかった・・・のって、なんか小さい?」
「ええ、だって私は一人目だもの」
「・・・・・・なんか良く解らないけど、綾波でいいんだよね?」
「ええ、でも区別つけるために一人目の私はレイ、二人目は綾波、三人目はリリスと呼んで」
「はあ」
つまりあの時のリリスな綾波は三人目だったと。
(ま、いっか)
「で、ここはどこなの?」
「ここはフランス」
「・・・なぜにフランス?」
「だってシンジお兄ちゃんが「始まりの地へ」って言ったから」
「・・・・・・」
(第三新東京市のつもりだったんだけど)
「でも、何でここが始まりの地なの?」
「あれよ」
そう言って空飛ぶ円盤、レッドノアをさす。
「・・・そういえばあれは?」
「だからレッドノア。全ての始まりの船でもある」
「始まりの船?」
「そう。今から約二万年前、彼らは遠い故郷の星を離れ、この地球にやってきた」
「え、じゃああれに乗ってるのは異星人って事?」
「いいえ、あれに乗っているのはほとんど地球人よ」
「え?じゃあ、その異性人たちは?」
「ほとんど死に絶えたわ。と言っても、長い年月をかけて徐々に、と言うことだけど」
「そっか。あ、それで遺産?」
「そう、でもまだ生き残りの異性人、アトランティス人は居る」
「どこに?」
「レッドノアに二人、そして今、日本からここに向かって飛んできている船に一人」
「ふ、船が飛ぶの?」
「船といっても宇宙船よ。第四世代型、超弩級恒星間航行用万能戦艦「エクセリヲン」。そして今の名は万能戦艦N(ニュー)−ノーチラス号よ」
「・・・・・・綾波」
「なに」
「ここってホントに過去?」
「ええ、間違いなく」
「でも宇宙戦艦だとか、空飛ぶ円盤だとか・・・あれ?待てよ」
シンジはあることが引っかかる。
「ここはフランス。そして目の前にはエッフェル塔。つまりパリ・・・。と、言うことはっ!?」
ハッと「なぞは全て解けた」な顔をするシンジ。
「パリ円盤事件!!」
と叫んだ。


パリ円盤事件。
時に、西暦1890年。
それが一体どこから現れたのかは誰も知らない。
だがそれは確かに存在していたという。
歴史家の中には、うわさ話に尾ひれがついたものであるとか、集団催眠にかかったのだというものも居る。
だが、今現在においても、世界レベルで起こった催眠だのうわさだのとは到底信じられていない。
つまりは確かにあったのだ。
その日、パリの上空に。
そら飛ぶ円盤が。

それは突然現れ、パリ上空にとどまり、世界全体に対して降伏勧告を出してきた。
そしてまず手始めに、イギリスを明渡せ、と。
だが、その後、結局降伏しなかったにも拘らず、円盤からの攻撃は無く、それは現れたときと同じく、忽然と姿を消した。
その後、その円盤を使い、世界征服をもくろんだのは「ネオアトランティス」という、秘密結社であるという情報が流れた。
だが、その組織自体、その存在を示す、数多くの証拠が残っているにも拘らず、円盤が消えたのと同時期に、消えてしまった。

これが世にいう、「パリ円盤事件」だ。

この他にも、1892年に、「人間蒸発事件」というものもあった。
これは行方不明事件ではなく、文字通り、衆人観衆の目の前で、煙を噴いて蒸発してしまう、というものであった。
これにもネオアトランティスなる組織が関わっていたと言われているが定かではない。


「って、19世紀末じゃないかっ!?」
「そうよ?」
「いや、そうよって言われても・・・で、どうしてここが始まりの地になるの?」
「だからあれ」
改めてレッドノアをさすレイちゃん。
「あれには今だ休眠状態のアダムがあるの」
「えっ!?でもアダムは確か南極で発見されたんじゃ?」
「そう、でもそれは2000年のこと。南極へは今日落ちるの」
「落ちる?じゃあ、パリ円盤事件の円盤が消えたのって・・・」
「そう、もうすぐやってくるN−ノーチラス号によって沈められるの」
「じゃあ、僕は何をすればいいの?」
「まずは、あのレッドノアに乗り込んで」
「それで?」
「それで一人の少年を助けるの」
「少年?」
「そう。シンジお兄ちゃんと同い年の少年。彼は今日、殺されるの」
「!?」
「でも彼は助かる」
「?ならいいんじゃないの?」
「問題はその時トリスメキストスの力が使われるの」
「とりす・・・?」
「トリスメキストス、現在ではブルーウォーターとも呼ばれているわ」
「ブルーウォーターのほうが覚えやすいな」
「・・・そしてその力のほとんどを少年に与えてトリスメキストスは光を失うわ」
「ブルーウォーターのほうがいいのに」
「しゃらっぷ!・・・で、その出がらしを、ネオアトランティスの連中が解析して裏死海文書が作られたの」
「・・・・・・」
(レイって綾波とは性格違うんだなぁ)
「だからお兄ちゃんの仕事はまず、その少年を助けるか、出がらしのトリスメキストスを回収すること。わかった?」
「・・・一つ質問、いいかな?」
「なに?」
「さっきからお兄ちゃんて、何?」
「・・・・・・(−−#」



「と、とにかくどうやって乗り込むの?」
「リリンの力を使って」
「リリン?」
「そう、18番目の使徒。お兄ちゃんのことよ」
「ぼく?」
「そう、アスカさんと力を分け合っているからそう大した力はないけど、それでも普通の「人」にすれば相当な力が使えるわ」
「たとえば?」
「重力を遮断して空を飛んだり、空間を渡ったり」
「・・・・・・」
(それで大した力じゃないの?)
その時、レッドノアのてっぺんが光った。
「あ」
「・・・どうやら攻撃が始まったみたいね」
「どうなるの?」
「大丈夫。ほら」
そう言ってレイが指すほうを見ると、別の光の束がレッドノアの放った光の矢を追撃していた。
「N−ノーチラス号の主砲よ」
そして直後に空の上で爆発が起こった。

「来たわ」
そしてものすごい速さでパリ上空に現れた船。
「あれが」
「そう。N−ノーチラス号」

そして始まる2隻の宇宙船の戦い。
それは壮絶を極めた。
はじめに体当たりをかけたN−ノーチラスがバリアに弾き返される。
そのままエッフェル塔に激突。
途中で折れるエッフェル塔。
更にそこへレッドノアのビーム攻撃であたりは完全に崩壊する。


「うあ、ぜんぜん駄目じゃないか」
N−ノーチラスの攻撃はレッドノアにまったく効いていない。
「そろそろよ」
「何が?」
「N−ノーチラスがバリア最大で特攻をかけるわ。そしてバリアを破った瞬間、搭載機を一機、レッドノアに潜入させる。その瞬間なら観測されずに潜入できるわ」
「わかった、もうすぐだね」


そして

パリーン

N−ノーチラスがバリアをはってレッドノアに接触して1分弱。
レッドノアのバリアの一部が割れた。

「・・・・・・」
「行くわよお兄ちゃん・・・、どうしたの?」
「いや・・・行こう」
そう言って空間転移をかけた。

(それにしても・・・)
(パリーン、は無いよな。パリーンは)
(ガラスじゃないんだから)



「さて、それで助けるべき少年はどこに居るの?」
「まだ乗り込んでないわ」
「をい」
「あと、数時間後にもう一度N−ノーチラスがレッドノアに特攻をかける。そのときに乗り込んでくるわ」
「あ、そう」
(先に言ってよ)



数時間後



「ものすごい衝撃だったね」
「N−ノーチラスがレッドノアに突入したみたいね」
「じゃあ、早くしないと」
「・・・・・・」
「どうしたの?」
「迷っちゃった」
「・・・だから、をい」



ようやくそこにたどり着いたときは、すでに一つの見せ場がクライマックスを迎えかけて居た。
褐色肌の少女が悲鳴を上げている。
その彼女の前には、粉々になった機械人形が有った。
「サイボーグ化された彼女の兄が死んだのね」
「くっ、僕がもう少し早く着いていれば」
「自分を責めては駄目」
「・・・うん」

そして仮面の男が何かを少女に言い聞かせている。
それを拒絶する少女。

「あの声って冬月副指令?」
「それは言わないお約束」

「では、愛する者の躯を見て後悔したまえ」

「今よ、お兄ちゃん!」
「よし!!」

玉座に居る少女とその横に居る仮面の男。
その正面には髪の長い男とプラグスーツのような白い服を着た女性、そしてめがねに蝶ネクタイという良いとこのお坊ちゃんのような少年が、それぞれ高いポールの上に居た。
そしてそのうちの一本。
少年の立つ足場が急に斬鉄剣で切られたのごとく、斜めになった。
自由落下をはじめる少年。
そして彼が頭から地面にたたきつけられようとした瞬間。

「ふう、今度は間に合った」
シンジが少年を受け止めていた。

突然第三者の東洋人の少年の乱入。
そこに居る全員が驚いていた。

「ジャン!?」
最初に少女が正気にかえり、少年、ジャンの身を案じた。
「大丈夫、彼は無事だよ」
シンジは彼女を安心させるために、にっこりと笑いかけながらジャンの無事を伝えた。
気を失っているが。
「よかったぁ、ジャン」
涙をこぼしながら喜ぶ少女。
そしてそれをいまいましげに見つめる仮面の男。
「・・・君は一体何者かね」
何とか冷静を装いつつ、シンジに聞く。
「神よ」
だがそれに答えたのはレイだった。
「神だと、ふざけたことを」
ふん、と鼻で笑う。
「神とはすなわち私のことだよ、少女よ」
「いいえ、あなたはただの人間。でも私達は違う。確かに本当の意味での神とは違う。でもそれに類する力を手に入れたのが私達、使徒」
「使徒、だと?」
「そう、神の力の代行者」
「天使だというのか?ならば神である私に従いたまえ」
「あんたばか?あんたはただの人間だって言ってるでしょう」
「レイ、アスカの真似?似てないよ」
「しゃらっぷ」
「そうよぜんぜん似てないわっ!!」



その時
シンジは信じられない人物の姿を確認した。
この場に居るはずの無い。
シンジが最も愛し、求めた少女。

アスカ




時は少しさかのぼる・・・というか未来に戻る。

シンジが旅立ったあと。
自らの分身、10歳のレイに肉体を与え、シンジのサポートのために送り出した。
その直後。

「アンタ、ファースト?」
振り返るとそこには目を覚ましたアスカが居た。
「目がさめたのね」
穏やかな顔をアスカに向ける。
「シンジは?」
が、アスカはいきなり本題に入る。
「跳んだわ、過去へ。未来を変えるために」
「・・・やっぱり夢じゃなかったんだ」

レイとシンジが話していたとき、アスカな実は半分覚醒していた。
夢心地で二人の会話を聞き、そして最後にシンジが自分に向かって「愛してる」と言った。
そして口付け。
(どうせ夢なら唇にしなさいよ〜)
などと思ったが、直後、シンジの気配が消えた。
本能的に「取り残された」と気付いた。
そして流れる涙。
自分もシンジのことを憎からず思っていた・・・いや、愛していたといっても良い。
そう気付いた。
だから、置いていかれたと解り、涙が止まらなかった。

「あなたも行く?」
「え?」
あっさり言われて戸惑うアスカ。
実は無理にでも後を追わせろ、と言うつもりだったが。
「だから過去、碇君の後を」
「・・・あんたはそれでいいの?」
アスカはレイもシンジが好きだと思っていた。
だが
「今の碇君に必要なのは、妹ではなく愛する女性、つまりあなた」
レイの言葉に頬を赤らめるアスカ。
「だからあなたさえ良ければ、彼の力になってほしいの。駄目かしら?」
「・・・いいわ」
「ありがとう・・・それじゃ、一つ聞かせて」
「なによ」
「あなた、碇君のこと、どう思ってる?」
一瞬答えに詰まるアスカ。
が、次の瞬間には力をこめて答えた。
「愛してるわ、あんたに負けないくらい」
「ありがとう」
レイはアスカですら見とれるほどの笑顔を浮かべた。
「あ、あんたが礼を言うことじゃないわよ」
「ふふ、そうね」

「それじゃ、碇君・・・兄のこと、よろしく」
「ええ、向こうに行ったら、あんたの分身共々面倒見てあげるわよ」
「ええ、お願いね」
そしてレイは力を集める。

「空間湾曲っ、ディバイディング、ドライバーーーーー!!!」

「なに、それ?」



呆れ顔のアスカはこうしてシンジの後を追い、19世紀へと跳んだ。
シンジよりは細かく現地の説明を受けてから。




「と言うわけでそこの悪人面のあんた!!」
「いや、仮面してるからわかんないって」
アスカの存在に顔をほころばせながらも一応突っ込むシンジ。
「あんな仮面してるって事は、とても人に自慢できないツラしてるって事よっ。たとえば指令みたいに!!」
「うあ、ひでえ」
人の親つかまえて、と思いつつもどこか納得してしまう親不幸者のシンジ。
「あんたが母親似でよかったわ」
「ははは・・・」
「で、そこのおっさんっ」
再び仮面の男に向き直るアスカ。
シンジにしろアスカにしろ、感動の対面の一つも演じたいところだが、場合が場合だ。
とりあえず、当面の問題を片付けることにした。
それをユニゾンする意識で確認しあって、二人は仮面の男に向き合う。
「あんた、そこの女の子の言ったとおり、ただのおっさんよ。神様なんてとんでもない。せいぜい子鬼程度ね」
「なんだと・・・」
さすがに腹が立ったのか、トーンが下がる。
「われわれアトランティス人は、この星の人間どもを作り出した。すなわちこの星の神なのだよ」
諭すように言う男。
だがアスカは
「あわれね」
と言った。
「いまだに信じてるのね、自分が特別だって。でもそんなのは幻想。思い込みに過ぎない。あんた、ホントはあんた自身が見下している人間、そのものなのに」
「ふん、何をバカなことを」
「その少女の言うことは本当だ」
そう言ったのは、さすがに今まで事の成り行きについて行けなかった髪の長い、血まみれになった男。

「・・・レイ、あの人血まみれみたいだけど、大丈夫なの?」
「多分。今はトリスメキストスの加護を受けているから」
そう言って、彼の頭上で光る宝石を見る。
「あれがブルーウォーター」

「何を言うのかね、ネモ君」
「貴様は人間だと言っているんだ、ガーゴイル」

「ガーゴイルだって、やっぱり鬼じゃない」
「そうなの?」
「日本でいえば、鬼瓦みたいなものね」

シリアスな会話の横でのアスカとシンジの呑気な会話。
もしガーゴイルが仮面をしていなければ、その額に浮かぶ血管を見ることが出来ただろう。

「ふっ、バカなことを」
とりあえず、アスカたちは無視することにしてネモと会話を続けようとする。
「そのような戯言を信じるとでもっっ!?
その時だった。
イデが発動したのわ・・・じゃなくて、N−ノーチラスがこのホールに壁を突き破って現れたのは。
「発掘戦艦!?」
ガーゴイルの驚きの声と共に放たれるN−ノーチラスの主砲。
そのビームに飲み込みこまれ、ガーゴイルは消えていった。

「うわ、あっけない最後」
「まったくね」
どこまで行っても呑気なシンジとアスカだった。
もしかしたら、戦自との戦闘で人の生き死にに対して麻痺しているのかもしれない。



こうして少年、ジャンの死は免れた。
後はトリスメキストスをどうするか、だけだ。



「ま、それはもうここの時代の人に任せて、僕達は帰ろうか」
「どうやって?」
「あっ」
「ちょっとぉ、頼んないわね?大丈夫なの?」
「あはは」
「笑って誤魔化さない!」
「・・・どうしよ?」
「はぁ。やっぱりあんたはバカシンジだわ」

「帰るのは任せて」
と、今まで二人のやり取りを、どこか楽しむように見ていたちびレイが口を開いた。
「出来るの?」
と、シンジ。 「元の時代の私、リリスと今の私はリンクしてるの。だからここからリリスの力を呼び出してゲートを開くわ」
「そ。じゃ、早速かえりましょうか。でも、結局アタシは何しに来たのかしらね?」
「それはシンジお兄ちゃんを忘れないため」
「そっか、あのまま歴史変わってたら、元の歴史覚えてるの、あんた達二人だけになるもんね。なら、来た意味あるかな?」
「どうして?あんなイヤな思い出、覚えていないほうが・・・」
(馬鹿ね。それじゃ、あんたとの楽しい想い出も忘れちゃうじゃない)
しかし、心に思ったこととは違い、口に出たのは
「いいの!今までのことがあるから、今のアタシがあるんだから!!」
だった。
「そう・・・そうだね!やっぱりアスカは今のアスカがいいや!」
「そう言うこと!って訳でとっとと帰るわよ!!」
「それじゃ・・・ESウインドウ、展開!!」
「「だからなんなんだよ(のよ)、それは?」」
そして彼らは再び時を渡った。



「で?」
「ここ、どこよ?」
三人が今いるのは、空港のような場所。
しかし、その外は宇宙空間。
「スペースポートね」
「「すぺーすぽーと?」」
「つまり宇宙港」
「・・・レイ?今って2015年だよ・・・ね?」
「・・・」
「はっきり言いなさいよ」
「・・・今は」
「「いまは?」」
「2115年のようね、てへ(はあと)」
「「・・・・・・てへじゃな〜〜〜いっ!!」」


彼ら三人の、元の時代へ向かう旅、それはまだ始まったばかり。
これからも、レイのミスで、色々な時代への冒険は続く。
負けるなシンジ!
くじけるなアスカ!!
君たちはいつかきっと元の時代に戻れる!!!









たぶん・・・・・・





つづかない


あとがき

やっとアップ。
結構時間かかった・・・わりに内容薄いし。

今回はナディアとのクロスオーバー。
でも、結局ジャンを助けただけで、後のフォローなし。
ブルーウォーターも健在なわけだし、ガーゴイルの生死も不明。
果たしてその後の歴史はどう変わっちゃてるのか。
僕も考えてません。(なんじゃそりゃ)
ただ、逆行するのに、時代を行き過ぎちゃう話を書いてみたかっただけです。
って、結局なにやりたかったんだろ、僕?

まあ、気が向いたらその後の冒険でも書いてみようかな?つづかないって書いちゃったけど。

しかし、もともとエヴァってナディアと世界観を同じにするつもりが庵野さんにあったんじゃないか?って、何かの本でガイナックスの人の座談会で言ってたなぁ。

2002/11/11 著者 ダイス


マナ:綾波さん・・・なんかイっちゃってるわ。(ーー;

アスカ:ファーストが何かに一生懸命になると、あぁなるのよ。

マナ:叫んでるわよ?(@@)

アスカ:目が点になったわ。

マナ:ディバイディング、ドライバーって何?

アスカ:ネジを回す道具よ。

マナ:・・・・・・違う気がする。
作者"ダイス"様へのメール/小説の感想はこちら。
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感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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