2013年、京都・・・

ズバッ!!

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

辺り一面に悲鳴が響きわたる
男が背中を斬られた

「なっ、何だ貴様は!!」

斬られた男が、血の付いた刀を持っている少年に問いかけた。

「俺の名前は碇シンジ、貴様に天誅を下す為ここに参上した」

「い、碇・・・シンジだと・・・って事はまさか、貴様のようなガキがあの人斬り火龍か!!」

「まっ、そう言うことだ、もう良いだろ・・・死ね」

ズバッ!!

そう言うとシンジという少年は男の首を跳ね飛ばした。

ブシュゥゥゥゥゥゥゥ!!

斬られた男の首から大量の血が噴水のように噴き出す。
その光景を楽しそうに見つめる少年の姿があった。

「けっ、このくそ外道が・・・女をさらって犯したあげく、麻薬漬けにして自分から離れられないようにして・・・
そして飽きたら殺す、そんなことを何回も繰り返しやがって、貴様にはこんな死に方がお似合いだよ」

シンジは男の地面に転がっている顔をサッカーボールを蹴るように蹴り飛ばす。

「あ〜あ、きたねえ血がついちまったぜ、どっかの川で洗い流すか
それにしてもハラへったな、三日ぐらい何も食べてないんだっけな、そう言うば」

そう言ってシンジはその場を後にした。




この物語はシンジがナミやミサと初めて出会い、そして別れの物語である。


新世紀エヴァンゲリオン灼熱の炎外伝



《雪・
前編

by.イフリート


炎の羽を背中から生やし、空を飛んでいるシンジ
流石に身体中返り血だらけでは街を歩けないだろう。
シンジは川の流れていそうな山へと向かって飛んでいた。

「ハラへった〜、火炎術使っているし、余計悪いな・・・
だめだ、もうもたん」

シンジは近くの山に降りた。

ザァァァァァ・・・

川の流れるおとがシンジの耳に届いた。

「おっ、丁度良いな、川で身体を洗った後魚でも捕って食べるか」

シンジは川の音のする方へと早足で向かっていった。





シンジは川につく直前で木に掛かっている白い着物を見つけた。

「なんだこりゃ、何でこんな所に着物が・・・まっいいか」

シンジは着物を無視して川へと向かった。
川へ到着するとそこには素っ裸で水浴びをしている水色の髪の毛をショートカットにした女性が居た。
14〜5歳と言うところだろうか
それを見て硬直するシンジ
相当大人びたガキのシンジだが、さすがに女性の裸には免疫が無いようだ。

ガサガサ

音をたててしまうシンジ

「誰か・・・そこにいるの」

女性は音のしたほうに振り向く。

「い、いや、その、なんだ・・・ごめん!!」

シンジは後ろに振り向き、女性を見ないようにした。
しかしそれは急に起こった。

「あっ、あれ、何かふらふらするぞ」

どさん!!

シンジはあまりの空腹のため倒れてしまった。
それを見た女性は裸のままシンジに近づき膝枕をした。

「ちょっと、大丈夫ですか、もしも〜し」

ペシペシ

気絶したシンジの頬をペシペシと叩く女性

「うっ、う〜ん・・・」

シンジは叩かれる事で目を覚ました、しかし・・・

「ほっ、ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

目を覚ましたと同時にシンジが見た物は、女性の胸だった。
しかもドアップで

ブシュゥゥゥ!!

鼻血を吹き出しまた気を失うシンジであった。

「あらあら駄目みたいですね、一体どうしたんでしょうか
一回目をさましたというのに、しょうがありませんね家へと連れて帰りましょう」

シンジの頭をゆっくり地面に下ろすと、女性は先ほどシンジが見つけた着物を羽織り
シンジをおぶると、空を飛び、どこかへと向かっていった。


「うっ、う〜ん・・・ここは何処だ」

きょろきょろと辺りを見回すシンジ
その時一人の女の子が部屋へと入ってきた。
先ほどあった女性と同じ色の髪の毛を腰までのばした女の子がシンジに近づく
歳はシンジと同じくらいであろう

「あら、目を覚ましたのですね」

「あの、君は?」

「わたしですか、わたしは雪女のミサと言います。」

「ふ〜ん、ミサさんか、俺はシンジ、碇シンジだ、よろしくね」

「ミサでいいですよ、さんはいりません・・・って、驚かないのですか」

「何が?」

「わたし、雪女なのですよ」

「別に、人も雪女も同じ生き物だろ、軽蔑する方がおかしいよ」

「クスッ・・・シンジさんって珍しい人間ですね」

「そうか?普通のことだと思うんだが
それと俺のことも、さんづけしなくていいよ」

「いえ、もうこれは口癖みたいな物ですから気にしないで下さい」

「そうなの」

「ええ、あっ!!」

「どうした!!」

「あっ、いえ、忘れる所でした、ちょっと姉様を呼んできますね」

ミサはそう言うと部屋から出ていった。

「姉様って・・・まさかさっきの裸の女性の事かな」

あの光景を思い出し顔を赤くするシンジ
その時先ほど川であった女性が部屋へと入ってきた。

「あら、大丈夫ですか?
お顔が真っ赤ですよ。」

(誰のせいだと思ってるんだ)

「いっ、いや、大丈夫」

「そうですか、それは良かったですわ、凄く心配しました」

「それはそうと、ここへ運んでくれたのは君なの」

「はい」

「ありがと、助かったよ、そう言えば名前を聞いてなかったね」

「わたしは、雪女のナミと申します。」

「俺は碇シンジって言うんだ、よろしくねナミさん」

「ナミでいいですよ、シンジ様」

「わかったよナミ・・・って、様って何だよ様って、呼び捨てで良いよ」

ナミは真剣な顔になり、こう答えた。

「そうは参りません、殿方を呼び捨てになど私には出来ませんわ」

「そっ、そうなの、まあいい、好きなように呼んでくれ」

あまりに真剣に言うナミに気押されするシンジ

「はいシンジ様、そうそうお食事が出来ていますが・・・・食べられますか?」

それを聞くとシンジは勢い良く立ち上がった。

「食う食う!!ここんどこ飯食ってなかったんで死にそうだったんだ」

「あらあら、それではこちらへどうぞ」

そう言ってナミはシンジを案内した
そうはいってもほったて小屋なのですぐについた。
そこには家庭料理と言うべき物が並んでいた。

「うお〜!!美味そうだな」

「さあさあシンジ様、どんどん召し上がって下さい」

「そうですよシンジさん、おかわりなら沢山あるのですから」

「そうか!!それじゃ、いただきま〜す。」

ガツガツ、ムシャムシャ、モグモグ、ゴックン
ガツガツ、ムシャムシャ、モグモグ、ゴックン
ガツガツ、ムシャムシャ、モグモグ、ゴックン

バキュウムカーの如く料理はシンジの胃袋に収まっていく。

「美味い!!美味いよ」

「そうですか、有り難う御座いますシンジ様」

ナミもミサも料理には手を着けずシンジの美味しそうに食べる光景に見入っていた。
こうして奇麗さっぱり料理はシンジの胃袋に収まった。

「御馳走様、本当に美味かったよ」

「お粗末様でした、やはり美味しく食べて頂くと嬉しいですわね、ミサさん」

「そうですね姉様」

シンジはお腹が満たされて頭も働くようになると、今の状況を理解しようとナミ達に質問を始めた。

「そう言えばここは何処なんだ」

その質問にナミが答える。

「ここは、京都から少し離れた山奥ですよ」

「ふ〜ん、でも何でナミもミサも街で暮らさないんだ
お前達二人なら、普通に見るだけじゃ、人間と区別がつかないぞ。」

「わたし達姉妹は人混みが嫌いなんです。
だからこうして、自然に囲まれた山奥でひっそりと暮らしているんですわ。」

「そうか、その気持ち解るような気がするよ。
あの、汚い人間社会で暮らすのは俺みたいな人斬りには耐えられるが
君たちみたいな温厚を好む人には嫌かもな
俺も本当は嫌だし、それに家族という物を味わってみたいよ。」

「えっ、シンジ様には、ご家族がいらっしゃらないんですか?」

「ああ、母さんは事故で死んだみたいだし、父さんは俺を滝から投げ捨てたしね。
その後父さんがどうなったか何て知らないしね。」

それを聞いたナミはすごく悲しそうな顔をする。
ミサにいたっては泣き出した。

「ひ、ひどいお父上ですね、許せませんわね」

「エグッ・・・そんな・・・グスッ・・あんまりです・・・」

「そう言ってもらえるだけ嬉しいよナミ・・・
ミサも泣かないでよ、ねっ♪」

「はい・・ごめんなさい、泣いたりして」

「いや、泣くほど思ってくれるんだから、俺も嬉しいよ。」

ナミが突然言う。

「そうだシンジ様、私達と暮らしませんか?」

「えっ!?」

突然のことに驚くシンジ

「いいですわよね、ミサさん」

「はい、よろしいですよ姉様」

「ちょっとちょっと、いきなりそんなこと言われても・・・
それに今日初めて合ったばかで、そんな
それに俺は人斬りなんてやっている、最低な奴なんだぞ。」

「そんなこと関係ありません、シンジ様はいい人です。
わたしには解ります。
それにむやみやたらに人を殺めていたわけでは無いのでしょ」

「まあ、そうだが・・・」

「だったら良いではないじゃないですか、確かに人を殺めることは良くありませんが
シンジ様が殺めた方々を殺めずほっておくほうが、被害は増えたんじゃありませんか」

「しかし、所詮俺は人殺し、どんなきれい事を並べても俺の手は血に染まっている・・・」

シンジは両方の自分の手の平を見ながら呟く。
それを見たナミは無言でシンジを抱きしめた。

「え!?」

驚くシンジ

「シンジ様、そんな悲しいことを言わないで下さい。
お願いします。」

「俺のやってきたことを君は許すと言うのか。」

「はい」

それを聞いたシンジは熱い物が目にこみ上げてきた。
そして・・・

「うっ、うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

シンジはナミの胸の中で思いっきり泣き出した。

そんなシンジを優しく頭をなで続けた。
実を言うとナミは知っていた、この少年が人斬り火龍であることを・・・
冷酷残忍、極悪非道と歌われたあの人斬り火龍であることを・・・
しかしどうだろう、一皮むけばこんなにも人の愛情に飢えた純粋な少年だった。
そしてナミは思った、この純粋な少年はわたしが守ると・・・

そしてしばらくしてシンジは泣きやんだ。

「ごめん、着物濡らしちゃたね」

「いいですわ、それより一緒に暮らして下さいますか?」

「本当に良いの?」

「はい」

「ミサも?」

「一緒に暮らしてくれると嬉しいです。
家族が増えるのを誰が反対しましょうか。」

「ありがとう、本当にありがとう、ナミ、ミサ、生まれてこの方、これほど嬉しいことは無かったよ。」

こうして人斬り火龍碇シンジと雪女姉妹との奇妙な同居生活が始まった。


イフリート「こんにちは、イフリートです。」

  ミサ 「こんにちはじゃないでしょ、第九話〈狂乱の宴〉はどうしたのですか。」

イフリート「書いてるよ」

  ミサ 「だったらそちらを先に書いたら良いのではないのですか。」

イフリート「先にこっちを書きたくなったんだよ。」

  ミサ 「そうですか、わたしは出番が増えて嬉しいのですが・・・」

イフリート「お前のことはともかく、読者の皆様にナミのことも知ってもらいたいんだよ。」

  ミサ 「わたしのことをともかくって言うのは気にくわないのですが、まあその気持ちは解ります。」

イフリート「っと言うことで」

イフリート、ミサ「「これからもよろしく」」


アスカ:ナミっていい人ねぇ。

マナ:あのシンジがあそこまで感極まって泣いちゃうくらいなんだもんねぇ。

アスカ:そうだわ。折角、こんないい話を読んだんだから、アタシもシンジにこうやって接したらいいのよ。

マナ:無理ね。

アスカ:どうしてよっ!

マナ:あなたには、ナミさんみたいな包容力は無いわ。

アスカ:何言ってるのよっ! 母性本能の塊の様なアタシに向かってっ!

マナ:ど、どの口がそんなこと言ってるのよっ!

アスカ:なによ。(ーー;

マナ:あなた、本当に自分のことをそう思ってるのっ!?

アスカ:なによ。(ーー;

マナ:汗が出てるわよ。

アスカ:なによ。(ーー;
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